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仮面ライダーガヴ 第36話「逆転!覚醒!マスターガヴ」感想

喜びも幸せも、

俺が守り抜く!!

酸いも甘いも味わい尽くし、新たな力を解き放て!!

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  • 優しさを噛みしめて、今こそ守る時

 ランゴの圧倒的な力に敗走を余儀なくされたものの、人々のために戦うショウマたちの様子から始まった今回のガヴ。次の襲撃場所がりっつんが楽しみにしているU・M・Aのライブ会場だと判明し、彼女を会場に行かせるかどうかで悩むやり取りがまず印象に残りました。ヒトプレスにされる危険性がある中で見送っていいものか……と、事件が起こることを知っているからこその考えを巡らせているのが興味深かったですね。そのうえでりっつんにとっての「幸せ」を何よりも優先させた点は、本作ならではと言える答えだったのでこれまた好感が持てます。

 そんなショウマたちの戦いに、ネット上の声が応えてくれる展開が最高の一言。最初こそグラニュートと仮面ライダーを混同して忌避するコメントに危機感を覚えましたが、実際に助けられた人たちの言葉が伝播していく流れに胸が熱くなりましたね。1話で登場した始くんやその母親と思われるコメントも出てくるなど、視聴者にとってもここまで見てきたからこその感動を味わえたのが見事です。依然被害は大きいものの、助けられるものを助けてきたことは決して無駄ではなかったとわかる瞬間になっていたと思います。(ただグラニュートの情報を世間に流す絆斗の考えには不安を覚えます。その内すぐ隣の人がグラニュートではないか?といった疑心暗鬼にかられる人が出てきそうで……

 そしてショウマがランゴ相手に言い放った啖呵にも大いに感銘を受けました。前回ランゴに言われた心無い言葉(飛行機の音で隠した割にはあっさりセリフを出しましたね*1)を思い出しながらもなお、人間たちの世界で生きているショウマとして「ここに居られて良かったと思っている」と言えるようになったのがあまりにも嬉しかったです。これまでショウマの自身に向けた否定的な思考を目の当たりにしてきた分、今の自分を肯定する姿は感無量といったところ。そんな今のショウマにしてくれた、何気ない日常の喜びや幸せを守る決意を固める展開としても非常に自然でしたね。大敗から一気に逆転する戦闘も合わせて、カタルシスに満ちた回となっていました

 

 

  • スピード&マスター!全てを抜き駆け出す神速蹴撃

 

マスター!!

 

わー!わー!わー!わー!

 

わー!わー!わー!わー!

 

\\\\\\\\\\ヒャアァァ~!!//////////

 

マスターテイスト!!!

 

 新たな力に覚醒したゴチポッドを上下逆にして赤ガヴに装填、ガヴガヴ食べることで変身した姿「マスターモード」。オーバーモードと対を為すガヴもう1つの最強フォームです。ビジュアルもオーバーと同じ素体・アンダースーツながら、オレンジを下地に青や紫のグラデーションが入った装甲を全身に纏っているのが特徴的。打って変わって細いシルエットでスマートな印象を受けるほか、基調としているカラーリングも相まって基本フォームであるポッピングミフォームの正統進化版、といった印象を受けますね。

 戦闘能力に関しても攻撃力と防御力特化のオーバーとは反対に、速さと手数の多さを活かしたフォームとなっています。まず移動速度が格段に上昇し、視覚では追いきれないほどのスピードで攻撃することが可能です。その速さたるや、自動で展開されるランゴのオートガードが発動する前に攻撃を届かせられるほど。(連続攻撃によって盾を集中させ、死角から攻撃する戦法も印象的)あまりにも速いので使っているショウマ自身制御に苦労しているようですが、脚部の「キッキングマスター」から巨大なツメを生やすことで急停止や方向転換も実現させています

 身軽さがウリな反面一発一発の威力はオーバーから大きく落ちているのが難点*2しかしそれをオーバーとの併用でカバーする戦い方も披露していました。ゴチポッドをひっくり返すことで任意かつ瞬時にフォームチェンジすることが出来、マスターで翻弄してオーバーで殴る!といった使い方がこのフォームの最大の利用法なのでしょう。さらにこれまで使用してきたゴチゾウの力を使えるのも特筆すべきポイントで、武器を召喚するなど相手に応じて攻撃手段を自由に切り替えるのは言うまでもなく強力です。それぞれ1つだけではピーキーですが、2つ揃うことで初めて真価を発揮する……まさに多くの人たちや喜びに支えられてきたショウマに相応しい最強形態と言うべきでしょう。

