新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

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仮面ライダーガヴ 第7話「仮面の下はどんな味」感想

悩みぶつかる若者たち

あの双子たちに中間管理職の悲哀を感じることになるとは……

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  • すれ違うガヴせんぱいとヴァレンくん

 ガヴとヴァレン、2人のライダーの対面から始まった今回のガヴ。いきなり変身後の姿で出くわすのでどうなるのかとヒヤヒヤしましたが、いざ両者が口を開いてからのアンジャッシュ(勘違いコント)には吹き出してしまいましたね。「改造された」「グラニュートから人間を守る」といった共通点のせいか、奇跡的に会話が噛み合っているように見えるのが何ともおかしかったです。加えて2人とも敢えて口数を抑えて喋っていたせいで、はたから見るとクールなライダー同士のやり取りに見えるのが絶妙でじわじわきます。(2人とも内心ではバレるかも?とビクビクしているのが余計にシュール)

 その後のはぴぱれ社内にて、ショウマと絆斗が生身で出会った時のやり取りもこれまた面白かったです。それぞれの事情を探られ探っていることで妙によそよそしい感じになっており、誤魔化すためにどこかぎこちなくなっているので見ていて笑いが止まりませんでしたねハイ。お互いに敵ではないと認識したものの、片や同じストマック社と戦うグラニュート、片や同じ改造された人間といった具合に思い込んでいる構図が最高に愉快なことになっていたと言えます。

 また変身後の姿で名前を語るくだりが印象的。結果「ガヴ」「ヴァレン」といったライダー名が決定したことに膝を打ちつつも、双方ともに必死にひねり出している様子に顔が綻んでしまいます。そんな両者の和やかさを表現するかの如く「ガヴせんぱい」「ヴァレンくん」という謎テロップがくっ付いている演出も素敵なポイントでした。(それぞれのイメージを反映したかのようなフォントもやたら凝っています)しかしファーストコンタクトとしては悪くない形となりましたし、このダブルライダーのフフッとくる関係に安心感を覚えましたね。

 

 

  • ビター&パキパキ!標的を撃ち抜く超射撃

 

チョコ!

 

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

EATチョコ!

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

EATチョコ!

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

 

\ヒャアァァ~!/

 

チョコダン!!

パキパキ!

 

 以前から食していたほろ苦くスイートなチョコレートから生まれた「チョコダンゴチゾウ」を赤ガヴに装填、ガヴガヴ食べさせることで変身した姿「チョコダンフォーム」。ヴァレンチョコドンフォームに並ぶチョコレートモチーフの形態です。ビジュアルは西部劇のガンマンを彷彿とさせるもので、テンガロンハット(カウボーイハット)のような頭部はモロにそれを意識しているのがわかります。加えて肩回りはポンチョを思わせる装甲となっており、同時にチョコレートが湧き出ているかのような意匠からはチョコレートフォンデュを連想しますね。まとめると双方のモチーフを上手いこと組み合わせた両デザインと言えるでしょう。

 戦闘では専用武器である「チョコダンガン」を駆使した銃撃戦がメイン。板チョコが欠けたようなデザインの銃(実際劇中でガヴが先っぽを食べてましたし)の銃口で生成されるチョコレートの弾丸を連射し、相手を狙い撃ちのが基本戦法となっているようです。敏捷性も高く、狭い空間で動き回りながら撃ちまくる戦いぶりは見ていてテンションが上がってきます。

 ちなみにこの弾丸は温度によって性質が変化するようで、高温で発射すれば溶解弾、低温で発射すれば硬質弾として扱える模様。特に前者はコンクリートの壁を溶かし、壁越しに撃ち抜いてくる強力なものとなっていました。何より溶解弾で空いた穴から硬質弾を的確に通す、ショウマの高い射撃センスに舌を巻きましたね。相手をチョコレートファウンテンに閉じ込めて連射で倒す必殺技といい、同じチョコで銃ライダーなヴァレンとは真逆の戦闘スタイルを魅せつけたフォームに感服するばかりです。

(余談ですがチョコダンゴチゾウがグミのゴチゾウを押しのけてガヴに納まるシーンに笑ってしまいました。緊急事態とはいえここまで主張の強いゴチゾウが見られるとは思ってもみなかったです

 

 

  • ギャル社長、芸術家の苦悩に向き合う

 また今回は幸果とショウマが彼女の大叔母「宝屋敷雅子(たからやしき・まさこ)」(演じている山口果林さんは『仮面ライダーウィザード』にも出演していましたね)の屋敷のお手伝いさんに励む大筋も見逃せない要素となっていました。何と言っても雅子叔母さんの元で励む芸術家たちの対照的な制作風景の苦悩が目に焼き付きました。立像を作る「立彫珠希(たてほり・たまき)」がショウマとの中も良好、画商のスカウトを受けるといった風に順風満帆だったのに対し、画家の「絵川末継(えがわ・すえつぐ)」の苛立ちに胸のザワつきを覚えます。珠希さんのスカウトは罠だったとものの、向こうと比べて上手くいかない焦りや嫉妬が伝わってくるので見ていてハラハラしましたね。

 そうして爆弾のようになりかけていた末継の地雷を、励ましに来た幸果が見事に踏んでしまうシーンには顔を覆ってしまいました。ショウマの失敗を責めずにレベルアップを促すなど今回も気遣いが出来ていた彼女でさえ、こうした無神経さが表れてしまうというのは中々に興味深いです。(しかしペンキをぶっかけられても謝ってみせた点には感心します)みんなの幸せを願っているものの、相手の心を知らないまま土足で踏み込む欠点が、結果的に幸果という女性のキャラクターを深めていると思いましたね。おかげで荒れに荒れている末継の心を如何に癒していくのか、この先の幸果の行動に期待が持てる回にもなっていました。

