未来を
GET BACK
止まっていた時は動き出し、今再び冒険の幕が開く!!
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リコたちが主役のアニポケ新シリーズもいよいよ3年目に突入。「メガボルテージ」として始動した新章は、1年後という初の時間経過と共に幕が開くこととなりました。ショッキングだった前回から何があったのか、何をきっかけに冒険に出るのか。これまでのアニポケの不文律を破った大胆なストーリーを、1時間スペシャルで味わった感想として書いていきたいと思います。
- “ほのおのうたごえ”を携える冒険者
まず触れておきたいのがロイの変化について。前回ラストでも少々がっしりして逞しくなった印象を受けましたが、冒頭での変わりように思わず声をあげてしまいました。声色が低くなったほか、冷静な判断力など言動の節々に落ち着いた雰囲気を感じさせてきます。これは1年の間ポケモンたちとだけで冒険を続けてきた結果、大人びてきたということでしょうか。ある意味でフリードの面影を感じて頼もしくなったと思う反面、以前の無邪気さが感じられなくなってきていることに寂しさを覚えますね。
しかしリコの元に現れてからは一転、その年相応の態度はかつてのロイを彷彿とさせました。おかげで大きく成長しているけど根っこの部分は変わっていない、ということがリコやアンとのやり取りで伝わってきて嬉しくなってきます。それでいて一度は誘いを断るリコに深く追求しない察し力も身に着け、今のロイは子どもから少しずつ大人に変わりつつある過程であることを実感した次第です。(空から「見ーつけた!」とリコの元にやってくる様子が1話のフリードのセルフオマージュなのもここすきポイント)
バトルに関してもこれまでとは見違えるほど強くなっているのが実感出来ました。暴走したケッキングとのバトルはもちろんのこと、アンやリコ相手にもかなり的確な対応が出来ていたのが読み取れます。キャップがロイの指示に従っている辺り、彼に認められるくらいには実力を付けてきたのでしょう。何より新たな手持ちである色違いの黄色いルカリオの強さは、ロイがあの頃から大きく成長している証のようにも思えてくるほどでしたね。前作のサトシに続いてまたルカリオか……と思うものの、色違いにすることで差別化を果たしている点は良しとしましょうか。
あとはロイに引っ付いてくる新キャラ「ウルト」との関係にも注目したいところ。ヤミラミを連れた彼のウザ絡みに対し、うっとおしそうな感じに突き放すロイの様子はこれまた新鮮でした。それでいてケッキングを倒す際には息の合ったバトルを披露していましたし、既に通じ合ったライバルとしての風格を漂わせています。この2人はどうやって知り合ったのか?そしてウルトも黒いレックウザを狙っている理由とは?彼らのそういった詳細が明かされていくのも地味に楽しみです。
- 彷徨う時の旅人の再起
ロイとは対照的に穏やかな変化を見せていたのがリコ。こちらはセキエイ学園での平和な日々が描かれており、思った以上に楽しそうに過ごしている光景に安心しました。ライジングボルテッカーズの悪評が出回っている環境で肩身が狭いことになると予想していたものの、アン以外の生徒はみんなリコの事実を知らないという話にも納得。何気に1話以来となる彼女の学園生活と、意外と元気そうにバトルの特訓をする様子にホッとさせられます。
それでいてリコの胸中のモヤモヤが残っており、今回はそれを振り払うまでの過程が繰り広げられたのが大きな見どころ。上述の件に加えパゴゴがボールから出てこなくなったりと、悩みの種は意外と多い様子がこれだけで見て取れます。表面上は明るいものの、内心では色々抱え込んでいるのが何ともリコらしかったですね。また様変わりしたロイや大活躍中のアンと比べて自分は何も出来ていない……といった焦りも印象的。パゴゴの願いを叶えて燃え尽きたのもあるのでしょうが、自分だけの「大事な何か」が改めて宙ぶらりんになっているのかもしれません。
それだけにマスカーニャの励ましを受け、ロイとのバトルを繰り広げる中で成長を実感するシーンは中々に感動的なシチュエーションになっていました。止まっていたままだと思っていたようで、リコもこの1年の内に少しずつでも前に進めていたことは視聴者にもハッキリと伝わる演出になっていたと思います。(バトルには負けてしまったものの得るモノが大きいのがまたリコらしい)さらには生徒たちの前で自分がライジングボルテッカーズの一員であることを話すなど、迷いが吹っ切れたリコの表情に晴れ晴れとしたものを感じましたね。新コスチュームと合わせて、彼女が心機一転・再び立ち上がれたことが読み取れる一幕でした。
