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仮面ライダーガヴ 第7話「仮面の下はどんな味」感想

悩みぶつかる若者たち

あの双子たちに中間管理職の悲哀を感じることになるとは……

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  • すれ違うガヴせんぱいとヴァレンくん

 ガヴとヴァレン、2人のライダーの対面から始まった今回のガヴ。いきなり変身後の姿で出くわすのでどうなるのかとヒヤヒヤしましたが、いざ両者が口を開いてからのアンジャッシュ(勘違いコント)には吹き出してしまいましたね。「改造された」「グラニュートから人間を守る」といった共通点のせいか、奇跡的に会話が噛み合っているように見えるのが何ともおかしかったです。加えて2人とも敢えて口数を抑えて喋っていたせいで、はたから見るとクールなライダー同士のやり取りに見えるのが絶妙でじわじわきます。(2人とも内心ではバレるかも?とビクビクしているのが余計にシュール)

 その後のはぴぱれ社内にて、ショウマと絆斗が生身で出会った時のやり取りもこれまた面白かったです。それぞれの事情を探られ探っていることで妙によそよそしい感じになっており、誤魔化すためにどこかぎこちなくなっているので見ていて笑いが止まりませんでしたねハイ。お互いに敵ではないと認識したものの、片や同じストマック社と戦うグラニュート、片や同じ改造された人間といった具合に思い込んでいる構図が最高に愉快なことになっていたと言えます。

 また変身後の姿で名前を語るくだりが印象的。結果「ガヴ」「ヴァレン」といったライダー名が決定したことに膝を打ちつつも、双方ともに必死にひねり出している様子に顔が綻んでしまいます。そんな両者の和やかさを表現するかの如く「ガヴせんぱい」「ヴァレンくん」という謎テロップがくっ付いている演出も素敵なポイントでした。(それぞれのイメージを反映したかのようなフォントもやたら凝っています)しかしファーストコンタクトとしては悪くない形となりましたし、このダブルライダーのフフッとくる関係に安心感を覚えましたね。

 

 

  • ビター&パキパキ!標的を撃ち抜く超射撃

 

チョコ!

 

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

EATチョコ!

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

EATチョコ!

ガヴ! ガヴ! ガヴ! ガヴ!

 

\ヒャアァァ~!/

 

チョコダン!!

パキパキ!

 

 以前から食していたほろ苦くスイートなチョコレートから生まれた「チョコダンゴチゾウ」を赤ガヴに装填、ガヴガヴ食べさせることで変身した姿「チョコダンフォーム」。ヴァレンチョコドンフォームに並ぶチョコレートモチーフの形態です。ビジュアルは西部劇のガンマンを彷彿とさせるもので、テンガロンハット(カウボーイハット)のような頭部はモロにそれを意識しているのがわかります。加えて肩回りはポンチョを思わせる装甲となっており、同時にチョコレートが湧き出ているかのような意匠からはチョコレートフォンデュを連想しますね。まとめると双方のモチーフを上手いこと組み合わせた両デザインと言えるでしょう。

 戦闘では専用武器である「チョコダンガン」を駆使した銃撃戦がメイン。板チョコが欠けたようなデザインの銃(実際劇中でガヴが先っぽを食べてましたし)の銃口で生成されるチョコレートの弾丸を連射し、相手を狙い撃ちのが基本戦法となっているようです。敏捷性も高く、狭い空間で動き回りながら撃ちまくる戦いぶりは見ていてテンションが上がってきます。

 ちなみにこの弾丸は温度によって性質が変化するようで、高温で発射すれば溶解弾、低温で発射すれば硬質弾として扱える模様。特に前者はコンクリートの壁を溶かし、壁越しに撃ち抜いてくる強力なものとなっていました。何より溶解弾で空いた穴から硬質弾を的確に通す、ショウマの高い射撃センスに舌を巻きましたね。相手をチョコレートファウンテンに閉じ込めて連射で倒す必殺技といい、同じチョコで銃ライダーなヴァレンとは真逆の戦闘スタイルを魅せつけたフォームに感服するばかりです。

