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ウルトラマンX 第16話 「激撮!Xio密着24時」 感想

Xioの真実に迫れ!
これぞ円谷本気の悪ふざけ






















・知られざるXioの裏側
 「『ウルトラマンX』を見るつもりでテレビを点けたら『警察24時』が始まっていた」ともいうべき衝撃的な始まり方で視聴者を驚かせたであろう今回はどうやらサブタイトルと同じ題名の番組をそのまま放送しているという手法でやるつもりらしいです。画面の上の端にテロップがついたりインタビュー中の台詞がそのまま字幕として表示されたりと夕方のニュースの特集を見ている気分です。あと金子はりいさん(ウルトラシリーズではダークネスファイブの1人ヴィラニアスで有名ですね)のナレーションがすごくそれっぽい。
 「Xio日本支部の実態を見せる」というコンセプトで撮ってるであろう番組を見ていく内にこれまで語られなかったXioとそこに所属する隊員たちの情報が次々と明かされていきました。周辺設備含めて2700人が働いているという日本支部の規模の大きさも含めて、実際に前線で働く特捜班が8名という少なさに驚かされますね。(他の作品の防衛チームもそんな感じなんだろうけど)
 隊員個人としては高校卒業後すぐにXioに入隊したアスナ、恋愛映画が好きなワタル、そんなワタルに対してのフォローを忘れないハヤトなど、今までになかった一面をこういった形で見せてくるのは面白いですね。おかげで中々見逃せません。ラボチームの大地は最初こそ可愛らしく固くなっていたものの、SDの実験室の説明をし始めた途端饒舌になる辺りがわかりやすいなぁ、と思いました。あと元の怪獣の生息環境に似た状況にしてSDの感情を安定させてあげるという原理は分かるのですが、やっぱり遊んでいるようにしか見えないww
 また本作の2大良心である神木隊長と橘副隊長の話はこれまた興味深かったです。

 副隊長「地球を守ろうという熱意がすごいので、ともすればその熱意が……こう、一人走りする時があるので、熱意を大切にしつつ……やはり、私であったり隊長であったりが、どこかちょっと冷静に、判断できるように、見守っていきたいなぁと……」←すごいたどたどしい

 隊長「我々の仕事は、ただ怪獣を倒したり、宇宙人を捕まえたりするだけではないですからね。「地球人である自分たちが正義」っていう考えで固まっちゃうと、かえって本質が見えなくなることもあるんですよ」←普通に話せている

 いつもは凛々しい副隊長がいざカメラの前で話そうとすると上手くいかず、隊長は場数を踏んでいるのか常に堂々と対応していることがわかる場面ですね。


・人間標本を追え
 そんなインタビューの最中に突然入った通報でXioは緊急出動。通報した女子大生は自分の部屋に宇宙人がいたという変質者の事件のような内容を話し、Xioの隊員たちは調査をする中でケムール人を捕まえます。文章に書くと意外と普通ですが、怪しい男を職質するワタルたちや正体を現し逃走するケムールを追う様子などこれまたどこかで見たことある光景が繰り広げられていました。また公務執行妨害で逮捕されて取り調べを受けるものの完全黙秘を貫くケムール人に対して、神木隊長が故郷の家族についての話題を聞き出して人情で情報を吐かせるという古き良き刑事ドラマのような展開にも笑ってしまいましたね。というか実の娘と何年も連絡を取っていなかった人がそれをやるのか……
 そうして聞き出した情報からケムールたちが行っているという「人間標本」の製造を知り、そのアジトである建物を張り込みする中で樹液をすする女を目撃し、女がアジトに戻ったのを見計らって突入したところ女の正体であるセミ女(まさかの『ウルトラQ darkfantasy』からの客演!)やダダ、縮小されて閉じ込められている女性たちなど見どころが多かったのですが、カメラがぶれまくるところまでリアルだったためにいまいち水らかったのが残念ですね。(しかしそのぶれを利用して女が一旦フェードアウトしたところでセミ女を見せるという手法は上手いと思いました)
 乱闘の末逮捕されたダダは「もうすぐこの星が滅びるからせめて可愛い女の子だけでも連れて帰ろうとした」という非常にしょうもない動機を明かしますが(ケムールやセミ女たちはよく協力したな……)、「怪獣を狂暴化させる黒い稲妻によってこの星は滅びる」という発言は明らかにダークサンダーエナジーのことを指しているのがわかります。そのことをダダに教えた情報筋も気になりますね。


グビラの三枚おろし
 ダダの言葉の通りになったのか、街中に落ちたダークサンダーエナジーによって怪獣グビラが復活。鮮魚市場(!?)で暴れ始め、Xio出動と共に大地もエックスに変身しようとしますが、その直前にカメラマンに見つかってしまい中々変身できません。幸いルイルイがカメラをこっちに向けてくれたおかげでエックスが出てこれましたが、こうして他のキャラクターの目線で見ると「突然現れるウルトラマン」がどんなものなのかがわかりますね。初代の神秘性がここに来て感じられます。
 そして始まるエックスとグビラの戦闘シーンですが、さっきまでの番組のカメラ以外にもお天気カメラや一般人ががスマホで撮ったものと思われるものなどにちょくちょく映像が切り替わるのが面白い。戦闘の内容も鮮魚市場の建物にグビラを乗せたエックスがエクシードエックスとなって放ったエクシードエックスラッシュの音声がいつものものとは違って包丁でザシュッ!と入れたようなものになっていたのには笑いました。
 最後にザナディウム光線でグビラをSDにし(言い方がいつもと違って「ザナディウム光線んんん!!」と妙に気合が入っていたのが面白い)、そのまま飛んで帰ろうとしたらなんとインタビューを申し込まれてしまいます。エックスも割と乗り気のようでその時の反応が、

 大地「何やってんだエックス、もう時間がない」

 エックス「でも不愛想な宇宙人と思われたくないし……」

 お前そんなこと気にしてるのか……ww結局取材をザナディウム光線っぽい×マークを作って拒否し、そのまま帰っていくエックス。その後の番組も最後まで見てしまいました。

 数日後、例の番組の放送を見て自分たちの映り方に不満を漏らす大地たち。そのままインタビュー時に目を泳がせていた副隊長の話題に映ったと同時に副隊長が登場。気まずくなってその場から退散した隊員たちに対して残った副隊長は自分の娘たちから番組を見たという報告を受けて嬉しそうにしている場面で本編は終わりました。


 今回は完全に某番組を全力でパロった良くも悪くもすさまじいギャグ回でした。エイプリルフールネタもそうですが、この手のネタに全力を注ぐ円谷の遊び心は本当に素晴らしいです。(最近では『うーさー』にゼロ達が出演してたりするのも好きです)しかしダダが言っていた「この星は滅びる」という予言など、今後の展開について気になる要素も多かったのでその点でも見どころが多かったですね。また最後に副隊長に子供がいたことがさらりと明かされたのにも驚きました。


 さて次回はピグモンが登場。心温まる話になりそうな反面、歴代シリーズののピグモンの扱いから悲劇的な最後になりそうで不安でもあります。


 ではまた、次の機会に。