現在ヤングチャンピオンにて連載中の漫画『ゴジラ ギャラクシーオデッセイ(ゴジラGO)』。言わずと知れた大怪獣ゴジラの1作にして、シリーズでは久々となる完全オリジナル漫画となっています。しかもこれまでになかった宇宙をメインにした、スペースオペラ的ゴジラが展開されるのが興味深いところ。今年の上半期からやたら気合の入った告知がされており、ファンとしても以前から期待していました。
そうして連載が始まり「ヤンチャンWeb」でも見られるようになったので、更新のたびにちょくちょくチェックしています。毎回何かしらの注目ポイントが存在しており、近年のゴジラのイメージに縛られない軽快かつ意味深なストーリーは非常に読みやすくて気に入っていますね。『ガンダムSEED』の漫画も手掛けた石口十氏による、怪獣や人間の描写もたまりません。先日発売された単行本も購入したので、今回はそんなゴジラGOの第1巻感想をまとめて書いていきたいと思います。
↑以前書いた本作の感想などについては上の記事を参照。
- 痛快&大仰なゴジラワールド
さてまずは本作の世界観について語りたいと思います。序盤から現実にはないデザインの戦闘機や宇宙船が登場し、ゴジラ以外の怪獣も確認されてきた描写から『FINAL WARS』に近い雰囲気を感じ取りました。加えて宇宙人の存在も仄めかされており、昭和シリーズの中でも『怪獣大戦争』のテイストも見られますね。複数の怪獣が多く登場する可能性や、SFチックな人類の武力への期待が高められてくる世界に仕上がっていると言えるでしょう。登場人物の会話や各話の間に挿入されている「海堂ミユの巨大生物研究レポート」も絶妙で、過去作のあんな怪獣やこんな怪獣とのサイドストーリーが想像出来るのも素敵です。
そして最も怪獣大戦争などの作品らしさを感じた点が「ゴジラ捕獲作戦」。宇宙勢力相手に逆にこちらが宇宙にゴジラを連れてきて迎え撃つ、という既にぶっ飛んでいる内容に心奪われました。さらにはゴジラを輸送するための方法としてゴジラの住処である「大戸島」ごと敵の転送物質装置を利用して艦に収容するなんてとんでもない作戦を仕掛けてきたので、笑いつつ膝を打たずにはいられません。ゴジラは大戸島で休眠状態になるなら全力で騙しきって宇宙人とぶつける!をここまで大真面目にやってのけると逆に感心すら覚えます。
一見するとあまりにも馬鹿馬鹿しく思える内容ですが、読んでいる最中は不思議とすんなり受け入れられましたね。ゴジラ相手の緊迫感ある戦いを繰り広げてくれるので、本作が何だかんだでシリアスな空気感で楽しめるのが大きいのだと考えます。また主人公のミユがゴジラに関する研究成果を活かし、防衛軍の幹部たちがその知識を活かした作戦を指揮する。この人間側の戦いをスムーズに描いてくれているおかげで読みやすくなっていたのも見逃せません。何よりハイエンドで深いテーマ性を持つゴジラが多く作られている昨今に、このような大胆かつ良い意味で大味なゴジラが楽しめるのは嬉しい限りです。
- 破壊に魅せられた少女の行く末は
上に書いた通り本作のゴジラは割とファイナルウォーズや怪獣大戦争の感覚で楽しめるのですが、一方で主人公「海堂ミユ(かいどう・ミユ)」のゴジラに対する想いなど中々に趣深いテーマを抱えているのも大きな魅力となっています。幼い頃に故郷と家族にゴジラに奪われた過去を持ちながら、内心ではゴジラへの憧れに似た感情を抱いていた……というゴジラ狂信者とも言うべき思考にゾクゾクさせられました。敵も街も蹂躙するゴジラを目の当たりにして「美しい」という感情を抱き目を輝かせるシーンに、彼女の異常なキャラクター性が見え隠れしています。
さらにミユ自身そんな自分が人類と相容れない、地球ではゴジラと同じ“異物”であると認識している点が面白いところ。そのうえで宇宙にゴジラを連れて行く作戦を提案した辺り、彼女の本当の目的はゴジラと心中することにあるのかもしれません。地球を脅かす敵を全て倒した後に、宇宙という墓標でゴジラと運命を共にする可能性は十分にあり得ますね。それだけにミユにとっては宇宙人との戦いはそのついで、あるいは協力を取り付ける方便だとも考えられるのでやはり彼女はヤバいヤツだと感じます。
個人的にはミユの描写諸々から初代『ゴジラ』の芹沢大助博士を彷彿とさせるのがここすきポイント。彼もまたゴジラに惹かれながらゴジラと心中を果たした人物。これまでの作品でもゴジラに魅了された人間は数多く存在しましたが、自分の異常性を自覚して自ら退場することを選んだのは芹沢博士くらいです。そんな博士の要素を多く受け継いだミユは同じくゴジラに自らの命を差し出すのか、それとも別の結末を迎えるのか。そんな少女が迎える結末にも注目しながら本作を読んでいます。
では以下、各キャラクター(怪獣や戦艦も含む)についての所感です。
海堂ミユ
