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GAMERA -Rebirth-(新編集版) 第12話(最終話)「幼年期の終わり」感想

向かっていく未来

ひとつの夏が終わる時、少年とガメラの冒険は神話となる

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  • 切なくも強き“絆”が月を穿つ

 ガメラの傷が癒えぬ中襲来するエスギャオスや、暗躍する評議会を打ち砕く様子が描かれたガメラリバース最終回。ボコがガメラを守るために自身を囮にするという大胆な行動にいきなり面食らい、ガメラの出現から決着までのノンストップぶりに終始ハラハラさせられました。何と言っても衝撃的だったのがガメラが一瞬敵に回る展開で、エスギャオスを無事倒したと思ったら……の流れは中々にショッキングだったと言えます。体表が黒く・目が赤く染まるガメラの様子は、遺伝子を書き換えられて本来の怪獣に戻ってしまったことが端的に伝わってきましたね

 しかしボコの呼びかけに応えて正気に返るなど、最後の最後でボコとガメラの“絆”がカギとなったのが面白かったです。ボコのピンチに怪我を押して現れるのは予想通りでしたが、洗脳されてもなお彼を守る選択を取ったことに驚きを隠せません。というのも本作のガメラはコードを持った子どもを守るように設定されている節があるので、結局のところ命令通りに動いているだけだと感じていたからですね。しかし設定を書き換えられたうえで、ボコの呼びかけに反応する姿はまさしく「子どもの味方・ガメラ」の姿でした。いつの間にか怪獣の役割などを超えて、彼らの間に確かな信頼が生まれていたと思うと非常にエモいです

 それだけに正気を取り戻したガメラが消滅する瞬間は非常に切なかったです。最後の技「荷電粒子砲」で評議会のいる月面基地を撃ち抜くシーンは痛快でしたが、その引き換えとばかりに体がチリになって消えていく様子がショックの一言。ボコが必死になってガメラを守りたかったのに、ジョーと同じように自分のために消えていくのは視聴者としても胸が締め付けられるばかりです。ただガメラの子どもが出てきたのが救いで、ここから子どもたちとガメラの絆はまだ続いていくのだと感じられるラストになっていたのは素敵でしたね。ともあれ最後まで子どもたちを守り抜く、守護神ガメラのイメージを貫いたリバースガメラには感嘆するばかりです。

 

 

  • 終わりと共に変わり、始まる

 そしてボコたち少年の物語の幕引きも今回の大きな見どころ。ガメラの消滅と共に夏の終わりを感じ、その後のエピローグともいうべきやりとりで大きな変化を実感した次第です。ジュンイチやブロディと一緒に秘密基地の荷物を片付けるシーンなどは、子どもの青春の整理を付けているのが目に見えて伝わってきましたね。本編での怒涛の展開から一転して静かな雰囲気も醸し出しており、それがどこか物悲しさを強調していたのもまた素敵でした。

 そのうえでボコが「変わらないものはない」という答えを見つけるモノローグが印象的。今回の冒険で危険なことや自分の無力さを学び、受け止めたことで彼らが少しずつ成長している途中にあることが感じられます。ボコがジョーとの約束通り自転車を乗れるようになったのも、その変化という名の成長の表れでしょう。楽しかったことも苦しかったことも全てを糧にして、子どもたちは目まぐるしい速度で逞しくなっていくことを最後に描いていたと思います。(サブタイの「幼年期の終わり」とはそんな終わりと始まりを指しているのかもしれません*1

 総じてボコを中心とした少年少女のジュブナイルとしても申し分ない終わり方でしたね。若気の至りや親友との別れといった苦々しい経験を重ねつつも、それらをきっかけに変わっていく子どもたちの変化を怪獣プロレスと共に楽しめました。第1話の感想の時点で書きましたが、『スタンド・バイ・ミー』を彷彿とさせる要素のおかげで見応えあるやり取りも多かったです。やはりガメラは子どもたちが主役でないと!という想いを持っている身としては、それを現代の作品に相応しいものに仕上げた点を大いに評価したいところです

