バクアゲ王鎧武装!!
そうそうこれがVSシリーズの醍醐味だよな~!という感覚を思い起こしてくれるような作品だった
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スーパー戦隊シリーズの48作目『爆上戦隊ブンブンジャー』と47作目『王様戦隊キングオージャー』。この2作が共演するVSシリーズが先日公開されました。いずれも登場キャラクターの描写で絶大なキャラ人気を獲得した作品であることから、両戦隊の組み合わせは以前から注目していたところ。僕自身この2作の相性はとても良いだろうと予想していたので、楽しみにしながら映画館に足を運ぶこととなりました。
その結果久々の正統派なスーパー戦隊VSシリーズとして全力で楽しめましたね。一昨年と去年が変化球すぎたというのもあるのですが、2つの戦隊が出会い交流を重ね、最後に共闘していく王道の流れをストレートに魅せてくれていたと思います。他にもシリーズならではのクロスオーバーな見どころも多数存在し、VSシリーズの醍醐味というものを味わえた気分です。今回はそんなブンブンジャーVSキングオージャーの感想を書いていきます。
※ここから先は作品の内容に触れているのでネタバレ注意!!
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- 期待通りの共演劇~今こそ力を交える時~
というわけでまずは上述で触れた正統派なスーパー戦隊VSシリーズらしさについて。前半に両戦隊が交流を深めていき、後半の共闘で一気に盛り上がる流れは従来のVSシリーズの定番に沿ったクロスオーバーとなっていました。(タイトルに『VS』とある割には大して対立をしていないのもある意味シリーズの伝統なので良し!)特に今回はそれぞれの物語の舞台が異なっている中で、レッド2人だけチキューで残りメンバーは地球と行き先を分けていく判断は見事。他にも各作品のゲストキャラが多数出演しており、両作品の要素がバランスよく摂取出来る塩梅に仕上がっていたと思います。
特に交流パートに関してはファンが見たかったと思う絵面をわかりやすく叶えてくれていた印象。未来がヒメノに振り回されながらも自分の意志を貫くやり取り、玄蕃とジェラミーのねっとりとした口調が被るシーンなど、多くの人が想像したであろう光景が映像されているのがたまらなかったです。(個人的にはイターシャが終始ノリノリだったのがここすきポイント)どちらもキャラの個性が強さが特徴であり、その個性と個性がぶつかり合って生まれる化学反応に忠実に応えてくれていましたね。さらにその息の合いようが戦闘でも活かされている様は、鑑賞中とても納得のいくものになっていたと感じています。
また本作ならではの設定のクロスオーバーも注目ポイントとなっています。敵がダグデド復活のために必要な3つの「聖なるレガリア」の入手を試みる中、最後の1つがブンドリオの中にあるミラーボールだと判明する展開には度肝を抜かれました。ブンブンジャー本編で詳細が明かされないままだったアイテムの謎を、こうして回収してみせる内容には舌を巻くばかり。十中八九後付けですが、キングオージャーの世界観と繋げる設定としてはよく出来ていると思います。何より作品ごとの要素を上手く組み合わせるのもまた、VSシリーズの醍醐味と言えるので感嘆せずにはいられません。
あとはやはり約3年ぶりに巨大ロボ戦が用意されていたのが嬉しかったですね。限定の合体ロボの存在も予告の時点で明かされていたものの、いざ別戦隊の強化形態を見るとテンションが上がりました。キングオージャー側のロボ戦力を失っている問題を解決しつつ、キングブンブンジャーロボ&キングビュンビュンマッハーロボに惚れ惚れさせてくれる構成にも感心させられます。そのため終始VSシリーズといえばコレ!というお約束を守りつつ、魅力的な共演を味わえた作品として好感度も高めといったところです。
- 悲鳴と笑顔の扱い方~戦隊屋は諦めない~
そして本作で最も感心したポイントといえば「悲鳴」の扱い方について。ブンブンジャーが人々を悲鳴から守り笑顔にすることを目的とした戦隊であるのに対し、キングオージャーの主人公・ギラの決め台詞は「悲鳴を上げろ!」。敵に向けての言葉であるものの、一見するとミスマッチな要素として公開前から言及されていました。僕自身この問題をどう調理するのか?コミカルなネタとして消費するのだろうか?などと気になっていましたね。しかし実際に本作で扱われた意外な場面に、意表を突かれることになった次第です。
