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がっこうぐらし! 第12話(最終話) 「そつぎょう」 感想

私たちはここにいます
崩壊した世界で、少女たちは生きていく






















・愛犬太郎丸
 めぐねえの導きによって放送室目前のところまでたどり着いたゆき。しかしゾンビの大群に囲まれてしまいます。持ってきたバットで殴ってもビクともしないゾンビ(それを考えるとくるみってすごかったんだな)に追い詰められてしまいますが、そこに現れたのはなんとゾンビ化した太郎丸でした。生ける屍になってもゆきを助ける忠犬の鑑!それでもゾンビであることに変わりはなく、帽子を被せて抱きしめるゆきの姿が切なかったです……。


・また明日
 さて気を取り直してゆきは放送室で何をするのかと思っていたら、なんと下校の時間を伝える放送を流しました。これは正直うまいと思いましたね。以前からゾンビに生前の記憶や意識があるのかという話がされてきましたから、ゾンビになった生徒たちはきっと学校に通っているつもりなんだろうと薄々感じていました。それでいて学校に留まり続けるのは帰るきっかけ、「その日の学校は終わり」という合図がなかったからなんだと思います。そう考えるとゆきがこの放送を流すのは実に理に適っていると言えます。実際放送を聞いたかと思われるゾンビたちは一斉に学校から去って行きましたし、見事危機を脱することに成功しました。
 そして放送室でのゆきの語りも印象的でした。「みんな学校が好きだからここにいる」「けれどどんなものにも終わりは来る」ことを語っていくゆきは本当に学校が好きだったんだなぁ……と思います。


・さらば太郎丸
 騒動の後みーくんが持ってきたワクチンのおかげでくるみや太郎丸も正気に戻り、一件落着…………とまではいかず、太郎丸の方は弱っていました。この場面はみーくんの膝の上で息を引き取るまで、元気に振る舞おうとしているようにも思えて、非常に泣けてきました。4人の中で一番長い時間を共有してきたみーくんに対して最後に微笑みかける姿も涙を誘いました。ありがとう、太郎丸…………。


・卒業式
 太郎丸の遺体を埋めてしっかりと弔ったあと、学園生活部は今後の方針を決めることに。使い物にならなくなった学校から出て、マニュアルに書いてある印からめぐねえが残してくれた避難所の存在を知りますが、ここでもめぐねえが遺してくれたものが役に立っているのがすごいですね。
 そしていつものゆきの提案で学校を出る前に卒業式をすることになった学園生活部一同。このシーンは原作にもあってほぼ同じなのですが、みーくんの「不安はありません」という言葉、ゆきの嗚咽がこれまた涙を誘います。そしてみーくんがゆきに対して「みーくんでいいです」と言い放つのもこれまでの「みーくんじゃないです」発言を考えると感慨深いものがありました。


・あの後ろ姿は……
 卒業式を終えてめぐねえの車で学校を去って行く一同の中でゆきは誰もいない校舎に寂しさを感じていましたが、学校に人の気配がないと寂しく感じるのは何となくわかる気がします。というか帰っていったゾンビたちはまた学校に来たりしないのでしょうか?今日は土曜日か日曜日とか?
 と思っていたら車を通り過ぎて学校に入っていくゾンビが1人いました。しかもそのゾンビ、みーくんの反応からしてもしかして…………。ゆきが言っていた「みんな学校が好き」という言葉がここでもある意味証明されたということですね。


 といった感じで今度は「卒業旅行」として盛り上がる学園生活部。最後までほのぼのとした雰囲気で去って行く様子は爽やかな気持ちで見ることが出来ました。いい最終回だった!
 ……………………かと思いきやEDの後しばらくしたら以前ゆきたちが飛ばした手紙を謎の人影が拾うシーンがありました。この人影、というか眼鏡、彼女はもしや…………。というかこれ2期フラグ?























