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2024年春アニメ&特撮簡易感想 その13

 

 

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 1993年から30年以上、途切れることなく放送され続けているアニメ『忍たま乱太郎』の映画の情報が先日公開されました。劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師と銘打たれた今回の映画は、かつてないほどのシリアスを感じさせるものに仕上がっている模様。上の特報映像の時点で土井先生のピンチを予感させてくる緊迫感溢れる内容なのが伝わってきます。

 忍たま乱太郎は僕も幼少期よく見ていましたが、どちらかというとほのぼのコメディとしての印象が強かったので今回の映画には大いに驚かされました。しかし原作である『落第忍者乱太郎』然り、割と真面目なストーリーも多いという話を聞いて納得。元の小説の話も相まって、あの世界における忍者や忍術学園の過酷さを描かれるのでしょう。この映画では土井先生のカッコいい一面やきり丸との関係の掘り下げも見られそうですし、ちょっと観てみたくなりましたね。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

ブルーアーカイブ The Animation

第4話「覆面水着団☆」

 悪徳闇銀行の不正を暴くため、やろうぜ銀行強盗!前回のシロコの提案が実行されるまさかの展開に目が点になってしまいましたよえぇ。しかもアビドス生徒みんな、いざ実行し出したら割とノリノリで強盗を演じるので笑うしかありません。ブラックマーケットやカイザーローンと闇銀行の繋がりなど、キヴォトスの闇の部分を描いたおかげで多少乱暴な方法で証拠を手に入れようとする彼女らに違和感が無くなっていたのもシュールさに拍車をかけていましたね。そんなシロコたちの正体を自力で知ることなく憧れるポンコツアル社長はさぁ……

 それでいてお金の方には手を出さない「小鳥遊ホシノ(たかなし・ホシノ)」の姿勢には好感が持てました。悪党が稼いだ金だからって使うことを正当化しない……地味ながら大切な一線だけは踏み越えないよう後輩たちを諭す様子に惚れ惚れさせられます。でも先輩前回バスジャック提案してましたよね?それとなく生徒たちに聞き出す先生のスタンスもちょうど良かったですし、勢いだけで終わらせない内容に良い後味を覚える回でもありました。

 あとは今回登場した「阿慈谷ヒフミ(あじたに・ヒフミ)」も印象に残りましたね。身代金目的で襲われるだけでも可哀想だったのに、シロコたちに助けられたことで強盗の片棒を担がされた時は見ていて愕然としました。勝手にリーダー扱いされているのも不憫でしたし、早くも彼女に対して「可哀想可愛い」のイメージを抱きつつあります

 

 

終末トレインどこへいく?

第5話「骨にされてしまいます」

 『ガリバー旅行記』になるかと思ったら『キングコング』が始まった……ちょうど『ゴジラ×コング』が公開されているしタイムリーなネタですね。稲荷山公園駅周辺を支配するボスに立ち向かう展開はオーソドックスだったものの、ブチギレた玲実が全てをぶっ壊しかけるシーンでそれらの印象が吹っ飛んでしまいました。その後も晶に澁澤龍彦の本を食わせるなど行動がいちいちぶっ飛んでいるものの、そのどれもが晶に対する友情の深さを感じさせてくれるのでドン引きレベルまでにはいかなかったです。むしろ幼児退行していた晶然り、いがみ合っているようで互いに相手のことを大切に想っていることが伺える描写にほっこりさせられます。

 ぶっ飛ばされたボスはかなりはた迷惑な男だったものの、「基地が好き」といった理由を持っていたりと子どもっぽい一面が微妙に憎めなかったです。(ちょくちょく玲実たちにやられるので溜飲も下がりましたね)また静留が彼との会話で葉香のことを思い出していたのが目に留まりました。友人に話した夢を笑われたボスの話からして、静留と葉香の仲違いの原因も彼女らの「夢」が関わっているのでしょうか。

 他にも善次郎の知り合いである「マコト」ドクターから7Gに関する情報が語られたのは大きな収穫です。「7Gウェーブブレイン現象」と名付けられた変化の詳細として「意識のありようで人体が変化する」ことが判明し、これらの異変の根本に人の意識・心が関わっているのは興味深いところ。つまりそれぞれその人たちが「こうなりたい」と思った結果この状況が作り出されているのか……?という考えも浮かんできますが、真相や如何に。

 

 

狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF

第5話「狼の化身と従順な子羊」

 今回は捕まったホロへの危機感が募る中、彼女を救おうとするロレンスの奮闘が印象に残りました。教会との軋轢を恐れるマールハイトらミローネ商会に対し、こちらから告発するといった策を提案しつつ協力に持ち込む必死な説得には舌を巻きましたね。それでいて交渉の場が出来上がるまでホロと一緒に逃げ回るという、到底無茶な手段を考える辺りから、冷静さとやけっぱちの両方が今のロレンスには内在しているように感じられました。少々強引すぎるような気もしますが、それほどまでに彼がホロのことを想っていると思うとグッとくるものがあります。

 そうして決行された救出作戦自体は滞りなく成功しましたが、拗ねたり落ち込んだりするホロの態度が何とも不穏。ロレンスに助けてもらえなかったことに起こり出す姿は可愛らしかった一方、1話で出てきた「ヤレイ」が関わっていた展開で一気に彼女の抱える悲しみが感じ取れました。(やはり旧アニメでクロエの役割だった部分は彼が担当することになりましたか)新しい時代を生きようとするヤレイに「古き神は必要ない」と言い放たれた際のホロの心情は察するに余りあります。守ってきた村人に仇で返される神とその神の気まぐれに縛られた村人の憤り、双方の考えることがわかるだけにより複雑な気持ちになってしまう問題がのしかかってきたと言えるでしょう。

 

 

