新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

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2023年冬アニメ簡易感想 その10

 

 

 2023年のアニメの視聴に勤しむ中、不肖メタレドは同時にドラマもちょくちょく見ています。毎季様々なドラマをチェックしている母や姉の横でチラッと見る程度ではあるものの、気に入った作品を見つけた時は一気に見入ってしまうことがありますね。母によると今季は『女神(テミス)の教室』や『ヒヤマケンタロウの妊娠』辺りがおすすめらしく、個人的に結構気になっています。

 中でも特に力を入れて視聴しているドラマが『大奥』。『きのう何食べた?』などでお馴染みよしながふみ氏原作の漫画をドラマ化したもので、NHKドラマ10で放送されています。原作漫画を当時何度も読み返した身としては見逃せない作品でもあり、ドラマならではの改変や描写に一喜一憂している真っ最中です。

 本作は男性だけがかかる奇病「赤面疱瘡」で男子が激減したことによって誕生した男女逆転大奥が特徴的なのですが、それ以上に劇中で描かれる凄惨な愛憎劇に何かとギョッとさせられます。人間の醜悪さや欲望、どうしようもない歴史の流れに晒される様子には何度も目を背けてしまいそうになります。(実際原作を読んでいた当時の僕は本作の「カッコいい吉宗の活躍」に期待していた中、始まった家光編のショッキングな展開に一度読むのを止めてしまった経験があります)ドラマになったことで、そのキツい面がより強く出てしまっていることがあるかもしれません。

 しかしそんな理不尽を前にしても、懸命に生き抜く人の心の強さ・愛の深さを描いているのが本作の魅力でもあります。実際ドラマでも狂気的な人物として描かれていた春日局が晩年“母”として描かれたり、有功と家光(千恵)の愛の物語が展開されたりと胸打たれる要素が目白押しでした。やるせなさに包まれることもあるものの、同時にちょっとした感動を味わえる大奥、今からでも多くの人たちに見てほしいところです。ちなみに現在放送中の綱吉編も吉保がいい感じに怖かったり意外な伏線が回収されたりとおすすめですよ!

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

※『あやかしトライアングル』はしばらくの間再放送のため、感想はありません。

 

 

 

 

シュガーアップル・フェアリーテイル

第5話「アンと猫の砂糖菓子店」

 品評会を終えたアンに待っていたのは、まさかの別のお店でのお手伝い。「キャット」こと「アルフ・ヒングリー」の店で半ば無理やり働かされることになったアンですが、キャットとの仕事でその技術と心意気を獲得していく光景が何とも素敵でしたね。キャットは口は悪いものの優しく、お金の損得で仕事をしない信念をキチンと持っていたのですぐに好感が持てました。そんなキャットの造った砂糖菓子を盗まれるわけにはいかない!とアンなりにしっかりと対策していたのもグッド。前回に引き続き、主人公が「誰かの笑顔のため」に頑張れる砂糖菓子職人になりつつある様子は見ていて実に心地よかったです。(生意気そうな男子が憧れのあの人だった!?という流れもどこか懐かしかったです)

 またキャットと彼の妖精である「ベンジャミン」の関係も興味深いです。羽を当人の手元に置きっぱなしにするキャットのいじらしさ、それを理解したうえで自ら彼を支えるベンジャミンの優しさには心が洗われるようです。砂糖菓子職人としてだけでなく、ある種人間と妖精の理想的な距離感を体現していると思います。その2人に見習ってアンとシャルの距離も少しずつ縮まっていく過程も描かれていましたし、ファンタジーロマンスとしての王道をシンプルにわかりやすく魅せてくれた回でしたね。

 

 

吸血鬼すぐ死ぬ2

第5話「未知なるフクマに夢を求めて」「暴走特急お人好し」「次は終点裏新横浜」

 今回はフクマさんから逃げ出そうとするボサツの視点からスタート。フクマさんの謎の自宅空間や狂気に満ちた仕事風景など、全体的に得体の知れないものへの恐怖が見ていてどんどん湧いてきました。ここから逃げ出したくなるボサツの気持ちが一発で理解出来ましたね。一方で仕事に行き詰まるロナルドを励ますなど、フクマさんがアメとムチを使い分ける敏腕編集者として描かれていたのも興味深かったです。(3話でロナルドがフクマさんへの信頼の厚さを見せていましたが、こういうところを知った今だと納得です)

 中盤は仮性吸血鬼かしてしまったサテツを止める話でしたが、吸血鬼になっても人の良さが隠しきれていないサテツにほっこりしました。吸血鬼の本能に抗って子どもを守る姿に惚れ惚れする一方、こんなことになった元凶に対してもっと怒ってもいいんだぞお前!とも内心訴えてしまったり。しかしそんな人を憎み切れない辺りにサテツの魅力が詰まっていたとも思いますね。

