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仮面ライダーゼッツ 第1話「始まる」感想

──目覚めろ──

夢と現実、その狭間の惑いを払え

Mission start.

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 仮面ライダーシリーズ最新作『仮面ライダーゼッツ』がついに放送開始。夢の世界で戦うエージェントという、ありそうでなかった奇抜でクールな設定を引っ提げたライダーとして以前から期待していました。そしていざ第1話を視聴した結果、期待通りのテイストを味わえた次第です。脚本担当の高橋悠也氏らしい、ケレンミの利いた内容に待ってました!という感触を覚えましたね。というわけでそんな新ライダー・ゼッツの感想を、今回から書いていきたいと思います。

 

 

  • 夢想で無双な青年の明日は如何に

 国民的アイドル「ねむ」が心無い犯罪組織に拉致され、身代金をクラウドファンディングで募ることになっている……どこか変だと違和感を覚え、これが夢であることを直感的に理解出来る第1話冒頭。まずはその夢で活躍した主人公「万津莫(よろず・ばく)」のキャラクターに注目したいと思います。夢の世界における彼はクールでイケているエージェントなのに、現実世界では冴えない若者といったギャップがたまりません。現実でもエージェントに憧れカッコつけているのに、イマイチダサいところがまたクスっとさせられますねそして無職の主人公ライダーは数あれど、自分からハロワに行く主人公は初めて見た気がする……!

 そんな莫に関して驚かされたのが常軌を逸した不運体質。誰かを助けるなど善行を重ねる度に悪夢のような不幸に巻き込まれるとのことですが、サラッと挿入された「サメに襲われる」「隕石にぶつかる」といった情報に吹き出しつつも面食らいました。じゃあユーフォーに攻撃されても不思議ではないなヨシ!能天気でお人好しな性格なだけに、あまりにも気の毒に思えてなりません。妹の「万津美浪(よろず・みなみ)」がやたら過保護になっているのも、この体質を思えば当然なのが伝わってきます。

 それだけに莫への同情が増してくるのですが、当人はめげずに人助けに邁進している点に好感が持てますね。困っている人がいれば体が動き出すところは、夢でも現実でも変わらない辺り一貫していると言えます。むしろ心構えはしっかりしているからこそ、理想通りに動ける夢の世界では無敵のエージェントになれるのかもしれません。技術も肉体も素人そのもの、しかしその精神性は間違いなくヒーローの器……それが個人的に感じ取った、現段階での万津莫の評価です。

 また深層心理の中で「司令官ゼロ」と出会い、ゼッツドライバーを手にした際の描写も目に留まりました。悪夢の世界で襲い掛かる「ガンナイトメア」によって一度心臓が止まったものの、ゼッツドライバーを胸に着けた瞬間動き出すシーンに意味深なモノを見ましたね。まるでベルトがピースメーカーのように心臓を動かしたかのようで、この時莫は一度死んで蘇った?そういえば今年は『仮面ライダーゴースト』10周年ですね!といった想像が浮かび上がった次第です。だから胸にかけるベルト……眠るは眠るでも永眠……?など色々考えてしまいますが、主人公の行く末は今後の説明によって判断していきたいと思います

 

 

  • 赤き血潮を滾らせ、始まりの“衝撃”を放て

 

ゼッツドライバー
ZEZTZ DRIVER

 

インパクト
IMPACT!

 

メツァメロ……!

メツァメロ……!

 

Good morning! Rider!

 

ゼ・ゼ・ゼッツ!

インパクト!!

 

 万津莫が司令官ゼロより渡されたガジェット「ゼッツドライバー」を胸に装着、中心部に赤い「インパクトカプセム」をセットし回転させることで変身した姿「仮面ライダーゼッツ フィジカムインパクト」。本作の主役ライダー、その基本フォームです。黒と緑を基調としたシンプルな配色、そこに赤色のラインでアクセントを付けているデザインが特徴的。そして細身ながら腹筋などが発達しているボディは、フォーム名のフィジカム(フィジカル)に恥じないマッシブさを誇っています。

 そして最も目を引くのが胸部に存在するゼッツドライバー。さながらタスキ掛けのように斜め掛けで巻いており、これだけで歴代ライダーとは異なる印象を与えてきます。上述のゼッツの筋肉質なボディも、この配置のおかげでより強調されていると捉えられるでしょう。仮面ライダー1号のオマージュも見受けられながらも、これまでとは異なる新要素もしっかり持っている興味深いライダーですね。