ちびゴジラの逆襲

第18話「ちびギドラは仲が悪い」

 ちびギドラの3つの首という特徴が久しぶりに触れられた今回。ケンカを繰り広げるそれぞれの首が互いを攻撃して、結局自爆する流れに懐かしさからくる笑いが湧き上がってきました。優男風で性格の悪い右の頭の言動など、首によって異なる性格も久々に触れられてニヤリときましたね。中でも一見粗暴そうな右の首が、ホラー映画が苦手だったりと実は繊細であることが判明したのが面白かったです。

 同時に判明したちびギドラの体のメカニズムもこれまた愉快。全員が等しく同じダメージを受けるだけでなく、睡眠時間まで共有している話は結構興味深かったです。首1つが徹夜しているだけで他の首たちの体調も影響を受けるのは中々に不便ですね。「9時間寝ても6時間分しか回復しないんだぞ!」という微妙にややこしい言い分などには特にクスっとさせられます。

 

 

ウルトラマン ニュージェネレーション スターズ

第14話「それぞれの道 僕が僕であること」

 今回は『ジード』序盤の名エピソードである「僕が僕であること」の再放送。周囲からの批判やゼロへの羨望から拗ねるリクと、ゼロに変身出来るようになって調子に乗るレイトさんが互いの立場を交換する珍妙さが何とも面白かったです。サラリーマンの苦労を知っていくリクの姿は、いつ見ても妙な親近感と納得を覚えますね。劇中で出てくる「体力の限界は来てもカラータイマーはならない」という洒落たモノローグも本作の文学的なエッセンスが感じられて素晴らしかったです。

 そのうえでレイトさんとお互いの問題を見つめ直し、自分のアイデンティティを再定義していく流れにスッキリさせられます。家族との生活を守るために日々働くお父さんもまたヒーロー、各々の立場を学び自分がウルトラマンであることに自信を付けていくリクには勇気づけられるものがありました。序盤は苦戦していたサンダーキラーも、再戦時に手にしたジードクローで撃破するので爽快感も抜群です。

 何よりエディオムがこのエピソードを、上司への愚痴に走るユカに見せるのが素敵なポイント。上には上の苦労と奮闘があることを感じ取らせたうえで「邪推や憶測は、得てして根拠のない決めつけとなってしまう」「同じ推測なら、良き方向に想いを巡らせた方がお互いにとってプラスになる」といった教訓で締めたことには大いに感心させられます。人間を知ろうとするAIのポジティブな解釈が何とも気持ちの良い回でしたね。

 

 

 そういえば今回の忍たま映画の情報解禁に合わせ、ネット上に存在する多くのファンの声が聞けたのがちょっと興味深かったですね。忍たまを好きな人がこれだけいるという事実に驚かされつつ、愛されている証拠からシリーズが支持されていることに納得を覚えます。

 その中でも今回の映画の主役であろう土井先生のファンが多かったのが印象に残りました。どうやら初恋が土井先生という女性ファンは非常に多いらしく、検索エンジンなどで土井先生と入力すると「土井先生 初恋」と出るほど。幼い頃では知りえなかった話に、どこかほっこりさせられる今日この頃でした。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

2024年春アニメ&特撮簡易感想 その10

 

 

 

 関西のローカル番組『水野真紀の魔法のレストラン』にて、ゲストとして出演した長野博さんが「マドカ・ダイゴ」を名乗ったことが先日話題になりました。話によるとスタジオでパスタを調理したシェフが「ティガが1番好き」と発言したことに対する、長野さんのファンサービスとのこと。シェフの親御さんがウルトラマンのコレクションを飾っている趣味の部屋を持っている話も紹介された模様で、まさにウルトラマン繋がりで長野さんがゲストとして呼ばれたことが伺えます。

 そうしてかつて『ウルトラマンティガ』で主演を務めた人が、ファンの前で演じていたダイゴの名前で自己紹介するのは中々に粋と言えますね。長野さん自身がティガとして、ダイゴとしてかつて出演したことを大切に思っているのが伝わってきました。実際に見たわけではない身でも、話だけで十分に心が暖かくなってくる話だったと思います。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

ブルーアーカイブ The Animation

第3話「便利屋68にお任せください!」

 新たな勢力として金さえ積めば何でもする何でも屋・便利屋68が登場。社長の「陸八魔アル(りくはちま・アル)」率いるアウトローを気取る連中ながら全くシリアスに見えない……と思っていた中で案の定ポンコツっぷりを炸裂させてきました。そこからは貧乏&見栄っ張りなキャラクターがわかりやすく描かれており、早い段階で「愛すべきおバカな敵キャラ集団」というイメージを掴むことが出来ましたね。(そのくせ戦闘では割と実力者揃いとして大暴れしていたのがまた興味深い)そのためか、いつの間にかアル社長の「なんですってー!?」な驚愕顔だけでシュールな笑いが出てくるようになってきました。

 一方アビドスメンバーはいつも通り廃校阻止の対策を講じていましたが、バスジャックやら銀行強盗やらろくでもない提案が飛び出してきて仰天してしまいました。中でもシロコは提案する前から銀行のルートを確保しているなどやたら用意周到な辺りに唖然となります。ぶっちゃけ便利屋たちよりもよっぽどアウトロー適性がある主人公チームの恐ろしさに慄きつつ、比較的平和なアイドルを提案してきた「十六夜ノノミ(いざよい・ノノミ)」(彼女多分ラブライブ!を見たな?)がちょっとした癒しに感じてしまうコミカルさがあったと言えます。

 

 

終末トレインどこへいく?