 

 

  • フリーダムな姉兄と不憫な双子

 人間たちとは別に、例によって各々好き勝手動いているストマック家。今回もそんな兄弟たちの動向に目が離せませんでした。特に長女・グロッタが本格的に行動を始めたのが注目ポイントで、かなり威圧的なキャラクターにちょっと慄くことに。出荷の件で双子を詰めたり、偶然出くわした絆斗を蹴り飛ばしたりと見た目以上にバイオレンスだったので仰天しましたね。それでいて戦闘力も高そうで、ヴァレンを前に大鎌を振り回すシーンには惚れ惚れさせられます。人間態のままでも強そうなグロッタに、敵幹部に相応しい風格を見た次第です。そんな幹部といきなり戦う羽目になった絆斗はもうご愁傷様としか言えませんが……

 他にもバイトのグラニュート「ディーン」に新たな改造を施すニエルブは、本作の科学者連中の1人らしくノリノリだったのが印象に残りました。これはヴァレンという改造例を見てテンションを上げているのが丸わかりで、マッドな態度に変な笑いが出てきますね。果たしてディーンにどんな機能を追加したのかは未知数ですが(今回の描写見る限り、小魚に分裂して敵の攻撃から生き延びる技とか身に着けていそうですね)、酢賀やデンデ同様嫌な予感がしてならなかったです。

 あとはシータ&ジープの双子に関してですが、ドンドン追い詰められているのが何とも哀れに見えましたね。以前からランゴの説教を受けていた中で、上述のグロッタにも圧をかけられたりと末っ子の立場の低さがこれでもかと感じられました。何よりバイトと上司の板挟みにあう、中間管理職としての悲哀を感じずにはいられません。そして次回予告でクビが確定するっぽい……最初こそ小憎らしい敵になるかと思っていただけに、人間臭く追い詰められる双子に意外ながらも愛着すら湧いてきます。

 

 

 そして次回は初の前後編の後半エピソード。倒したはずの画商がまたもや宝屋敷家の若者に近づくという事態に、ショウマたちがそれぞれ立ち向かうようです。特に幸果は末継の心を案じつつも、彼らを喰いものにするグラニュートに怒りを爆発させる模様。常に笑顔を振りまいていた彼女の本気の義憤に正直ワクワクしてきますね。ガヴとヴァレンの初共闘といった熱い展開も待っているようですし、これは後編も期待出来ます。

 

 

2024年秋アニメ簡易感想 その3

 

 

www.youtube.com

 

 YouTubeのウルトラマン公式チャンネルにて先日『スーパーパワー!ウルトラヒーロー超百科 ~伝説のウルトラヒーロー~』なる動画が公開されました。視聴したところ歴代のウルトラマンたちを紹介する、一昔前のスペシャルビデオを彷彿とさせる構成となっている模様。しかも初代ウルトラマンからジョーニアスまでの懐かしのヒーローを、新撮のアクション映像で解説しているのがニヤリときますね。シリーズ初心者にとってもウルトラマンを学べますし、ファンでもそこそこ楽しめるのではないかと思います。

 個人的にはタロウ&タイガ親子の出演が見逃せませんゾフィー隊長に歴戦のヒーローを教えてもらいながら、様々なリアクションを取るタイガが何とも微笑ましいです。父・タロウの叱咤激励にハキハキと応えながらも、レオの修行がキツそうと不安になる辺りが可愛らしくて顔が綻んでしまいます。それでいて『タイガ』本編で絆を紡いだヒロユキのことを言及したりと、ルーキー感は抜けてないものの立派になったタイガを感じ取れる点に嬉しくなってきます。タイガを推している身としては、推しの意外な供給にテンションを上げずにはいられませんね。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

ポケットモンスター レックウザライジング

第68話「新たなる空へ!ブレイブアサギ号!!」

 テラスタル研修を終え、新章「レックウザライジング」がスタート!!フリード率いるライジングボルテッカーズの面々も久々に登場し、六英雄探しも再開と1年目の空気感が戻ってきたことに懐かしさを覚えました。本シリーズが始まった時の独特な展開の数々に惹かれた身としては、再びそれを味わえることに興奮せずにはいられなかったです。

 そうした新章1話目は新生ブレイブアサギ号の探索がまず描かれることに。リコとロイはもちろんのこと、ドットまで積極的に加わっていたのが何とも微笑ましかったです。船の内装自体は大きな変化がなかったものの、いくつか気になる要素が多かったので期待が持てるものになっていました。(謎のスイッチはこれ……巨大なビーム砲を発射しそう)またシャリタツがしれっと仲間入りしていた点にはびっくりしましたね。この子たちが船に居ついた経緯も気になるところです。

 加えて後半のオリーヴァ、ガラルファイヤー、ラプラスとの腕試しが大きな見どころとなっていました。テラスタル研修で培った力を余すところなく見せつけ、自分たちの成長を証明してみせたリコたちに感激が止まらなかったです。実質伝説のポケモンのような存在から認めてもらったという事実に、少女たちの旅の成果が感じられる暖かいバトルとなっていました。

 

 

