俺に出来ることは
木之元さん、今からでも本作の準レギュラーになってくれませんか?
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- 仲間を支える“歩”となるために
誰もいない場所でレキネスを解放する場面から始まった今回のオメガ。コウセイがいつになくやる気になっている様子が微笑ましかったのですが、その後の勝手に怒る姿で逆に心配することになりました。何と言っても1人でアユムのところに行けると豪語するソラト相手に、如何にも拗ねた感じで突っぱねた時は笑いつつもハラハラしましたね。ソラトとしては後述の釣りを楽しんでもらおうと気を遣ったつもりなのがわかるだけに、コウセイが1人だけ怒っている構図に何とも言えない苦々しさを覚えます。(ただ前回の予告時点で想像していたよりも、ケンカの様子が可愛くてホッとしましたが)
この辺りの描写からはコウセイのちょっと短気なところが見えたほか、彼の焦りや寂しさといった感情が読み取れますね。さながらつい最近まで危なっかしくて目が離せなかった弟が、1人でおつかいに行ける!と自分を必要としなくなったような気分だったのでしょう。加えて怪獣に関してはソラトのように戦えず、アユ姉のような調査も出来ないので余計に疎外感を覚えてしまっているのかもしれません。レキネスを扱うことに張り切っていたのも、そうしたコンプレックスから来ていると思うとコウセイに対していじらしさを感じます。
それ故仕事先の倉庫のオーナー「オオヤ・サブロウ」との会話で現場に向かう流れにはグッときました。自分は必要ないかもしれない……と思っていた矢先に、オオヤさんの「サポートする奴(将棋の歩)がいないとな」といった言葉は強く響いたことでしょう。自分に何が出来るのかわからないままでも、必死に仲間たちの力になろうとする瞬間はシンプルながら心が震えるものがありますね。そしてソラトがコウセイの姿を見て「ホッとした」と口にしたように、彼の存在が無くてはならないモノだとわかるのもグッド。諍いを乗り越えバディの絆を強くするエピソードとして、わかりやすくかつ面白く仕上がっていたと思います。
- 影より見せる姿は、獲物を狙う隠れし凶爪
街中に巨大な爪痕を付けて現れた「刃爪怪獣 テリジラス」。2足歩行のスタンダードなスタイルをしている一方で、カラスのような黒色と灰色の羽毛によって鳥のイメージがやや強い怪獣です。劇中の説明によると、後期白亜紀の恐竜「テリジノサウルス」の生き残りが怪獣化したとされているのが興味深いですね。テリジノサウルスの特徴である腕の長さ・前肢から生えた長大なツメを見事に受け継いでいるので説得力が大きいです。(鳥のようなフォルムも近年のテリジノサウルスの羽毛に覆われた復元図を反映しているのがわかります)
そんなテリジラスの細長いツメは縄張りのマーキングの他、戦闘においても有用な武器として発揮。鋭く尖ったクチバシと合わせてついばみ切り裂く、攻撃的な戦闘スタイルを披露していました。そして最大の特徴である透明化能力で、相手に気付かれることなく近づき奇襲する戦術も得意な模様。透明怪獣は『ウルトラマン』のネロンガを筆頭にいくつか存在しますが、テリジラスはそこそこの敏捷性もあってひと際厄介な強敵と言えるでしょう。
他にも注目すべきポイントとして、本作では初めて人間を捕食するシーンがある点にも触れておきたいところ。逃げ惑う人々を見定めて降り立ち、襲撃してくる絵面には素直に鳥肌が立ちました。ビルの陰で隠れて明確には描写されていなかったものの、生々しい音のせいでどんな光景が広がっているか容易に想像が付きましたね。さしずめテリジラスにとって都会は、大量の餌が存在する絶好の狩場だったのかもしれません。(余談ですがテリジノサウルスは植物食メインの雑食性だった説が有力らしいので、テリジラスの食性は独特の進化を遂げていると言えます)
- 掴め!強敵斬りさく龍の大剣
