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GAMERA -Rebirth-(新編集版) 第5話「太平洋の嵐」感想

「友達」という考え方

タザキさんの情けなさがCV宮野真守の演技とマッチにしすぎている……

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  • “好きなもの”と“友情”の在り方を考える

 前回ラストの続き、ユースタス財団の研究施設に向かう海での道中から始まったガメラリバース5話。今回は主人公グループのインテリ担当・ジュンイチにスポットが当たっており、彼の好きなものに対する熱量の凄まじさを味わうことになりました。船の中を案内されて大興奮、さらに怪獣と古代文明の繋がりを予想するなど、いつになくテンションが高くて微笑ましかったです。元々マニアックな知識を好みそうな傾向がありましたが、それだけでなくオカルトにも精通している造詣の広さ・範囲の広さには感心させられます。2話の発言からして『聖戦士ダンバイン』も好きなのでしょうね

 その一方で夢中になるあまり、ボコたちを振り回してウンザリさせてしまう様子は見ていて辛かったですね。本人に悪気が無かっただけに、こうした形で不和が生まれるのは何とも言えない歯がゆさを覚えます。はたから見ればこの程度は何てことないものの、ジュンイチ自身はボコたちとの友情を疑うほどに傷付いているのも見ていられなかったです。好きなもので周りが見えなくなる「変わり者」故の、繊細な心情が窺い知れてきました。(またボコもボコで割と容赦のない発言をする辺り、子どもらしい歯に衣着せないストレートなところを垣間見たり)

 それだけにジュンイチとエミコの会話がかなり鮮烈に映ったのが注目ポイント。同じような経験をしてきたエミコが、ジュンイチの理解者として寄りそってあげるところにまず感動しました。「ずっと一緒にいるなら友達だよ」といった旨のさり気ないフォローといい、こうした子どもの立場で考えてくれる大人がいるだけでも安心感が半端ないですね。他にもジュンイチがボコやジョーと出会った「UFOの話」もほっこりとさせるもので、勘違いでも構わないモノがあるというメッセージを感じた気分に浸れました。ジュンイチがどのような形でみんなと仲直りするのか、次回が見ものといったところです

 

 

  • 紺碧領域を支配する、巨大なる影の深海獣

 南太平洋の海中からやってきたとされる第三の怪獣「ジグラ」。1971年に公開された大映時代最後のガメラ映画『ガメラ対深海怪獣ジグラ』の登場怪獣を原典としています。あちらではジグラ星より飛来したジグラ星人が怪獣化した姿という設定であり、サメとカジキを掛け合わせたような頭部のビジュアルが特徴的。オレンヂ光線といった技でガメラを一度倒すほどの戦果を挙げている一方で、地球の水圧などに翻弄されている様子が個人的な印象に残っています

 そして本作におけるジグラはこれまでで最も原典からかけ離れたビジュアルに変更されているのが衝撃的でした。何と言っても両端合わせて三角形に見える巨大なヒレが目を引きます。代わりに尾びれも背ビレもない扁平な体型をしており、どちらかというとエイのイメージに近いですね。一方で下半身は鳥のような足が生えており、恐らく陸上に上がる際はこの後ろ足で歩行するものと思われます。そして翼を広げたようなシルエットも相まって、2話で登場したギャオスにも似ているのが意味深。この2体には何かしらの関連性があるのでしょうか。

 劇中では水棲怪獣らしい水中戦での無類の強さを見せつけていました。全身に小さな気泡を纏うことで水の抵抗を極限まで減らす「スーパーキャビテーション」を用い、驚異的なスピードで潜航すること可能。1万キロ離れた先から1日足らずで船を襲撃してくる、軽やかな動きの光景には目を見張るものがあります。さらに胸部から放つ質量弾や尻尾を伸ばしての刺突攻撃など、遠距離・近距離共に攻撃手段が豊富なのも強力です。同じ水中で活動するガメラすら圧倒するほどの戦闘力は、まさしく深海怪獣に相応しいモノだったと言えるでしょう。

(また今回ジグラが船の甲板のヘリを破壊するシーンが印象に残りました。タザキがヘリに乗ろうとしていた矢先に攻撃した辺り、あれが空を飛ぶものだと理解したうえで潰しにかかったように見えますが果たして……?

 

 

  • 彼らの新たな顔を知る時

 今回はメインであるジュンイチやエミコの他にも、登場人物の意外な一面が描かれていたのが見どころとなっていました。まず少年グループの中で完全に馴染んだブロディが、ジュンイチを諫める役回りを背負っていたのが興味深かったですね。ジョーが終始船酔いで弱り切っていたのもあって結構頼もしかったです。これまでと比べても大分印象が異なりますが、面倒見が良い兄貴分な様子もまた彼の本質なのかもしれません。おかげで彼への愛着がさらに湧いてきました。

 一方でタザキは後半のジグラ襲撃で狼狽しまくっていたのが印象的。子どもたちの親に合わせて説得材料を変える手腕には舌を巻いたものの、狭いところを嫌がったり*1ヘリで逃げようとするシーンはあまりにも情けなかったです。普段は毅然とした態度でいるものの、不測の事態には弱いということなのでしょう。上述のエミコが素敵だっただけに余計に頼りなく見えますが、これはこれで人間味があるので嫌いではありませんかねそして宮野真守さんは情けない演技が絶妙に上手いな……

 あとはやはりボコたちが乗船した船を扱う「バーニー・ドーソン」船長に惚れ惚れした次第。ジグラが接近してきた時も慌てず騒がず、冷静に判断を下す様子は終始カッコよかったです。初見は口の悪そうな人といった程度の印象でしたが、どんな状況だろうと動じないところにプロの船乗りというものを垣間見ました。(まぁ船員も含め本職は科学者とのことですが)ここまで怪獣の対応に苦戦する大人ばかり見てきたので、今回適切に行動する船長に感嘆するばかりです

 

 

 さて上述のドーソン船長たちが操舵した船の設備も個人的なここすきポイント。ジグラ相手に対潜ミサイルをぶっ放し、電磁推進で逃げ去るなど設備が本格的で驚きました。それだけでなく、いざという時に潜水艦を設置していることがラストで判明したのも意外性抜群。ミリタリーやSFのロマンが詰まった船になっており、ジュンイチがワクワクするのも無理はないと思うくらいにはテンションが上がった次第です。

 あと余談ですが、冒頭ジグラが襲った客船に「ギャオスと遭遇して保護された子どもたち」が乗船していた話が出て血の気が引きました。その子どもたちとは、言うまでもなくブロディの取り巻きたちでしょう。彼らのその後は密かに気になっていましたが、まさかボコたちとは別に移送されていたとは思ってもみませんでした。憎たらしい子たちではあったものの、船の爆発に巻き込まれるというあんまりな最期にはショックを受けざるを得ませんね……

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:息が出来なくなる」といったセリフから察するに、タザキは閉所恐怖症である可能性が高い