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインⅡ

第2話「大貨車作戦」

 サードスクワッド・ジャムの舞台はまさかの孤島。しかも徐々に島が沈んでフィールドが狭まっていくという、バトルロイヤル的デスゲームみたいなギミックに驚かされました。ネット上でも言われているけど、前大会の立て籠りや漁夫の利が問題視されたんだろうなぁ……しかも優勝候補ほど僻地に飛ばされるなど、露骨なハンデに変な笑いが出てきます。ただまぁこういった理不尽ルールは視聴者的には見ていて楽しいですし、実際劇中の反応を見るにあながち間違いではなのが面白いですね。最初は引いていたこうして観戦者たちの熱を上げていく辺り、今回の大会運営はかなりのやり手なのではないかと思います。

 そして大会ではやはりレンちゃんの敏捷性が大活躍。例によって囮にされ、泣いて文句を叫びながら逃げ回る様子に笑いが止まらなかったです。それでいて凄まじい疾走感で駆けていくのですから爽快感は抜群でした。他にも複数チームの連合軍相手にも貨車の中から狙い撃つ作戦で切り抜けたのが今回のバトルの面白いところですね。(バレットラインを読んでグレネードを撃墜するのもここすきポイント)ピトフーイという実力者も加わって、容赦なくレンの実力を発揮出来る強豪チームに仕上がっていることを改めて感じ取りました。

 

 

アイドルマスター シャイニーカラーズ 2nd season

第2話「Straylight.run() // playback」

 前回ラストで鮮烈なデビューライブを飾ったストレイライトにスポットが当たった今回。メンバーの1人「黛冬優子(まゆずみ・ふゆこ)」の視点で話が進みましたが、キャラを作っている彼女があさひたちに翻弄される様子にまずフフッときました。まず冬優子のキャラが新鮮で、猫を被りながらも真面目でストイックなので不思議と好感を抱きます。センターがあさひに決定したことも受け入れ、そのうえで邁進する姿勢から彼女のアイドルとしての真剣な態度が伝わってきましたね。(あとプロデューサーと事務的ではない信頼関係を築いているのが良き

 そんな冬優子があさひと「和泉愛依(いずみ・めい)」の2人に我慢の限界を迎え、不満をぶつけるシーンは特に印象に残りました。あさひが良くも悪くも空気を読まないことは前回の時点でわかっていましたが、オーディションでの空回りに繋がる過程は見ていていたたまれなかったです。ただ辛い挫折ではあったものの、彼女らが本音で話し合う良いきっかけに繋がったのはお見事と言ったところ。マジレスあさひを配慮の出来る冬優子がコントロールし、愛依が空気を和やかにして納める。ある意味で絶妙なバランスで出来上がったユニット誕生秘話として中々に見応えがあったと思います。

 

 

ブルーロック VS. U-20 JAPAN

第26話「殺し屋と忍者」

 希望通り凜のチームに入れたものの、今回に限ってはイマイチ活躍出来なかった潔。何と言ってもトップ6の面々がいずれも強力かつアクの強い連中ばかりで、彼らを中心に試合が進んでいたのが大きかったですね。そのうえ見た目に反してデータ収集型の「烏旅人(からす・たびと)」に徹底マークされたりと、持ち前の盤面操作が活かせずにいる光景は見ていて歯がゆかったです。烏に言われたように「単独では凡」という致命的な弱点が改めて明かされたのが、これまた潔にとってキツい展開だったと思います。

 そしてトライアウト全体としては上述の通りのトップ6の点争いに加え、チームメイトのアピールが見どころになっていたのが面白かったです。中でもトップに利用されるのではなく、自分の個性を活かして「俺が欲しいだろう!?」と力を見せつける千切の活躍は感嘆もの。(くノ一呼ばわりされてるシーンで吹き出しましたが)前回絵心が言っていた、「主張」と「共存」を両立させるとはこういうことなのだと伝わってきました。そこで自分チームのトップ2人の険悪さを付け入る隙として見出した、潔の反撃に期待がかかるラストにも繋がっていたのが素晴らしかったです。

(余談ですが今回の作画が静止画中心だったのが気になりましたね。違和感があった反面、CGとの融合が自然だったのもあって作画スタッフの試行錯誤が垣間見えました

 

 

チ。-地球の運動について-

第3話「僕は、地動説を信じてます」

 主人公と思われたラファウの退場に唖然。絶望的な状況から如何にして脱するのかハラハラしながら見ていましたが、彼の服毒自決によって幕を閉じる展開には意表を突かれました。あれほどビビっていたノヴァク相手に平然と自分の死、さらには世界を変え得る「好奇心」を語る胆力にも切ないものの感服するばかりです。何より理屈や常識、その場の生以上に地動説から得た“感動”を残す様子は、前回のフベルトを彷彿とさせるものがあります。そして本作が何世代に渡って地動説の証明を繋いでいく、一種の大河ドラマであると理解した時の高揚感は本当に素晴らしいものでしたね。(ラファウ視点で話が続くのかと思ったらまんまと騙された!とスカッとしました)

 そうして死を迎えたラファウに翻弄されたノヴァクの態度の変化がこれまた興味深いところ。序盤こそ不気味な様子に圧倒されたものの、意義のある死を選んだラファウに動揺するシーンは地味に痛快でしたね。それでいてラファウの死に疑問や慚愧の念らしきものを見せるなど、ノヴァクの人間臭い一面が見られたのが面白かったです。恐らく今後も登場するであろうノヴァクが、異端者とされる者たちを取り締まりながら何を想うのか……彼の今後の動向にも目が離せません。

 

 

遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!