第4話「なんでおしり隠すの?」

 前回襲い掛かってきたキノコの脅威が、晶のお尻のキノコによって今回も描かれることに。失態を隠すあまり静留たちに言い出せなくなる晶に親近感を覚えつつ、無気力どころか引っこ抜いたことで幼児退行してしまう結果に愕然としました。仲間の1人が取り返しのつかないレベルにまで狂っていく様子には恐怖を覚えますね。晶の変貌に責任を感じ焦る玲実も相まって、ここまでのお気楽ムードが一気に削がれてしまった気分です。(その一方で普段からいがみ合っているようで互いに相手のことを思っている、玲実と晶の関係性がハッキリ描かれた点にニヤリときました)

 また今回は一気に稲荷山公園駅まで走りましたが、その道中で各駅のおかしくなってしまった光景が描かれたのも注目ポイント。武蔵横手のヤギ人間強襲の時点で十分にビビったのに、笑う植物に空飛ぶ臓物、ゴルフボールに恐怖のオブジェなど息を尽かせぬ奇妙奇天烈な世界観の連続には圧倒されるほかありません。前回の東吾野の人たちや今回の地蔵のように、意思疎通が出来るだけはるかにマシなのが伝わってきますね。上述の展開も含め、少女たちの置かれている状況が如何に深刻で過酷な「終末世界」であるかがハッキリと示された回だったとも言えます。

 

 

狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF

第4話「夢見がちな商人と月明りの別れ」

 今回はゼーレンの儲け話のカラクリを解き明かしてさらに一気に大儲け!と浮かれまくっているロレンスに対し、どこか寂しそうなホロの様子が印象に残りました。長い時を生きているだけに仲良くなった人たちが去っていく経験を重ねてきた彼女が、ロレンスに向かってハッキリと「1人は飽いた」と言い出すいじらしさに悶えてしまいます。(ロレンスもロレンスでホロが語った最初の友人の話にムッとなるシーンがあってニヤリときました)そんなホロに夢である「自分の店」を描いた紙をチリ紙代わりに渡す瞬間などには特に胸打たれますね。損得や利害を超えて、2人の関係が徐々に近づいていることを実感します。
 それだけに後半からの逃走劇、そしてホロとの一時の別れには胸が痛みました。お手本のようなフラグ発言を互いに重ねつつ、最後にはホロが自ら囮になってみせた展開はわかっていてもショッキングです。襲撃してきたグループがホロの正体を知っている件、逃げ込んだミローネ商会はあてにならないくだりなどハラハラさせられる要素も満載でした。(ミローネ商会所属の「リヒテン・マールハイト」とのやり取りの、残酷ながら至極真っ当な判断と忠告に息を飲みますね)両者の仲が大きく進展した中で引き離される世知辛さ、これもまた本作らしいと言えます。

 

 

ちびゴジラの逆襲

第17話「怪獣島ゴジラーズ」

 ちびメカゴジラの提案で野球をすることになったちびゴジラたちですが……野球のやの字も知らないので初っ端から頓珍漢な展開が繰り広げられることに。野球のルールを説明するたびにツッコんできたり、グローブを頭に嵌めるちびギドラ(右の頭)の絵面などには笑いが止まらなかったです。その一方で投げる用のぬいぐるみを用意するなどちびモスラがいちいちあざと可愛かったのがここすきポイントだったり。

 そして野球ということで、ちょっとだけ“野球のゴジラ”を意識した描写が多かったですね。上述のぬいぐるみはオレンジのウサギでしたし、「昔ゴジラって名前の伝説の選手がいたんだ」という直球な発言が飛び出してきた時は驚きました。現実でも再び話題になっている中、野球とゴジラの組み合わせを披露してくるタイムリーな内容には唸らされるばかりです。

 

 

ウルトラマン ニュージェネレーション スターズ

第13話「ダークネスヒールズ」

 ウルトラマンシリーズにおける悪のウルトラマンをはじめとしたダークヒーロー・ヴィランポジションが特集された今回。それらに対するユカの反応がちょっとした見どころになっており、ヘビクラ隊長(ジャグラー)が裏で何をしていたのかを知っていく様子に癒されました。隊長の黒歴史時代を敢えて聞かないことにする配慮や、父・ウルトラマンベリアルとの因縁に挑むジードへの応援など対象によって一喜一憂するのが面白かったです。特にウルトラマンギンガVSダークザギのドラゴンボール染みた超パワー決戦に仰天する様が印象に残りました。

 何よりメタレドの推しであるウルトラマントレギアへの反応が興味深いです。『タイガ』本編にてウルトラマンタイガを散々苦しめてきた厄介な敵ですが、よりにもよってチビスケ(キングゲスラ)を殺害するシーンをチョイスしてきたことには何と言えない制作側の悪趣味さを覚えました。そんなトレギアの所業を目の当たりにして「なんて嫌な奴なの!?」と憤慨する姿に、ユカの真っ直ぐな性格が読み取れましたね。そんな数々のヒールズを知ったうえで「ウルトラマンにもそれぞれ譲れない目的がある」ことを学ぶ、今回の意義を感じ取った次第です。

 

 

 上述の話で長野さんがティガのことを嬉々として話してくれたことに喜ぶと同時に、「ようやく公の場で話せて嬉しい」という気持ちもあったのかもしれないと感じた今日この頃。『遊☆戯☆王』の主演を務めた風間俊介さんが近年遊戯王業界に積極に関わってきている話然り、ずっと自分が演じたヒーローについてを話したかったように見えてきます。それだけに事務所の縛りが無くなって、自由に振る舞うことが出来た長野さんたちに感激が止まらないです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

2024年春アニメ&特撮簡易感想 その7

 

 

 

 いよいよ来週公開される『ゴジラ×コング 新たなる帝国』が、現在公開中の『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』とコラボする情報が発表されました。いやどういう組み合わせだよ!?と最初は面食らいましたが、片やゴジラとコング、片やコナンと怪盗キッドというタッグが取り沙汰されていると知り妙に納得がいきました。不倶戴天の天敵同士が共闘するという共通点は無理やりな気はするものの、GW(ゴールデンウィーク)真っ只中に大ヒットを飛ばすであろう両作の宣伝としてまぁ悪くないかも?と思います。

