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GAMERA -Rebirth-(新編集版) 第1話「夏の雷鳴」感想

伝説を醒ます

目撃せよ、新たなガメラの誕生を

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 ゴジラと並んで日本の怪獣特撮界にその名を残す大怪獣・ガメラ。作品総数こそ少ないものの各作品に根強いファンが存在し、今もなお侮れない人気を誇るシリーズでもあります。そんなガメラシリーズの最新作にして初のアニメ作品として制作された『GAMERA -Rebirth-(ガメラリバース)』が2023年にNetflixにて配信され、今年NHKにてテレビ放送されることとなりました。

 僕もガメラは昔から好きな作品で、アニメの方も気になっていたもののネトフリに入っていないため見る機会がありませんでした。そのため今回のテレビ放送は待ちに待った瞬間であり、今季のアニメの中でも特に楽しみにしていた次第です。今回からそんなガメラリバースの感想を書いていきたいと思います

 

 

  • 少年たちのひと夏の冒険

 さてガメラリバースですが、テレビ放送版は全6話の配信版を12話に分割編集して放送しているとのこと*1そのため1話の時点では怪獣がほとんど出てこない、少年たちの日常がメインとなっていました。「ボコ」と「ジョー」「ジュンイチ」の小学生3人による進学といった家庭の事情や、いじめっ子に立ち向かう展開は『スタンド・バイ・ミー』のような青春ドラマの様相で結構見入りましたね。ボコが私立に進学して疎遠になる前に、みんなでお金を出し合って無線機を購入しようと計画していた話も妙にいじらしく感じます

 上述の「ブロディ」率いる外人のいじめっ子グループとのやり取りがこれまた印象的。途中まで牧歌的な小学生の放課後が描かれていた中で、いきなり海外学園ドラマのジョック染みた連中が出てきたことに最初ギョッとしましたね。絶妙にムカつくブロディのキャラ(CV木村昴さんがまたいじめっ子やってる……)も相まって、お金を取り返そうとするボコたちに早くも感情移入せずにはいられなかったです。それでいてブロディにも、何かしら父親へのコンプレックスのようなものを抱えている様子なのが興味深いところ。果たしてボコたちとブロディはこの先わかり合うのか、それとも対立したままなのか。この時点で彼らから目が離せなくなってきています

 また本作が1989年の日本を舞台としているのも注目ポイントですね。ブロック塀など現代ではあまり見ないような街並みの他、ボコたちの会話にアポロ計画成功の有無が出てくるなど、当時ならではの要素が散見されます。あとは物語の舞台が東京の福生市ということもあり、ブロディの父親が横田基地の在日米軍所属であることも間接的に読み取れました。この時代の情勢を詳しく知らないので断定は出来ませんが、現地人にはどこか生き辛そうな雰囲気も感じられます。*2本作はまさに、そういった難しい環境で生きる少年たちの冒険物語でもあるのでしょう。

 

 

  • 怪獣が日常を破壊する時

 といった感じに小学生のジュブナイルを堪能していた一方で、怪獣映画らしい要素が点在していたことも見逃せません。冒頭から炸裂した謎の組織が地下で謎の生物に襲われるという、実に恐ろしい光景に早速ワクワクさせられました。そしてこの回で被害を出していた飛行生物が「ギャオス」であることがファンなら一目瞭然です。子どものように小さいサイズながら、既に人間を襲うほど凶暴だとわかる描写満載だったのが見事でしたね。

 また大人たちの腕が切り飛ばされるなど、いきなりスプラッタな表現が画面に飛び込んできたのがたまりません。一見すると奇怪なだけの翼竜に体を切り刻まれ、生きたまま喰われる……人間が容赦なく惨殺されていく絵面は、これ以上ないほどガメラ怪獣らしい「残酷さ」に溢れていました。それだけでなく、終盤では巨大になったギャオスが人間を生きたまま丸呑み様子まであるのでファンなら思わずガッツポーズしてしまったかと思います???「グロいシーンにテンション上げるとかガメラファンはクレイジーね……

 そんなイカれた光景をボコたちが目撃するまでの過程も非常に好み。彼らの日々の間に挿入されていたギャオスの進撃が、最後の最後に交わっていくラストは不思議と鳥肌が立ってきます。それまで当たり前に過ごしていた日常が、怪獣という非日常によって呆気なく壊されていく……この無情な変化の流れこそ怪獣作品の醍醐味の1つだと改めて再確認しましたね。そしてギャオスの脅威に逃げ惑うボコと、この後現れるであろうガメラにさらなる期待を寄せずにはいられない導入に仕上がっていました。

 

 

 というわけでガメラリバース1話の感想でした。現時点では怪獣同士のバトルが始まってすらいないものの、ここからそれらが見られるであろう予感を抱かせてくれるには十分な序盤だったと思います。このじわじわと怪獣が世界を壊していく過程が、何とも言えない高揚感を起こしてきますね。

 またボコたちの日常も意外と見応えがあって、親の重圧やいじめっ子の理不尽などから彼らへの親近感がいきなり湧いてきました。この手の作品を見るうえで主人公たちを好きになれるかどうかは結構重要なので、個人的にはボコたちのことを既に好きになれて良かったと感じています。(あとは『小さき勇者たち〜ガメラ〜』よろしくボコたちがカメを助けたシーンがどのように物語に繋がるのか、これも気になっていたり)

 人間のCGに難があるので見づらいところがあったものの、それさえ承知のうえで視聴すれば何てことのないとわかった本作。(OPの映像を見る限り本編の怪獣のシーンに気合が入っているようですし)次回以降の怪獣プロレスがどれほどド派手なものになっているのか、早く見て確かめたい限りです

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:配信版は1話につき45分のため、分割することでちょうど12話分になるらしい

*2:余談だが福生市の市面積の約1/3は横田基地が締めているとのこと。