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仮面ライダーガヴ 第15話「脱走グラニュート!」感想

信じたいけど果たせない

やめろー!闇菓子は人を無理やり幸せにして作るものじゃない!それを証明するためにも俺とヒトプレスバトルしろ!(ホビーアニメ的文脈)

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  • カニとハサミは使いよう?

 クリスマスシーズンということでサンタにトナカイ、プレゼントといった華やかな要素が散見された今回のガヴ。しかしストーリー自体はどこか切なくなる要素が多く、少々苦々しい展開になってしまった印象です。というのも次回予告でも描かれていた「改心したグラニュート」について、結局嘘だったという答えが示されたからですね。例の可児(ロジョー)の胡散臭さは理解していたものの、こうして描かると正直ショックを受けずにはいられませんでした。

 何より可児の視点で何かを企むシーンから始まったので、この男が全く改心などしていないことが早々にわかってしまったのが絶妙。ショウマの選択を前に迷わず降伏し、これまでの行いを悔いたり大変だった言動を見せても全て演技であることが判明しているので、視聴者からするとかなり滑稽に見えるものとなっていました。(それでいてジープにエージェントを貸してもらうなど妙に用意周到なのが鼻につきます)同時に可児の言葉を信じたいショウマの気持ちが無下にされているせいで、彼が必死に庇う姿にいたたまれないものを感じてしまいました。

 総じて反省したと見せかけて実際はそうでもなかった、というバイトの悪辣さが印象に残る回でした。20年以上バイトを続けているうだつの上がらない奴の姑息な作戦、という点でもどうしようもなさが出ており、可児に対するガッカリ感が半端なかったです。しかし彼らバイトが人間を材料としか見ていないこと、そして報酬を求めるほど闇菓子の中毒性が高いことがわかったのはちょっとした収穫と言えるでしょう。タチの悪い闇バイトとしてのイメージがドンドン強くなってきているように思えますね。あと今後もし本当に改心したバイトのグラニュートが出てきたとしても、ショウマに一度は疑われることになるのは明らかなのが何だか可哀想……

 

 

  • すれ違いながらも「思いやり」は届くのか

 さて上述の可児の策略によって、ショウマと絆斗の間に小さくない亀裂が入ってしまったのも今回の見どころ。信じたい前者とそうでもない後者のすれ違いに胸を痛めずにはいられなかったです。何と言っても最大のポイントとして、ショウマが自分がグラニュートである事実を伏せているのがすれ違いの大きな要因になっていました。前回姉を倒したというのもあり、グラニュートを倒す必要がないならその道を選びたい……そんなショウマの気持ちが視聴者には痛いほど伝わってきます。

 しかしその事情を絆斗に知らせていない以上、全ては打ち明けられないのが何とも切ない話。絆斗の復讐心も理解出来るだけに、互いの気持ちが伝わりそうで伝わらない構図は本当にもどかしかったです。しかも絆斗が可児に捕まってしまうという、ショウマの選択が結果的に裏目に出たラストにもため息が出てしまいそうになります。(絆斗は絆斗でショウマの意見に異を唱えながらも、彼を気遣う様子なので余計に何とも言えない気持ちが湧いてきます)そうした要素もあって2人がここまでの関係のままで協力していけるのか、ある意味でここが彼らの分水嶺になる可能性を覚えました。

 一方で冒頭で絆斗にプレゼントを贈りたいショウマの想いと、オー・ヘンリー作の小説『賢者の贈り物』のエピソードがリンクしているような描写が興味深かったですね。*1とある夫婦がそれぞれ相手に送ったクリスマスプレゼントは無駄になってしまったものの、「お互いを思いやる気持ち」は通じ合った」という物語から、いつもお世話になっている絆斗に「思いやり」を届けたいと考えるショウマのいじらしさに思わずほっこりします。今のところは絆斗への気持ちが空回りしていますが、ここから如何にしてその思いやりが伝わるかに期待したいところです。