 戦闘においての基本スタイルはその名に相応しく徒手空拳。素早く相手に近づきパンチやキックをお見舞いする、スタンダードな近接戦に特化しています。さらに攻撃時に手足を一瞬だけ増強させ、一撃の威力を高めている描写も見られました。1発1発の攻撃が非常に重く、まさに相手に強力な衝撃(インパクト)を与える形態として申し分ない戦闘能力を発揮していたと言えます。(また必殺技のキックは3連撃で、1発当たるごとに「7」の数字が入って最終的にスリーセブン*1になるのがオシャレ

 他にも夢の世界を自在に操る能力も保有している模様。劇中では地面をカーペットのように引っ張ってガンナイトメアの体勢を崩したり、別空間に投げ飛ばすといった奇天烈な絵面を披露していました。かなり現実世界ではあり得ない突拍子のない様子でしたが、これもまた夢だからこそ可能なのでしょう。夢の世界において無敵のライダーとして、これ以上ないくらい鮮烈なデビューを飾ってくれましたね

 

 

  • 恐怖を引き出す悪夢の世界へようこそ……

 そして今回目を見張ったのが夢の世界の描写。上でも書きましたが、絶妙に違和感が出てくる絵面が連続している奇妙で愉快な光景が広がっていました。(おかげで現実世界のシーンとの区別がつきやすくなっているのが大きかったです)特に本作の敵「ナイトメア」が引き起こす悪夢は、現実的ではない分妙にゾッとする演出に溢れていましたね

 中盤の莫が見せられた悪夢は場所がコロコロ変わるうえ助けようとした少女や妹、ラジオが話しかけてくるなど非常に目まぐるしかったです。何よりそれらがイチイチ急に来るので、何度もギョッとさせられました。まるで統一感のない様子、それが莫が抱いている「漠然とした恐怖」を形にしているようでまさしく悪夢そのものだったと感じています。さらにガンナイトメアの言葉巧みに莫の心を折りに来る行動といい、人間の深層心理を土足で踏み込むような行為にも見えたのも見逃せません。

 そしてそんな夢を見るスタンスに対して、莫とナイトメアで対立していたのも興味深いポイント。敵は莫の夢をただの現実逃避として非難していましたが、当人は「勝手に決めんなよ」と返すシーンにグッときました。このやり取りからは夢を見る=現実から逃げているというイメージに対し、真っ向から違うという“否定”が感じれられるので胸が熱くなってきます。莫は劇中でも「夢は叶えてこそ」と言っていましたし、夢をポジティブに描いている点に励まされました。今後も悪夢に立ち向かう、夢を見ることへの肯定を見せていってほしいところです

 

 

 上述以外だと怪事課刑事の「富士見鉄也(ふじみ・てつや)」「名雲なすか(なぐも・なすか)」や謎の青年「ノクス」など、気になる要素多めだった今回。本筋とはあまり関係のないところでは、男が女の子を自然と攫うシーンに鳥肌が立ちましたね。奇妙奇天烈な夢に対する現実世界として妙に生々しい描写に仕上がっていたので、地味ながら目が離せなかったです

 

 というわけでゼッツ1話の感想でした。何が起こっているのか、敵や味方は何者なのかなど、それらの謎をほとんど明かさずに話を進めていく内容でしたね。それでいて上述の主人公などに注目させ、引きが気になる絶妙な塩梅だったと思います。おかげで視聴中は困惑しながらも、次はどうなるんだ!?というワクワク感を抱きながら見入ることが出来ました。

 他にもちょっとオシャレにしようとしてあまり出来てないオープニングクレジットにフフッときたりと、東映作品らしい安心感も満載で楽しかったです。(それでいて子どもたちはこの演出を普通にカッコいい!と思っていそうでどこかほっこりさせられます)何よりまた1年、仮面ライダーを楽しめそうでファンとしては本当に嬉しい限り。今年も濃い作品が始まったという実感を得たので、しっかり楽しんでいく所存です。

 

 

 そして次回は莫がいよいよエージェントとして活動していく模様。司令官ゼロと本格的に対面し、誰かの夢に潜入してナイトメアを倒す任務を請け負うようです。しかし夢の世界ではいきなり爆弾魔として追われるみたいなので、初っ端から波乱の展開になりそうですね。

 また予告映像を見る限り、バイクアクションがしっかり入っているのも気になるポイント。上堀内監督のアクションはお墨付きなので、バイクに乗ったらそれはもうカッコいい光景が見られることでしょう。ライダーだからこそバイクに期待せずにはいられません

(また今回のサブタイに続いて次回が「爆ぜる」と……本作のサブタイはかなりシンプルになるようですねとなると最終回は「終わる」になるのかな……?

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:スロットなどのイメージが強い「777」の並びだが、エンジェルナンバーにおいてこの数字は「肯定と幸福」を意味する。さながら莫の正しい行いが、いずれ彼自身の幸せに繋がることを表わしているかのようである。