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機動戦士Gundam GQuuuuuuX 第8話「月に墜(堕)ちる」感想

君はどう墜(堕)ちたい?

圧倒的な情報量の全てをラストのトンデモ行動で吹っ飛ばす主人公の貫禄よ

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  • 「月に墜ちる」~赤い彗星が見た“刻”とは~

 今回のガンダムジークアクスは2部構成。前半は予告通り5年前の一年戦争時代、シャアたちがメインのエピソードとなっていました。一応劇場先行版で既に鑑賞した場面ではあるものの、何だかんだ見返す機会としては結構ありがたかったです。また第2話で描き切れなかった部分、シャアと赤いガンダムが何故消息を絶ったのか?という部分を映画を見ていない視聴者に伝えるにはちょうど良かったと言えるでしょう。

 

 ともかくこの辺りのエピソードは一年戦争末期に地球連邦軍により墜落寸前の宇宙要塞ソロモンを止めるため、シャア率いるソドン艦隊の面々がソロモン破壊作戦を決行する様子が描かれました。ジオン兵士の息つく暇もない作戦敢行が繰り広げられるので、中々に手に汗握ります。しかしシャアが誘爆のための爆弾を解除し、キシリア排除を企む→それを聞いていた妹のアルテイシア(セイラ)が乗る軽キャノンに襲撃される流れのトントン拍子に笑ってしまいましたね。個人的にはセイラさんの攻撃的な姿勢に、兄への異様な殺意の高さというものを伺った次第です。

 その後シャアが謎の会話を繰り広げてゼクノヴァを起こし、赤いガンダムごと消える瞬間も衝撃的。ソロモンの軌道を変えることに成功したものの、大勢を困惑の中に引きずり落とす様子はシャアのはた迷惑っぷりが表現されていたと言えます。良くも悪くも、その場の勢いでどうにかしてきた印象はファーストの頃から変わっていないですね。(その結果始末したかったキシリアを結局助けてしまったのも彼の道化っぷりを加速させています)同時にシャリアをはじめとして多くのことに影響を与えた点を踏まえて、シャアもといキャスバル・レム・ダイクンは宇宙世紀においてなくてはならない重要人物であることが疑いようがないでしょう

 

 そしてゼクノヴァによって丸ごと消えたシャアですが、一体どこへ消えたのか?誰と話していたのか?といった謎は未だに不明。とりあえずシャアと話していた何者かについては、個人的な妄想としては「ファーストの世界線のララァ」を予想しています。シャアとアルテイシアがニュータイプ能力で互いの正体を感知する際に、一瞬だけララァが映り込む演出*1もあって、ファーストで死んだララァが魂だけになったシャアを助けたといった想像が頭の中から浮かんできます。となると「向こう側」というのは案外、我々の知るファーストガンダムの世界かもしれません

 それ故シャアが最後に発した「刻(とき)が見える*2時空を超えた証ではないか?とも考えています。彼が見た刻とは他のガンダム作品の世界、すなわちメタ的な形でシャアはガンダムの世界観を知覚した可能性があるかもしれません。最もこれらは全て証拠がほとんどない憶測に過ぎないので、あまり真面目に受け取らないでほしいところ。今後の話次第でいくらでも覆ることでしょうし、僕もこの考えを頭の片隅に置いておきたいと思いますところでラストに出てきた金髪メカクレの「シロウズ」くんがシャアなのではないかとネットで話題になっていますが……まさかね……?

 

 

  • 「月に堕ちる」~少女たちの行く末は~

 後半からは時代も5年後に戻って本編が再開。まずはエグザベに保護されたニャアンの処遇が明らかになりましたが、まさかのもう1つのガンダムを使いこなす恐ろしい才能を発揮してきて度肝を抜かれました。「ジフレド」なるジークアクスの2号機のパイロット候補になるだけでも驚きなのに、まだ乗ってもいないソレを起動させて敵を排除する姿には慄かずにはいられなかったです。ニャアンの精神に反応しているような描写からして、ジフレドの異質さはジークアクスに並ぶものだというイメージも早々に付きました。ところでこのジフレド、カラーリングが紫だったり勝手に動く辺りエヴァンゲリオン初号機を意識してますよねそうですよね!?