コウセイが操るレキネスが変形・分裂し、オメガの力となった姿「レキネスアーマー」。近年では定番になっているアーマーによるタイプチェンジです。今回は味方であるメテオカイジュウが武器&装甲となり、ウルトラマンの強化形態となるようです。そんなレキネスアーマーは左胸から左肩、そして両手首にレキネスを模したアーマーが装着されており、かなり変則的なビジュアルと化しています。頭部のオメガスラッガーも変化しており、さながらレキネスのツノがそのまま反映されているかのようです。
そして武器である「レキネスカリバー」はレキネスの尻尾のごとく鋭い長大な剣。オメガスラッガー以上の攻撃範囲を誇り、劇中ではテリジラスの攻撃を難なく受け止めるなど攻防一体の性能の高さを見せつけていました。また柄の部分からレキネス由来の念動力を発生させられるうえ、こちらは怪獣1体の動きを丸ごと止められるほどパワーアップしています。(レキネスに加えてオメガの力も上乗せされて操れる質量がアップしたのでしょうか)騎士然としたド派手な一振りと念動によるテクニカルな戦法、これらが合わさることにより従来では見られないタイプのアクションを堪能出来ましたね。
- 若者の“全力”を後押しする心地よさ
今回のエピソードを語るうえで無くてはならないのが大家(オーナー)のオオヤ・サブロウさんの存在。いきなりコウセイたちの前に現れたものの、気さくな態度のおかげでグイグイ馴染んでくる姿に早くも魅了されました。ソラトのことも速攻で気に入ってくれたほか、釣りに誘うなど両者の関係性が非常に良さそうなので余計に顔が綻んできます。将棋を通じてコウセイを諭すやり方も、変に説教臭くないのでスッキリした気分で聞くことが出来ましたね。(一方ソラト側ではアユムがコウセイの気持ちを察して伝えてくれていたのがここすきポイント)
何よりコウセイの「やりたいこと」を応援してくれているのが素敵でした。倉庫管理の仕事を任せながらも、その傍らで彼がやっていることを全て許容してくれている態度に胸が熱くなってきます。若い者が何かに迷っているなら力になってやろうとする、大人としての度量の深さが伺えます。車の貸し出しや倉庫を開けることになることにも快諾してくれる辺り、掛け値なしにコウセイの力になってくれているのがわかりましたね。こうした頼もしい大人キャラの存在は、視聴している側としても安心感が段違いなのでとてもありがたいです。
そんなオオヤさんを演じてくれた木之元亮さんについても忘れてはいけません。木之元さんがかつて『ウルトラマンダイナ』でヒビキ・ゴウスケ隊長を演じていたことはウルトラファンの間ではあまりにも有名です。*1今回のセリフの節々もヒビキ隊長を彷彿とさせるものが多く、特に「全力でやれよ!」といった激励にかつてスーパーGUTSを導いた面影を見ました。個人的にダイナは非常に思い入れの深い作品ということもあり、良い感じに朗らかな歳の取り方をした木之元さんに感動せずにはいられません。今後も準レギュラーとして出てきてほしい!と思えるくらいには魅力的なゲストでしたね。
さて次回は「ソラトくん・はじめてのおつかいできるかな」編。コウセイが送るのを忘れてしまった荷物を届けるために、ソラトがとある田舎町に1人で訪れるようです。コウセイの付き添いなしに大丈夫か!?という心配も湧いてきますが、今回の電車に乗れることに対する自信を見る限り期待と不安が半々といったところ。トラブルもありそうですが、暖かい目で見守ってやりたいですね。
そうしてやってきた田舎にて、謎の大蛇と少女に出会う模様。如何にもただの大蛇ではなく怪獣の類なのですが、仲良くしている少女との関係も気になるところです。この手の田舎を舞台とした物語ではあるあるの、不穏な因習が関わってきそうな予感がしますね。同時に新怪獣の珍しいフォルムと表現方法にも期待していく所存です。
ではまた、次の機会に。
*1:ちなみに木之元さんがウルトラマンシリーズにゲスト出演するのは『ウルトラマンオーブ』以来約9年ぶりである。
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