 そして上のコラボビジュアルの親和性の高さにちょっと吹き出してしまいました。ゴジラとコングの“G×C”に合わせて、コナンとキッドで“C×K”のマークが背景に浮かんでいるのが細かくて面白いです。一見すると全く別物の作品同士のコラボなら、これくらい真面目にはっちゃけた方がいいと感じますね???「ゴジラくんと一緒に仕事するならこれくらい出来て当然なのだ、へけっ」

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

ブルーアーカイブ The Animation

第2話「私は認めない!」

 アビドス高等学校所属の「黒見セリカ(くろみ・セリカ)」にスポットが当たった今回。先生を認めず反発したりバイト先を暴かれて照れたりと、絵に描いたようなツンデレっぷりを発揮していて非常に可愛かったですね。先生に対する敵意も仲良しグループによそ者が入ってきた時の反応そのもので、セリカの思春期真っ只中な態度に癒されます。そんな彼女だからこそ身内や母校への愛情が深いのも当然と言えるでしょう。

 他にもアビドスを取り囲む環境の現状が語られましたが、やけに印象に残っていた砂漠の街と学校の借金の繋がりに少々驚かされました。その地を後にした生徒たちが大勢いた中で残った彼女たちだけで回していることを思うと、上述のセリカの苦労と態度にも納得がいきます。(大人への不信感はかつて頼れる大人が側にいなかったから?などと考えてしまいますね)だからこそ先生や柴関ラーメンの大将のような大人を前にして、セリカの態度が軟化していく過程が微笑ましかったと思います。

 あとはやはり先生のタブレットに存在する「アロナ」について。前回ラストの時点で何者かと思いながら見ていた中、個人のスマホを特定するほどのトンデモ能力を発揮してきたので愕然としました。そんなアロナが何者なのかだけでなく、先生が唯一彼女を起動することが出来る理由などが気になるところです。

 

 

終末トレインどこへいく?

第3話「ショートでハッピーイージーに」

 頭に生えたキノコの珍妙さが目に留まる中、おいおい突然『マタンゴ』が始まったぞ……!?とか思わずにはいられないほどのホラー展開に度肝を抜かれました。東吾野の住人たちの親切な態度の裏に潜むモノが明らかになっていくと同時に、晶以外の仲間全員が無気力なキノコになっていくのは中々に怖かったです。唯一危険を感じていた晶の視点では終始不気味に描かれていて、彼女の恐怖を追体験していくような内容になっていました。そしてラストにはホラー特有の「実は○○がまだ生きていた……」オチまで完備されているので隙が無かったです。

 そんなキノコになった東吾野の住人たちですが、キノコになることで苦しみから解放されていたというのは中々に興味深いです。彼らにとってはこんな狂った世界で長く生きるより、短く気楽に生きる方が幸せだということが語られた時は騒然としました。その考え自体は理解出来る反面、親切という名の押し付けで静留たちを仲間に引き入れようとした点などは正直傲慢に思えます。

 それ故晶の言葉を受け、自力でキノコを引っこ抜く静留の復活劇が光っていました。幼少期からの葉香との思い出が要所要所で描かれていた分、彼女と再会するまで止まれないという覚悟がより強く伝わってきます。イヤなことから逃げて死んだように生きるか、どんなに苦しくてもやりたいことを果たすために足掻くか……この世界での生き方が問われるような内容に仕上がっていて感嘆を覚えますね。

 

 

狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF

第3話「港町と甘い誘惑」

 賢狼ホロの本領(?)が発揮された今回。町に着くなりロレンスにリンゴをねだるわ、山ほど買って全部食うわと食っちゃ寝が目立っていたホロが、教会での商談で巧みな話術を仕掛けてくる展開に改めて驚かされました。先ほどまで食べていたリンゴの匂いが毛皮の付加価値を上げる策略だったと判明する瞬間は、わかっているだけにニヤリとさせられます。堂々と三味線を弾きリンゴのおごりの分を余裕で取り戻すホロの胆力は流石といったところ。それでいて過去に出会った商人のやり方を参考にしたことや、「怒るのではなく感心してこそ」といった不敵な口ぶりも魅力的だと感じます。

 さらに後半では銀貨の純度とそこからくる信用・利益の話が展開されたのも見逃せません。国が乱立しては国力を示すために新しく作られる多様な銀貨に人々はどのように信用していくのか、硬貨の存在が語る本作の情勢や周囲の期待値などには思わず聞き入ってしまいました。また前回ロレンスと取引をした「ゼーレン」に騙されている可能性が示唆されるなど、純度がそのまま儲けの話に直結していく流れはやはり興味深いです。上述にもある通り前半ではホロが騙した構図が、後半のロレンスが損をしたと気付く構図の対比になっているのも面白かったですね。

 

 

ちびゴジラの逆襲

第16話「スマホはべんり」

 待ち合わせに遅刻するちびゴジラたちに渡したスマホで起こったコント劇場に笑いが止まらない件。堂々と遅刻してきたうえで、翌日には「全員で約束なんかしてないってシラを切るのはどう?」とかいう最悪の提案をしてくるちびゴジラの畜生ぶりが腹筋に直撃してきました。それでいてちびゴジラはスマホを壊したはずなのにチャットに参加している→ちびゴジラが冒頭で言ってた「見せたい物」が拾ったスマホというオチの秀逸さには舌を巻くばかりです。

