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2025年秋アニメ簡易感想 その2

 

 

人生は誰も皆 一度きりさ

思いのままに*1

 

 

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 2015年10月4日に放送された『仮面ライダーゴースト』。平成ライダー第17作目としてデビューした、その鮮烈な作品が今年10周年を迎えました。1話目でいきなり主人公が死んで幽霊になるという衝撃的な出だしから、生き返っていくまでの戦いを描いたゴーストが、もう10年前だという事実に驚かずにはいられません。人の死の無情さや永遠の平穏を求める敵に対し、限られた命で“生きて繋げる”ことの尊さを説いていることもあり個人的にもかなりお気に入りです。

 何よりゴーストは当ブログがYahoo!ブログ時代、最初に感想を書いた仮面ライダーということもあり思い入れがかなり深いです。あの頃は感想のノウハウを全く得られておらずイマイチまとまりのない文章ばかりで四苦八苦していましたが、それでもタケルたちの物語を追っていく作業は楽しかったと記憶しています。現在『仮面ライダーゼッツ』の感想を書けているのも、言うなればこの時の経験があってこそ。そういう意味でも、ゴーストへの感謝と好きという気持ちは大きいですね

 

metared19.hatenablog.com

↑10年前に書いた感想については上の記事を参照。

 

 そんなゴースト10周年を記念して、仮面ライダーの公式YouTubeチャンネルにて記念動画(上に貼り付けてある動画です)が公開されたことにも触れておきたいところ。主題歌である「我ら思う、故に我ら在り」を流しながら本編をダイジェストで流すという、いわゆる公式MAD動画に見入ることとなりました。テレビシリーズだけでなく夏映画やVシネ、『アラン英雄伝』といった映像作品をほぼ全て網羅してゴーストの物語をまとめてくれたことに感激せずにはいられません。当時視聴していた記憶が蘇ってくるほどで、ゴーストへの想いがあふれ出してきましたね。

 他にも10周年記念ロゴがグレイトフル魂を意識した、英雄たちのアイコンが入っているのが素敵なポイント。てっきりライダーズクレストにもなっているガンマイザーの目玉デザインになるかと思っていたので、これには意表を突かれましたね。ゴーストのアイコンが中心に入ることで、タケルもまた英雄の仲間入りを果たしたとも取れるデザインの妙を改めて味わえたのもグッド。当時ゴーストが放映されていた朝の8時に動画を公開した点も含めて、仮面ライダーゴーストへの小ネタと愛を存分に感じ取った次第です。(下に続く

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと

第13話(最終話)「本の価値」

 最終回は盗まれた古代魔道具の行方についてヤキモキするのかと思いきや、魔道具のメンヘラっぷりに全てを持っていかれました。意志を持ち手にした男に死をもたらす曰く付きの魔道具、という前回の説明はそういう意味だったのかと笑いが止まらなかったです。一方でモニカと魔道具の戦闘シーンは見応え抜群の一言で、空中での魔術の弾幕を避ける駆け引きに高揚しましたね。どんなものも数字として捉える、モニカの冷静さが発揮されていたのも個人的なここすきポイントです。

 そして王子もといアイクとの書店巡りで、父親の著書を見つける後半は一転して胸にきました。禁忌を犯したとして処刑された父の本が遺されていたこと、その価値を理解してくれる人がいたことがどれだけモニカにとって救いになったのかは言うまでもありません。何よりその本を読むことで、亡き父と実質的な再会を果たせている点にウルっときます。彼女が愛した数字が、時を超えて家族の想いを感じ取る力になってくれる展開が非常に綺麗だと感じました。

 本を買ってくれたアイクと王子でなく友人として楽しみ(酔ったモニカがあざとすぎる件)、その後の生徒会のモニカ・ノートンとしての決意を固めるラストも見事。自分には何もないと思っていた少女が、多くの人の優しさを貰って自信を付けてくる物語として実に納得のいく帰結でした。この経験がいつか「沈黙の魔女のモニカ・エヴァレット」としての彼女の肯定に繋がっていくのか……と思うと最終回ながら次回が気になってきますね。

 

総評

 無詠唱魔術を使う天才魔術師、しかし実態は引きこもりのコミュ障少女!という触れ込みから始まったハイ・ファンタジー。学園で巻き起こる事件を解決するミステリーや、同級生と共に日々を過ごす青春ものなど様々な要素を内包したストーリーは見ていて飽きなかったです。それでいて物語の軸は主人公・モニカの成長物語に絞られており、彼女が如何にして自分と他者を認めていくのかが大きな見どころとなっていました。毎回ビビったり青ざめたりとモニカの表情にクスっときつつ、苦々しい青春模様も合わせて楽しめましたね

 また魔術を中心としたファンタジー描写は圧巻の一言。第1話の門を呼び出すモニカのシーンをはじめとして迫力満点で、彼女が凄腕の魔女であることが感覚で理解出来る仕上がりとなっていました。魔術を使った戦闘シーンは構図などにも力が入っており、徹底してモニカの実力を感じ取れるような工夫が仕掛けられていたと思います。モニカに限らず魔術関連の説明も丁寧で(何でもナレーションに任せるのは如何だと思いましたが)、本作の魔術体系などにも興味が湧いてきましたね

(本作のお気に入り、というよりは印象に残ったキャラといえばやはりケイシー・グローヴを挙げたいところ。『薬屋のひとりごと』で味わった子翠ショックをまた味わうことになるとは思ってもみなかったですよえぇ……

 

 