 

 

  • 引き出される幸福の価値とは

 他にも今回衝撃を受けたのが、人間界に送り込まれたラーゲ9の動向。人間に擬態した姿も登場し、本格的に物語に関わってくることに不思議と興奮させられますマブシーナ「こんな気だるげな兄様を見たのは初めてです……」そうして始めたのが裁判所での一斉ヒトプレス化ということもあり、とてつもないインパクトを残していきました。しかもクラゲの毒らしきもので人々を無理やり笑顔にしてから回収するという、これまでの常識を覆す手段を取ってきたことに驚きを隠せません。(カメラなどが持ち込めない閉鎖空間で秘密裏に行動を起こした点にも舌を巻くばかり)

 恐らくは特殊な薬で相手の幸福感を引き出しているのでしょうが、そんな方法がアリな事実には本当に度肝を抜かれました。ある意味で薬漬けにしているも同然なので、そのやり方で回収したヒトプレスで闇菓子を作ってもいいのか?(品質が落ちてしまわないのかという意味合い)とつい疑問を抱いてしまいます。何より美味しいケーキを作ったりロマンス詐欺にかけたりと、あの手この手で人々の幸せを引き出してきたバイトたちの頑張りは何だったのかと思わずにはいられなかったです。画期的な方法ながら、他のバイトのグラニュートへの同情を禁じ得ない事態にもなっていました。

 そんなラーゲ9のやり口は十中八九ランゴの目論見ですが、こんな手段を取るほどに大量の闇菓子を必要としているということでしょうか。これまでも富裕層を取り込もうとしていることが言及されていたものの、やり方が性急すぎる気がしてきます。そういえば13話でも可児が「社長がランゴ様になってから注文がうるさくなった」という旨の発言をしていましたし、ランゴが何か焦っているのかもしれませんね。シータの死にもドライな反応を見せていたランゴですが、その胸中には何が渦巻いているのでしょうか。

 

 

 今回の戦闘シーンですが、ケーキングのホイップ兵が少しだけパワーアップを果たしたのが印象的。ザクザクチップスゴチゾウで「ザクホイップ兵」、チョコダンゴチゾウで「チョコホイップ兵」とこれまでのフォームの武器を装備しているのが面白かったです。(武器だけでなく、肩部などもモチーフのお菓子の装甲が追加されているのが芸コマ)ケーキにポテチとか正直トッピングとしてはどうなんだ?などと思いつつも、こうしたフォームの活かし方は見ていて非常に楽しいですね。

 そして前回ラストで対面した酢賀とニエルブに関してですが、予想通り以前から協力関係にあることが判明。(普段は置き配で情報共有し合っていたみたいですね)グラニュートの器官の出どころなどが大まかに判明したことで、目下この2人が最も厄介な連中だとわかったのは大きかったです。というか現状、ショウマと絆斗の事情を視聴者と同じくらい把握しているのがこのマッドサイエンティスト2人という事実に苦笑いせずにはいられません。

 またニエルブが酢賀から貰ったプリンで何かの実験を始めようとしている描写が目に付きました。ショウマたちのことを研究していることから、新しいライダーシステムを構想しているのは間違いなさそうです。つまり3号ライダーはプリンモチーフなのでしょうが、変身者については未だに不明なので気になるところですね。(ニエルブの言う「彼」とはやはりラーゲ9なのでしょうかね?

 

 

 さて次回は可児に囚われた絆斗を救い出すため、奔走するショウマが描かれる模様。2人の間に溝が出来つつある中で、果たして和解は出来るのか?両者の思いやりと真心が試される事態になると予想出来ます。とはいえ年内最後の放送でしょうし、そこまで険悪にはならないでしょう。ヴァレンの新フォームのお披露目共々、あまり身構えずにチェックしておきたいと思います。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:余談だが本作はクリスマスを舞台とした演目としても有名であり、『クリスマス・キャロル』などと並んでクリスマスの演劇に採用されることが多い