第129話「昆虫忍者来襲!」

 以前の遊園地回に登場した昆虫忍者村のスタッフ、もとい「裏七星の衆」が本格参戦。前作の裏七星の時点である程度予想はしていましたが、ユウディアスたちを売ってゴーハ側に取り入ろうとする打算っぷりも想定内だったので懐かしさを覚えました。ただ首領「七星テンテン(ななほし・テンテン)」はナナホのようなあくどさを見せることはなかったので、純粋にセコい連中という印象で留まりましたね。

 そんな裏切り者として有名なテンテンたちを前にして、受け入れるユウディアスの器の広さが今回の注目ポイントとなっていました。ここまでの悪評を聞いたうえで貴重な人材として欲しがるところか、例え裏切っても喜んで受け入れる辺りに驚きを隠せません。「ウラギリーヴァ」なる謎ワードには首を傾げましたが、過酷な宇宙戦争を生き残ったユウディアスの度量というものをこれでもかと感じ取った気分です。

 デュエルに関してはテンテンが繰り出した昆遁忍虫 変妖魔笛のアゲハの種族変更効果が印象的。相手モンスターもまとめて昆虫族に変える戦術は、初代のインセクター羽蛾を彷彿とさせるものがありますね。とはいえあちらと比べればしっかりとルールを守った戦術ですし、そういった意味でも裏七星の意外と律儀な一面が伝わってきます。

 

 

 ウルトラマンといえばもうすぐ発売される『ウルトラマンカードゲーム』の方も気になっています。本日発売の月刊コロコロコミック最新号にハーフデッキ付録が付いていたので早速触ってみましたが、3か所のバトルに勝つことでゲームに勝利するといった独特なルールが面白いです。他にもコロコロ本誌に河本けもん氏のティーチング漫画が載っているのですが、これが絶妙な癖を感じさせるのが良き……ともあれ、TCGとして興味深いところも多いのでチェックしてみたくなりますね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

ウルトラマンアーク 第14話「過去の瞬き」感想

映し出される真実

映画館での説明の仕方からして、ルティオンはかなりの凝り性な可能性

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  • 地球を巻き込んだ真実と問題

 衝撃の真実の連続に驚かずにはいられなかった今回のアーク。謎の異星人「スイード」による突然の襲撃から、アークが語る真相まで始まってからものの十数分でクライマックスのような内容が展開されました。思った以上にアークがあっさり話してくれたのも意外でしたが、彼が地球に来た背景がそれ以上に壮大だったのもあって前半の内から目が離せなかったです。あまりにも情報量が多かったのですが、箇条書きにしてまとめると……

 

  • アークことルティオンの故郷の星がある銀河の太陽「恒星ソニア」が突如膨張を始めた。このままではソニアのエネルギーで銀河の星々が滅んでしまう。
  • 各国の指導者たちが知恵を出し合う中、その内の1人「ゼ・ズー」が「ゼ・ズーゲート」なるワームホールを使ってソニアのエネルギーを別の銀河に放出する案を考える。
  • しかしエネルギーの放出先が地球にあるということで他の指導者たちはその案に反対。それでもゼ・ズーは作戦を強行しようとしたため、それを止めるべくルティオンが地球に派遣される
  • すんでのところでゼ・ズーゲートを封印したルティオン。その直後にゼ・ズーが送り込んできたモノゲロスの襲撃に遭い、地球の星元市に墜落。ルティオンは瀕死のユウマを救うために彼と一体化する。(これが後のK-DAYである)

 

 といったところ。本作では宇宙人たちの文明の滅亡が度々描かれてきましたが、まさかルティオンの星も同じような危機を迎えていたとは思ってもみなかったです。そしてシュウが上層部の命で調査しているオニキスは、ほぼ間違いなくルティオンが封印したゼ・ズーゲートと見ていいでしょう。ワームホールから通じて出ているソニアのエネルギーこそ、本作での怪獣の活動を活発化させていたという可能性にも大いに納得がいきますね。物語が別の銀河にまで発展し、そのスケールの大きさには舌を巻くばかりです。

 また襲ってきたスイード、そしてゼ・ズーのことを考えると一概に悪とは言い切れないのが興味深いポイント。地球が危機に晒されているとはいえ、彼女らも自分たちの銀河を守るために行動しているのですから複雑な心境を抱かずにはいられません。仲間が代替案を考えてくれていると説得するルティオンに対し、スイードが「時間稼ぎにしかならん」と切り捨てるのもわからなくはないです。(とはいえ巻き込まれた地球人からすればたまったものではないのですが)地球を慮ってくれるルティオンら穏健派と、他を犠牲にしてでも故郷を優先する強硬派の戦い。そんな構図に問題の難解さを覚えた次第です。

 

 

  • 相手に寄り添う「想像力」を

 上記の真実をユウマの明かし、心情を吐露してくれたアーク(ルティオン)の様子も今回の注目ポイント。ユウマの思い出の映画館にて懇切丁寧に説明してくれたことに感動しつつ、ちょっと緩い絵柄のアニメーションをスクリーンに流す方法にフフッときてしまいました。ユウマとアークがすごい良い姿勢で並んで観ている絵面も、何だかシュールでじわじわ来てしまいましたね。何より前作のブレーザーとは打って変わって良く喋ったり、シチュエーションに凝っているアークに不思議な魅力を覚えます