 そして後半は裏新横浜駅でのエンジョイ生活。謎の駅に停車する話はホラーでは定番の1つですが、肝心の巻き込まれた側が予想以上に楽しんでいたので笑いが止まらなかったです。ただ余程現実に疲れているのか、抑圧された欲望を一気に開放するロナルドたちの姿には何となく共感を覚えてしまいます。元凶の吸血鬼「裏新横浜」が気の毒になる話でしたが、まぁ田舎の何もない駅とかではなく本屋など色々あるエキチカを用意したのが悪手だったってことで。

 

 

転生王女と天才令嬢の魔法革命

第6話「破談と魅了の真相究明」

 1話から登場していたアニスの友人(?)「ティルティ・クラーレット」が本格登場した今回。1話時点から変人なんだろうな……とは思っていましたが、まさかの呪いの類が大好きというキャラ付けには思わず苦笑いしてしまいました。普段なダウナーな一方で自分の好きなモノの前ではテンションが上がるキャラクターは典型的なマニア気質といったところ。アニスと通じる点もあるので、この2人が憎まれ口を叩き合いながらも何かと交流している様子にも納得がいきますね。

 そして長いこと放置されていた婚約破棄の件では、アルくんが連れていた「レイニ・シアン」嬢の意外な事実に衝撃を受けました。知らず知らずのうちに魅了の魔法をかけていたものの、彼女自身は何も企んでいなかったことには驚かされますね。それどころか終始ビクビクしているレイニの様子に同情を寄せてしまいそうになります。これが魅了の効果か……!?何かを企んでいるっぽいアルくんの真意やレイニが巻き込まれていた理由など、この問題の大きさが突然姿を現したかのような感覚を覚えました。

 

 

にじよん あにめーしょん

第5話「エマとミアと歌」

 前回に続いて温かいお話が展開されてほっこり。エマの歌に心奪われながら、彼女をソロプロデュースしようとウキウキし出すミアがまず目に飛び込んできて実に微笑ましかったです。素敵な才能を目にしたら多くの人に届けたいという、ミアの幼くも純粋なワクワク感が詰まっていました。

 対してエマはあくまでみんなと謡うことを重視していたのがまた素敵です。彼女にとってのスクールアイドルと歌は、誰かとの喜びを共有し合う最高の場であることが伝わってきます。最終的にみんな集まって歌うラストは、まさにエマの理想そのものなのだと思いましたね。

 

 

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

第4話「テイク・オフ」

 ハサウェイのガンダムΞ(クスィー)ガンダム」がついに登場!宇宙で保管してあった機体を仲間と共に取りに行き、大気圏に突入しながら戦場に赴くシーンに早速ワクワクさせられます。またクェスとの一件を深く抱え込んだハサウェイの闇の深さも描かれており、アムロらしき声による激励を受け何かしら吹っ切れていく様子には興奮と不安が同時に襲い掛かってきましたね。

 そしてΞガンダムVSペーネロペー異形のガンダム対決は空中での華麗なドッグファイトが見ものでした。地球の重力下でこれほどまでに自由に飛行が出来る2機の戦いは、さながら『トップガン』を見ているかのようです。潔いレーンによってガウマンが解放された後も、ビームによるハッタリを駆使した戦法が見られたりと中々に面白かったですね。市街地戦と同じく若干暗くて見にくかったのですが、それでも十分にテンションが上がりました。(余談ですがこの2機って実は兄弟機らしいですね*1
 決着後はそれぞれのその後が描かれていました。敗北感に打ちひしがれるレーンと腹の探り合いをしているようで自嘲気味のケネスとギギなど、三者三様のやるせなさを見せていたのが興味深いです。何よりハサウェイはこれまでにないようにスッキリとした表情を見せていたのが印象的。ハサウェイにとっての居場所がマフティーしかないこと、そして上述のように彼がマフティーとして生きていく覚悟を決めたことを意識させていくラストでした。(あとはネタにされている「やってみせろよマフティー」のくだりや主題歌の「閃光」が流れるなども色んな意味で印象に残りましたね

 

 

 上述の大奥のドラマですが、大政奉還、つまり原作のほぼ最後までを映像化するとのこと。ということは原作に登場するあのキャラやこのキャラもドラマに出るのか!とちょっと楽しみになってきますね。

 そして漫画大奥を語るうえで個人的に外せないと思っているのが「徳川治済」。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、人の心がわからない怪物がいるとしたら彼女のことを指すのだろう、と心底思った登場人物として強く印象に残っています。あのモンスターがドラマで見られると考えただけで鳥肌が立ってきます。その時は誰が治斉を演じてくれるのかと愉しみにしつつ(余談ですが母は自身の好きな戸田恵梨香さんにやってほしい!と言っていましたね)、今後もドラマ大奥を見ていく所存です。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:どちらもアナハイムエレクトロニクス社にて製造された機体」とのこと。