君だけが望むすべて
ここまできたらシュウジの正体がウルトラマンリブット(中の人ネタ)とかだとしても驚かんよ僕は
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- 迷える少女と迷わない少女
ララァを救うためにイオマグヌッソを止めようとするマチュVSシュウジに会うためにイオマグヌッソを守るニャアンの直接対決から始まったガンダムジークアクス11話。この2人が戦ってしまうことに最初はハラハラしていましたが、思っていたよりもあっさり目に終わって次の展開に移行して驚くこととなりました。お互いの存在を認知してからは動揺するニャアンが、マチュに吹っ飛ばされる勢いだったのでテンポも相まってクスっときてしまいましたね。何より本気の殺し合いに発展しなかった辺り、互いに大切な友人のままであることがわかってほっこりしてきます。
今回のニャアンに関しては終始困惑したままだったのが印象的。マチュに問いただされても「わかんない」と答えていましたが、流されるようにキシリア派についた彼女の立場からするとそうなってしまうのも仕方がないのかもしれません。ただニャアンはシュウジのこと以外では確固たる意志らしきものがないので、こうしたフラフラした立ち位置になってしまっているようにも見えますね。マチュを庇ってキシリアを撃った時も、友達を守りたい一心で引き金を引いてしまった自分に動揺しているのが見て取れました。よく考えず周りの大人に利用されてしまう構図は以前のマチュを彷彿とさせるので、今のニャアンにはどうしても不安を覚えてしまいます。
対するマチュは良い意味でいつも通り、どこまで猪突猛進だったのが好印象。「シュウジに会いたい」と「ララァを救いたい」、これらの目的のために進んでいるのでニャアンと比べても安定感がありました。後述のシャアとキシリアについては全く把握していないまま巻き込まれていますが、それでもララァを助けようと立ち向かう意志を見せてくれたので個人的にもかなり好感が持てますね。(他にもヒゲマンことシャリアから教えられたオールレンジ攻撃の対策をしっかり活かしているのがここすきポイント)展開の濁流に吞まれそうになるものの、胸の内にある義憤や衝動に突き動かされるマチュに期待がかかる回でもありました。
- 悪魔を生み出さんとするもう1つの可能性
キシリア派についたニャアンが搭乗する機体“gMS-κ”「ジフレド」。グラナダにて開発されていた、ジークアクス2号機です。「ガンダム・フレド」という別名も持っており、1号機であるジークアクスと同じ系譜の機体であることが伺えます。あちらと同様特殊なサイコミュを搭載しているとのことですが、劇中のモニターに表示されていた「カッパ・サイコミュ」(カッパは型式番号にもある“k(カッパ)”のこと)がソレでしょう。しかし後述の用途も相まって、存在そのものはジークアクスとは異なる印象を与えてきます。
まず全体的なビジュアルに関してですが、端的に言ってしまえばジークアクスの色違い。首から下はあちらと全く同じデザインであり、代わりに紫を基調としたカラーリングに変更されています。そして最大の相違点である頭部は、2つのビットが犬の耳のような配置になっているのが特徴的。顔面のセンサーアイは赤いガンダムなどと同じ複数個存在しており、ジークアクスよりも本作のガンダムらしい異形感が出ていると言えます。そして紫色ということで誰もが思ったことでしょう、エヴァンゲリオン初号機だよねコレ!?と……
本機の特徴といえば他にもサイコミュによる操作性能が挙げられます。ニャアンのように高い資質を持ったニュータイプであれば、コックピットに入っていなくても遠隔操作が可能。ビットの操作も出来るなどこれまでのサイコミュ搭載兵器と比べても、一線を画していると言えるでしょう。戦闘ではこのビットを使用したオールレンジ攻撃を基本としており、そこにニャアンの直感による戦闘スタイルが合わさることで独特ながら厄介な戦闘能力を披露していました。*1
そしてこの機体の最大の用途はやはりイオマグヌッソの始動キーとしての役割。接続後にコックピットで座標を入力している描写からして、本機を中心としてあの兵器を稼働させるコンセプトになっていると考えられます。劇中で出てきた「ディアボロ(悪魔)」とは、まさしくイオマグヌッソによる大量破壊のトリガーを引く存在のことを指していたことも間接的に読み取れます。正直乗っているニャアンの安否が心配になってきますが、この手の2号機は主人公の共闘する展開もよくあるので最後の最後に活躍してほしいですね。
- 再臨の赤い彗星
さて今回になってようやく姿を現した赤い彗星ことシャア・アズナブルについても触れておきたいところ。8話から登場していた「シロウズ」がどう見てもシャアだとネット上で話題になっていましたが、本当にその通りの正体を晒してキシリアと問答を繰り広げていたのは地味に驚きでした。さらにマチュを助けつつシャロンの薔薇やシュウジのことなど色々教えてくれるので、視聴者にとっても結構親切な存在として活躍してくれていたのも面白かったです。
