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仮面ライダーゼッツ 第3話「蝕む」感想

恐怖を超えて打ち砕け

拙者「怖くても誰かのために勇気を出して立ち上がる主人公」大好き侍、義によって助太刀致す

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  • 願いを歪める邪悪な悪夢

 前回富士見さんが見ている悪夢の謎について提示されたということで、彼の深層心理に潜む「心の扉」に迫ることとなった莫。序盤から夢で富士見さんに迫ったり心の扉を覗き込むことで判明した、「警察も何もかもぶっ壊したい」という願いが判明する流れは予想出来ていてもゾッとするものがありました。富士見さんが部長からの心無い言葉を受け、怪事課解体の報告を受けるシーンも同時に挟まったので余計に納得するほかなかったです。自分の仕事を蔑ろにされ、その失意の果てにヤケになっているのは何とも生々しい描写だったと思います。

 しかし富士見さんの様子以上に恐ろしかったのがナイトメア。心の扉を全て開くことで実体化する話は前回されていましたが、富士見さんの体を乗っ取って現実世界に現れるシーンは衝撃的でした。ナイトメアが扉となって夢主を引き込む絵面、そして現実世界に赤い月と青い蝶(胡蝶の夢?)が現出する演出の非実在感は何とも不思議な感覚を覚えます。まさに夢主という依り代を得て、夢と現実の境を壊しつつあるということなのでしょうか。(余談ですが、相手の願いを叶えてその身を悪用する流れは『電王』のイマジンを彷彿とさせますね

 何より爆破の悪夢を富士見さんの願いとしているのが悪質の一言。劇中で莫が言っていたように、富士見さんにも警察官としてのプライドや責任感があったのは十分に感じられました。なのに一時のネガティブな感情をその人の本質として、無理やり歪めているところにナイトメアの悍ましさが詰まっていると思います。良い部分も悪い部分も抱えているのが人間であるのに対し、後者のみを抽出して利用するナイトメアはまさに「悪夢の擬人化」に相応しい怪人と言えるでしょう。

 

 

  • 試練に挑む“ヒーロー”の志

 そんな悪辣なナイトメアによって現実世界が侵食されようとしている中で、人々のために戦う莫の勇姿が今回の最大の見どころとなりました。ナイトメアを止めるのが何よりの目的である一方で、夢の中での任務でも富士見さんに寄り添おうとする姿勢を見せてくれたところに好感が持てます。前回富士見さんの懸命な姿を見てきたからこそ「俺は富士見さんの夢を守りたい」という想いが本物であるのが読み取れますね。(そんな莫に協力してくれる一日警察署長のねむちゃんもここすきポイント。でもやっぱり彼女何かあるだろ

 極めつけは現実世界でのボムナイトメアとの対決で、ここに莫のキャラクターの良さが詰まっていました。最初こそベルトを投げ捨てられたりボコボコにされたりと散々だったものの、それでもなお立ち上がる姿は最高にカッコよかったです。ナイトメアにビビったり情けないところを見せているからこそ、必死に恐怖と向き合う莫に惚れ惚れさせられるものがありました。無敵のエージェント・コードナンバー:セブンではなく、冴えない一般人・万津莫が頑張っているという点が個人的にもかなり好印象です。

 震えながらもエージェントを気取って自分を鼓舞する様子、夢の世界では流暢だった「I'm on it」が「アイムオンイット」と拙いカタカナ英語発音になっているところなど、メタレド的にも突き刺さる要素が満載でしたね。1話の感想でも書きましたが、何もかも未熟ながらその心は間違いなくヒーローなのが万津莫という青年なのでしょう。ヒーローの条件とは力でも技術でもなく「傷付き悩める人に手を差し伸べ、勇気を以て困難に立ち向かう精神」にあると考えている身としては、今回の莫の姿はまさしく仮面ライダーに相応しいモノだった……と思います。

 

 

  • 装備と力を“変化”させ、変幻自在に翻弄せよ

 

トランスフォーム
TRANSFORM!

 

メツァメロ……!

メツァメロ……!

