離れても変わらないモノ
主人公たちのあだ名の由来が意外すぎて愉快な件
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- 気弱なジョーの悲痛な心配
折り返しに突入したガメラリバース7話では、ようやくユースタス財団の与那国島採掘基地に到着するところからスタート。そこでわりかし余裕なボコと、前々回からずっとグロッキーだったジョーのケンカが今回のメインとなっていました。元々財団への不信感やボコたちを心配する気持ちが強かったジョーですが、立て続けに発生した怪獣の襲撃で苛立ちがもう限界に達しているのが伝わってきましたね。それでいて仲間たちからは中々同意を得られないので、若干孤立しがちなところも不憫に感じます。
ボコに関してはガメラが助けてくれると信じているのが印象的でした。これまで何度も駆けつけてくれたこともあって信頼しているのがわかる反面、ガメラに頼り切りなところは若干危うく思えてきます。そして彼とジョーと比べることで、この2人が見た目とは裏腹に気の強さ・弱さが真逆なのも読み取れるのが面白かったです。ボコの周囲を引っ張っていくリーダーシップと肝の太さは最早周知の事実として、問題はジョーの慎重さと心配性な面。子どもたちの中では感性が普通なのも相まって、怪獣と戦う度胸がまだ身についていないのかもしれません。
そんなジョーの心の弱さの原因である、家族の話も興味深かったです。早くに母親と弟を亡くしたという過去が、劇中の「人間は簡単に死んじまうんだ」に繋がっていると思うと胸に詰まされる思いになってきます。父親の代わりに家事や家計を支えている話も相まって、ジョーの苦労人ぶりに涙が出てきます。声を荒げがちなのでボコから反発を喰らうのも仕方ないと思いますが、どうにも報われないジョーに同情せずにはいられないケンカの一幕でした。
- 嫌なことも、変な出来事も大事な思い出に
上述の通りケンカ別れになったボコとジョーの様子に胸が痛んだものの、時間を置いて頭を冷やしてからお互いに会いに行こうとする展開には思わずほっこり。どちらも自分なりに反省出来るのが素敵ですし、思い立ったら即行動に移せる若さはこれまた羨ましく思えてきます。(大人になると仲直りするのも難しくなりますし時間もかかる……閑話休題)またブロディとジュンイチがそれぞれの側にいて、話を聞いてあげたからこそ冷静になれたのがわかります。多少のケンカでは揺るがない、少年たちの青臭い友情に心の底から安堵した次第です。
それはそれとして、今回語られたボコとジョーの過去から2人のあだ名の由来が判明しましたが……まさか「ボコボコ」と「オシッコジョー」なんてネーミングだとは思いませんでしたね。いじめられていたボコをジョーが助けたこと自体は良い話なのに、ジョーが漏らした事実のせいで笑いが止まりませんでした。ただ2人ともそんなカッコ悪いところを笑い話にしつつ、そのあだ名を普通に受け入れているのが何とも微笑ましいところ。以前明かされたジュンイチとの出会いもそうですが、情けなさも含めて良い思い出として楽しんでいる子どもたちが輝いて見えてきます。
- 信用ならぬモノへの選択
ボコたちの友情に一喜一憂したところで、財団への不信感は未だに拭えなかったのも今回の特徴の1つ。後述のバイラスの存在や子どもたちを部屋に実質監禁しているのもあって、ジョーが警戒するのも納得というほかなかったです。大人たちの描写に関しても心配する親たちの声を無視するわ、上を信用していないタザキの質問にもまるで回答がないわと明らかにまともに取り合ってくれないのでフラストレーションがたまります。特にタザキが影で「すまし顔ども」と呼んでいる幹部連中の、いけしゃあしゃあとした態度を見ているだけでイラっときますね。
そうした上司たちを前にしてタザキが財団を抜ける決心を固めていましたが、正直ここまで見ているとその選択もやむを得ないといった印象です。元々宇宙関連の事業で一儲けするために財団に入っていたようですし、ビジネスライクな姿勢は間違いではないと思います。むしろ「その踏み台が腐っていては意味がない」など、組織の信用度について考えさせられる言葉を残してくれるのが良いですね。子どもたちを置いてけぼりにするのはどうかと思いますが、タザキのように早々に見切りを付ける大人の面白さが伝わってきました。
今回は人間ドラマが多く描かれていたため怪獣たちのシーンは控えめ、しかし短い分今回登場した「ギロン」は濃密で絶大なインパクトを残してくれていたと思います。地面から突如現れて何度も跳ね回り、頭部のナイフで一切合切を切り捨てる姿はあまりにも衝撃的でした。(ギロンは原典でも空中を飛んでいたものの、スピード感がまるで違いますね)これまでの怪獣と比べても明らかに俊敏でアクロバティックなので、次回以降のガメラとの対決が俄然楽しみで仕方ありません。あとジグラと同じくヘリを真っ先に狙って破壊した辺り、やはり怪獣たちは乗り物などを理解出来るほど知能が高いようですね……
そして与那国島基地の地下深くに存在する「バイラス」のミイラにも度肝を抜かれました。最初に財団が発見した怪獣とのことですが、見た目も生態も他の怪獣とは別物の特異な個体として語られているのが興味深いところ。本作の怪獣は死ぬと肉体が溶解する中(オリリウムで肉体を維持出来るとのことですが……)で、バイラスだけがミイラのまま残っているというのがこれまた別格の存在感を放っています。後々動き出すのはほぼ見えているので、そんなヤバいものが眠っている事実に恐怖を煽られますね。
ではまた、次の機会に。
