幸せから墜ちていく……?
ライダー好きの子どもが本作でミスリードを学んだと思うと……ほっこりしてくるぜぇ!
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- 思わぬ花嫁の落下の謎
前回の激闘を乗り越え、本格的に始まったゼッツ4話。今回のミッションは「Protect the VIP bride(要人の花嫁を警護せよ)」ということで、花嫁が結婚する夢で牧師役を演じる莫に早くもニヤリときました。花嫁「麻宮みゆき(あさみや・みゆき)」(ちなみに演じている『MOVIE大戦アルティメイタム』でポワトリン役だった入来茉里さん!)の父親は外務大臣であり、結婚相手も相応しい家柄の人物……と如何にもな政略結婚の構図が印象に残ります。そこにみゆきの幼馴染が乱入してくるという導入も、非常にわかりやすくてすぐにのめり込めましたね。
今回の面白かったポイントはやはりお手本のようなミスリードでしょうか。結婚式を襲撃してきた男こそが夢主だろうという莫の予想に反して、実はみゆきだと判明する流れはシンプルながらも意外性を持っていたと思います。しかも男は現実ではいい人そうながら、みゆきの結婚には不満げという要素で彼が夢主である可能性を劇中の莫共々補強させてきたのが上手いですね。こういった作劇を多く見ていたり察しの良い人は早々に花嫁の方だろう、と考えに至るでしょうが、それでも十分に物語の起伏に繋がっていました。(個人的な所感ですが幼い子どもがここでミスリードの概念を学ぶのにもちょうど良さそうです)
それはともかく、ラストで明かされた花嫁・みゆきの悪夢については中々に考察のしがいがあります。幼馴染が結婚式を襲撃してくるということは、いわゆる結婚式に「ちょっと待ったー!」と乱入して花嫁を攫うシチュエーションに憧れているのかもしれません。こう書くと結構なロマンチストですが、つまりは結婚に何かしら不満を抱いている可能性も出てきます。相手の男性との仲は良好そうで一見楽しそうですが、内心ではどこまでこの結婚に満足しているのか。ナイトメアが人間のネガティブな部分を増幅させてくるのは前回わかりきっているので、この夢がみゆきの全てかどうかはまだ結論付けられませんね。あと気になるのはみゆきだけが「落ちる」悪夢ですが、果たして彼女は何を恐れているのでしょうか……?
- 誘導する者、感染していくモノ
莫が今回のミッションで夢の中はもちろんのこと、現実世界でもそこそこ捜査を頑張っていたのもちょっとした見どころ。ゼロから与えられた「ゼッツギア」を見事に使いこなし、情報収集や外敵察知に役立てているシーンには舌を巻きました。劇中のゼロが言っていたように、夢での経験が現実でも反映させているということなのでしょう。他にも体を鍛えようと美浪とランニングに勤しむ様子も見られましたし、堅実に頑張っている莫の姿は素直に好感が持てます。
その一方でゼロは前回同様やや怪しく見えて油断ならなかったですね。ゼッツギアやカプセムホルダーといったアイテムを次々と渡すだけでなく、莫の調べた事件を相関図にしてまとめてくれるなど相変わらず親切。しかしサポートが手厚すぎて、かえって莫を誘導しているように見えてしまいます。ここまで力を貸してくれるので利用しているとは考え辛いのですが、どうしても胡散臭い部分は感じずにはいられません。(川平慈英さんの声がここまで疑わしく聞こえるとは……)
あとはゼロによって「悪夢の感染」という設定が明かされたのも見逃せません。前回の赤い月と蝶を体感した人たち全員がナイトメアによる悪夢を見る可能性が出てきた、と考えると何とも絶望的に思えてきます。そして前回の感想で触れた「ゼロが莫のナイトメアかもしれない」という話が真実なら、莫自身が悪夢の感染源になっているのでは……といった考えすら浮かんできますね。まだまだ序盤ながら、確信に触れつつあるように思えてきました。
- 翻る“大翼”を風に乗せ、夢中の空へ飛びたて
ウイング
WING!