 そして言葉の節々から感じられるアークの誠実な人柄に胸打たれました。地球が巻き込まれることを良しとせず、スイードにも必死に説得する辺りが何とも理性的で惚れ惚れします。同時にユウマの両親を守れなかった件について「今でもずっと悔やんでいる」「一日たりとも忘れたことはない」と口にするシーンにはウルっときましたね。巻き込んでしまったとはいえ、見ず知らずの人たちのことでここまで後悔してくれる真摯さに好感を抱かずにはいられません。ユウマへの気遣いや献身性なども相まって、彼もまた“ウルトラマン”を名乗るに相応しい高潔な宇宙人であることを実感しました。

 そんなアークの優しさが、本作のテーマである「想像力」から起因しているのがまた面白いところです。そもそも無関係の地球を見捨てず守ろうとするのも、そこに暮らす人々の生活を想う想像力あってこそ。ユウマがこれまで実行してきた他者の身になって考え、寄り添うための想像をアークもまた備えていたという事実に感動しますね。(ユウマもアークの銀河について聞いたり、スイードから守るためにアークを抱き返す優しさを例によって発揮していたのがここすきポイント)自分たちの都合ばかりでなく、時に相手のことを思いやる姿勢こそ彼らの物語が目指すべきメッセージであることが伝わってくる回でもありました。

 

 

  • 次元を裂き現れる、立方体の光を持つ刺客

 スイードと共に地球にやってきた「宇宙獣 ザディーメ」はモノゲロスディゲロスと同じゼ・ズーが送り込んだ宇宙怪獣である模様。何と言っても目の部分が二股の尻尾のように分かれている、シュモクザメを彷彿とさせる頭部がまず目につきます。また石像のようなごつごつとしたボディが特徴的で、どちらかというと人形のような印象を受けました。ずんぐりむっくりな体型も相まってどこか愛嬌を感じますね。(特に空中に次元の穴を開けて退散する際のドタバタとした動きは特に可愛らしかったです)一方でおよそ生物らしくない、無機質な点はモノゲロスたちと同じ不気味さが内包されていると言えます。

 戦闘においては「テセラクトーン」という金色に光る四次元立方体を主に武器として使用。胸の発光体や背中の突起から発生させ、光弾として発射したりバリアとして展開したりと多彩な活用法を披露していました。特にバリアはアークのアークファイナライズを防ぎきるほどのものとなっており、破裂して慌てていたものの驚異的な防御力を持っているのは間違いありません。とはいえアークに蹴られて多少怯んでいましたし、肉弾戦はそこまででもない様子。何より今回のアークは戦闘前から疲弊していたのもあって、最初から向こうが全力だった場合どうなるかはまだわかりませんね。決して弱くはないものの、悲観するほどの強敵かどうかは次回で判断しておきたいところです。

 

 

 というわけで14話の感想でした。いやぁ後半戦のスタートとしてはいきなりフルスロットルなエピソードでしたね。これまで提示されてきた謎を一気に明かし、アークの正体共々ハッキリさせてくれる内容には非常に興奮させられました。気になっていたことがあっという間に氷解したおかげで見ていて気持ちよかったです。(前作『ブレーザー』が最終盤まで謎を引っ張っていたのも大きいですね)シュウの任務やアークとユウマ父の声が同じ件などまだまだ謎は残っていますが、視聴者の疑問を引っ張りすぎず八割方解決してくれた構成は大いに評価したいところです。

 

 またストーリー後半ということでOPやEDにいくつか変化が見られた点も見逃せません。OPは例年通り歌詞が2番になりましたし、EDの方は「ミチカケ」へと変更され装いも新たになりました。特にEDはARCANAPROJECT(アルカナプロジェクト)さんが引き続き続投しているものの、前期のメラメラと打って変わって落ち着いた曲調になっているのが特徴的。「君」と「ぼく」といったワードを多用していることから、ユウマとアークの関係性を歌っていることが読み取れるのもエモかったです。

 そして最も注目したいのがOPのサビで流れた怪獣ラッシュですね。前期までの登場怪獣に加え、後半から出てくる予定の怪獣たちも映し出されたのでテンションが爆上げしました。(この辺りは前作のOPの「後期に入ってもサビの登場怪獣が変化しない」という視聴者の不満を反映させているのかもしれません)タガヌラーなどを合体させたようなキメラ怪獣モノゲロス・ディゲロスに続く3本ヅノの怪獣(トリゲロス?)なども気になりますが、最も衝撃を受けたのはやはりキングオブモンス!『ガイア』の劇場版で出てきたあの怪獣が再登場する情報には仰天するほかありません。ただキングオブモンスも想像力から生まれた怪獣だからアークと敵対するには納得のチョイスですし、何よりガイアが客演するのでは……!?といった期待が膨らんできます。そうした想いを胸にしまいながら、アークの後半も前半同様楽しんでいきたいですね。

 

 

 さて次回はスイードの企みによってオニキス=ゼ・ズーゲートの封印が破かれかけ、地球が大ピンチに発展。ユウマも変身不能に陥ってしまい絶望に打ちひしがれる中、アークがある言葉を残そうとするようですが……?さらにシュウが隠していた秘密をSKIPのみんなに話すようで、今回に続いてほぼ全ての謎が明かされそうなのが楽しみですね。そして登場するアークの最強のアーマーと、次回は絶対に見逃せないことになりそうです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

2024年秋アニメ簡易感想 その2

 

牙狼 Blu-ray BOX

 

 

