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『BEAT RUNNERS』第1話を見る&「新時代特撮」について

 

 

tver.jp

 

 先日TOKYO MXにて、完全オリジナルの特撮作品『BEAT RUNNERS(ビートランナーズ)』の第1話が放送されました。(本作はTVerでも無料配信中。見逃した方や気になる方は上のリンクから作品をチェックしてみるのはいかがでしょうか

 数多くの特撮作品に関わってきた映画監督・坂本浩一氏と、様々な作品でアクションスタントを輩出しているB.O.S.-Entertainment-により制作された本作。特撮アクションとJ-POPを融合させた「新時代特撮(Tokusatsu Next Generation)」と銘打たれており、かなりの本気度が感じられる特撮として初っ端から話題になっていました。かくいう僕も昨年の情報解禁から非常に楽しみにしており、当ブログでも絶対に取り上げようと思っていたほどです。

 

metared19.hatenablog.com

↑放送前の本作に関する語りは上の記事を参照。

 

 特筆すべきは本作の番組構成。本編はたったの約10分なのですが、その後に特撮メイキングやキャストトークを加えた25分番組として放送しています。特撮作品でこうした制作背景を大々的に発信していくのは中々に珍しいことですね。それらを視聴した結果本作が作られた経緯などを知り、特撮の現状と可能性についてを感じ取れて非常に有意義な時間を過ごせました

 今回はそんなビートランナーズの本編の感想に加えて、後半の要素にもガッツリ触れつつ特撮に対する個人的な想いも綴っていく予定です。仮面ライダーやスーパー戦隊、ウルトラマンといった有名シリーズばかりになってきた中、特撮が今後も続いていくためには……その辺りも考えていきたいですね。

 

 

 

 

BEAT RUNNERS 第1話「始まりの一音」感想

 というわけでまずは本編の感想から。実は昨年末に放送された特番で先行放送された1話を視聴済みなのですが、本放送で見返すことでじっくり作品の本質というものを味わえた気がしますね。初っ端ですがそういったテイストにも触れていこうと思います。

 さて本作は生身の人間が登場しない全編仮面劇。ヒーローや怪人のスーツのみ登場する、言うなればこういう見た目の宇宙人たちの物語というわけですね。これは坂本監督が以前担当していた『ウルトラギャラクシーファイト』と同様の方式ですし、ウルトラマンを1人のキャラクターとして扱うことに慣れている身としてはそこまで違和感はなかったです。むしろ地球人と似たビジュアルが存在しないスターウォーズみたいなものだと思えば、SF作品のテイストで楽しめると言えるでしょう。

 

 物語は宇宙脅威対策戦闘隊『BEAT RUNNERS(ビートランナーズ)』による治安維持活動がメイン。音楽をエネルギーにして戦う特異性から、戦闘中J-POP楽曲が響き渡るのが最大の特徴ですね。T.P.4こと「Tear.Drop.4」なるサポートシンガーユニットが別の場所で歌って踊り、戦闘シーンとライブシーンが平行して進行する絵面もかなり新鮮でした。ちなみにビートランナーズのメンバーは以下の通り。

  • 勇猛果敢で熱血漢な切り込み隊長「プレスト(W 00-X)
  • 冷静沈着にチームを仕切るリーダー「アダージョ(W 00-12)
  • 常に陽気で明るいメカニック担当「ヴィヴァーチェ(T 00-17)
  • ニヒルながら悩めるスナイパー「レント(S 00-24)

 いずれもかなり個性的なキャラクターが設定されており、どんな人物なのか序盤からはっきりと読み取ることが出来ました。激戦を繰り広げながらも軽快なやり取りを繰り広げる様子から、早速彼らに愛着が湧いてきます。(個人的なお気に入りはヴィヴァーチェ。お調子者キャラに山口勝平さんの演技も相まって見ていてクスっとさせられます)

 CVを担当している声優も小野賢章さんをはじめとして有名な実力派ばかりで、彼らの演技のおかげでより登場人物にのめり込めることが出来たとも言えますね。この豪華キャストは各声優ファンにも向けて制作しているとも取れるでしょう。またいずれも名前に音楽用語が入っている*1ので、それらの意味から彼らの性格を読み解けそうなのが好みです。

 

 そしてこれらの情報やストーリー性などが、1話の時点で十二分に伝わってきたのが注目ポイント。明確な口頭説明はほとんどされなかったものの、彼らが何者でどうやって戦っているのか・何のために戦うのかといった要素を絵面で見せてくれていました。10分という短さ故いきなり戦闘シーンから始まるなど急ではあったものの、作品の空気感といったモノを感じ取っていくにはこれ以上ないほど適切だったと思います。個人的にはこういった「本作はどんな作品で、どう楽しめばいいのか」を視聴者に理解させてくれる「作品としての親切さ」を大きく評価したいですね