そんなリコをさり気なく支えてくれたアンの存在も見逃せません。彼女たちの事情を知る数少ない友人の1人として、下手に探らず側で見守るくらいの立ち位置でいてくれたのが心地よかったです。一方でバトル方面で思わぬ快進撃を遂げている話には驚きました。選抜チームとしてバトルで活躍しているほか、後輩女子に黄色い声援を受けている光景は何とも意外でしたね。(ブルーベリー学園に声がかかっているということはいずれその辺りのエピソードもやるのかな……?)相棒のフタチマルもダイケンキに進化していますし、いつの間にかバトル脳になっているのもあって個人的にも微笑ましい日常の象徴、といった印象を受けました。
- 新たな始まりを告げるOP
そして本章から流れた新OP「GET BACK」についても触れておきたいところ。あの有名なフォークデュオのゆずさんが歌うことは以前から告知されていましたが、いざ聞いた時のその歌詞や曲構成が何とも印象に残りました。まずテレビサイズの時点で曲が1番と2番の構成に分かれており、それぞれがリコとロイのパートとして流れたのが特徴的。中でも1番から2番へと切り替わる瞬間にタイトルコールが入る演出がオシャレで、これまでのアニポケOPにはない変則的な面に思わず聞き入ってしまいます。
そして歌詞に関しては映像と同様に、今回のリコとロイをわかりやすく綴っていたのが素晴らしかったですね。前に進めず燻ぶっていたリコが決意を固めて歩み出す瞬間を1番で、戻ってこない日々を惜しみながらもそれらを取り戻すために進むロイの力強さを2番でそのまま歌詞に起こしたような印象です。この曲の作詞もゆずの2人が担当しているとのこと*1ですが、もしかして作る前に今回の脚本読んだ?と思うくらいには見事な解釈になっています。それだけにここまで今のアニポケにピッタリな曲を作ってくれたことに感嘆しつつ、この新たな幕開けを噛みしめて聞いていきたいと思いました。
というわけでアニポケ90話・91話の感想でした。あのラストから如何にしてリコたちが再び旅に出るのか気になっていた中、期待以上に納得のいく始まりになったかと思います。これまではフリードたち頼れる大人たちに助けられていた子どもたちが、今度は自分たちの意志で動き出す瞬間。まさしく少年少女の「自立」を描いているようでグッときましたね。正真正銘子どもたちの力だけで始まる「取り戻す」ための戦いに胸を躍らせずにはいられません。
そして過去の冒険以上に安全とは言えない冒険になりそうなのがキモ。前半のケッキングが暴走した原因として消滅したはずのラクリウムが関わっていることは確実ですし、あのスピネルがレックウザを除く六英雄を捕らえている光景はショックが大きかったです。他のライジングボルテッカーズの行方も不明なままなので、楽しくも困難な冒険になることを意識した方がいいかもしれません。その分これまで以上に緊張感のある物語が展開されそうなので、リコたちがどう切り抜けていくのかにも注目したいところです。
あとはやはり新作ゲームの販促も兼ねて「メガシンカ」が再びメインになっているのが嬉しいポイント。ロイのメガルカリオとウルトのメガヤミラミが早速活躍していましたが、メガシンカの演出の力の入りようも相まって興奮が止まらなかったです。(テラスタルもそうですが、使用時の各キャラの性格に合わせた前口上が個人的にもかなり刺さりますね)男らしくなったロイと合わせて、このメガシンカの切り札感にこれからも期待していきたいです。
さて次回は新たに冒険に出たリコとロイを、ウルトがつけ回す展開になる模様。ロイがいつの間にか知らない女の子と一緒にいる!?と予告で驚いているウルトに早速笑いが込み上げてきました。案外異性は苦手な初心な一面がありそうなので、早速彼に対して妙な可愛さを感じます。一方でドット情報で様子のおかしいポケモンとのバトルはしっかりある様子なので、ここら辺のギャップを楽しんでいきたいですね。
ではまた、次の機会に。
*1:作詞・作曲・編曲にはそれぞれメンバーの北川悠仁さんと岩沢厚治さんの名義で担当しているほか、音楽家のTeddyLoid(テディロイド)さんも参加している。
