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仮面ライダーガヴ 第38話「憎しみの向こう側」感想

向き合った先に得るモノ/喪うモノ

Q.この力があれば赤ガヴに勝てますか?

A.手術は無事成功しましたよ。(クソ回答)

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  • 耐えて乗り越えた先に……

 前回の重苦しい事実を胸に抱えながら始まったガヴ38話。母の仇であるラゴーもとい健二さんの存在を知り、怒りに燃える絆斗の姿が初っ端から見ていて辛かったです。母を奪った相手に思いっきり詰め寄りながらも、本物の後悔と反省が感じられる健二さんへの戸惑いが隠せていないのが丸わかりでしたね。何より寛人くんに健二さんのことを聞く辺り、最早絆斗自身復讐に積極的ではないことが読み取れます。ここで仮に復讐を果たしたところで、自分も母も報われないし悲しむ人を増やすだけ……思慮深い絆斗だからこそ、こうした思惑が巡っていたことでしょう

 そして倒されること覚悟でやってきた健二さんに対し、攻撃を逸らすことで復讐にケジメを付けた時には思わず感嘆の声が漏れました。寛人くんたちのことを第一に考えたからこその選択と「グラニュートとしてのお前は死んだ」という言葉に、菓子職人として生きている健二さんを認めたという意思表示が感じ取れてグッときましたね。憎しみそのものは決して拭えていないものの、これ以上誰かが悲しい思いをさせたくないからこそこうした選択が取れたことには個人的にも嬉しい限り。決して許すことは出来ずとも向き合い“耐える”ことで1つの家族を守り切った、絆斗の復讐の連鎖の断ち切り方を個人的にも大いに評価したいです

 といったように安心したのも束の間、健二さんがグロッタに粛清されるラスト数分で一気に気分が落ちることに。ここで良い感じに終わるとはさすがに思っていなかったのですが、健二さんが寛人くんたちの元に戻れたところに容赦なく消されるのはあまりにも無情すぎました。闇の世界に入ってしまった以上簡単に抜け出せないのはわかる一方で、真っ当に進み始めていた和菓子屋への仕打ちとしてあんまりすぎて憤りすら込み上げてきます。(消された理由が半分グロッタの八つ当たりに近い点も、許してはいけない理不尽っぷりを強調していますね)何より健二さんがいなくなったことで寛人くんがショックを受けたり、絆斗が裏切られたと勘違いしてしまう可能性に胸が引き裂かれそうです。せめて次回辺りでこの件へのフォローをしっかり用意してほしいところですが……

 

 

  • 復讐の奴隷と成り果てても……

 前回に続いて絆斗とは対照的に、復讐に囚われ堕ちるところまで堕ちてしまったのがジープ。ショウマに勝てない現状を嘆いた矢先に、ニエルブから改造の提案を受けるくだりがまず痛々しかったです。赤ガヴ(ショウマ)と同じになることに猛反対する様子にはそんなに嫌なの?と思いつつ、体を弄られることへの抵抗感にそれとなく共感を覚えました。そしてかつて絆斗が酢賀に改造を受けた時の流れと似ているものの、この一連のやり取りからやはり今のジープは本心では復讐を求めていないことが伺えますね。

それでもシータのことやリゼルの後押しを受け改造を受けた時は何とも言えない悍ましさが漂っていました。本人的には尊厳を失ってまで果たすべき復讐ではないはずなのに、周りに良いように持ち上げられてやるしかないと自分を追い詰めているのが滑稽すぎて見ていられなくなってきます。ニエルブに勝てるかどうか質問してもはぐらかされていましたし、ここでジープが完全な道化に成り果てたという実感を覚えました。望んでもいないことを環境によって強いられる彼の姿は、まさしく空っぽの憎しみに操られた「復讐の奴隷」といったところでしょう。

 そのため今回の戦闘シーンでショウマに引導を渡されるかと思っていたのですが、生き残って敗走した時は驚きましたね。ランゴでさえ耐えられなかった必殺技を喰らっても、何とか生きていたのはニエルブの改造のおかげでしょうか。ともあれ疲弊しきったジープからすればここで死んでおけばまだ楽だったかもしれないので、彼にとっての生き地獄はまだまだ続いていくことが確定しましたね。ここまでくると本作が最終回を迎えた後も生き残りそうですが、それも復讐者の末路としてはまぁ妥当かもしれません

 

 

  • バリバリ&ヤミー!憎悪に塗られた網目模様

 

スナック!

