共に並びて噛み合う光
【朗報】デンテおじさん、普通に甥っ子想いの大叔父だった【でもマッドサイエンティスト】
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
- 同じ苦しみを背負い戦う時
ひたすらコミカルなドタバタ劇を繰り広げた前回とは打って変わって、神妙な空気から始まったガヴ32話。グラニュート・リッパーが弟の仇かもしれない可能性に苛立つラキアを、絆斗が宥める展開を見ることとなりました。前回の時点ではラキアに怒ってばかりだった絆斗が、彼の態度の変化を見るや否や落ち着いた様子で手当てをしてくれるところに安心感を覚えましたね。逆に前回ダルダル野郎だったラキアは感情を表に出したりと、立場が逆転しているかのような構図も面白かったです。
そして弟・コメルを失った過去を抱えたラキアの気持ちを、同じく母や師匠を失った絆斗が理解してあげるシーンには大いに胸打たれましたね。そのうえ闇菓子の誘惑に抗ったコメルの強さを評価するなどフォローも完璧で、この辺りはこれまで描かれてきた絆斗らしいコミュ力が発揮されていたと言えます。また酢賀に騙されていたことや母の真実を知るまで18年もかかったことなどを、自虐気味に語れる姿からも彼に余裕が生まれていることが読み取れました。
絆斗に関してはリッパーとの再戦時にて、自らを盾にしてヴラム(ラキア)をサポートする漢気を魅せてくれたのも見逃せないポイント。「人間もグラニュートも関係ねぇ!」と、彼に発破をかけてくれるのも最高でしたね。ショウマとの和解を経て、改めてラキア個人を認めつつあることが伝わってきました。そんな絆斗がお手本のような泥臭さで、ラキアの信頼を勝ち取るのが視聴者としては嬉しくてたまらなかったです。ラキアも絆斗へのちょっと雑に扱っていいみたいな関係を築けましたし(それでいて幸果にはしっかり謝るのがここすきポイント)、前回から期待していた落としどころに大満足といったところです。
(しかしリッパーが無関係ということで、コメルを手にかけた犯人は誰なのか気になってきますね。大鎌を持ったグロッタか、もしくはまた別の新キャラが出てくるか……その謎が解き明かされる時を心待ちにしていたいと思います)
- 邪悪な企みが蝕んでいく……
ハンティラキアンコンビに癒された一方で、ショウマとリゼルのお茶会は見ている側も戦々恐々でした。何と言ってもリゼルがジープを傷付けた件についてショウマに感謝するシーンに度肝を抜かれましたね。彼が傷付けば傷付くほど可愛くなるという考えの元、そのために人間を襲うことも厭わないとはっきり見せつけてくる光景に悪寒を覚えずにはいられません。パンケーキの扱い方など美的感覚が明らかに常軌を逸している点も含めて、自分の楽しいことを最優先にするリゼルの恐ろしさを改めて見せつけられた気分です。
そんなリゼルによって会社を乗っ取られたストマック社に関しては、ニエルブは何かしら順調の様子だったのも見逃せません。ビターガヴの黒ガヴらしきものを培養しているほか、以前登場したグラニュート財界の大物「マーゲン」を何かに誘うラストまで自分のやりたい研究が出来て絶好調といった感じでした。ボッカ大統領と上手くやっているのが目に見えてわかりますし、上がすげ替わってもいつも通り研究に没頭出来るニエルブのしたたかさが伝わってきます。
グラニュート関係であとはデンテおじさんについても触れておきたいところ。上述のニエルブに勧誘されても、ショウマのためにハッキリと断るシーンで素直に感動しました。甥っ子の幸せを願って力になろうとする姿勢は、間違いなく信用出来るものだと視聴者にもわかりやすく描かれていましたね。それでいて「闇菓子研究は面白くない」とか言ってしまう辺り根っこはやはりマッドサイエンティストなんだよなぁ……良き叔父として愛着が湧いてきた一方で、死亡フラグも立ってきているのでおじさんから目が離せなさそうです。
今回は31話に続いて、上堀内佳寿也氏による絵力の強さが炸裂していたのも大きな魅力でした。まずアクション関連ではヴァレン&ブラムVSリッパー戦では、鉄骨で組み立てられた足場での戦闘シーンに見惚れることに。足場を登ったりぶら下がったりしてしのぎを削り合う、スリリングな攻防が繰り広げられていたので見応え抜群でしたね。(中でもヴァレンが鉄柱をリッパーにぶつけて持ち上げるアクションがここすきポイント)東映スタジオ内でそれっぽいセットを作って、雰囲気もバッチリだったのがこれまた見事。11話同様、限られたスペースを有効活用する上堀内監督の底力が発揮されていたと言えます。
アクション以外ではボッカの屋敷やデンテおじさんの洞窟などが、アセットを使用したライブ合成で表現された点も上堀内監督の手腕。30話の時点から屋敷の撮影に立ち会っていたとのこと*1で、『王様戦隊キングオージャー』での経験を遺憾なく活かしているのも伝わってきましたね。特におじさんの住処である洞窟は初見は合成だとは気付かないほど自然だったと思います。総じてこうした創意工夫の数々を、作品を見ることで味わえるのも特撮の醍醐味だと改めて感じた次第です。
というわけで次回はマーゲンがまさかのビターガヴに変身。ニエルブによって改造されたことで力を得たのでしょうが、闇菓子欲しさにそこまでしてしまうマーゲンに対して妙な恐ろしさが湧いてきます。またこんな大物を他のバイトと同じように手駒にしていいのか?とつい思ってしまいました。果たしてこの行動におけるボッカとニエルブの真意や如何に。
さらにはデンテおじさんが退場してしまいそうな雰囲気が予告の時点で溢れているので不安で仕方ありません。立場上そうなってもおかしくはないものの、好きになってきたところで死んでしまいそうなので結構応えますね。彼の置き土産となりそうな新たな変身アイテムと、ガヴの強化フォーム(時期的には早いですがこれが最強フォームですかね?)も気になりますし、次回はかなり動揺が走りそうな予感がします。
ではまた、次の機会に。
*1:「仮面ライダーWEB」(https://www.kamen-rider-official.com/gavv/33/)を参照。