 またスマホあるあるから他のちび怪獣たちの個性が発揮されていたのも注目ポイント。遅刻した時に連絡するために用意したスマホに夢中になって寝坊、という共感させられる事情から、自撮りするちびモスラなどみんな自重しなくなってきているのが面白かったです。中でもちびアンギラスが見事なまでのネット弁慶ぶりを発揮していたのが衝撃的で、言葉が通じないだけで普段こんなことを喋っているのかと思うとシュールすぎて変な笑いが出てきます。

 

 

ウルトラマン ニュージェネレーション スターズ

第12話「諦めない心 絆 -Unite-」

 受け継がれてゆく魂の絆・ウルトラマンネクサス。コアなファンが多いネクサスが『X』にて客演した回がピックアップされましたが、久々ながら胸が熱くなりました。XIOの橘副隊長が追い詰められた瞬間に現れるエボルトラスター、それを引き抜いてネクサスに変身した副隊長の活躍に当時見た時の感動が思い起こされましたね。『ネクサス』1話を彷彿とさせるチュエーションだけでも嬉しい中で、バグバズンブルード戦での予算削減フィールドメタフィールドを展開などにもテンションが上がります。加えて川久保拓司さんが副隊長の夫役として出演していたおかげで興奮もひとしおです。

 他にも橘副隊長の葛藤のエピソードも非常に好みですね。家族と目の前の任務を天秤にかけたら……という副隊長の真面目さが伝わる中で、ネクサスが「諦めるな」というメッセージを残してくれるのはやはり素晴らしいです。何より今回このエピソードを介することで、アンニュイなユカを励ますエディオムの気遣いに感心させられます。ウルトラマンと人間がどちらも諦めずに戦い続けるからこそ、平和を手にすることが出来るというのはウルトラマンらしい答えと言えますね。

 

 

 ゴジラ×コングがもうすぐ公開されるという話にワクワクしてきた今日この頃。予告の方も様々な形で動画公開されており、いずれも期待感を大いに高めてくれます。中でも個人的なお気に入りが吹き替え版の予告。

 

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 お馴染みゴジラのテーマが流れ、豪華な吹き替えキャストが喋る動画は興奮度は高め。個人的には宮野真守さんがいるのが嬉しいですね。アニゴジことアニメ映画の『GODZILLA』三部作にて主人公のハルオを演じた宮野さんが、シリアスなトーンで「ゴジラだ」と言ってくれるだけで感極まるものがあります。というわけで、テンションを上げまくりながら本作を目にする瞬間を心待ちにしていたいと思います。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

2024年春アニメ&特撮簡易感想 その4

 

 

 

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 全国交通安全運動開催の前日、埼玉県さいたま市では『仮面ライダーセイバー』が子どもたちに交通安全を呼び掛けるイベントが開かれたとのこと。同名の作品で神山飛羽真/仮面ライダーセイバーを演じた内藤秀一郎さんが出演し、現行作品である『仮面ライダーガッチャード』も交えて登壇という、ライダーひいてはセイバーのファンとしては注目してしまうような催しで思わず目を輝かせてしまいます。内藤さんが埼玉出身であることから今回の起用が決まったのだと思われますが、「約束」をテーマにしているセイバーが交通ルールを守ることの大切さを説く……というシチュエーションだけでも胸熱ですね。

 

 

 また開催前に発表されたポスターのデザインも見逃せません。誘導棒を持った内藤さんのポーズは劇中で飛羽真が聖剣を構えた姿そのものですし、イベントタイトルのフォントや左上の交通ルールをまとめたアイコンはいずれもセイバー本編を意識したもので舌を巻くばかり埼玉県警内にセイバーのファンがいるのではないかと疑ってしまいそうなほどの出来栄えです。他にも上のニュース動画では内藤さんの「物語の結末は、俺が決める!!」や、セイバーのフードを被って見守る子どもが映っている場面にもニヤリとさせられます。

 まぁ大人のオタク視点でウキウキしてしまいましたが、子どもたちが交通ルールを守って自身の身の安全を確保していくことを学ばせる点でもこのイベントは素敵だと感じましたね。子どもに限らず大人たちも同様、ヒーローといった憧れの存在が教えてくれたことを胸に、交通事故を未然に防げる世の中を目指したいものです。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

ブルーアーカイブ The Animation

第1話「アビドス高等学校 廃校対策委員会」

 「ブルアカ」の略称で現代のオタク文化の最前線を行くスマホゲームのアニメ化。以前から気になっていたものの原作のゲームには全く触れたことのない身で視聴してしまいましたが、CMなどで謳われている「透き通るような世界観」の意味がわかる映像美がまず目を引きました。学生たち主導の自治によって秩序が保たれている「学園都市キヴォトス」を舞台に、自分の居場所を守り戦いながら青春を謳歌する少女たちを描く作品であることを感じ取った次第です。(まぁそれにしても撃たれても死なないからみんなバンバン銃をぶっ放す治安の悪さには軽く引きますが……

 中でもこのアニメでは「砂狼シロコ(すなおおかみ・シロコ)」らアビドス高等学校の生徒たちの奮闘がメインといったところでしょうか。突然現れた先生に戸惑いながらも、いざ戦闘が始まるや否や彼の優れた指揮能力によって勝利を収める展開はわかりやすいながら迫力満点。特にシロコの感情の起伏が少ないようでいて、その実激情家かもしれないと思わせる戦闘時の激しさが印象に残ります。その一方で日常パートはちょっと穏やかでシュールなものになっているのが面白いですね。プレイヤーの分身であるものの腹に一物抱えていそうな先生やOPなどで散見される不穏な描写などに警戒を覚えるものの、基本はちょっとゆる~い感じで見ることになりそうです。

 

 

終末トレインどこへいく?