メツァメロ……!
メツァメロ……!
Good morning! Rider!
ゼッツ・ゼッツ・ゼッツ!
ウイング!!
今回のミッション時にあらかじめ入手しておいた「ウイングカプセム」をセットし回転させることで変身した姿「フィジカムウイング」。トランスフォームに続くフィジカム系列第3のフォームです。トランスフォームが両手両足にエネルギーが集まっていたのに対し、こちらは背中に集まり巨大な翼「レムウイング」を獲得しました。一見マントのようにも見えますが、飛行時には赤い翼膜が展開されるので一気に存在感を放ってきます。その翼のビジュアルは鳥というよりも、さながらコウモリを思わせるものがありますね。
そうして展開した翼による空気のコントロールを利用し、自在な空中飛行を可能としているのが最大の特徴。羽ばたかずに滑空することで長距離飛行も行えるので、三次元的な戦闘では非常に有用と言えるでしょう。事実劇中でのクロウナイトメアとの空中戦は、同じように飛び回る相手に真っ向から渡り合っていました。ちなみにこの辺りの戦闘シーンは、CGによってかなり自然な映像が出来上がっていたのが印象に残りましたね。今回の活躍そのものは短い時間でしたが、その間にこのフォームならではの長所や見どころをしっかり用意していた点は見事の一言です。
- 幻想の世界で虚実と戦うOP
そして第4話の注目ポイントとして外せないのがOP(オープニング)映像。3話までOPなしの変則的な始まり方となっていましたが、ついに公開されたことに興奮を覚えます。2022年に結成されたチームプロジェクト型アーティスト・NAQT VANE(ナクトベイン)さんが歌う主題歌「VISIONS(ヴィジョンズ)」は軽快でどこか不気味な音楽が特徴的です。これは作曲・編曲を担当している澤野弘之氏のパンクな一面が全力で出ていると感じれますね。歌詞に関しては聞き取りづらいものの、「目覚めれば無敵状態」といったワードは本編を意識しているのがわかってグッときました。
肝心のOP映像ですが、本編と同じく目まぐるしく変わる世界観で夢の世界を見事に再現していました。メインキャラが次々と場面を変えて動き回る光景は、シュールかつ愉快それでいてどこかクールに感じられます。(ちなみにビルのジオラマを舞台にみんなであっちむいてホイをしているのがここすきポイント)例によって意味深なカットも挟まれており、ノクスと扉の関係性など実にそそられましたね。
あとは作品タイトルがサビの直前に出てきた点にも触れておきたいところ。ライダーのOPは大体冒頭かラストにタイトルロゴを出すのですが、その間のタイミングというのは非常に珍しいです。ただこうした演出はアニメでもよく見られますし、個人的にもかなり気に入りましたね。(サビ前にタイトルが入るOPは『東京レイヴンズ』と『BLEACH 千年血戦篇』が好みです)映像も相まって独特のシャレオツ感を出しており、ここまで引っ張った分魅力的な映像で満足させてくれたと言えるでしょう。
さて次回は花嫁・みゆきが抱く悪夢の理由を問いかけることに。一見満たされているように見える彼女はどんな想いを抱えているのか、落下の悪夢と合わせてその心境が気になってきますね。夢を守るライダーとして彼女の想いを守り切る姿勢に注目していきたいところです。
そして今回極秘裏に行動することとなった怪事課と本格的に接触する模様。富士見さんたちがゼロによってゼッツルームに案内され、莫の諸々の事情を知るらしいので驚きました。ゼロの思惑は懸念事項ですが、富士見さんが力を貸してくれるのは素直に頼もしいと思います。ドンドン充実して莫のエージェント活動にワクワクが止まりません。
ではまた、次の機会に。
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