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GAMERA -Rebirth-(新編集版) 第4話「落日の決闘」感想

勇気の一歩で変わる時

拙者、コンプレックス持ちの子どもが勇気を出して一皮剥ける瞬間を見るのが大好き侍で候。

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  • 少年の声が世界を動かす

 下水道内での謎の空間から始まったガメラリバース4話。前回から引き続きボコたちの行動にハラハラさせられましたが、ここぞという場面でガメラを助けることになる展開で一気にテンションが上がりました。ガメラを攻撃する軍に対して「ガメラは敵じゃない。攻撃するべきはトカゲ(ジャイガー)の方だ」と、説得する流れは個人的にもついに来たか!!と膝を打ちましたね。子どもたちの想いが大人たちを動かし、その行動の結果ガメラを助ける……「ガメラでこういうのが見たかった」を全力でやってくれたことに、感無量の極みです。

 またその過程にブロディの小さな成長が描かれていたのが最大の見どころ。ギャオスの時のように最初はビビってしまったものの、父・オズボーン将軍に上述の言葉を伝える行動には素直に感動しました。ここまでの描写で父親への憧れやコンプレックスが見え隠れしているため、おかげで彼の人となりが大分読み取れてきたのが見事。今回のことで父のようになりたいけど威張ることしか出来なかった、情けない頃と明らかに決別を果たせたと言えるでしょう。お父さんに認めてもらいたい一心な部分がいじらしく、ブロディのことが一気に好きになってきた次第です。

 そんなブロディの一歩にボコたちが関わっているのもエモいですね。ブロディ1人だけだとずっと燻ぶっていたままだったのが目に見えてわかるので、ボコのように強く訴えてくれる存在がどれだけ重要かが伝わってきました。何より不信感を募らせていたジョーが発破をかけてくれたことが切欠なのも素敵です。さらには父親に叱られたものの、男を見せたブロディを何となく認めてくれたジョーのフォローがこれまた胸に沁みました。途中までいがみ合っていた2人が、困難を乗り越えて仲良くなっていく展開はかなり好みなので、今回の彼らの落としどころにも大満足の一言です。

 

 

  • 鋭き尾棘を振るい、突き立てる大魔獣

 ギャオスの出現と共に卵から孵化したとされる敵怪獣「ジャイガー」。元は1970年に公開されたシリーズ6作目『ガメラ対大魔獣ジャイガー』に登場した怪獣で、原典ではムー大陸に存在していた古代怪獣という設定でした。人間を白骨化する光線や卵を植え付けるといった多彩な能力でガメラを苦しめた実績から、歴代ガメラ怪獣の中でも屈指の強敵として知られています。(余談ですが原典では大阪万博の会場でガメラと戦ったジャイガーが、現在大阪の万博開催中にテレビで登場したこの状況に数奇な偶然を感じますね)

 本作のジャイガーはかなり細身なシルエットが特徴的。ヤモリやカエル、ワニなど複数の爬虫類または両生類を組み合わせたようなデザインになっており、ツノや第三の目を持つ頭部の厳つさがかえって異質なビジュアルに仕上がっていますね。(個人的には頭部だけなら恐竜のトリケラトプスに見えなくも無かったり)その見た目故か動きは身軽で、劇中でもガメラの攻撃を察知して避けるなど俊敏な一面を発揮していました。攻撃の手段としては尻尾をムチのようにしならせ、先端のトゲを相手に突き刺すというもの。厄介ではあるものの、飛び道具を持っていない点ではガメラやギャオスに一歩劣る印象です。

 しかしこのジャイガーについて特筆すべきはその成長速度。孵化して1日も経っていないというのに、子犬サイズからガメラと同程度の60m級にまで巨大化したことに度肝を抜かれます。同種との共食いを経て何とかここまで成長したことを加味しても恐ろしいスピードと言えるでしょう。他にもガメラから受けた傷を回復するため、人間を狙って捕食するなど野生生物としても異常すぎる高度な戦略的行動にも目が留まりました。本作の怪獣がただの野生動物ではないことを、大きく印象付けてくるには十分のインパクトだったと思います。

 

 

  • 信頼出来る大人たち……?

 今回は他にも大人たちの奮戦ぶりが再び印象に残りました。何と言ってもジャイガー相手に真っ向から挑み、時には息子の意見に耳を貸してくれるオズボーン将軍に惚れましたね。市民の避難を最優先にしつつ、自分たちはジャイガーに怯むことなく立ち向かう姿はブロディが憧れるのも納得といったところ。事態が収束した後の息子への叱責は容赦ないものの、ちゃんと話を聞いてガメラへの攻撃をやめてくれる辺り家族への愛情も感じられます。厳しくも家族想いでもある父親として、現状本作の大人たちの中でもトップクラスに好感が持てました

 あと劇中の大人といえばタザキ&エミコの財団エージェントなのですが、こちらも色々ボヤきながら(特にタザキが)ボコたちを救出してくれたのが好印象。苦労人であることも伝わってきますし、子どもの保護をしっかり考えてくれているだけでだいぶまともに見えてきますね。ただ上司らしき人物の命令で少年たちを与那国島の基地に連れていく展開でどうしても不審なものを覚えてしまいます。例によって子どもの救出を最優先する財団の意向も確認出来ましたが、やはり単なる良識からくる判断ではなさそうです。基地に到着したら変な実験に巻き込まれるかも、と今のうちに身構えておきます。

 そして劇中でしれっと登場した「オリリウム」なる謎の結晶体がこれまた怪しさ満点。ジャイガーの死骸と共に回収していたことから、この物質が怪獣由来であることはそれとなく理解出来ますね。この調子で怪獣の謎が明かされていくと同時に、ユースタス財団への不信感を募らせていく羽目になりそうです

 

 

 さて今回のガメラVSジャイガーの戦闘シーンでは、ガメラが必殺技の1つである「燼滅手(じんめつしゅ)」を披露したシーンも見逃せません。腕に高熱を纏わせて触れた相手を攻撃するという、『ガメラ3 邪神覚醒』で使われたバニシングフィストを彷彿とさせる技となっています。(あちらと違い爆発まではしませんでしたが)ジャイガーの口の中に腕を突っ込み、燼滅手の熱で内部から焼き尽くす絵面も相まって、中々のインパクトだったと思います。そのうえジャイガーを丸ごと持ち上げられるガメラの怪力が遺憾なく発揮されている、地味ながら印象的な名シーンとして個人的にもかなり気に入りましたね。

 そして今回ラストの海中のシーンからして、次回登場するのは「ジグラ」で確定でしょう。同時に深海にて高速で泳ぎ回る、ガメラVSジグラのマッチングが容易に想像出来るので楽しみになってきました。何気に本作では初めてのガメラの水中戦にも是非期待したいところです

 

 

 ではまた、次の機会に。