 このニャアンのパートは彼女の潜在的能力や後述の暗殺の察しの良さも凄まじいですが、それ以上に身を守るためとはいえ易々と殺したことに危機感を感じますね。言われるがままに行動しているようで、自分に危害を加える相手を消すことに排除がない様子は普通の少女から大きく逸脱していると捉えられます。未だ一線を越えていないマチュに対して、ニャアンの躊躇いの無さはいつか大きな溝を生みそうな気がしてならなかったです。何よりニャアンの目的はやはり「平穏を手に入れること」なのでしょうが、今の彼女の行動は平穏とは程遠い過酷なモノへと堕ちているとも思いましたね

 

 そんなニャアンをよそに、月面基地グラナダでは様々な謀略が張り巡らされていたのも大きな見どころ。エグザベの同期である「ミゲル・セルベート」の気安い態度にほっこりしたのも束の間、彼がジフレドのパイロット候補生を暗殺していた事実はあまりにもショッキングでした。そのサポートをキシリアの側近だった「アサーヴ」がしていたのも同様、一見信用しやすそうな人物ほど裏切り者という構図に本作の油断ならない作風が詰まっているとも取れますね。ミゲルの件はエグザベがとことん可哀想に思えてきますが、これもまた「戦争」の形の1つなのでしょう

 ただキシリアの目的が判然としていない以上、ミゲルたちの行動に成否を付けるのは早計。彼らの口から「ディアブロ」や「イオマヌグッソ」といった謎のワードが次々と出てきましたが、前者はイタリア語で“悪魔”を意味し後者はクトゥルフ神話の神性の1種。シンワードに困惑するもののそれぞれの元々の意味を踏まえると、これらが危険なモノである可能性がそれとなく伝わってきます。また劇中でキシリア自身がニャアンに「もう1度ゼクノヴァを起こしてもらう」と説明しているので、ロクでもない実験が行われようとしているのは確かでしょう。結局のところどの陣営も少年少女を利用せんとする、厄介な連中である印象は変わらなさそうです。

 

 

 とまぁ前半後半でそれぞれ異なるエピソードをやっていたうえ、謎ワードの頻出で混乱せずにはいられなかったジークアクス8話でした。ファーストにすら出てこない言葉もバンバン出てくるので、聞きなれない単語を知るたびにこれ本作が初出だよな……?僕が単純に過去作で聞き逃していただけではないよな……?と頭を抱える羽目になりましたねハイ。とはいえ人間関係は複雑なようでハッキリしているので、そちらを重視しながら視聴していればそこまでこんがらがることはなかったです

 というかラストのマチュの行動に全てを持っていかれた気がします。全然出てこないのが気になっていた矢先に、ジークアクスを奪って大気圏に突入する情報が舞い込んできた時は思わず吹き出してしまいました。そのうえニャアンが「マチュは本物だから」と説明してくれたおかげで、彼女がどれだけ突飛な行動に出ても不思議と納得させられるパワーがあったように感じます。ともかくここまでいいように利用されっぱなしだったマチュが、自分の好き勝手のために周囲を振り回すムーブを見せて振り切ってくれたのが嬉しいですね。がんばれマチュ、お前がナンバーワンだ……!!

 

 

 というわけで次回はマチュが如何にして大気圏突入に至るのかが描かれる模様。シャリアに捕まって協力させられそうになりますが、1話以来となる謎のメールを受け取って行動に移すようです。そういえば未だに何も明かされていない、メールの差出人がここで再び浮上してきたのが驚きですね。そのうえ地球と思われる場所のブランコに座る、どこかで見たことがあるような後ろ姿も……上述のララァに関する謎も明かされそうで、次回も待ちきれません。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:ほんの2カットだけ映るので、一時停止しないと気付かないレベルである。(これを劇場公開の時に発見した人は凄い……!

*2:テレビ放映版やAmazonPrimeVideoの字幕では「時が見える」表記だったが、過去作のリスペクトも兼ねて一応この記事では「刻」と表記しておく