第2話「推測、だろう、思われる」

 凄まじい勢いで始まった池袋までの電車旅。今回は静留が同じく勢いで乗車してしまった同級生たちとひと悶着ありながらも、少しずつ旅への決意を固めていく過程が描かれました。まず前半の時点で「久賀玲実(くが・れいみ)」と「東雲晶(しののめ・あきら)」の口ゲンカや、「星撫子(ほし・なでしこ)」にたしなめられることを静留がうっとおしいと感じている描写にはハラハラさせられますね。

 しかし静留の方も大雑把な持ち物など見通しの甘さが露見しており、彼女たち全員ちょっとした遠足気分が抜けていないことが伺えます。ただ最後にはついてきてくれた彼女たちへの感謝を見せていましたし、戻れなくなった時点で覚悟を固めるラストは雨降って地固まると言っていいでしょう。危機感が足りていないと思いつつも、その問題を彼女たちがどう克服していくのかに期待が持ててきました。

 また東吾野駅までの異様な道のりには息を飲みました。ジェットコースターのような凸凹線路をはじめとして、吾野周辺を知らない身でもこれはおかしいと感じ取れるシーンの数々に鳥肌が立ってきます。極めつけは水位の上昇&突然の大津波と、吾野の外がこれまでとは別世界になっていることを否が応でも実感させられました。途中で遭遇した如何にも怪しい男の「見たものを信じるな」というアドバイスも、あながち間違っていないのがわかりますね。そしてラストのキノコは……もしや寄生されてる?

 

 

狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF

第2話「いたずら狼と笑えない冗談」

 全裸でからかうホロのシーンで猛烈な懐かしさを覚える第2話。北に向かう旅の途中で立ち寄った教会でのロレンスとホロの洒脱なやり取りにニヤリとしつつ、各々の違いが明らかになっていくストーリーに見入ることになりました。賢狼としての実力を何度もアピールしてくるホロの可愛さ(そのくせ食べ方がどうしても犬食いになってしまうところがここすきポイント)、それを感心したりあしらったりするロレンスの態度は両者の関係性を端的に表していると言えます。それでいてホロの嘘を見抜く力を活かして交渉を乗り越える辺り、この時点で大分2人がツーカーの仲になっていることが伺えますね。

 一方で2人のどうしても避けられない価値観の相違が散りばめられていたのも今回の注目ポイント。狼に襲われた過去を抱えるロレンス然り、人間を恐怖の対象と見なすホロ然り、それぞれお互いのトラウマや地雷が存在することを知っていく様子にヒリつくものを感じずにはいられません。片や人間片や狼である以上、生きている世界も見えているモノも全く異なることが視聴者にも伝わってきました。それ故に時に触れてしまう時はあれど、相手の答えられないものを敢えて踏み越えない掛け合いが心地よく感じますね。何よりロレンスとホロが今後もやっていけるために、必要なすれ違いと和解が繰り広げられていたと改めて思いました。

 

 

ちびゴジラの逆襲

第15話「ちびミニラはしっかりもの」

 今回はちびゴジラのいとこにして新キャラ「ちびミニラ」が登場。(「”ちび”と“ミニ”で意味被ってるじゃん!」と劇中でツッコむシーンにワロタ)色々とヤべーやつであるちびゴジラとは対照的に、初対面のちびメカゴジラに対してもまともで礼儀正しい性格だったので大いに驚きました。何より破天荒なちびゴジラお兄ちゃんに振り回されることはあれど、そんなお兄ちゃんのことが「大好き」だという言葉に癒されますね。本作始まって以来の良い子もとい良い怪獣かもしれません。

 そんなちびミニラと知らない人(不審者)から逃げる練習をする今回のエピソードも見逃せません。いざという時は放射熱線で撃退しようとする脳筋ちびゴジラと、例によって巻き込まれるちびメカゴジラのギャグは相変わらずといったところ。しかし「知らない人には決してついて行かないとはっきり断る」という、現実でも重要なやり取りを行っていたのは好印象。子どもが視聴している作品でこうした大切なことを教えていくのはとても有意義だと感じますね。それにしても「一度会ったからもう知らない人じゃないよね?」とかいう手口はその内現実でも使われそうなのでちょっと怖い……

 

 

ウルトラマン ニュージェネレーション スターズ

第11話「異次元人の挑戦」

 『ウルトラマンA』のメインヴィランとして登場し、以降の作品でもウルトラマンに挑戦し続けてきた異次元人ヤプールをまとめた今回。ニュージェネに限ったモノだけで丸々1話分の特集を組めたことにまず驚かされますね。ウルトラマンへの怨念を糧に何度も復活しては襲い掛かってくる設定故に使い勝手のいい、かつ凶悪な敵キャラである結果が今回の特集ということでしょう。(それだけに『デッカー』でヤプールを怨念ごと取り込んだスフィアの恐ろしさを実感します)ヤプールとヤプールが作った超獣たちの存在感を改めて感じ取りました。

 そんなヤプールの脅威に敢然と立ち向かうウルトラマンたちの共闘が今回のメイン。ゼットが名付け親であるウルトラマンエースと共に戦ったり、ギンガとビクトリーがウルトラマンヒカリの助けやウルトラマンレオ&アストラ兄弟の激励を受けるシーンはどれもテンションが上がります。(また本編では流れなかった「ウルトラマンエースの歌」が今回に限って流れたのも良き)前回同様、仲間との絆で困難を乗り越えるウルトラマンのシチュエーションはやはり良いものです。

 また超獣やエースキラーなど、ヤプールが遺した兵器が別の陣営によって使われている例を挙げてきた時は感心しました。『キラー・ザ・ビートスター』など、ヤプール由来ではない怪獣兵器として扱われる作品も多かったですね。使い手を失っても別の存在に利用されるヤプール驚異の技術を思い知らされた気分です。

 

 

