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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第12話 「暗礁」 感想

命の行き場
昭弘の弟には手を出さないもののその他には容赦ない三日月さんマジパネェ






















・奇襲作戦
 前回ブルワーズの襲撃を受けた鉄華団タービンズは敵に「ケジメをつけさせる」ために(ますますもってあれっぽい)こちらから仕掛けることになりました。そこで厄祭戦時に使われたMSなどの残骸が大量に漂っているデブリ帯(なんかサンダーボルト宙域みたいだ)で奇襲してくることを予測し、バルバトスと百里を囮にしてこちらから逆に奇襲する作戦を立てますが、ここで驚いたのがエイハブ・リアクターが重力を発生させており、イサリビなどの船の重力もエイハブ・リアクターによるものだという情報です。バルバトスは元々CGSの動力炉として使われていましたが、それを考えるとバルバトスにも搭載されているエイハブ・リアクターってかなりのエネルギーを持ったものなんでしょうね。
 ガンダムでは多くの作品にそういった「なんでもあり」な代物が出てきますが(ミノフスキー粒子とかGN粒子とか)、あらかじめそういうものを出しておいた方が話を動かしやすいのでしょうか。


・生まれ変わりの話
 作戦が決まり、三日月は出撃する直前にアトラとお嬢様の手作り弁当を渡され、ラフタと2人で移動中にその弁当を食べながら読み書きの勉強をしていました。真面目だ。あとアトラから弁当を貰った時に「もっとおいしいものを用意してあげるから帰って来て」と明らかな死亡フラグを立てますが見ていてあんまり不安にならないのはこれまで三日月のフラグクラッシャーぶりのせいでしょうかww
 そんな風に美味しそうなお弁当を食べている三日月に対して、ブルワーズのヒューマンデブリの少年たちはパワーバー一本のみというひもじい食事をしていました。器1杯分のスープとパンを出してくれるCGSってまだマシな方だったんだな……。三日月に倒された仲間の分まで届けられた中、少年たちは「人は死んだら生まれ変わる」という話を始めます。この手の輪廻転生の考えはこの世界ではあまり浸透していないようですが、少年たちは死んで生まれ変わったら金持ちの子どもになれるのかな、と切ない会話を弾ませます。しかし昌弘が「俺たちはデブリで人間じゃないから生まれ変われない」とネガティブな意見を出してきて再び重い空気に。デブリの少年たちって日頃から「自分たちは人間じゃない」という考えを刷り込まれているのでしょうか。でもその手の輪廻転生は人間以外もOKだよ、って言ってあげたい……。でもその場合変な動物に生まれ変わっちゃうかもしれないけど。


・愛され系ガチムチ男子・昭弘
 さて三日月とラフタがデブリ帯のある暗礁宙域に着いた後、すぐにブルワーズからの襲撃を受けます。最初は障害物だらけで動きづらい場所もあって手こずりますが、相手の船に突貫してきたイサリビハンマーヘッドの登場で敵を困惑させ、MWに乗ったメンバーが敵の艦内に乗り込みます。(またゲリラ戦法か)
 そこでついに出撃する昭弘。弟の為にここまで頑張る本人もですが、それをお膳立てしてくれる仲間からの慕われっぷりもすごいですね。特にラフタは何度もやり合った(意味深)な仲だからなのか昭弘に対してすごい尽くしている感じがします。もちろん三日月も昭弘の意志を尊重してくれますが、「こっちがやられそうになったら約束できない」と言い切るのがあくまで仲間全体を守ろうとする三日月らしいです。そして昌弘以外の少年たちは容赦なくメイスで撲殺するのもさすがと言うべきか…………。
 そして肝心の戦闘シーンはグシオンの恐るべき戦闘力が印象に残りました。ハンマーをぶん回すだけで周囲の残骸を粉砕したり、イサリビへの攻撃でオルガたちを驚かせたりこの世界でのMSの火力としてはこれまでの中でも最強クラスだと実感させてくれます。三日月も幾分攻め手に欠けているようですが、その分バルバトスの機動力で翻弄するなど見ごたえのある白兵戦を繰り広げています。やっぱり個人的には銃を撃ち合うより近接武器で殴り合う戦闘の方が見ていて好きですね。


デブリの最期
 仲間たちの協力もあってとうとう昌弘と話し合う場を手に入れた昭弘。弟の乗ったマンロディにしがみつき、迎えに来たと説得を開始しますが、昌弘はこれまでずっと待っていても来なかったことから期待することに疲れ、兄についていって何が変わるのかと訴えます。ヒューマンデブリは宇宙でゴミみたいに死んでいく、というこれまでの自分たちの扱いを表したようなことまで言います。しかし昭弘も負けず「こんな俺たちを家族って言ってくれる奴らが出来た」というセリフを堂々と言ってくれるのはここまで昭弘の為に頑張っているオルガたちにとっては嬉しいことでしょうね。しかし…………

 昌弘「家族って何だよ、兄貴?あんたと父さんと母さんと、それだけだったよ俺の家族は…………俺があんたのことを待っている間1人だけ良い目にあっていたのかよ!!」

 昌弘「やっぱりあんたは俺を捨てた……!」

 「自分たちを家族として迎え入れてくれる場所がある」ことを昭弘は言いたかったのでしょうが昌弘には届かず、それどころか余計に恨まれることに。これは昭弘の言い方にもちょっと問題があったのでしょうが、それ以前に昌弘のひねくれっぷりが原因とも言えますね。それもこれまで辛いことがあっても兄が迎えに来てくれると信じていたからこそ裏切られたと感じて今まで溜めこんでいた感情を爆発させたように見えますね。そう考えると昌弘をここまで追いつめたブルワーズがますますもって許せません。

 説得が失敗した中、徐々に三日月に追い詰められているクダル・カデルは兄弟の機体を発見して昭弘を人質にしようとハンマーを向けます。クダルに支持されてグレイズ改を押さえつける昌弘ですが、瞬間幼いころの兄と自分の姿をフラッシュバックさせ…………

 昭弘「昌弘おおおおぉぉぉぉー!!」

 何となく予想は出来ていましたが、昭弘を話してハンマーの直撃を受ける昌弘の姿には最初呆然としてしまいました。また昌弘が昭弘を助けた理由が幼いころの思い出(とガンダム特有の謎精神空間)もあって兄を庇ったようにも見えますが、一方で「デブリがどうやって死んでいくのかを昭弘に見せつけた」ようにも思えます。どっちが正しいか解釈が難しいですが、どちらにしてもこの弟の死は昭弘にとってこれから大きな枷となりそうですね……。


 今回は昭弘と昌弘の兄弟の話の続きが展開されましたが、昌弘が死んでしまうという結果になりました。昭弘が死なずに済んでホッとしたものの彼のことを考えると素直に喜べない…………。
 また昌弘や少年たちの「死んで生まれ変わる」話は前回感じたヒューマンデブリの扱いの悲惨さをより強く感じさせてくれました。特に昌弘の歪みっぷりはブルワーズでの環境によるところが大きいでしょうね。そんな子どもたちも昌弘含めてみんなロクな死に方してないから余計辛いです。


 次回はようやくブルワーズとの戦いも決着がつく模様。でも明らかに誰も喜んでいないのが不穏ですね……。


 ではまた、次の機会に。