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最近話題の『連ちゃんパパ』を読んで精神的に大ダメージを受けた話(雑記 2020.5.30)

  

連ちゃんパパ(1) (ヤング宣言)

連ちゃんパパ(1) (ヤング宣言)

 

※今回の記事は胸糞要素が数多く含まれます。非常に気分が悪くなる可能性があるので注意してお読みください。

 

 

 

 

 

 

 前回の記事で書いたように、ここ最近は無料で公開されている作品を色々読んで過ごしている今日この頃のメタレド。そうしている中、最近Twitterなどで大いに話題になった『連ちゃんパパ』をいい機会だからと先日「マンガ図書館Z」にアクセスして読んでみました。そして精神的に大ダメージを受けました。

 

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 一言で言ってしまえば非常に恐ろしい作品です。当初は教師として真面目に働いていた主人公がパチンコに手を染めたことをきっかけに堕落していく様子が可愛らしい絵柄で淡々と描かれていてかなりの恐怖を感じました。

 何が恐ろしいかと言いますと、主人公が罪悪感や良心の呵責といったものを一切持たずに、パチンコや汚いことを平気で行っていく点に尽きます。パチンコで遊ぶ金欲しさに多くの人を陥れ、家族や知り合いの善意すら利用して足蹴にしていきながら、それらを喜々としてこなしていく様は同じ人間なのかと疑ってしまうほどです。どうにかして更生する道を進み始めたかと思いきや何かの拍子にまたパチンコに手を出し、その過程で他人を破滅させていく主人公には最早恐怖を感じるほかありません。

 彼に限らず主要な登場人物の大半がどうしようもないほどのロクデナシなのも救いがありません。それらの底辺のクズたちが我が身可愛さに足を引っ張り合い、恥も外聞もなく他人を傷つけあっていく姿はまさに”無慙無愧(むざんむき)*1。畜生そのものと化した登場人物を見ていると本当に恐ろしいのは壮絶な悪人でも何でもない、どこにでもいる普通の人間が身近な悪事に手を染めることなのだと思い知らされます。

 

 また内容以外にも漫画としての完成度が高いのもこの作品の恐ろしさを一層引き立てています。可愛らしい絵柄というふうに前述しましたが、『釣りバカ日誌』を彷彿とさせるデフォルメ具合のキャラクターに加え、コメディタッチで描かれていく作風のおかげで内容に反してあっさりと読めてしまいます。(実際僕は全43話を読み終えるまで1時間もかかりませんでした)それ故に読んでいる間は大したダメージはありませんが、読み終えてしばらくした後の精神にじわじわくる言いようのない胸糞悪さは計り知れません。

 ストーリー全体の作り方に関しても見事。主人公が更生しようとしたり、新しい道に進みはじめようとした矢先に何かしらのトラブルが発生して現状が大きく変化するなど、新展開を4~5話の間隔で起こして読者を飽きさせずに読み進めさせる構成には作者の力量の高さが伺えます。決して内容だけで勝負していない作品である点も本作が話題になった要因の1つでしょう。

 

 

 他にも登場人物がクズばかりでヤクザの男が相対的にマシに見える(18話は人情味が感じられる唯一のエピソードでしたね)とか、家族仲良くまともな生活につけるかと思いきや・・・・・・という不穏すぎるラストなど、語りたい点がとにかくたくさんあるのですが、実際に読んでもらった方が早いかと思います。

 1990年代に発表された古い作品なので表現などに若干の古臭さを感じるところがありますが(僕は主人公の息子がかかった疾患が「自閉症」だと説明された場面で「ん?」と思いました*2)、読みにくいということは決してないので是非読んでほしいところです。そしてみんなも精神的に大ダメージを受けよう。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:無慙」は自分の犯した罪を、仏の教えを破りながらもそれを恥じない心。 「無愧」は自分の罪を他人に対して恥じない心のこと。「goo辞書」より抜粋 https://dictionary.goo.ne.jp/

*2:自閉症は先天性の広汎性発達障害なので後天的になることはありません。