 上の余談ですが交通安全のイベントのニュースを見た際、登壇した内藤秀一郎さんの背の高さには驚いてしまいましたね。0:23辺りの表彰される場面でも、警察署長と思われる方との身長差が如実に発揮されています。調べたところ内藤さんの身長は185mということでさらに仰天してしまいました。

 当時セイバー本編を視聴していた時はそんなに大きいと感じなかったのですが、これは恐らく内藤さん以外の出演者もまとめて高身長だったからでしょう。ライダーの出演者はやはり高身長の人が多いのだなぁ……と圧倒せずにはいられない話でした。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

2024年冬&春アニメ&特撮簡易感想 その1

 

 

 4月に入ってから早数日が経過しましたが、皆様は如何なるアニメライフをお過ごしでしょうか。いくつか始まった新作のアニメの中から、気になる作品を視聴し始めたころかと思います。かくいう僕も、以前から楽しみにしていた作品からいざ見てみてから惹かれた作品まで多くのアニメを確認している最中です。

 今回から例によって、そんな2024年春アニメの感想を書き残した冬アニメと共に始めていきたいと思います。新作の感想はまだ2作だけですが、今後増やしていく予定です。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

ラグナクリムゾン

第24話(最終話)「光」

 強さをさらに極めたウォルテカムイと生き返ってでも喰いつくラグナの死闘、両者の戦いは予想していた以上にあっさりとした決着で終わりました。雷の速さを極めたカムイに対し、それすらも超える光の速さの二連撃を決めるラグナがシンプルながらカッコよかったですね。見合ってからの緊張感は長い一方で、勝負が決まる瞬間は目にも止まらぬほどの一瞬というのは、実に「達人同士の一戦」としての雰囲気が詰まっていたと言えます。

 そしてアルテマティアにトドメを刺したのはまさかのヘゼラとこれまた驚きの連続。(この辺りは「奴を殺さず時操魔法を使わせればみんなを生き返させられるのでは?」と葛藤するヘゼラがここすきポイント)そしてアルテマティアが翼の王になる瞬間の回想も明かされ、自分の意志を選んだようでいて最後まで神の支配を死んでいったものの声から逃れられなかった彼女の哀れさに顔を覆ってしまいました。兵団側の失ったものも甚大で、どこまでも心にしこりが残る勝利になってしまった印象は拭えなかったです。

 ただスターリアをはじめとして何人か生き残っていたので多少は救われましたね。何より悲しみに明け暮れていたラグナが、それを心に押しとどめたうえで新たな戦いに向かう姿が何とも爽やかで素敵でした。悲惨な境遇に胸を痛めることはあれど、悲観的では終わらない「俺たちの戦いはこれからだ!」になってくれたと思います。

 

総評

 2クールにわたって放送された激強主人公VS化け物軍団の極限バトルアニメ。序盤こそ話の進みがスローペースであることにヤキモキさせられましたが、アルテマティアと邂逅してからハイテンポで面白さも加速していきました。人知を超えた力で人間を蹂躙する竜を、それ以上の力で圧倒する主人公の構図は中々に爽快感がありましたね。それでいて一強では終わらない対立構図や二転三転する戦況の有利不利、人間側も底知れない実力を発揮したりと回を重ねるごとに作品としての魅力が増えていったイメージです。

 中でももう1人の主人公であるクリムゾンの存在が大きな注目ポイント。目的のためなら手段を選ばず合理的に敵味方を蹂躙する、主人公側とは思えない外道っぷりが鮮烈でした。それでいて要所要所でしくじって痛い目を見るので、ヘイトが溜まり過ぎない構成も見事。鈍感でストイックなラグナとの剣呑な関係も絶妙な塩梅になっており、物語を大いに盛り上げてくれたと感じています。

 他には根本的にズレた竜側にも譲れないものや悲しい過去を背負っている描写、対してスターリア率いる銀装兵団の気持ちいいキャラクターなどサブキャラに至るまで非常に濃かったです。おかげで見終わるころには敵味方問わず多くのキャラに愛着を覚えましたね。個人的にかなり気に入った作品なので、原作漫画の方もチェックしてみたいと思いました。

 

 

メタリックルージュ

第13話(最終話)「コード・イヴ」

 全ての黒幕であるロイ・ユングハルトの真意が語られた最終回。文字通り裏で糸を引いていたのは察せられていたものの、ジルの思考なども全て用意されていたものだという真実には度肝を抜かれましたね。目的もネアンの新たな可能性云々と実験的な側面が強く、この男にとってルジュも他のネアンも全てモルモットに過ぎなかった点に衝撃を隠せません。またネアンに記憶を移したユングハルトの態度が、イメージよりもテンション高めだったのも困惑と恐怖を増幅させていたと感じます。

 そんなユングハルトの目論見を止め、シアンを救うために繰り広げられた最後の戦いではルジュとナオミがまさかの合体。(この形態こそタイトルにある「メタリックルージュ」なんですかね?)ナオミのイドを渡した時点で彼女に何かしら起こるとは思っていましたが、この展開はシンプル故に熱かったと思います。全てが手のひらだと思っていたユングハルトの予想を超えてきたのが、ルジュ自身が選んだナオミとの絆だったということでしょう。例え用意されていた道でも、選んだのは自分自身であるというメッセージを強く印象付ける決着となっていました。

 その後は簒奪者のウイルスが挿入されるかと思いきやジーンがあっさり阻止してズッコケたり、シアンがそのまま帰らぬ人になったことを悲しんだりと情緒も大変なことになりました。しかしネアンがアジモフコードから解放され、自らの意志で行動出来るようになった世界での希望は少なからず残っていたのが素敵でしたね。わからないことだらけでも、この2人なら乗り越えられるだろうという確信も得られたと考えています。

 

