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GAMERA -Rebirth-(新編集版) 第8話「斬る」感想

今試される絆と想い

ガメラといえばやっぱりグルグル回りながらのジェット飛行だよなぁ!?(止まらないオタク心)

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  • 有事だからこそわかる友情の本質

 “斬る”を英訳で“KILL”と表示する、中々に凝ったサブタイがまず目に付いたガメラリバース8話。前回ラストで突然襲撃してきたギロンによって大混乱する与那国島基地にて、ボコたちの和解がメインとして描かれていました。早々仲直りの兆しを見せていたうえに、ギロンが襲ってきたことでボコとジョーの仲が急速に回復していく流れを目の当たりにすることが出来ましたね。片やジョーやガメラを信じて移動し、片やボコの身を案じ急いで脱出する……この流れで互いを想い合い、自然と冗談を言い合えるほどにまで行けたことに心地よさを覚えます

 他にも前回財団から一抜けする気満々だったタザキが、職員の避難を指示するなど的確に行動してくれたのも印象に残りました。エミコに言われて渋々やっていた様子だったものの、ギロンを砲撃して職員が逃げる時間を稼ぐといった作戦に打って出るシーンなどに感心させられます。そのうえ1人瓦礫の中に埋もれていたエミコを助けに行くなど、文句を言いつつも情に深い一面を見せてくれたのもここすきポイント。6話の時もそうでしたが、普段はともかく落ち着いていれば頼りになるのが伝わってきますね。

 総じて大人子ども共々、前回亀裂が入った関係を元に戻していくような内容でした。怪獣被害という緊急事態を前にして、いがみ合うより先に助け合っていく光景にハラハラしながらも胸が温かくなってきます。まさしくこういった状況でこそ、その人それぞれの本質が現れてくるといったところでしょうか。とりあえずジョーやタザキといい、何だかんだで根は熱いキャラクターであることが読み取れて個人的にも満足のいく和解エピソードになっていました

 

 

  • 一刀両断・斬撃一閃、刃振るいし大悪獣

 対馬に残されたジグラの死体を喰らい、与那国島基地を襲撃してきた「ギロン」。1969年公開の5作目『ガメラ対大悪獣ギロン』にて初登場し、その「包丁に手足が生えたよう」な珍妙なビジュアルで今もなお語り草になっている怪獣です。原典では惑星テラ出身の用心棒怪獣として登場し、トレードマークである頭の刃物で宇宙ギャオスの翼や首を切り落とすほどの実力を見せていました。その一目見たら忘れられないビジュアルも相まって、個人的にもガメラ怪獣の中ではかなりのお気に入りだったりします

 本作のギロンはそのユニークなシルエットはそのままに、武骨でスタイリッシュなものに洗練されているのが特徴的。何と言っても頭部の刃がナイフのように細く鋭く、そしてギザギザになっておりこれだけで攻撃的な印象を抱かせてきます。その刃の切れ味は凄まじく、ガメラの右腕を一太刀で切り落とすほどの威力を発揮していました。*1加えて胴体はトゲトゲとした鱗で覆われており、その鱗を手裏剣の如く飛ばして攻撃することも可能。(この手裏剣攻撃も原典からよりカッコよくブラッシュアップされていますね)言うなれば全身が「殺意の塊」のような見た目に、思わず息を飲むばかりです。

 他にもこの怪獣ならではの持ち味として、原典以上の敏捷性が挙げられます。細長い胴体をバネのように伸縮させ、自在に飛び跳ねながら切り付けてくる戦法を得意としているようです。その動きはこれまでの怪獣と比べても圧倒的に身軽で、ガメラの攻撃すらも楽々避けられるほどの機動性にも繋がっていました。そのくせ刃も鱗も硬いせいか、火焔弾が直撃してもビクともしないなど防御力も非常に高い模様。攻守共に隙が無く、現状ガメラに最もダメージを与えたことから、現時点でも最強クラスの怪獣と呼んでも差し支えないでしょう。

 

 

  • 怪獣のルーツ、悍ましき真実

 ギロンの脅威が去ったのも束の間、バイラスのミイラが保管されている地下にまでやってきたボコたちが見た光景も見逃せません。オリリウムが見せた映像(ヴィジョン)とでも言うべきでしょうか、その映像にて怪獣が人間によって造られた存在だと明らかになる瞬間には度肝を抜かれました。そのうえ劇中のセリフからして、怪獣が造られた理由が「増えすぎた人口の抑制」というのも驚きと納得を与えてきましたね。本作の怪獣の不自然な生態や人間への異常な執着など、多くの疑問が一気に氷解した気分です。(正直ほぼほぼ予想していた通りだったのでやはりな!と内心膝を打ったり

 そして怪獣が人間を間引くための生物兵器だとわかったところで、それらを研究するユースタス財団の目的である「再生計画」も同時に判明。怪獣について研究しているのも怪獣を増殖させて地上に残った人間の多くを削減するため、ということなのでしょう。すまし顔の財団トップが月面基地にいる描写もありましたし、選ばれた人間だけが月に避難して、怪獣が消滅した後の地球を支配する算段なのかもしれません。前々から怪しいと思っていた財団ですが、ここまで真っ黒だとかえってドン引きせずにはいられませんねあとラストシーンのエミコが月を見上げてやたら怪訝な表情を浮かべていましたが、HAHAHAまさかな……

 あとは怪獣が子どもを狙う意図と、ボコたちが財団に召集された理由も何となく察することが出来ましたね。詳細はまだはっきりしていませんが、恐らく怪獣は子どもたちを喰らうことで成長や増殖を果たせるのでしょう。その中でもボコは明らかに特別な存在で、ガメラの腕の傷と同じ個所を痛がる辺り特殊な能力を持ち合わせているのかもしれません。ともかく過去(?)の映像で子どもたちを怪獣に捧げるシーンの悍ましさには、見ていて反吐が出てしまいました。浄化という名目の大虐殺を行おうとしている、財団と怪獣への憤りが止まらないばかりです。

 

 

 さて今回のガメラに関してですが、代名詞でもある「回転ジェット飛行」がお披露目された点に触れたいところ。引っ込めた手足の口からジェット噴射し、フリスビーのように高速回転しながら飛行するビジュアルをようやくアニメでも見ることが出来ました。本作のガメラは足だけを引っ込めた飛行形態ばかりで回転飛行しないのかなぁ、と思った矢先に披露してきたのも良かったですね。ガメラといえばやはりこのグルグル回転してUFOの如く飛び回るビジュアルだと考える身としては、満を持しての登場に興奮を覚えます

 しかもこの回転ジェットの応用技である「シェルカッター」が決め手になったのもたまりません。ギロンの強さや子どもたちを庇って動けないガメラの状況に絶望していた中、まさかの方法でギロンを真っ二つにしたのでインパクト抜群でした。(苦戦していた割にはあっさりとした決着でしたが、子どもたちが安全な場所まで逃げたのを確認したからこそ本気を出せたとも解釈出来ます)腕を落とされたり片目を潰されるなど大きな負傷が目立ったものの、それでもバリエーション豊かな技で勝利してみせるガメラに今回もテンション爆上がりした次第です。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:切り落とされたガメラの腕の断面が赤く熱されていたことから、ギロンの刃の先は熱と振動で切れ味を高めていると予測出来る。