そして今回のシャアはこれまでと比べても終始冷静で達観していたのが印象に残りました。シャロンの薔薇の真実を知ったからなのか、ザビ家への復讐よりもこの問題を解決することを優先している姿勢はシンプルにカッコよかったです。何よりニュータイプを「洞察に満ちた優しさを持つ者」であると捉えている点は、歴代の宇宙世紀作品におけるニュータイプ観“他者とわかり合う存在”に通じるものがあるのでグッときましたね。ニュータイプの希望を胸に、迷いなく邁進するシャアはここまで頼もしいモノなのかと感心した次第です。
ただその一方でネタ方面でも事欠かなったのが流石シャアといったところ。何と言っても薔薇のせいとはいえ、いつもの赤い彗星の姿に一瞬で変身するシーンには思わず吹き出してしまいましたね。他にもキシリア相手に普通に絶体絶命になっていたり、マチュへの「一方的な想いが相手を追い詰めることもある」のアドバイスがおまいう案件だったりと、要所要所で変な笑いが出てきて仕方なかったです。本人は大真面目なものの、どこかシュールギャグを引き起こしてしまうところも、まさしく多くが知るシャア・アズナブルのイメージそのままだったと思います。
- 時空を越え、機動戦士が宇宙に立つ
そして今回最大の衝撃となったのがラスト付近のゼクノヴァ。コモリ少尉曰く「本物のゼクノヴァ」(何故彼女が突然詳しくなったのだろうか)が薔薇によって発生し、シュウジが連れてきたと思われるガンダムが来た時は目玉が飛び出そうなほどの衝撃を受けました。しかもそのビジュアルがジークアクス世界のあのガンダムではなく我々のよく知る“RX-78-2”「ガンダム」そのもので、今になって出てくるの!?という困惑のままラストを見届けましたね。それだけに誰が乗っているのか気になりますが、これでアムロが入っていたら勝てる気がしない……
しかも『逆襲のシャア』の主題歌であるTM NETWORKさんの「BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)」も流れ出す演出まであって驚愕しっぱなし。名曲中の名曲がファーストガンダムと共に炸裂するなど、ガンダムのファンなら驚かずにはいられなかったと思います。あまりにも制作側がやりたい放題過ぎて笑わずにはいられません。正直ここまで好き勝手やられると、見ているこちらが「もうどうなってもいいや」となってしまいそうですねハイ。
それはともかく、今回のシャアとのやり取りでシュウジの目的がはっきり語られたのは見逃せないポイント。「彼女の作ったこの世界を終わらせるために」という口ぶりからして、ララァを解放しようとジークアクス世界の修正に来た存在と見ていいでしょう。まさか『Fate/Grand Order』の異聞帯への理解が深まりそうな話題になるとはな……そしてシュウジ自身も向こう側の人間なのは間違いないですが、その正体は何者なのか?あちらの世界のアムロに相当する人物なのか?といった考えが頭を巡ってきます。(確かなのはララァと深い関係になることくらい?)ここまで制作陣がはっちゃけているのを見ると、中の人ネタでシュウジ=ウルトラマンリブットでもありかな~*2、なんていうふざけた妄想すらしてしまうのですが……
ともあれ個人的にはシュウジが敵になってしまうのかどうかが最大の懸念点ですね。マチュとニャアンにとって自分をキラキラに導いてくれたシュウジは大切な人ですし、そんな彼と戦うことになるのは見ている側としても胸が苦しくなってきます。特にマチュはララァを守るのも目的に入っているので、シャアからララァを守りつつジークアクス世界を終わらせようとするシュウジとも相対す羽目になっているのが少々気の毒ですね。最後の最後になってとんでもないラスボス対決が始まりそうですが、彼女たちへの愛着が湧いている身としては最大のハッピーエンドを望まずにはいられません。
ということで次回はいよいよジークアクス最終回!!向こう側から来たガンダムとの戦いが始まりそうですが、それ以上に本作の世界の終焉が迫っている様子に緊迫感を覚えます。ララァがシャアを救いたい一心で生まれたとされるジークアクス世界の行く末は、マチュたちによってどう紡がれるのか……残り1話で描き切れるのかも含めて実に気になってきます。
またサブタイの「だから僕は…」にも少々吹き出してしまいました。ガンダムの生みの親である富野由悠季氏の自著と同じタイトル*3を持ってくるという、最後までガンダムオタクたちの趣味に走っているかのようなサブタイトルが一周回って清々しいです。とはいえこのタイトルが何を意味するのか、期待と不安が同時に湧いてきますね。まぁとりあえず言いたいのは待て次回!!
ではまた、次の機会に。
*1:肝心の劇中戦闘ではジークアクスの戦闘で思い切り吹っ飛ばさたが、これはマチュの訓練の成果+ニャアンがマチュ相手に動揺していたのが原因と考えられる。
*2:シュウジの声を担当している土屋神葉さんは『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』にて、ウルトラマンリブット人間態として出演したこともある。
*3:リンク先(https://www.kadokawa.co.jp/product/200208000140/)を参照。