総評

 中々にストイックな印象を受けたオリジナルアニメーション。変身ヒーローのような要素を内包しつつ、人造人間の悲哀やそれを解決するための課題などが絡み合った複雑な物語となっていました。ロボット三原則を元ネタとした設定など被支配者層に着目したSFは独特なものとなっており、回を増すごとに注目してしまうパワーがあったと思います。世界観の説明がまばらなので理解するのに苦労しましたが、咀嚼するたびに味わい深いものを感じるアニメでしたね。

 本作に関してはやはり主人公のルジュが自己を確立していく過程に注目したいところ。はじめは家族の言いなりで行動していた少女が、世界や人々に触れる中で正しいこととそうでないことの違いに悩むようになる様子が丁寧に描かれていました。葛藤の果てに自我を見つけていくストーリーに、いつの間にか親のような目線で見るようになっていたのが感慨深いです。ある種幼児のような存在であるルジュを見守ることで本質を理解していく作品だったかもしれません。

 あと個人的には本作のキャラの言い回しが好みですね。ルジュの「○○さん?」といった呼びかけは不思議な魅力がありましたし、子どもが大人ぶっているような口調は効いていてクセになりました。他のキャラたちの間でも小粋なジョークが飛び交っており、ちょっとした洋画を見ている気分に浸れたのも面白かったです。

 

 

終末トレインどこへいく?

第1話「ちょっと行ってくる」

 水島努氏が監督を務めるオリジナルアニメ最新作は、いきなり投げつけられた謎の世界観に困惑させられることになりました。池袋辺りで突然世界が歪んだと思ったら、飯能の吾野駅にて動物になってしまった住人たちを見せられて最初は理解が追い付かなかったです。それでいて住人はそれを受け入れてのんびり暮らしているのですから実にシュール。しかし動物化した住人がたまに正気を失ったり、外の地域では木になってしまった人もいるらしい話が出たりと世界そのものが恐ろしい事態になっていることは伝わってきます。冒頭に出てきた「7G回線」の影響によって、呑気ながら緩やかに世界が崩壊に向かっていく様を目撃している気分になってきました。

 しかし未だに人間のままである少女たちの存在のおかげで、本作の見るべきものは捉えられました。主人公の「千倉静留(ちくら・しずる)」の目的は7G事件以前にケンカ別れしてしまった友人「中富葉香(なかとみ・ようか)」に会いに行くというシンプルなものですし、そのために西武2000系の電車に乗って池袋に向かう展開もわかりやすかったです。(ラストに「池袋駅まであと30駅」と表示されるのが地味にここすきポイント)「女の子が電車を操縦する」というシチュエーションを実現するために、ぶっ飛んだ世界設定にする辺りは流石水島監督といったところでしょうか。2人のケンカの原因やたまに元に戻る「善次郎(ぜんじろう)」さんが語った7Gの謎など気になる要素も多いので、今後が楽しみになってきました。

 

 

狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF

第1話「収穫祭と狭くなった御者台」

 往年の名作ライトノベル『狼と香辛料』のアニメがまさかのリメイク。旧アニメが2008年放送という事実に戦慄しつつ、あちらよりも原作のイラストに寄せたキャラデザと開始数分の雰囲気に早くも引き込まれました。剣も魔法も存在しない中世ヨーロッパ風の世界を舞台に、穏やかながら心がザワつかされる雰囲気は健在といったところ。メインの声優も旧作から続投しており、当時を知る者としてはノスタルジーに浸ってしまいます。

 何といっても主人公の「クラフト・ロレンス」とヒロイン「ホロ」のやり取りに懐かしさを覚えますね。若い行商人が豊穣の神たるの賢狼を名乗る素っ裸の少女に出会ってドギマギする……当時と全く同じシチュエーションの再現に舌を巻くばかり。(旧作よりもロレンスの警戒心が強いように感じましたが)そしてホロが帰りたがっている北を目指すロードムービーとしての空気も久々に味わえて満足度が高かったです。

 他にもアニオリキャラだったクロエがいなかったり(それっぽい少女がチラッと映ったそうな)と、旧作との違いを見つけるのも楽しいです。新アニメの原作に忠実な点も含め、そういった楽しみ方にも従事していきたいですね。

 

 

ウルトラマン ニュージェネレーション スターズ

第10話「英雄たちの邂逅」

 ブレーザーキーに関する謎を追う中で、マウンテンガリバーの意外な正体が判明。去年のジェネスタでゼロたちが邂逅した人工知能「エディオム」の再登場には大きな衝撃を受けました。前作とタイトルが同じなのはそういった繋がりがあったからなのか!と納得しつつ、あのエディオムが前向きに人間やウルトラマンの絆を見守るようになったことに感動してしまいますね。かつて孤独を感じるあまり暴走してしまった人工知能が、今やユカやイグニスといった仲間を得て和気あいあいと過ごしていると思うと心が暖かくなります。

 そして振り返り映像はエディオムが集めてきたウルトラマンの“繋がり”がピックアップされました。『ウルトラ10勇士』でウルトラマンコスモスをはじめとした平成ウルトラマンたちの共闘が紹介され、彼らが助け合うことで困難を乗り越えてきたことを端的に示してくれていましたね。(中でもウルトラマンメビウスがルーキーを卒業して「ウルトラ警備隊の精鋭」と呼ばれるようになっていたのがグッド)さらにイグニスは自分が変身するトリガーダークのエピソードを話し、ウルトラマンの多さにユカが混乱してしまうなど微笑ましい様子が多く描かれていたのが素敵でした。

 

 

 2024年の春アニメは気になる作品が多いので、冬アニメ以上に選ぶのに苦労しそうです。ついさっき視聴した『ゆるキャン△』など感想を書くのが確定のものもあれば、まだ迷っている作品もいくつか……とこれまた頭を悩ませています。ただこれもまたアニメ視聴の醍醐味とも言えるので、苦しみつつも楽しんでやっていきたいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。