終末ツーリング

第1話「箱根」

 人類が滅んだ後の世界で繰り広げられる、少女2人のバイク旅。ボロボロの道や建物、野生化した動物たちで溢れかえった光景で本作の状況を早くも感じ取ることが出来ました。また現実世界とほぼ同じ箱根の景色とは裏腹に、AI搭載の戦車など現実以上に発達した技術が出てくる異質な点も目に留まります。果たしてこの世界の文明は如何なる理由で衰退したのか、ポストアポカリプスならではの疑問が湧いてきました。

 同時に「ヨーコ」と「アイリ」、2人の主人公たちについても謎が多いですね。一見ただの女子高生に見えますが、アイリが戦車を倒すためにビームを発射するシーンで衝撃を受けました。この時点でアイリがただの人間ではないことがほぼ察せられるのですが、ヨーコはヨーコで場所の記憶を見るような描写が入るのが気になります。ここまでくるとヨーコのお姉ちゃんも何者なのか、とそれ以外の要素についても勘ぐらずにはいられません。

 それはそれとして、2人の箱根旅の様子は終始ほんわかしていて楽しかったです。何もなくなった世界で限られたものを堪能していく、ちょっとしたスローライフに通じる絵面は不思議と癒されるものがあります。(他にも戦車への花など死者への心遣いがしっかりしているのがここすきポイント)いくつか不穏な要素を引っ提げながらも、しりとりや温泉を楽しむヨーコたちを見ているだけでも心が洗われそうです。

 

 

東島丹三郎は仮面ライダーになりたい

第1話「東島丹三郎は仮面ライダーになりたい」

 1971年放送の『仮面ライダー』をこよなく愛する男の、悲哀に満ちた半生から始まった第1話。少年時代にライダーにハマり、そのまま仮面ライダーに憧れるようになった「東島丹三郎(とうじま・たんざぶろう)」に何とも言えない苦々しさを覚えました。不良学生をライダーごっこで薙ぎ払う絵面のヤバさたるや、マトモかと思った男が異常者だと判明する衝撃故シュールな面白さがありました。「悪と戦え!」と一見正論を口にしているようでいて、その実誰よりも悪(ショッカー)を欲しているのは東島自身なのが彼の狂気を感じさせますね。

 そして40歳で現実に押しつぶされつつあった東島が、ショッカー強盗をきっかけに本気のライダーごっこを発揮する場面はやたらドラマチックに描かれていました。現実にはショッカーはいないとわかりきっていた中で、それでも諦められない夢のために戦う瞬間は中々鮮烈なモノとなっていましたね。そこに鍛え続けた肉体が思いっきり加わり、実際は暴力ですがどこかカッコよく見えてくるので不思議な感覚を味わった気分です。(そもそも熊と互角に戦える男がまともに殴ったらそりゃヤバいだろう)原作のシュールギャグな空気感はオミットされていましたが、これはこれでアリかもと思います。

 あとは冒頭で流れた初代仮面ライダーの映像の再現度には度肝を抜かれましたね。テレビシリーズ第1話の蜘蛛男との戦いを、そのまま二次元に落とし込んだかのような絵柄は感嘆すら覚えます。実写の色合いや質感まで完璧に再現しており、ほぼ止め絵ながら凄まじいライダー愛を感じられました。本郷猛の声を藤岡弘、さんがそのまま当てているということもあり、ライダーのアニメ化に余念のない制作陣の愛に感服するばかりです。

 

 

機械じかけのマリー

第1話「嘘と秘密にまみれたマリー」

 当ブログで以前感想を上げていた少女漫画がついにアニメ化。命を狙われ続けたことで極度の人間嫌いになった御曹司「アーサー」を、無表情メイドの「マリー」がロボットのフリをして護衛するぶっ飛んだ設定をいきなり浴びせてきました。一見すると荒唐無稽に思える展開ですが、マリーにデレデレなアーサーの姿を見ているだけで割とすんなり受け入れられるのが面白いですね。ロボットであることがバレないように必死でいるマリーも相まって、妙な空間のコミカルさを改めて感じ取りました。

 また1話時点ではマリーの視点がメインとなっており、内面は割と表情豊かな彼女のキャラクターが印象に残ります。メンタルが強いように見えて、内心ビクビクだったりとアーサーとは別ベクトルでギャップの激しいと言えるでしょう。同時に嘘で塗り固めた関係でありながら、彼を助けようとするいじらしさは掛け値なしの善意という点が大きな見どころ。アーサーにとってマリーはロボットである以上に、マリーであることが大きな比重となりかけているのが1話目から伝わってきました。

 またアニメ化にあたってかなり特徴的な演出が散見されていたのも気になるポイント。格闘家でもあるマリーのアクションシーンを筆頭として、迫真の止め絵が挿入されていたのが目に留まりました。(調べてみたところ本作の監督・西村純二がこういった演出を多用するようですね)やや生成AIっぽいくせのあるイラストなのですが、それがかえって妙な緊張感を生んでいたとも捉えられます。これが本作の味となるのか、その辺りにも注目していきたいところです。

 

 

 さてゴースト10周年に関してはもう1つ、見逃せない記念動画があります。何と西銘駿さん、山本涼介さん、磯村勇斗さんの3人が揃った10周年記念スペシャルメッセージまで公開されました。

 

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 本作のメインライダーを演じた方々を、見事に出してくれたものだとつくづく思います。特に磯村さんは現在売れっ子として忙しいでしょうし、このために時間を作ってくれたかと思うと嬉しくなってきますね。それぞれ別撮りなので正確には勢揃いというわけではないのですが、“仮面ライダー”としての西銘さんたちを久々に見られて感無量の一言です。西銘さんは最近魔戒騎士にもなりましたし……!

※動画の感想に関しては50分以上あるうえ言いたいことがたくさんあってまとまらないので割愛させていただきます。興味がある方は上の動画を視聴することをおすすめします!!

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:気志團「我ら思う、故に我ら在り」より