 深夜特撮ドラマの金字塔として今なお根強いファンがいる『牙狼<GARO>』シリーズ。特撮だけでなくアニメや舞台など幅広い形でメディア展開もしてきた本シリーズですが、先日10月7日に19周年を迎えたとのこと。2005年に1作目が放送されてから既にそれだけの時間が経過したことに驚きつつ、同時にここまで来たことにファンの1人としては喜びを隠しきれません。(上のポストに貼られている冒頭ナレーションは、いつ見てもワクワク感が凄まじいです)当ブログがYahoo!ブログ時代に最初に書いた感想が牙狼なのもあって、個人的なシリーズへの思い入れは結構深いつもりです。

 また今年の冬には最新作『ハガネを継ぐ者』も放送され、久々の牙狼を大いに堪能出来たことが記憶に新しいです。やはり魔戒騎士や法師たちのアクションはどの作品でも見応え抜群だとつくづく思います。他にもアニメ『-VANISHING LINE-』の期間限定一挙配信も行われましたし、牙狼の展開は今でも続いていることが何よりも嬉しくなってきますね。全盛期のような新作ラッシュはないとしても、こうして細々とシリーズを繋いでくれれば十分といったところ。このまま来年の20周年を盛大に祝う準備をしていく所存です。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

BLEACH 千年血戦篇ー相剋譚

第27話「A」

 1年以上の月日を経てついに千年血戦篇の3クール目が始まりましたが、初っ端からアニメ20周年記念PVが流れたことに仰天しました。千年血戦篇以前のエピソードをダイジェスト形式で詰め込んでおり、その懐かしさに思わずウルっときてしまいます。わずか1分ちょっとの映像ながら現在の作画で描かれた戦いの記録はファンにはたまらないサプライズとなりましたね

 肝心の本編ではまず、前クールラストのおさらいをガッツリ見ることに。直後に零番隊の圧倒的な強さを再確認した分、とうとう本来の力を発揮したユーハバッハによる反撃がより鮮烈に映りましたね。「全知全能(ジ・オールマイティ)」という絵に描いたような反則級の能力で、和尚を切り刻む瞬間はわかっていても面食らうこととなりました。無論和尚も和尚で「不転太殺陵(ふてんたいさつりょう)」を祭囃子の如き演舞で展開しており、真っ黒なのに色鮮やかな絵面も相まってあちらも規格外であったことを意識させてくれます。(何より名前を呼んでもらうことで生き返ることが出来るのが無法すぎる)

 そして親衛隊をまとめて葬り去った千手丸を倒したのがまさかの石田でびっくり。どうにかして解放された後も千手丸の卍解に翻弄されながら、逆に罠に嵌めて倒した瞬間には敵ながら感嘆を覚えました。戦闘内容そのものは何をしているのかわかりにくかったもの、ユーハバッハと同時に覚醒した石田の力による逆転というのは十分に読み取れたと思います。ともあれ石田の活躍がここにきて盛られるのは個人的にも結構嬉しいと感じますね。

 

 

ラブライブ!スーパースター!!(3期)

第1話「私の決めた道」

 色んな意味で衝撃を受けた2期のラストから2年、Liella!の活躍の時が三度到来。というわけでかのんの留学中止とマルガレーテちゃん転入の件についてようやく説明されましたが、実質マルガレーテのお世話係を任された話に何とも言えず脱力してしまいましたね。さらにかのんがマルガレーテの新スクールアイドル部に入部するなど、予想外の流れに何度も驚くこととなりました。かのんの悩みも相まって同情しそうになりますが、それ以上にマルガレーテに多くの気持ちを教えようとする点は応援したいところです。(あと個人的にはかのんの思惑を見抜いて背中を押してくれる千砂都の激ツヨ幼馴染っぷりがここすきポイント)

 そして新たな部活を設立したマルガレーテですが、2期同様孤立っぷりが印象に残りました。恋の誘いを痛烈に断るなど、反発してでどこか独りよがりな印象を受ける行動ばかりなので見ていてハラハラさせられます。ただ自分を負かしたLiella!に真っ向から挑みたい気持ちは何となく理解出来ますね。彼女はある種スポコン作品におけるハングリー精神に満ちたライバルキャラの造形を持っているものの、この協調性の無さが最大の難点と言えるでしょう。そんな現状問題児なマルガレーテが、ここからどのような成長を見せるのかにも注目しておきたいです。

 

 

ぷにるはかわいいスライム

第1話「I HATE YOU and I LOVE YOU」

 週刊コロコロコミック発のラブコメ漫画がついにアニメ化!原作をチェックしている身としても見逃せない作品で、生きたスライムである「ぷにる」のプルプルなビジュアルがそのままアニメで炸裂していたことに早速テンションが上がりました。体を自在に変化させてどんな姿にもなれる反面、構成物質はスライムに過ぎないので結果ぐちゃぐちゃになる辺りが最高にマニアックと言えます。「可愛い」と認められたいがために周りを引っ掻き回す、子どもっぽくてウザ可愛い面も健在でニヤリときました。あと個人的には変身シーンのバンクにやたら気合が入っていたことが衝撃的だったり

 そんなぷにるを生み出した「河合井コタロー(かわいい・コタロー)」のツッコミとやり取りもまた軽快で見やすかったですね声が梅田修一朗さんだからかベイブレードXのバードの影がチラつくけど……可愛いと言ってもらいたいぷにるに対して、頑なに拒否する姿勢ははたから見ると結構微笑ましく感じます。これらの描写からは幼い頃好きだったものを素直に認められない、思春期の複雑な心境も垣間見えてきますね。(最もそれ以上にコタローの問題は根深いのですが)コロコロホビー大好き「南波遊助(なんぱ・ゆうすけ)」の自分に正直な様子を見ていると、この頑固なコタローのいじらしさが何ともクセになってきます。

