友のために……
「ガメラで子どもが犠牲になることはないだろう」
そんな風に考えていた時期が俺にもありました
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- 犠牲の上の哀しき生還
うわぁぁぁぁぁぁぁジョーォォォォォォォォ!!
と内心叫ばずにはいられなかったガメラリバース10話。子どもたちが自力かつタザキの協力を得て逃げ出す瞬間にワクワクしたものの、シャトルの脱出を図る過程でジョーが犠牲になる展開に絶句せずにはいられませんでした。ボコのことを守ってみせると以前から約束していましたが、まさかこんな形で果たされるなんて思ってもみなかったです。何よりガメラシリーズなら子どもたちは全員生き残るな多分!とタカを括っていたのもあって、このラストはあまりにも予想外なものとなりましたたね。
しかしここまでボコとジョーの関係を見た後だと、こうなるのも納得するほかありません。あの状況で脱出ポッドを操作する判断が出来るのはジョーしかいませんでしたし、それらの場面から溢れる彼の悲壮な決意が胸に響いてきます。別れ際のボコへの言葉が「チャリぐれえ乗れるようになれよ」なのも、必死に平静を装って勇気を出しているかのようで余計に涙腺にきますね。自身を犠牲にしてでも友達を守り抜こうとしたジョーの行動に敬意を表したいものの、彼が退場したショックが大きすぎて個人的にも立ち直れそうにないほどメンタルにダメージを喰らった気分です。正直ラスト数分は劇中のボコみたいな表情になってしまいましたよえぇ。
そしてジョーと同じように、その身を挺してボコたちを守ったガメラも忘れてはいけません。まずギロン戦で右腕が切り落とされた状態のまま、バイラスにボコボコにされる様子は見ていて痛々しかったですね。しかし一度打ちのめされてもバイラスを追いかけ倒しつつ、ボコたちの乗っている脱出ポッドを守り切ってみせたことには驚きました。子どもたちの横で倒れ伏すガメラの姿は、まさしくファンが知る「傷付きながらも人間のために戦ってくれるガメラ」の姿そのものだったと言っていいでしょう。ただジョーといいガメラといい、少年少女には失ったものが大きすぎて視聴者としても胸が苦しくなってきます。そのためボコたちがどうやって彼らに報いていくのか、次回の彼らの行動に注目が止まりません。
- 黄金の絶望をもたらす、電光多腕の災禍獣
ユースタス財団与那国島採掘基地の地下にミイラとして保管され、エミコたちの手によって復活した「バイラス」。1968年に公開された『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』に初登場した原典では、地球侵略にやってきたバイラス星人が複数体合体することで巨大な姿として誕生した「頭が3つに割れた銀色のイカ」といった具合のビジュアルが特徴的な怪獣でした。何より侵略の障害となるガメラを洗脳して操る、狡猾な宇宙人として描かれていたのが印象に残っています。(まぁその割には子どもたちの策にまんまと嵌るマヌケな面も目立っていましたが……)
そして本作のバイラスはこれまた原典とは大きく変化しており、よりイカの怪物らしいビジュアルに仕上がっています。カラーリングも全身金色で、宇宙人としてのイメージはほぼなくなっていると見ていいでしょう。それでいて序盤から他の怪獣とは異なる要素が強調されているおかげで、未知の怪物としての不気味さはかつてないほど際立っていました。実際触手それぞれにキバがびっしり生えている点、原典を彷彿とさせる頭が3つに割れる点など、それらの特徴はこれまでの本作の怪獣とは一線を画すものがありますね。
戦闘においてはその特徴的な触手を主に使用。ガメラを楽々持ち上げられるほどのパワーを持つだけでなく、電撃で一時戦闘不能に追い込む攻撃性は凄まじいものがあります。特に割れた頭部から放たれる高出力ビーム砲「ヘムデンの雷(いかずち)」は、大気圏外にまで届く長射程・高威力の大技としてインパクト絶大。そのうえバリアを展開させてガメラの攻撃をものともしないなど、防御面にも隙がありません。さらに電磁場による重量制御までこなし、体を逆さまにして飛行も可能と特殊能力のオンパレードです。同じくバリアと重力制御をこなすガメラにあっさり真っ二つにされてしまったものの、伝承に残るほど凶悪な怪獣としてのこれ以上ない印象を与えてくれました。
- 損得の中で誰を信じるか
今回もまた大人たちそれぞれの行動が目に付きましたが、中でも最初に触れておきたいのはタザキとダリオですね。最初からボコたちと一緒に逃げる算段で行動していたのが判明した時は、思わず興奮してしまいました。僕は信じていたよタザキさん!テノヒラクルーッダリオ共々打算で味方になっているだけでなのでしょうが、それを差し引いてもボコたちを対等な取引相手として見てくれているようで安心感を覚えます。まぁバイラスの攻撃でダリオは死亡、タザキは頭をぶつけて気絶と情けない一面は相変わらずでしたが、少なくとも信用出来る仲間になってくれたかと思います。
対照的にエミコは最初から最後まで冷酷なキャラクターを発揮していました。バイラス復活時にドーソン船長たちを早々に見捨てるなど、味方であろうと容赦なく切り捨てる様子はまさに悪女といったところ。ただ一方で評議会の1人である叔母や、ジュンイチとの会話は実に興味深かったです。母の仇である叔母への怒りや、誘いを蹴ったジュンイチのことを本当に残念がる態度は、彼女にも人間臭い一面が残っていることが察せらます。そのうえで他人を道具としか見ていないからこそ、ジュンイチのような本当の友達は得られなかったのだろうとも思いましたがね。
そんなエミコの最期は、空から墜落してきたバイラスの死骸に押し潰されるという呆気ないものだったのが印象的。直前のガメラに対する怒りの声色も相まって、アッサリ目ながらもここまでの溜飲が一気に下がりましたね。上述のジョーやガメラのように他人のために体を張るためでも、タザキのように損得の中で子どもたちを選んだわけでもない。最後まで孤独に自分のことしか考えていなかったエミコにとっては、利用しようとした怪獣に潰されるラストは何とも皮肉めいていたと言えます。
そういえば今回の戦闘シーンで、ガメラが久々に宇宙まで行ったのも地味に驚きのポイントでした。成層圏まで突破して戦いを繰り広げるのは、シリーズでは『ガメラ大怪獣空中決戦』以来となる模様。意外と知られていないことなのですが、ガメラって実は宇宙でも普通に活動出来る例が多いんですよね。昭和シリーズで宇宙空間を飛んで別の星に行ったこともあります*1し、その要素を思い出させてくれた本作のガメラに思わずテンションが上がった次第です。
ではまた、次の機会に。
*1:余談だが、今回登場したバイラスの原典である『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』は「地球侵略に来たバイラス星人の円盤が宇宙まで飛んできたガメラに撃墜される」といった場面から始まる。
