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仮面ライダーガヴ 第45話「もう誰にも奪わせない」感想

守りたいそのために……

すいません誰か大天空寺の方いらっしゃいませんかー!?

御成のありがたいお説教をお借りしたいんですけどー!!

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  • 心を見透かしにじり寄る眼鏡

 以前から何かを企んでいたニエルブ。今回のガヴはそんなストマック兄弟・次男の独壇場とも言える展開が繰り広げられました。はぴぱれに普通に入ってきた際のシュールさはさておき、軽快するショウマをよそに平然としているニエルブにどこか恐怖を覚えます。しかも目的である「ショウマをストマック社代表に押し上げる」理由を説明し、ショウマの心を揺さぶっていくやり口に舌を巻きましたね。胡散臭さを隠さずとも、嘘はついていないとわかるのが実に絶妙な塩梅をしていると思います。

 またずっとショウマのことを目にかけていた事実にも驚きました。第1話冒頭で彼がストマック社が逃げ切れた理由についても、最初からニエルブが手引きしていたことに唐突ながらも納得せざるを得なかったです。彼が自分の実験を何よりも優先する性格であることはこれまでの描写でわかりきっていますし、ショウマに興味を持つのも至極当然と言えるでしょう。それが結果的にストマック家崩壊の遠因になっていることに触れず、兄弟たちへの思い入れも無しな点にも恐怖を覚えますね

  そんなニエルブのネゴシエーターとしての手腕ですが、こちらはメリットを懇切丁寧に教える親切っぷりで視聴者としても非常にわかりやすかったです。人間界とグラニュート界に繋がる扉を封印する提案も、現状割とアリだと思えるくらいには有効なのでショウマが考えてしまうのも無理はありません。ヒトプレスの返却もしっかり行い、ショウマの逃げ道を封じていくような展開も相まって息を飲むばかりでした。(それでいてショウマが力の源であるお菓子を食べられない、といったデメリットについては触れていないのがイヤらしい)滝澤諒さんの快演もあって、ニエルブの底知れない恐ろしさを再認識した次第です。

 

 

  • 他人事には敏感 なのに自分事には鈍感

 上述のニエルブの提案を受け迷うショウマでしたが、今回は彼の自身を省みない様子にため息をつくこととなりました。街を襲うリゼルとバイト、それによって起こる悲劇を目の当たりにして決意を固めざるを得ない状況はわかっていても胸がザワめいてしまいます。加えて返却されたヒトプレスの莫大な量といい、人間界でどれだけ戦っていても防ぎきれない被害がこれだけ存在することに慄かずにはいられませんでした。(ただ今回のバイトグラニュートであるロジョーのカラバリ「テ・ソー」のキャラ自体はだいぶ愉快で、今回の地味な清涼剤になってくれましたが

 それ故ショウマが大元を叩こうと動くのも納得がいくのですが、そのために自分を犠牲にしてしまったことに何とも言えない苦々しさを覚えます。本当はこの世界にずっといたいと思っているのに、そんなささやかな幸せすら投げ出せる点にショウマの悪い癖が出ていると言えます。そのうえ幸果たちに一切相談せず、仲間に黙ったまま去っていったのでこれまたもどかしくなりました。悩みに悩み切っての結論なのはわかる反面、あれだけ絆斗を諭してきたショウマも自分を大事に出来ていないのだと感じていただけなかったです

 誰かの悲鳴や苦しみには人一倍応えられる反面、自分の望みを後回しにしがち……まさに主題歌「Got Boost?」の歌詞である上のセリフにピッタリの状況となっていました。その他人への優しさを何故自分にも回せないのか、そういったことを考えてしまいます。ライダーに限らず主人公ではよくある行動ですが、ショウマはひと際その悲劇性が強調されていると言えますね。あまりにも自分を大事にしないので、『仮面ライダーゴースト』の御成の説教「自己犠牲は尊い行いかもしれませんが、必ずしも正しいとは思えません」が浮かんできましたねハイ

 

 

  • 戸惑いながらも受け止める勇気

 ショウマが壮絶な葛藤を見せている中、もう1つの見どころとしてラキアと幸果のストーリーが展開されたのも見逃せません。ラキアの怪人態を目の当たりにした幸果が、彼が過去にやってきた罪についてを問いかけるシーンは見ていて胸が苦しくなってきました。ラキアが幸果に知られることを恐れている描写があっただけに、動揺しながらも素直に答える姿にハラハラせずにはいられなかったです。ある程度覚悟していても、やはりいたたまれなくなる構図に仕上がっていましたね

 割れたビーカーの音に驚く幸果、それを見て「自分の姿を見て怖がっている」と受け取ってしまったラキアなど、視聴者も辛くなってくるシーン満載だったこのやり取り。あの絆斗がラキアのフォローに回るなど胸熱なところもありましたが、それ以上にラキアのことで困惑を続ける幸果の様子が何とも切なかったです。思慮深いだけに様々な事情などを鑑みている故、気持ちに整理がついていないことが伝わってきますね。幸果の察しの良さが隠し事出来なくなるレベルになっている点も含め、逃げ場のない罪を清算させられているかのようでした

 それだけにリゼルの出した被害から人々を助けるラキアを見て、幸果が覚悟を決める流れにグッときましたね。彼が罪を背負いながらも変わろうとしているのだと理解して、それを受け入れるのは流石幸果さんだぜ!となりましたよえぇ。何より過去の過ちに対してどう向き合っていくのか、第三者としてどう勇気を持って捉えるべきかを冷静に描いている作風に感心させられます。ショウマ周りがひたすら重苦しい分、そんな幸果たちがショウマを救ってくれるだろうという期待も持てました。

 

 

 そして次回はショウマVSボッカ大統領がついに勃発。ニエルブの秘策により大統領を討つ作戦が決行されるものの、案の定バレて直接対決に移行するようです。ようやく戦いの土俵に持ち込めたはいいものの、現状戦ったところで大統領に勝てる気がしませんね。後述の展開からして、敗走する可能性も十分あり得るのではないかとも考えられます。

 それこそ幸果たちによるグラニュート界潜入。ショウマの失踪と目的を知り彼を追いかけるとのことです。(その協力者がまさかのランゴ兄さんっぽいのが気になる……)自分を大切にしないショウマに、幸果がどんな言葉を投げかけるのか?それが逆転のきっかけになるのか?クライマックスに向けて着々と向かっていることを実感する回になりそうですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。