本作を象徴する主人公。ゴジラ作品としてはかなり珍しい、直球の二次元美少女デザインのキャラです。それどころか黒髪長髪眼帯巨乳萌え袖の天才科学者女子高生という、属性のてんこ盛りみたいなビジュアルと設定を持ち合わせているのがたまりません。ゴジラ作品のお堅いイメージとは裏腹に、このような可愛らしいキャラクターをお出ししてきた石口氏の判断に拍手を送りたいところです。(ところで芹沢博士オマージュであろう眼帯っぽいものですが、なんか普通に外しているし両目とも見えているのでこれが何の装置なのか早いところ説明してほしいと思っています)
そして上述の通り、ゴジラに対する恋慕にも似た重い感情を向けてくるのが最大の特徴。1話目から一般社会に馴染めていない、共感性の薄い面を描いてきたのもあってより彼女がこの世界における異常者だと認識しやすくなっているのが上手いですね。ゴジラに心酔する気持ちはファンとして理解出来ますし、そのうえでその考えは非常に危険で常軌を逸していることをキチンと示している点にも好感が持てます。ミユのこのキャラが本作屈指の注目ポイントだと考えているので、彼女の行く末に目が離せません。
大崎真矢
本作もう1人の主人公であろう人物。GATO(銀河条約機構軍)所属の少尉とのことで、若くも有望な戦士であることが伺えます(過去にカマキラスを撃退した実績もあるようですし)実際センサーに映らないヴォルガ相手に自分の乗機を囮にしてミサイルを当てるなど確かな操縦テクニックを持っているのが素晴らしいです。反面自分の身を挺することに躊躇が無さすぎるので、ミユとは別ベクトルで危なっかしい印象を抱きますね。
そして大崎少尉に関してはゴジラへの明確な敵意を向けているのが見逃せないポイント。ミユに「ゴジラを許せはしない」「奴は倒すべき存在だ」とハッキリ口にするシーンで彼に対する個人的な好感度がかなり上がりましたね。メインの視点を担うミユがゴジラを肯定しているからこそ、ゴジラの被害に遭った無名の人々を代表してこの考えを持っているのはとても重要だと思います。ゴジラは人類にとっての敵、その大前提を一般人の視点でキチンと示す大崎少尉の存在は本作においてなくてはならないものとなることでしょう。
ゴジラ
言わずと知れた怪獣王。本作のゴジラは100m級のサイズで、細身ながらがっしりとした体型はファイナルウォーズ(FW)のゴジラが最も近しいと思われます。(手足が長く人間的な体つきもまたFWっぽい)それでいて背ビレが鋭く先端が青い結晶状になっているのが独特。膝に尖ったウロコのようなものまで生えており、神秘的かつ攻撃的なイメージを抱かせてきます。
戦闘能力に関しては圧倒的な防御力や攻撃力を誇っており、さらには吸収したエネルギーを放射熱線に転換するとんでもない能力まで備えているレベル。劇中で引っ搔きや尻尾攻撃でヴォルガを追い詰めるだけでなく、軽々と投げ飛ばすので膂力も半端ないですね。肉弾戦の強さも相まって、個人的に対怪獣戦における歴代最強クラスと考えているFWゴジラに負けない強さを誇っているかもしれません。
ヴォルガ
本作最初の敵怪獣。いきなり完全オリジナルの新規怪獣を出してくる挑戦的な姿勢に感服しつつ、これまでのゴジラ怪獣には見られない無機質なビジュアルに早速惹かれました。それでいてガイガンを彷彿とさせるカマ状の右手や、昆虫にも似た甲殻がある意味で懐かしさを感じるので、初っ端から掴みはバッチリと言えるでしょう。
近づくだけでビルを溶かすほどの熱エネルギーやカメラやセンサーに認識されないジャミング能力など如何にも強力ですが、悲しいかなゴジラ相手には為すすべなく敗れることに。しかも途中逃げ出そうとしたところを、こいつを送り込んだ「ネビュラ」に操られて無理やり戦わされていたので同情を覚えましたね。放射熱線をマトモに喰らって右腕だけ残る、そんな無情な最期にも思わず内心で合掌してしまったほどです。
轟天
人類側の最大戦力である超巨大航宙母艦。言うまでもなく『海底軍艦』に登場する轟天号モチーフであり、特徴的な前面のドリルまで配備しています。(何故か「号」が付いていない点がちょっと気になる)特筆すべきはその大きさで、1000m級の母艦が小さく見えるほどのビッグサイズ!な点には劇中のミユ同様仰天しましたね。しかしゴジラと大戸島を丸ごと輸送する以上、これだけ巨大にしないといけないのもわかります。
メーサー砲にメーサーバリアと特徴的な機能を多数保有しており、これが宇宙に飛び立つというだけでワクワクしていきますね。宇宙戦艦ヤマトよろしく銀河の果てまで飛び立つ轟天の活躍も楽しみになってきました。
というわけでゴジラGOの感想でした。連載前から注目していましたが、いざ始まった思った以上に楽しめていますね。現在のウェブで読める範囲でも宇宙での旅やミユと大崎少尉のやり取りなどに高揚感を覚えています。そして次はどんな怪獣が来るのか、ゴジラとどのような激戦を繰り広げるかにも期待がかかります。超余談ですが現在連載中のゴジラ漫画ってこの作品と週刊コロコロの『ちびゴジラの逆襲』の2つなんだよな……とか思うとフフッときますね。映画の新作なども控えているゴジラシリーズ、その一角として存分に読み込んでいく所存です。
ではまた、次の機会に。