 

 

来世は他人がいい

第1話「負け犬に出る幕はない」

 タイトルや予告の雰囲気もあって以前から気になっていた作品。早速してみた結果、その予想を超えるアウトローっぷりに度肝を抜かれることとなりました。東西のヤクザの孫の政略婚約というドロドロな関係になるかと思いきや、登場人物それぞれのアクの強さがいきなり襲い掛かってきたので困惑が止まらなかったです。

 何と言っても主人公「染井吉乃(そめい・よしの)」の相手である「深山霧島(みやま・きりしま)」の破滅的キャラクターがまず強烈。第一印象からして胡散臭い男(CV石田彰さんですし)で、とにかく滅茶苦茶にされたいドMよりヤバい何かにドン引きせずにはいられませんでした。そのうえ芳乃の価値を体でしか測っていない、女の敵っぷりにも嫌悪感を抱きますね。とはいえ変人奇人としてはこれ以上ないくらい期待通りなので、この張り付いた笑顔がどう変化していくのか非常に楽しみになってきました。

 そしてこんな霧島相手に啖呵を切った吉乃はそれ以上のインパクトを残していきました。体しか価値がないなら腎臓片方売ってやるぜ!!という斜め上の意趣返しをしてきた時には呆然としましたよえぇ。霧島を翻弄し惚れさせたうえでフる、そんな逆襲のためにここまでやるものなのかという驚きが何よりも勝りましたね。前半こそどこか危なっかしい、家に守られていたお嬢様だった吉乃ですが、自分を舐めた相手に噛みつく辺り彼女もヤクザの家の娘であることが伝わってきます。何だかんだスカッとしたので、どうせなら霧島の鼻を思い切り明かしてほしいところです。

 

 

ちびゴジラの逆襲

第40話「襲来!ロボット怪獣

第41話「自然を愛するちびガイガン」

※諸事情で2週分のエピソードをまとめた感想となっています

 1年放送の後半戦に突入し、新たなちび怪獣「ちびガイガン」が参戦。怪獣島を機械の楽園にしようとする物騒な野望を語っていましたが、簡単に論破されるところが既に面白かったです。それどころか41話ではキャンプで自然を満喫する辺り、根は結構穏やかで優しいことが読み取れますね。『ファイナルウォーズ』で見たことのあるチェーンソーも出しましたが、使い方が平和だったので余計にほっこりしてきます。ハルオが楽しそうで何よりだよ……

 他にも怪獣島を気に入ったちびガイガンに悪いところばかりを教える地元民ちびゴジラなど、メインキャラとの組み合わせも絶妙におかしくて楽しかったです。ただそれ以上にちびメカゴジラが上述の「怪獣島から怪獣を排除する」という目的のために作られた、という新事実が印象に残りました。とはいえ予想の範疇でもあったので驚くほどのことでもなかったですね。むしろ事実を知った後も問題なく暮らせているちびメカゴジラに安心感を覚えた次第です。

 

 

 牙狼シリーズはいずれも魅力的なので時々見返したい衝動に駆られるのですが、意外と作品が見放題となっているサブスクが少ないのが最近のちょっとした不満となっています。見れる機会が増えればマイナーな牙狼を知ってもらえる機会も増えるだろうという布教目的込みで、もっと見れるサブスクを増やしてほしいところ。特に『炎の刻印』をはじめとしたアニメ作品は普段特撮に触れたことがない人ほど見てほしいですね

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

仮面ライダーガヴ 第6話「変身はビターチョコ」感想

俺の怒りは甘くない

この作品の科学者ロクでもねぇ奴らばっかだな!

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  • “復讐”の仮面ライダーとなる時

 グラニュートの事件を探り、多くの真実を知ってきた絆斗がようやくメインになることに。そんな今回のガヴは絆斗が師匠の塩谷さんの割れたヒトプレスを発見するという、初っ端からショッキングな始まりに慄くこととなりました。前回ラストに師匠襲われた時点である程度は覚悟していましたが、これほどまでに早くこの人が殺されたことを感じさせてくるとは思ってもみなかったです。(4話のみちる母さんの件もそうでしたが、直接的な表現を使わず登場人物の“死”を伝えてくる本作の設定には舌を巻くばかり)わずかな出番でしたが、ここまで衝撃を受けるほどの退場をまたもや味わうことになって絶句するほかありません。

 そして師匠の死を知って取り乱す様子や、酢賀の改造手術を受けるまでの決意など全編に渡って絆斗の怒りと悲しみに見ているこちらも胸を痛めることに。今回の語りとちょっとした回想だけでも師匠が彼にとってどれだけ大切な恩人だったか読み取れるので、余計に同情を覚えずにはいられなかったです。そのため人間ではなくなることを承知のうえで、グラニュートへの復讐を果たそうとする過程も彼の悲壮感を加速させていたと感じます。またこれまで描かれた絆斗は人懐っこくて優しい人物であることは十分伝わってきた分、憎しみでそんな彼が失われていきそうな予感がしてなりません。(無論ヴァレンとしての戦いぶり自体は滅茶苦茶カッコよくて好みです

 そんなわけで“復讐鬼”としての仮面ライダーになった絆斗ですが、彼とショウマ/ガヴの関係が今後どうなっていくのかが今非常に気になってきています。というのも非道なグラニュートだろうと必ず「どうする?」と改心の余地を与えるショウマに反して、絆斗は「話は終わりだ」と一方的かつ問答無用でグラニュートを倒す勢い……もうこの時点でスタンスが違うので既に心配せずにはいられません。その内人を襲うことをやめたグラニュートを巡ってガヴVSヴァレンの対立が起こるかもしれない、と今のうちに予想して備えておこうと思います。

 

 

  • 鉄拳と弾丸!ほろ苦い一撃で魔を砕く

 

CHOCO!

