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漫画 仮面ライダークウガ 第3巻 感想

目覚める者たち
状況が混沌としてきたな…………
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 先日漫画版『クウガ』の感想を上げた後、その記事が思った以上に閲覧されていて驚きました。特にここ最近のアクセス数を調べたところ、アクセス数1位を維持し続けているとわかりました。これを見る限り意外とクウガの漫画に興味がある人が多いということなんでしょうか。
 
 最近発売された3巻も読み終わったし、せっかくなので3巻の感想も書いていきたいと思います。
 ※相変わらず内容に深く振れているのでネタバレ注意!
 
 
 
 
 
 
 
 
・五代のキャラについて
 前回の感想で「漫画版五代はチャラい雰囲気」みたいなことを書きましたが、実は最近『クウガ』を見直すようになって序盤のエピソードの五代を見てみると漫画版とあまり変わらない性格だったことに気づきました。後半の聖人染みた好青年のイメージが強いせいか記憶の中から薄れていましたが、本来五代はヤンチャで向こう見ずな性格だったんですよね。
 そう考えてみると漫画版の五代の違いがより分かりやすくなった気がします。原作の五代は物語が進むにつれグロンギと戦う覚悟ができたのでドンドン落ち着いていきますが、漫画版はより無邪気な面が強調されていて良くも悪くも甘ちゃんなのかもしれません。個人的に漫画版の五代もすごく好みなのでこのまま無邪気なところを残していってほしいですね。
 
 
・メビオのゲゲル
 2巻ラストで倒されたバヅーに続いてバルバに指名されたメビオは早速ゲゲルを開始……するのかと思いきやバヂスが持っていたけん玉を上手く扱えずにイライラしていました。けん玉のやり方を教えてあげたけど絡んできたので殺したチンピラが持っていたスケボーを転がしてみるなど、遊んでばっかです。かと思いきや早速殺人を開始して楽しんでいるのを見ると、グロンギにとってゲゲル=遊びという感覚なのがわかりますね。
 
 
・不死身の男・駿河哲也
 一方新たに現れた新キャラクター、駿河哲也。原作のクウガには登場しない漫画オリジナルキャラクターになりますが、実に井上らしいキャラだなぁ、という印象でした。というのもすごく分かりやすい「嫌な奴」の雰囲気を醸し出しており、凶悪そうな面構えとメビオの体に弾丸が効かないとわかったらすぐさま目の攻撃に移行するという試合巧者な点は場を引っ掻き回すトリックスターとして十分な人物に仕上がっていると思います。しかも一条さんの妹が心を閉ざした「ある事件」にも関わっているらしく一条さんからはものすごく嫌われています。しかしそれをまったく気にしておらず常に飄々と構えている様は『アギト』の北条さんや『555<ファイズ>』の草加を彷彿とさせます。そういった意味で井上俊樹の描く人物だと思います。(というかこの性格の人物は荒川さんや靖子にゃんには描けないと思う)かといって駿河は悪というわけではなく、彼なりの正義を抱えているかと思われる一面も北条さんや草加と共通します。
 基本的に人間が絶対善、グロンギが絶対悪としての構図が自然と成り立っていた『クウガ』において、駿河のようなキャラクターは非常に珍しいと思います。原作に出てくる人間はみんないい人ばかりで、せいぜいグロンギに憧れる蝶野くんくらいしか人間の負の一面を備えた人物が登場しなかったのでここまで嫌な人間を出してくる展開は感心しました。2巻ラストで登場したドルドに協力する刑務所所長といい、漫画版は悪そうな人間をちゃんと描写してくれるのがいいですね。
 