 アクションシーンに関しては流石坂本監督!といったところ。ヒーローの素早い身のこなしとド派手な爆発エフェクトで魅せる、絵面の破壊力は健在でした。そこに他の特撮に負けないハイクオリティのCGが加わることで、SFアクション作品としての質の高さも感じられます。あと密かにニヤリときた要素として、専用武器である「ビートブラスター」の武装換装パートを用意していた点も挙げておきたいですね。玩具の販促などは全くする気はないのでしょうが、特撮オタクがこのような武器のガチャガチャ感を好んでいることを理解してくれているかのようで非常に嬉しくなってきます。

 といった感じで1話から大いに盛り上がることが出来たビートランナーズでした。10分とは思えない満足感が詰まっており、2話以降の本格的なストーリーが楽しみになってきた次第です。むしろ10分の中で何を視聴者にアピールすべきか、取捨選択をしっかり行っているのが好印象。坂本監督をはじめとした腕利きのスタッフによる本作を、これからも全力で楽しんでいこうと思います。

※次回から感想は個別ではなく、簡易感想にまとめて軽く書いていく予定です。形式が異なってしまいますがご了承ください

 

 

メイキングから見る「特撮のカタチ」

 ここからは番組の後半である、メイキングやキャストトークについて触れていきたいと思います。番組の半分以上がこの内容であり、実質本編以上のメイン要素になっているのが面白いところですね。声優×スーツアクターの対談場所がわざわざ紹介されたりするなど、変なところで丁寧なのはどこかシュール。大手スポンサーが付いていない以上、こういった構成になってしまうのでしょう。

 とはいえ上でも書いた通り、特撮で裏側を積極的に見せてくれる機会はかなり貴重。しかも毎回本編の後にやってくれるというので、作品の制作背景・台所事情を好むメタレド的にはたまらない内容でした。他の方も語っていましたが、マニアックな特オタやアニオタにとってこのパートはまさに「ご褒美」のようなモノだったと言えます。(あと余談ですが、キャスティングプロデューサーの関本カズ関智一さんが特番などで「自分もビートランナーズに出たいなぁ~」みたいなことを言っててじわじわきましたね)

 

 内容に関しても坂本浩一氏を筆頭に、制作陣の熱い感情が早速味わえたのが大きかったですね。監督以外にもプロデューサーの岩上弘数氏や脚本担当の林壮太郎氏と、知っている名前が次々と出てくるのもあってワクワクせずにはいられなかったです。(坂本&岩上コンビが元々『パワーレンジャー』由来の関係であることを説明してくれていたのも良き)特撮作品に深く関わっている有名人物が、こぞって新たな作品を想像しようとしているわけですからそりゃあ強烈に印象に残るモノ。それぞれの情熱が感じられるこのパートが今後も楽しみになるには十分の熱量でした

 そして声優とスーツアクターの対談ですが、こちらも興味深い要素が多かったです。名塚佳織さん&高嵜百花さんのアダージョコンビがそれぞれをリスペクトし合い、アダージョというキャラクターを完成させようとしているのが伝わってきました。何より高嵜さんが仰っていたように、スーツアクターが注目される作品作りをしている本作に好感が持てますね。特撮作品は得てして変身前の演者や声優が注目されがちで、スーツを着てアクションをこなす「顔の見えない主役」は一部を除いて話題になりにくいもの。その傾向を打破して、スーツアクターの魅力を追求していく姿勢は素直に応援したくなってきます

 

 以上ビートランナーズの裏側を覗けましたが、やはり新作特撮というものは良いものだ……!!といった感想が出てくるのが個人的なところ。昔ながらの手法を踏襲しつつ、新しいことに挑戦していく姿勢は見ていてとても気持ちが良いものです。それが有名シリーズとはまた異なる完全オリジナル作品となれば、より新鮮な感触を微笑ましく見守ることが出来ますね

 そもそも昨今の特撮は仮面ライダーをはじめとして、昔からのシリーズ作品が支持され注目されがち。新作が生まれながらも有名IPの影を追いがちな声も多くて、作品単体が中々見られないのは非常に惜しいと常々思っています。それだけにビートランナーズが変身前なし・セットなし・スーツアクター推しを打ち出して新しい特撮を生み出そうとしていることに思わずテンションが上がってしまいましたね。この在り方の模索こそがきっと特撮文化をより興隆させていくのだと、個人的に考えています。

 昔ながらの慣れ親しんだシリーズもいいですが、それらはこうした前衛的な作品も存在してこそ。スーパー戦隊シリーズが一旦休止するなど衝撃的なニュースが流れた昨今、特撮というジャンルが続いていくためにも、本作は全力で応援していきたいと非常に強く思いました。(当ブログでは既に『華衛士F8ABA6ジサリス』なども取り上げていますし)そしてこの冬は他にも『牙狼』や『ギャバンインフィニティ』など、新作特撮が目白押しの夢のような季節。これらの作品をそれぞれチェックしつつ、特撮をブログ内で盛り上げていく所存です。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:それぞれプレストは「非常に速く・急速に」、アダージョは「静かに・ゆったりと」、ヴィヴァーチェは「活き活きと・活気に満ちた」、そしてレントは「遅く・ゆるやかに」といった意味である。