 

SET CHOCO!

SET CHOCO!

 

\ワァーオ!ワァオワァオ!/

 

チョコドン!!

PAKIPAKI!

 

 辛木田絆斗が酸賀研造お手製の「ヴァレンバスター」に「チョコドンゴチゾウ」を装填することで変身した「仮面ライダーヴァレン チョコドンフォーム」。本作の2号ライダーであり、改造人間として常人ではなくなってしまった絆斗の姿でもあります。チョコレートモチーフなだけあり、茶色いミルクチョコと白いホワイトチョコの2種類が体にくっ付いているビジュアルに仕上がっているのが特徴的。特に顔面に付いたホワイトチョコがそのままヴァレンの複眼になっているデザインは秀逸の一言。他にも額に「Chocolate」のロゴがプリントされていることから、さながら2つの板チョコが擬人化したような印象を受けますね。(纏わりついた銀紙を剥がす変身シークエンスもオシャレで良き)

 戦闘では変身アイテムと同時に専用武器でもあるヴァレンバスターを使用。チョコのエネルギーが詰まった弾丸を発射する遠距離戦を想定しているようですが、現状の絆斗では狙って敵に当てるのが難しかったのがまず目に焼き付きます。(苦しそうな様子からして、手術の痛みがまだ引いていないのが見てとれますね)ただその結果ゼロ距離から相手に弾丸をお見舞いするインファイト戦法が基本となっていて、そのガムシャラで泥臭い戦いぶりには不思議と高揚感を覚えました。腹への連続射撃で敵を空に打ち上げ、巨大チョコボール状の必殺技を喰らわせるシーンの必死さは特に胸打たれましたね。足場を崩すことで転ばせるといったセンスも光るので、ここから絆斗の戦闘スタイルが洗練されていくことに期待したいところです。

 

 

  • 信じていいのか?三者三葉の科学者たち

 さてそんな絆斗を仮面ライダーに変えた酢賀をはじめとした、本作の科学者ポジションについても語っておきたいところ。まずは何と言っても酢賀の開発したライダーシステムのために、グラニュートの器官を移植する手術をする必要があったのが驚きでしたね。そのうえ手術室の絶妙な怪しさ、部分麻酔故に痛みが残る話を直前にしれっと話すシーンで仰天せずにはいられなかったです。復讐に燃える絆斗をこれ幸いとばかりに実験体にする、酢賀のマッドサイエンティストぶりにはドン引きほかありません。チョコドンゴチゾウをまたもや持ち去っていく手グセの悪さといい、一応は味方ですがこれっぽちも信用してはいけないことを実感します。

 グラニュート側の科学者、ストマック家の開発担当であるニエルブも今回目立っていましたね。ショウマの力だけでなく、変身した絆斗を興味深いとばかりに観察するシーンが少々印象に残りました。また師匠の下半身らしきヒトプレスの欠片を持っている姿を確認出来たことから、師匠を襲わせたのは彼であることは間違いなさそうです。何故そんなことをしたのか?という疑問と共に、もしや酢賀と裏で通じていて、人間にグラニュート器官を移植するために絆斗を焚きつけたのでは……といった妄想も湧いてきます。(これなら酢賀がグラニュートについてやたら詳しい点にも説明がつきますね)

 あとはデンデ叔父さんですが、前向きになったショウマに説得されてストマック家を裏切ったというのが正直怪しいところ。結構軽いノリで味方になってくれましたが、土壇場で寝返る展開がありそうで不安になってきます。人間のお菓子で釣られるくらいなので、ちょっとした誘惑ですぐ向こうに着くとかあり得るかもしれません。総じて本作の科学者は胡散臭くて信用出来ない連中ばかりだと実感する回でもありました。

 

 

 今回振り返ると、やはり絆斗が改造手術を受けることで仮面ライダーになったのが衝撃的でしたね。幼い頃に改造されたショウマと同様「人間をやめなければ強力な力は得られない」というのが本作のテーマの1つなのでしょうか。まぁ昭和の仮面ライダーが改造人間であることへのリスペクトも感じられるので、何だかんだ好感が持てる設定だと思います。

 リスペクトといえば幸果によって命名されたゴチゾウたちが、普段はショウマの命令で街をパトロールする話にも唸らされましたね。初代『仮面ライダー』や『V3』で登場した「少年仮面ライダー隊」を彷彿とさせる設定からして、本作のオマージュの絶妙さにまたもや脱帽することとなりました。

 

 

 さて次回はショウマと絆斗の微妙な関係が描かれる模様。お互いに変身出来ることを隠したうえで仲良くなるようですが、神の視点だとこのいつバレるかもしれない様子にハラハラしそうになりますね。この2大ライダーが戦闘でも共闘出来るのか、そこに注目してみたいところです。他にも次回幸果たちが関わる若い芸術家の葛藤や、ガヴのチョコモチーフのフォーム登場など見どころも多くなりそうで楽しみです。

 

 

 ではまた、次の機会に。