 普通の日常ものだと思って前情報なしで見た視聴者を阿鼻叫喚の渦に叩き落とし、夏アニメの中でもかなり話題になった『がっこうぐらし!』原作既読済みで最初から分かっていた身としては1話の時の盛り上がりっぷりは見ていて笑えてきました。もうあの時点でこのアニメは大成功でしたね。
 アニメは原作に忠実、かと思いきや結構細部まで変更があって原作を知っていてもどこが違うのか、どんな展開になるのかとドキドキさせられました。それにより良かったと思える改変もあれば、不満な改変もありましたが、全体的に纏まっていてよく出来ていたかと思います。というか全滅エンドとかにならなくて本当に良かった……。
 以下、各登場人物の感想

ゆき(丈槍由紀
 本作の主人公的ポジション。最初は視聴者をほのぼのに見せかけた狂気の世界に叩き落とす役割を果たし、その後はみんなのお荷物になるかと思われましたが、要所要所でメンバーを精神的に支えていく「なくてはならない存在」としてきっちり描かれていました。物語が進むにつれ成長していき、特に終盤の活躍っぷりは主人公の面目躍如だったと思います。「崩壊した世界」を説明する上で欠かせない人物であり、作品の象徴と言ってもいいかもしれません。

くるみ(恵飛須沢胡桃
 学園生活部の貴重な戦力。粗暴な見た目に反して案外女の子らしいところもあるなどギャップ萌えの塊でした。それに加えて髪型と髪の色からリゼとかあややを思い出すのも無理はない。ゾンビ騒動直後に好きだった先輩を手にかけてしまうなどゆきに次いで悲劇性の高い人物でしたが、後半からは太郎丸に襲われたりめぐねえに返り討ちに会ったりと散々な扱いだったのは残念でした。(原作でも大体そうなんですけどね。むしろ大変なのはここから……)前半の改変から大分出番が削られた印象がありましたが、せめて家に帰るシーンはやって欲しかったですね。

りーさん(若狭悠里
 学園生活部のお母さん。おおらかでみんなを受け止める包容力があるかと思いきや、実はメンバーの中で一番メンタルが弱くて誰よりもゆきに依存していることが徐々に判明していくのが特徴的です。基本的に何でもかんでも気負ってドンドン自分を追い詰めていくタイプですよね。(原作ではそれもあって今大変なことに……)しかしそんな弱い一面も含めて魅力的なキャラクターだと思います。特に終盤の泣き崩れる姿とか色々とそそられるものがあっていやぁいいうわなにをすくぁwせdrftgyふじこlp

みーくん(直樹美紀
 学園生活部の新入部員。マイフェイバリットキャラ。原作では2巻から本格的に登場して学園生活部に入部するのですが、アニメではいきなり1話から登場していたので驚きました。彼女と親友のとのエピソードの改変にいくつか納得のいかないものもありましたが、終盤は原作と同じようにめぐねえと対峙して今の学園生活部のことを教える場面をキッチリとやってくれて安心しました、話が進むにつれ学園生活部の異常性を伝えるための役割から大きく変換されていき、成長していく姿もあって僕は勝手に「第2の主人公」扱いしています。

めぐねえ(佐倉慈)
 学園生活部の顧問にして本作のキーパーソン。最初は影の薄い先生として描かれていたが、実はゆきの妄想で本人は既に亡き人になっているという事実はかなり驚きだったと思います。さらにゾンビとして出現するなども衝撃的ですがそれ以上に生徒の為に奮闘した先生であり、死後もゆきたちを見守り続けたまさに天使のような存在でした。3話のめぐねえ視点の物語は原作以上にめぐねえの心境が読めて良かったと思います。

太郎丸
 恐らくアニメで最も優遇されただろう犬。原作では「犬も感染する」ことを説明するために用意された1話限りのキャラでしかなかったのですが、アニメになってここまで改変されるとは思っていませんでした。特にみーくんとの関係を強く意識した設定になっており、みーくんのキャラクター性の理解を助けたと思います。最終回ではまさかゾンビになってまでゆきを助けるという活躍まで果たし、めぐねえとはまた違う立場で学園生活部を守った存在に仕上がりましたね。(その前々話でくるみを襲ったことについて?なんのことだか知らんな!)


 「日常はたやすく崩壊する」ことや「青春の儚さ・脆さ」を「ゾンビの襲来」という形で表現した本作ですが、それでいて少女たちの成長を忘れず描いたアニメは原作とはまた違った良さを引き出していたかと思います。良いアニメ化でした。2期に関しては正直難しいかと思いますが、ぜひ見てみたいところですね。
 以上『がっこうぐらし!』の感想でした。


 ではまた、次の機会に。