 

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

BITEスナック!

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

BITEスナック!

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

 

\グワハァァ~!/

 

バキバキスティック!!

ヤミー!

 

 ニエルブの改造を施されたジープが「バキバキスティックゴチゾウ」をビターガヴに装填、ガヴガヴ食べさせることで変身した姿「バキバキスティックフォーム」。マーゲンのブレイクッキーに続いて登場したビターガヴの派生形態です。メンタルが「バキバキ」に折れているジープにこのフォームを渡すか……これまでのビターガヴの中でも比較的整然、それでいて煩雑としたビジュアルがまず目を引きます。モチーフであるスティック状のスナック菓子が不規則に並んだ装甲は、さながら網目を作っている感覚。この配置は鎧を纏った騎士のようですし、同時に包帯を巻いた怪我人にも見えてくる絶妙な塩梅と言えます。(余談ですがこのフォーム、今年の1月に玩具情報で存在が公表されたのにも関わらず約5カ月かけてようやく本編に登場とお披露目までにかなりのラグがありました)

 戦闘においてはビターガヴガブレイドとベイクマグナムの両方を使用。中でもベイクマグナムの射撃の威力を、推進力として使い猛突進してくる戦法には驚かされました。マーゲンと同じくビターガヴガブレイドを逆手持ちにして切り付けてくる技と合わせて、ヴラムを一度戦闘不能に追い込んだのは中々に凄まじいです。他にも装甲のスティックを引き抜いて、クナイのような投擲武器として扱うことも可能。こちらの威力も地味に高く、ガヴの体を貫いて壁に貼り付けにする芸当を魅せていました。オーバーモード&マスターモードを使ったガヴには為すすべなく敗北したものの、一定以上の実力があることはしっかり示すことが出来たと思います

 

 

 今回の戦闘シーンでは、ガヴがマスターモードに変身してからの高速戦闘描写が見事でした。ランゴ戦でも見せたハイスピードな動きに加えて、さらにビターガヴ(ジープ)視点で「ガヴが突然視界から消える」演出を盛り込んだ点が素晴らしかったです。もう一度見た先に相手はおらず、いつの間にか背後に回られていた瞬間の恐ろしさを敵側で表現してみせたことに舌を巻かずにはいられません。

 またその消える瞬間の前、ガヴが非常に高い鉄塔の頂上に立つシーンにも仰天しました。不安定な高所でポーズをとる光景は、高所恐怖症としては見ているだけでも肝が冷えますね。一応撮影時には上からクレーンで吊り上げることで安全性を確保したとのこと*1ですが、『V3』の煙突に立つシーンのようなカットを今の時代に合成なしでやってのける撮影班の気合いの入りように心の底から震えた次第です。

 

 

 そして次回は絆斗に続いてラキアの復讐の話が回ってくる模様。追い求めていたコメルの仇がグロッタである可能性が浮上してきましたが、予想の範疇だったのでそこまで驚きはありませんね。どちらかというと今回絆斗の想いを汲みつつ「俺だったら復讐を果たす」ことを宣言したラキアが、その想いをどこまで貫けるのかに注目したいところです。

 他にもデンテおじさん主導の元ラキアの新しい力を造ることになるようですが、個人的にはグロッタの描写が気になってきています。今回かつてないほどの苛立ちを見せていた彼女が何を求めていたのか、おじさんとの再会でようやく明かされそうなので結構楽しみです。思えばグロッタ姉さんは兄妹たちの中でも情に厚いイメージがあるので、その辺りを掘り下げてほしいですね

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:仮面ライダーWEB」(https://www.kamen-rider-official.com/gavv/39/)を参照。