というのもヤルカーにハイウェイ光線を使わせるために必要なギャーソリンを、シュゴッダム国民たちに悲鳴を上げてもらうことで集める展開が衝撃的でした。(正直これは悲鳴と言っていいのか?という疑問も湧いてきましたが、ヤルカー自身がしっかり取り込んでくれているのでとりあえずはイイモノとして解釈したいと思います)ギラの決め台詞という名の号令を受けて悲鳴を上げてくれる民たちの連携は、キングオージャー本編の後を思えば納得の構図と言えます。ここぞとばかりにゴローゲの声の大きさが活躍しているのがじわる。
何よりギャーソリンを吸収したヤルカーによって「この悲鳴はいつもと違う」としっかり言及されているのが芸コマでしたね。自分たちから望んで叫んでいるのもあって、どちらかというと大也やギラたちに向けた声援に近いモノになっていたであろうことが読み取れました。ある種ヒーローショーでの観客の応援テイストで、悲鳴をここまでポジティブに表現してみせたのは見事と言うほかありません。総じて『仮面ライダーギーツ』や『仮面ライダーのガッチャード』の夏映画然り、ヒーロー番組らしい歓声や応援を取り込んでこちらの懸念を解決してくれていました。
それに合わせてレッド2人のシリアスなやり取りも物語に組み込まれていたのが面白いところ。地球の現状に思い悩む大也にとって、既に平和を手に入れたチキューが理想的に見えるのは納得せずにはいられません。そこにギラが「平和を維持するために多くを考えなければならない点ではそちらも同じ」といった旨でフォローするところまで、悲鳴と笑顔のバランスを考えさせられる場面に仕上がっていました。表面的には異なるように見える2つの戦隊ですが、平和や人々の幸せを守るために戦う姿勢は全く同じ……そのことを意識しているからこそ出来上がったリスペクトある光景は、これまた満足度高めでしたね。
本作は他にも語りたい部分が多いのですが、中でもラクレスの扱い方には少々感動させられました。本人は出演しないことがキャストクレジットで既に明かされていたものの、敵の言葉に憤るギラという形で存在感を示してくれたのは最高でしたね。(本編でのラクレスのシーンを映してくれたのもニクいです)「民は道具、私が国だ」に込められたラクレスの真意を知っているギラだからこその、兄弟の絆が感じられてこれまた感無量です。
あとはサンシーターの扱いが思った以上に良かったのも喜ばしいポイント。ヤンマの元でこき使われているだけでもネタとして十分なのに、上述のヤルカーや宝玉を盗むイターシャ、デコトラーデの杖が役に立つ展開で唸らされました。(敵であるハシリヤンの技術が力になる構図がまたグッド)一年間彼らに愛着を抱き続けた身としては、単なる賑やかしで終わらせず見せ場を用意してくれたことに感謝するばかりです。
敵キャラに関してはマンホールのフタグルマー「マンホールグルマー」(マンホールだから釈由美子さんに声を当ててほしかったかも)が「ブラックホールグルマー」に変化するくだりが印象的です。マンホール時はコミカルで憎めないキャラだったものの、ダグデド分身体を吸収してからは口調もダグデドに似てきたので見ていてゾッとしました。マンホールグルマー自体の人格と意識を消し去って乗っ取りかけていた、ラスボスの恐ろしさを改めて体感した気分です。
というわけでブンブンキングの感想でした。ちょっとした整合性などをぶん投げて、とにかくキャラクターの魅力と共演の派手さに全力を注いだような作品でしたね。しかしVSシリーズとは基本こういうもの。細かいことは抜きにして、両戦隊のカッコいいところをみんなに見せて楽しませてくれるシリーズだと個人的には考えいるので問題はありません。何より本作は例年以上にファンサービスが旺盛なイメージで、見たいものをほぼ全て見られて満足度も非常に高かったです。やはりVSシリーズはこういうところが最高だなぁ!と、その気分を思い出せたのも素敵な日々として記憶していきたいです。
キングオージャーに関してはこれにて終わりですが、ブンブンジャーは現在放送中の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』とのVSシリーズが控えているのが楽しみですね。ゴジュウジャー側の一癖も二癖もあるメンバーとの絡みもそうですが、堤なつめという存在をどう扱っていくのかにも注目したいところ。これらを来年の楽しみにしつつ、今回はここで筆を置きたいと思います。
ではまた、次の機会に。
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