仮面ライダーガヴ 第49話「俺はお菓子を信じてる」感想

奪うのでない、

与えるための力を

天国のみちるさん（あれ、この調子だと私のことをお兄ちゃんに明かさないまま終わるわね……？）

地獄のブーシュ（この調子だと私とみちるの馴れ初め特に描かれないまま終わりそうだな……？）

[バンダイ(BANDAI)] 仮面ライダーガヴ DXライダーゴチゾウセット04

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• 困難をうち破るは優しい味

 いよいよクライマックスが迫るガヴ49話。ボッカ大統領を撃破したものの、ランゴが人間界牧場化計画をそのまま乗っ取り以前ピンチという状況にもどかしさを覚える中、諦めずに計画打破を目指すショウマたちの姿に元気付けられることとなりました。絆斗とラキアとの「お前に出会えてよかった」といった旨のやり取りも描かれており、ここまで積み重ねてきた関係性を妥当に昇華していったと言えます。

 さて肝心の計画の対策についてはその意外性が印象的。デンテおじさんが遺した中和剤をお菓子に入れて食べて、そこから生まれたゴチゾウの力で洗脳解除＆ダミーゴチゾウ撃破のテンポ感は中々のモノでした。中和剤入りの「もふパチゴチゾウ」の降らせた雨が、わた“あめ”からきているのもオシャレでグッときます。でもわたあめの雨ってすっごいベタベタしてそう……ふわマロの空を飛べる特性が久々に活かされたのもあって、結構スカッとしましたね。

 何よりラストのランゴの問いに対し、ショウマが「人を幸せにするお菓子の力」と答えるシーンが素敵の一言。闇菓子が多くの誰かを貶めるものだったのに対して、ショウマの信じるお菓子は人を幸せにするモノであることは序盤からずっと一貫しています。敵を倒すだけでなく、こうした人助けでもお菓子を活躍させるのはまさに本作のテーマ性に沿っていると言えるでしょう。ここまでの解決策はまさに、ショウマのお菓子への信念の勝利が描かれていました。

 また今回の作戦に協力してくれた優さんとのやり取りも見逃せません。とうとう彼にも仮面ライダーであることがバレてハラハラしたものの、ショウマが上手く言葉を選んだ説明をしたおかげで何とか事なきを得たのは興味深かったです。そのうえで自分に出来ることとして、お菓子作りに力を貸してくれるので思わず胸が熱くなりましたね。しかしここまでくると優さんにみちるさんの真実諸々は明かされないまま終わりそうですが、それもまた本作らしいと言えるのでまぁ良いかなと思います。

• それぞれの死闘が始まる

 上述のショウマとは別行動で、グラニュート界に突入した絆斗とラキアの戦いも大きな見どころでした。ヒトプレス奪還＆闇菓子工場破壊とスムーズに進む分には心地よく見られたのですが、ラキアが絆斗を逃がすために単身でエージェント大群に挑む展開はわかっていてもザワついてしまいました。後述のやり取りなどあからさまな死亡フラグが積まれているのもあって、この戦いでラキアが散りそうな予感がしてならなかったです。

 それはそれとして、この一連のシーンはラキアの優しさと覚悟が窺い知れるものだったのは胸熱でしたね。グラニュートとして同じグラニュートの起こしたことを片付けようとする気概もそうですし、絆斗を人間としてヒトプレスと共に巻き込まないとする様子が見られました。絆斗への「俺の方がお前より強い」も、もっと気の利いたセリフから口をつぐんでこうした物言いになったと思うと何だかニヤリときます。ぶっきらぼうながら献身的、というラキアの本質がこれでもかと出ている一幕だったと言えます。

 そして肝心の絆斗は人間界にてジープと対決という予想外の展開に。ジープが誰と戦うのか気になっていただけに、このマッチングは個人的にはかなり驚きでした。というかこの後合流するらしいリゼルも含め、絆斗はこの2人と大した因縁が無いため正直拍子抜けといったところです。ただし復讐者という点において、絆斗とジープは真逆の道を行っている者同士……それを踏まえると、制作陣の意図もわかるので一応納得は出来ますね。それだけにジープ＆リゼルとの対決で絆斗がどのような答えを見せてくれるのか楽しみです。

 他にもボッカ大統領の死亡、ランゴの台頭によって一気に没落したリゼルの姿も見逃せません。父がいなくなったことを信じられず、その場で取り乱すシーンは中々に痛々しかったです。それだけにジープが今回の動向も何となく理解出来ました。何だかんだでリゼルへの情が湧いているので、彼女のために敵討ちに出ているのかもしれません。保身のためにランゴにへりくだるのでなく、あくまでリゼルを想っての行動だと思えば割と好感が持てますね。それだけにこの2人の落としどころはどうなるのか、地味に注目したいポイントとなってきました。

 そして来週、ついに仮面ライダーガヴも最終回！！ショウマVSランゴ、絆斗VSジープ＆リゼル、ラキアVSエージェント軍団とそれぞれの戦いが始まり、戦いも大詰めといったところです。ランゴ以外最終回の敵としては格が無さすぎて見劣りしてしまうのですが……順当に次ぐ順当を重ねた故の展開なので、正直次回で終わるという実感はあまりありませんね。ただ兄との真の決着を付けるという点は、まさしくショウマにとっての最終決戦と言えるかもしれません。

 ほろ苦く残酷な現実に打ちのめされながら、それでも人々の幸せのために戦い続けてきた仮面ライダーたちの物語。その終着点とさらに続く先の行く末を、最後まで見届ける所存です。というわけで最終回も、俺が食べ尽くす！！

 ではまた、次の機会に。