地球は可能性の星
可能性……、ユニコーン……、うっ頭が
・Xioの秘密
今回はいきなりXioについての説明から始まりましたが、印象深かったのが友好関係を築いているファントン星人の技術を使用していることですね。異星人の技術を利用した兵器を使うという設定は過去に『メビウス』のメテオールなどがありましたが、あちらは昔侵略しに来た奴らが残したのを流用しているだけでしたからね。宇宙人と協力しているという設定は新鮮です。
またその技術提供してくれたファントン星人のグルマン博士が開発班のメンバーとして地球人と一緒にいる場面は個人的にすごくいいですね。やっぱり姿かたちが異なる怪獣や宇宙人と地球人が自然と仲良くしている描写はウルトラシリーズの魅力の一つだと思います。(最近の奴では『ギンガS』の「ガンQの涙」とか「君に会うために」も好きです)
・正義とは何か
さて視聴者と一緒にXioについての説明を聞いていた基地見学者の皆さんが日本支部隊長の話を聞くことになりましたが、隊長の話は色々と考えさせられるものでした。
神木隊長「けれど怪獣や宇宙人たちにも彼らなりの事情がある。それなのに、こちらが正義で向こうが悪、だと言い切れるでしょうか。どういう状況でなら、怪獣を倒すことが正義と言えるのか。私にも、その答えはまだ見つかっていません」
ウルトラシリーズ通してのテーマの一つとして「どちらが正義でどちらが悪か」というものがあります。これは人間やウルトラマンが怪獣や宇宙人を倒す事が正義とは限らない、時には地球人が加害者で宇宙人が被害者となる可能性がある、など単なる勧善懲悪に留まらない複雑な命題です。このテーマは地球人よりも温厚な宇宙人や怪獣が出てきたり(金山のおじさん…)、逆に下手な侵略者より質の悪い性根の腐った地球人が出てきたり(ヒルカワァ…)、様々な形で色んなウルトラ作品で取り扱われており、後の他の特撮やアニメ、小説に影響を与えたかと思われます。
そしてそのテーゼを本作でもしっかりと受け継いでいて安心しました。決してただのヒーローもので終わらせず、視聴者たちに問いかける姿勢は評価したいです。
・ジオマスケッティ
ちょっと重い話が長くなってしまったので話題を変えますが、Xioのメカニックで一番目を惹くのはジオマスケッティですね。普段はただの無人機なんですが、専用の車両と合体することで固有のマシンに変形する、というシステムは中々面白いですね。
今回は赤い車のジオアトスと合体してスカイマスケッティになりましたが、「自動車がそのまま合体して空を飛ぶなんて大丈夫なのか?」とかつい思ってしまいますね。まぁ日産の車はファイナルレスキューで凍らせた敵に特攻しても平気な程度には頑丈ですからきっと大丈夫なんだと勝手に納得しちゃいますか……。
・バードンの卵
今回の怪獣、火山怪鳥バードンはかつてゾフィー隊長を倒したことがある強敵ですが、今回はなんと抱えている卵を孵すために地上で巣を作っていました。さらに驚いたことに「バードンの卵は暖めるのではなく冷やして孵す」らしいのです。まさかここに来てバードンにそんな新設定が加えられるとは……。何十年も前の作品のキャラクターに新しい解釈が加えられたりするからウルトラシリーズは油断できませんね。
大地とユナイトしたエックスとの戦闘では持ち前の毒を持ったクチバシでエックスを追い詰めるなど相変わらずの強さ。しかもアスカ隊員の援護射撃を首を180度回すことで防ぐなど隙がありません。(話によるとこの首の回転を表現するためにわざわざ着ぐるみの首を切断したとか。すごいこだわりだ……)
・サイバーゴモラアーマー・アクティブ!
バードンに追い詰められたエックスですが、グルマン博士の発案でサイバーゴモラのデータをエックスに送信することに。ここで困惑するエックスをよそに大地が「やってみるぞエックス!」とノリノリなのが面白いです。前回は大地がエックスに振り回されていたのに今回はその逆をするとは……。
・共存の可能性
さてエックスによってSDになったバードンを回収した大地ですが、
大地「この姿でなら卵と一緒に生きられる。親子で一緒に」
エックス「人形だぞ?生きていると言えるのか?」
大地「いつか元に戻す技術も共存できる道も発見する。豊かな星なんだ。恵みを分け合える方法はきっとある」
エックス「そうだな、可能性はある」
大地「この星は可能性のかたまりだよ。俺はそう信じてる」
ちゃんとSDの扱いについて言及し、怪獣を倒すのではなく、共存できる道を探す姿勢がすごく好印象でした。前半の隊長が話していた「正義」についても一つの答えを出せていると思えます。いつか『サーガ』で見せてくれたコスモスペースのジュランのように人間と怪獣が共存している光景を見せてくれたら嬉しいですね。
ではまた、次の機会に。