(余談ですがチョコダンゴチゾウがグミのゴチゾウを押しのけてガヴに納まるシーンに笑ってしまいました。緊急事態とはいえここまで主張の強いゴチゾウが見られるとは思ってもみなかったです

 

 

  • ギャル社長、芸術家の苦悩に向き合う

 また今回は幸果とショウマが彼女の大叔母「宝屋敷雅子(たからやしき・まさこ)」(演じている山口果林さんは『仮面ライダーウィザード』にも出演していましたね)の屋敷のお手伝いさんに励む大筋も見逃せない要素となっていました。何と言っても雅子叔母さんの元で励む芸術家たちの対照的な制作風景の苦悩が目に焼き付きました。立像を作る「立彫珠希(たてほり・たまき)」がショウマとの中も良好、画商のスカウトを受けるといった風に順風満帆だったのに対し、画家の「絵川末継(えがわ・すえつぐ)」の苛立ちに胸のザワつきを覚えます。珠希さんのスカウトは罠だったとものの、向こうと比べて上手くいかない焦りや嫉妬が伝わってくるので見ていてハラハラしましたね。

 そうして爆弾のようになりかけていた末継の地雷を、励ましに来た幸果が見事に踏んでしまうシーンには顔を覆ってしまいました。ショウマの失敗を責めずにレベルアップを促すなど今回も気遣いが出来ていた彼女でさえ、こうした無神経さが表れてしまうというのは中々に興味深いです。(しかしペンキをぶっかけられても謝ってみせた点には感心します)みんなの幸せを願っているものの、相手の心を知らないまま土足で踏み込む欠点が、結果的に幸果という女性のキャラクターを深めていると思いましたね。おかげで荒れに荒れている末継の心を如何に癒していくのか、この先の幸果の行動に期待が持てる回にもなっていました。

 

 

  • フリーダムな姉兄と不憫な双子

 人間たちとは別に、例によって各々好き勝手動いているストマック家。今回もそんな兄弟たちの動向に目が離せませんでした。特に長女・グロッタが本格的に行動を始めたのが注目ポイントで、かなり威圧的なキャラクターにちょっと慄くことに。出荷の件で双子を詰めたり、偶然出くわした絆斗を蹴り飛ばしたりと見た目以上にバイオレンスだったので仰天しましたね。それでいて戦闘力も高そうで、ヴァレンを前に大鎌を振り回すシーンには惚れ惚れさせられます。人間態のままでも強そうなグロッタに、敵幹部に相応しい風格を見た次第です。そんな幹部といきなり戦う羽目になった絆斗はもうご愁傷様としか言えませんが……

 他にもバイトのグラニュート「ディーン」に新たな改造を施すニエルブは、本作の科学者連中の1人らしくノリノリだったのが印象に残りました。これはヴァレンという改造例を見てテンションを上げているのが丸わかりで、マッドな態度に変な笑いが出てきますね。果たしてディーンにどんな機能を追加したのかは未知数ですが(今回の描写見る限り、小魚に分裂して敵の攻撃から生き延びる技とか身に着けていそうですね)、酢賀やデンデ同様嫌な予感がしてならなかったです。

 あとはシータ&ジープの双子に関してですが、ドンドン追い詰められているのが何とも哀れに見えましたね。以前からランゴの説教を受けていた中で、上述のグロッタにも圧をかけられたりと末っ子の立場の低さがこれでもかと感じられました。何よりバイトと上司の板挟みにあう、中間管理職としての悲哀を感じずにはいられません。そして次回予告でクビが確定するっぽい……最初こそ小憎らしい敵になるかと思っていただけに、人間臭く追い詰められる双子に意外ながらも愛着すら湧いてきます。

 

 

 そして次回は初の前後編の後半エピソード。倒したはずの画商がまたもや宝屋敷家の若者に近づくという事態に、ショウマたちがそれぞれ立ち向かうようです。特に幸果は末継の心を案じつつも、彼らを喰いものにするグラニュートに怒りを爆発させる模様。常に笑顔を振りまいていた彼女の本気の義憤に正直ワクワクしてきますね。ガヴとヴァレンの初共闘といった熱い展開も待っているようですし、これは後編も期待出来ます。