 

 

  • 強さと家族への寛容な精神

 過去の自分との決別を果たしたショウマに感動させられた一方で、その瞬間を目の当たりにしていたランゴの反応も興味深いポイントになっていました。いつ弟の語りをぶった切ってどんな酷い言葉をぶつけるのかとヒヤヒヤしていただけに、最後まで聞いてくれるのは結構意外でしたね。それどころか嬉しそうに反論したショウマを前にして、まんざらでもなさそうな表情を浮かべていたのが何とも意味深。ランゴを演じる塚本高史さんの演技力も相まって、さながら生意気を言えるだけには弟を悪くないと思っているかのように見えてきます。

 このランゴの態度については色々思うところがありますが、前回の感想でも触れたグラニュートの「力こそ全て」という考えを考慮すると納得がいきます。ランゴにとってかつての赤ガヴ(ショウマ)は弱いくせに守られてメソメソしてばかりなのが気に入らなかったのは予想通り。裏を返せば、真っ向から歯向かってくるほどの気概さえ出せれば見直してくれるくれる潔さもあるとも取れますね。それ故あの表情は「家族」としては否定したまま「敵」として認めてくれた、ランゴなりの敬意の表れなのではないかだと感じました。

 思えば20話のグロッタもショウマの強さに対して「やるじゃない」と褒めましたし、兄のランゴも似たようなモノがあるのでしょうね。特に今回はこの2人が闇菓子に関する今後を話し合うシーンでも、兄妹としての情の深さが読み取れました。そういった描写もあって、ランゴとグロッタは良くも悪くもグラニュートの弱肉強食に誠実な姿勢を見せているように思えてきます。基本冷酷だけど身内への愛情を持っている敵キャラは大好物な身としては、ストマック家の上の2人にそうした魅力を与えてくれたことに感謝したいところです。

 

 

 今回は他にもラキアが戦闘後にヴラスタムギアを壊して変身不能になってしまったり、ボッカ大統領のランゴへの高い評価など今後に関わりそうな見どころが満載。その中でも印象に残ったのはやはりジープの行動でしょうか。ショウマに次ランゴが襲撃する場所をコッソリ教える利敵行為に首を傾げ、ランゴが倒される瞬間を目撃して動揺する姿にますます困惑させられました

 恐らくジープ的にはランゴを少し困らせるくらいのつもりだったのが、赤ガヴ(ショウマ)の勝利で狂わされた感じなのかもしれません。もしそうならとんだ大失態ですが、ランゴがここで退場とも思えないのでまだまだ怪しいところですね。ショウマとの対決で片目を傷付かれるシーンが強調されていたこともあり、眼帯を付けたランゴが再登場する展開に期待したいです。

 

 

 そんな感じで1つの決着を見せた後は平和な回……と見せかけて、次回は再び絆斗の物語。彼が長年追い続けてきた「母親を攫ったグラニュート」が、とうとう姿を現すようです。しかしそのグラニュートは和菓子屋を営みながら平和に暮らしているようで……?予告やあらすじを見る限りそういった話になりそうで、今から戦々恐々してしまいます。憎い仇が既に改心してしまっている時、復讐にどう整理を付ければいいのか。絆斗の新たな苦悩が待っていそうで本当に心配です。本当にハンティの曇らせ大好きだなこの制作陣……

 他にもランゴが倒されたことでストマック社の中で大きな軋轢が生まれていく模様。そんな中この状況の遠因でもあるジープが、再びショウマに襲い掛かるとのことです。予告映像では亡きシータに責め立てられる様子が映っています(ジープが見た幻覚か、それとも……)が、こうして追い詰められていったジープが何をしでかすのかこちらも気が気でありませんね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:一応前回の演出に関しては「ショウマが耳にしたくなかった事実」であることを表わしている、とも解釈出来る。

*2:しかしマスターモードの数値上のスペックは、ブリザードソルベフォーム以前のフォームと比べれば圧倒的に上である。