 

Good morning! Rider!

 

ゼ・ゼ・ゼッツ!

トランスフォーム!!

 

 前回カプセムドロッパーを回して入手した「トランスフォームカプセム」をセットし回転させることで変身した姿「フィジカムトランスフォーム」。前回も少しだけ登場したフィジカム系列の派生フォームです。基本的にはフィジカムインパクトとシルエット的にはあまり変わりませんが、両手両足が赤い「トランスレムアーム」「トランスレムレッグ」と化しているのが特徴的。インパクトが1号ライダーモチーフということもあり、真っ赤な手足は仮面ライダー2号を彷彿とさせるものがありますね。(また拳を握りしめて構えるポーズも2号の変身ポーズに似ているのが芸コマ)

 そしてこのフォームの固有能力は、変形(トランスフォーム)の名の通り手足の形状を変化させるというもの。某ゴム人間よろしく手足を伸ばしてリーチを広げるだけでなく、巨大化させたりハンマーの形に変えて殴打、スパイクのようなトゲを生やして突き刺すなど多様な攻撃を可能としています。網目状にした指で敵の攻撃を跳ね返すことも出来るなど、敵に予想外の奇襲を仕掛けられるのは非常に強力。使い手の発想次第で自在な戦法を取れる、柔軟性の高いフォームと言えるでしょう。

 また今回の戦闘では背後からボムナイトメアを突き刺し、胸の爆弾を解除していたのが印象に残りました。導火線をトゲで切るだけという中々に大雑把な方法を、「爆弾処理はエージェントの嗜みでね」で済ませるキザったらしさにフフッとさせられます。まぁ夢の存在だからこそ細かい切除が必要ではないとも取れますし、これもまたゼッツの戦闘の味といったところでしょうかね。

 

 

 というわけでゼッツ3話の感想でした。波乱の予告から期待していた内容を見事に魅せてくれたとして、個人的にも大満足の一言です。夢では無敵の主人公が現実でも戦えるのか?という疑問に早くも解答を出し、同時に彼のヒーローとしての精神性を示してくれたのが最高に良かったですね。同時にナイトメアが起こそうとする事態の重大さなども伝わってきて、基本的な設定・目的が揃ったのも見逃せません。まさしくここまでが壮大なプロローグといったところで、いよいよ物語が本格的に始まったと実感した次第です。

 

 他にも未だに正体がはっきりしないノクスの不気味さや、妹・美浪の不穏な描写など、登場人物に関していくつか謎を残しているのも強烈に感じました。本作は警察側を除いてどの主要人物も腹に一物抱えていそうですし、ねむも合わせて何もかも伏線に見えてきますね。まだまだ序盤ですが、本作の強力なフック要素として注目していきたくなります。

 中でも司令官ゼロですが、ここにきて彼の正体について色々考えてしまいましたね。いきなり莫を眠らせたまま外に連れ出したりと、やや不可解な手口が何とも怪しかったです。思えば変形したバイクの顔がナイトメアと似ていますし、ゼロが莫のナイトメアである可能性も否定出来ません。(思えば現実世界なのに繋がっているゼッツルームからして悪夢が現実に出てきた例なのでは……!?)紅茶風の燃料を入れる英国かぶれっぷりなどシュールで好きなものの、それはそれとしてゼロに疑いの目を向けたくなってきました

 

 

 そして次回の任務は「Protect the VIP bride(要人の花嫁を警護せよ)」。とある政治家の娘が結婚式を挙げる夢にて、彼女を狙う謎の男の襲撃を止めるとのことです。花婿やその親の陰謀などを入っているらしく、中々にドロドロした夢になっていそうですね。

 恐らくは一体誰がこの悪夢の夢主なのか?結婚式の阻止を誰が望んでいるのか?その謎を突き止めるミステリーになるかもしれません。あらすじを読む限り政略結婚っぽいので花嫁自身が阻止を望んでいてもおかしくないですが……ともかく改めて戦う決意を固めた莫の奮闘も含め、堅実に見守っていきたいです。

 

 

 ではまた、次の機会に。