 
グロンギとの共存、ゲゲルの結末
 さてその駿河に片目を射抜かれ、逃げたしたメビオを五代が発見して助ける、という展開は個人的に見どころの一つだと思います。川辺でホームレスのおっさんたちにメビオの介抱をしてもらい、目覚めた彼女に説得を試みるものの言葉が伝わらず、それでもトントン相撲を一緒に楽しんだりおっさんたちと一緒に飲んで騒いだりするものの翌日ゲゲルを再開したメビオによっておっさんたちが惨殺されるというあんまりな結果は「人間とグロンギはわかりあえない」ことを克明に表しています。これまた原作では避けていた描写なので漫画でこの展開に取り組んだのは好印象ですね。
 わかりあえると思って迂闊に助けてしまったゆえに新たな犠牲を出してしまった五代の行動は結果的に間違っていたかもしれませんが、かといって彼を責める気は僕にはありません。甘ちゃんだと言われようと未熟だと言われようと仲良くなりたいという彼の考えは決して間違ってないと思います。しかし自分を責めたのか五代は早速クウガに変身しメビオと対峙して……
 
 クウガ「ゴラゲザベパ……――ジュスゲバギ!<お前だけは……――許せない!>」
 
 まさかのグロンギ語を喋ったぁ!?これには衝撃を受けました。恐らくこの状態の五代は先代のクウガ(『HERO SAGA』のことを考えるとリクなのかな?)の意識が出てきたとも考えられますが、本来リントの戦士であるはずのクウガがなぜグロンギ語を喋れるのか気になりますね。
 戦闘は素早いメビオに対して一条さんがパクった持ってきてくれたトライチェイサーで対抗し、キックを決めようとするものの人間態のメビオの顔が思い浮かんで急所を外してしまう五代……。人間は殴れない点は変わりませんね。
 
 メビオは難を逃れたもののゲゲルのタイムリミットをオーバーしてしまい、爆発死という最期を遂げます。ゲゲルに失敗すると爆発することは知っていましたが、こうやって見るのは初めての気がします。
 結局人間とグロンギの共存において不可能という答えを提示したメビオ。紙飛行機やトントン相撲を楽しんだり、お酒を飲んでいい気分になったりと人間と同じ感性を持っているはずなのに根本的にわかりあえない……そういった点で悲しい役どころでした。何かとメビオをかまってくれたホームレスのおっさんの1人が彼女に殺され死ぬ直前、彼女の目が治ったことを喜んでいたくれた場面も含めてすごくいたたまれません。あとこの漫画の女性キャラで一番好みだったので早くも退場したことが非常に残念だなぁ。
 
 
グロンギを超えし者
 一方物語の片隅でドルドと刑務所所長はなんと囚人たちを使って霊石の母体を掘り出し、新たなグロンギを生み出そうとしていました。囚人たちを使うものの失敗が続く中、逃げ出した女性囚が捕まって新たな実験体にされようとしていました。彼女の名は津上雪菜…………あれ?津上ってもしや……。そして彼女が霊石に取り込まれた結果出てきたのが…………
 
 
 ドルド「ああ……誕生する……我々の奇跡の力……」
 
 ―—アギトだ………!
 
 ついにアギトキターッ!!まさか女性がアギトになるのは予想外でしたが(でもアギトって個人的に女性のイメージがあるんですよね)、今巻のラストでヌルッと出てきたときには正直テンションが上がりました。クウガにアギトをぶっこんで設定は大丈夫なのか期待半分・不安半分といったところですが、両者がどうなるか見守っていきたいです。
 
 
 というわけで漫画版『クウガ』の3巻はメビオのゲゲルを中心にオリジナルキャラクターを巻き込んだ混沌とした構図が広がっていました。原作では出来なかった、全く異なることをやろうとする姿勢は素晴らしいと思うものの、アギトを出して収拾がつくのか?という気持ちもあります。しかし何事も否定的にならず、このブログのモットーである「どんなことでも素直に楽しむ」気持ちを忘れずにこの新しい『クウガ』を追いかけていきたいと思います。
 さて今のところ一つの巻につきグロンギ一体のゲゲルを描いていますが、次巻は誰になるのでしょうか。すでに登場しているバヂスの可能性が非常に高いですが、他の”ズ”の怪人も出して欲しいところですね。そして結局ゲゲルができなかったザインを救済してほしいところです……。
 
 ではまた、次の機会に。