仮面ライダーガヴ 第42話「割れた思いの果てに」感想

辛酸舐められても立ち上がる

ハンティの悪魔、洗脳の力で生まれた存在なのがバレバレすぎる

[バンダイ(BANDAI)] 仮面ライダーガヴ DXライダーゴチゾウセット07

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• 根性と毒は使いよう

 ニエルブと酢賀によって洗脳されてしまった絆斗。今回のガヴは襲い掛かってくる絆斗にハラハラさせられる様子から幕が開きました。ショウマたちが捕まえること自体はあっさり出来たものの、変身解除して縛られてもなお攻撃的な彼の姿に何とも言えない危機感を覚えます。（ラキアが容赦なく水をぶっかけるシーンは容赦なさすぎて変な笑いが出ましたが）前回の感想でも書いた通り、人間の心の自由を奪うニエルブの発明の悍ましさが端的に表れている状況といえるでしょう。

 それだけに絆斗が洗脳を打ち破り、ショウマたちを助けに入る展開にはグッときました。絆斗の中の天使と悪魔もとい白絆斗と黒絆斗が脳内で話しかけるシーンはややシュールでしたが、明らかに操られている黒に理論的な白が抗う構図は実に絆斗らしかったと言えます。結果自力で元に戻った件も劇中では「根性」と説明されているものの、その実態は絆斗の冷静さと良識あってこそのもの。（というか黒絆斗の言動が明らかに当人の望みといった感じではなかったので、悪魔という印象はなかったですね）ショウマとラキアそれぞれに「おうっ！」と答えるくだりの爽快感もあって、絆斗らしい復活劇に仕上がっていました。

 また今回はラキアの意外な活躍も印象的。操られた人たちを抑えつけるために、かつて闇菓子集めに使用した毒を注入した時は仰天してしまいました。久々にグラニュートとしての姿も披露し、ここにきて元々はどんなグラニュートだったのかを改めて実感した感覚です。しかしラキア自身はこの姿に戻ることも含め、この手段を渋っていたのが良かったですね。かつての過ちを思い出す力として封印していたものの、人々を助けるために再び用いく過程はラキアの良心が窺い知れて胸が温かくなります。心を奪うという点ではニエルブの洗脳と似ているものの、用途は真逆なのでイメージも大きく異なっていました。心を奪ってくる敵に対し、最後まで「心」のままに戦い抜いたラキアにも感動した次第です。

• 傲慢の中に隠れた感情は？

 ニエルブによって操られたゾンビ酢賀を見事撃破し、今回の騒動も無事集結。とはいえ実験段階の武器を破壊しただけでニエルブはまだ予備を持っていそうなので、一時しのぎに見えてきます。むしろニエルブが赤ガヴ（ショウマ）に興味を抱きつつある描写にゾッとしました。本作の変身アイテムを生み出せるのがショウマだけである以上、それを利用しようとするのも無理はありません。というかショウマを潰された場合味方が一気にジリ貧に追い込まれるので、今後のニエルブの策略に戦々恐々せずにはいられないのですが……

 それはそれとして、あっさり倒されたゾンビ酢賀の最期は少しだけ印象に残りました。意志を持たないしたいとしてこのまま感情を見せずに終わるのかと思いきや、要所要所で必死に戦っているように見えましたね。特にベイクマグナムを守るために自分を犠牲に仕掛けた様子といい、色々と思うところがあるようにも映っていたように感じます。それはニエルブの研究を同じように興味深く思っていることの表れなのか、それとも家族の件と関係しているのか。正直定かではなかったものの、わずかな自我に酢賀のキャラクターが何となく読み取れました。（それだけに絆斗ではなくラキアがトドメを刺すなど、酢賀復活の旨味がほとんど活かされなかったやられ方に関して「惜しい」と感じてしまいました）

 そういえば幸果が久々にランゴと遭遇するシーンには思わずギョッとしましたね。絵面だけだと無断で撮影してくるギャルが注意されている状況で面白いのですが、この2人の邂逅は序盤以来なので何とも意味深に見えてきます。社長という立場を背負う者同士、このやり取りにも大きな意味があるのか気になるところです。ランゴの暗躍はまだまだ続きそうなので、また幸果との絡みを見せていくことになるかもしれません。

• 真実を知る者、探す者

 そして前回明らかになった優さんとショウマの関係についてわずかながら進展があったのも見逃せません。いつバレるのかとヒヤヒヤしていた矢先、絆斗がショウマに真実を教えるラストは意外性に溢れていましたね。まぁこれに関しては本作の登場人物はみんな「秘密を抱え込みがち」という難点を抱えているので、無事絆斗が必要なことを伝えてくれたことに安堵を覚えます。事態が拗れる前に明かしてくれたのは見事な反面、意外な事実にショウマ自身困惑しているのが不安なポイント。ショウマがこの話を受け止めるにはまだまだ時間が必要といったところでしょうか。

 個人的には優さんが今回の洗脳事件に巻き込まれたことで、グラニュートと仮面ライダーの存在を知る流れにドキドキさせられます。ずっと妹を探していた優さんにとって、その手掛かりになるかもしれない存在の出現は願ったり叶ったりでしょう。それだけにみちるが既に死んでいることを知ってしまったら、流石の優さんもショックを受けてしまうのではないかと不安になってしまいました。その内ショウマの正体を知らないまま仮面ライダーに詰め寄るなどしそうですし、ある意味で最も危うくなっていったのは優さんかもしれません。

 そして次回は大統領・ボッカ・ジャルダック襲来！ついに大ボスともいえるボッカ大統領自らが人間界に来ることで、かつてない騒動が起こることは間違いないでしょう。ランゴのように闇菓子ではなくショウマたちグラニュートハンターに興味を示しているようで、被害もある意味でこれまで以上に厄介なものになりそうな予感がしますね。（目撃者とか関係なしに町を破壊するとかしそう……）他にも上述の優さんとの件など問題が山積みなので、見ている側としてもてんやわんやさせられそうです。

 ではまた、次の機会に。