 

 

  • 子を想う親として、戦う大人として

 他にも前回に続いて様々な形で大人たちの活躍が見られたのも嬉しいポイント。日本の自衛隊や学者だけで終わるかと思っていた中、オズボーン将軍が軍を動かしてエスギャオスを攻撃する瞬間にテンションが上がりました。さらに佐々木大隊長も撤退命令を無視して突撃するなど、無謀ながらも熱い一面を見せてくれて個人的にも好感度が爆上がりしましたね。

 そしてそれ以上に興味深かったのがボコの母親で、同じ子を持つ親として将軍に発破をかける回想シーンに思わず膝を打ちました。「私は銃殺刑になっても構いません!」と力強く言い放つ様は、ボコの母親だと納得出来るほどの肝の据わりようで内心では感心しっぱなし。何よりこれまでは子どもにとってはやや邪魔だった親が、ここぞとばかりに我が子のために身を挺してくれる展開にグッときます。やはり親も子を大切にしてくれていると思うと個人的にもホッと出来ますね。

 タザキに関しては最後までいつも通りだったという印象。ボコたちの行動に振り回されながらも、何だかんだで生き残る様子に安心感を覚えました。子ども嫌いな面は相変わらずでしたが、それがむしろ彼の魅力のようにも感じられます。終盤彼もまた犠牲になりそうといった考えもよぎりましたが、そんなことは全くなく情けなくとも頼りにはなる大人でいてくれて本当に良かったです

 

 

 今回は最終決戦ということもあり戦闘シーンも短いながら迫力満点でした。特にガメラに感しては上述の荷電粒子砲はもちろんのこと、エスギャオスを倒す際の決め手になった回転技に仰天しましたね。体を高速で360度回して巨大な球体のような形状になりつつ、ゆっくり落ちてきてエスギャオスを粉砕する光景は奇抜ながらも興奮モノ。最終回になっても新たな技を披露してくれる、ガメラの多芸っぷりには改めて感嘆を覚えます

 また『大怪獣ガメラ』を思わせる灯台のシチュエーションや『小さき勇者たち〜ガメラ〜』のトトっぽい赤ちゃんガメラなどオマージュもてんこ盛りで、ファンとしてはニヤリとくるものばかり。その中でも今回最も驚いたのが「ガメラマーチ」をアレンジしたEDですね。昭和ガメラを代表する名曲をここで使うのか!というニクイ演出に思わず感動させられます。そして「強いぞガメラ×3」といった歌詞が印象的な曲が、アレンジで切なくも美しい青春ソングのようになっているのも見事。最後まで過去作を網羅しつつ、新しいことをやろうとする気概を感じられて感無量です。

 

 

 というわけでガメラリバースの感想はこれにて完結。毎週様々な怪獣とのバトルや子どをメインにしたストーリーに魅せられつつ、これが見たかった!という要素をしっかり引き出してくれる内容に楽しませてもらいました。まさに歴代ガメラシリーズの面白い部分を引用しつつ、令和に新たなガメラを復活させた本作に拍手を贈りたいです

 それだけにアニメ2期をやってほしいとも思ってしまいますね。ちょうどラストにジョーが生きていた衝撃のCパートを導入していましたし、やろうと思えば出来るっぽい布石を残しているのが絶妙。元である配信版から1年以上経っている現状難しいとは思うものの、ボコやガメラたちをもう1度見てみたいところです

 さて本作の総評に関しては後日投稿予定。作品の良かった部分や不満点など、様々な要素をそちらの記事でまとめていきたいと思っています。総評を投稿した際には良ければそちらも読んでいただいて、僕がガメラリバースにどのような想いを抱いているかを感じ取ってくれれば幸いです

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:余談だがタイトルの元ネタはアーサー・C・クラーク氏のSF小説『幼年期の終わり』である。