守って得る信頼
この主人公、ワンコすぎる……!
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- ドタバタ劇の中で信じていく
第1話から1週間が経過したところから始まった今回のオメガ。オメガ改め、コウセイからソラトの名前を貰った彼が新たに出現した怪獣を探す過程にいきなり和まされました。地球のルールに疎く突飛な行動に出かねないソラトと、彼を必死に止めながらコントロールするコウセイのやり取りは前回同様微笑ましいものを覚えます。中でもソラトの正体が世間に知られれば、彼が実験材料にされることをコウセイが恐れている場面が印象的でしたね。人前で変身しようとするソラトにカレーや焼きそばを条件に言うことを聞かせるシーン含め、コウセイの苦労人ぶりが相変わらず面白かったです。
そんな彼らが生物学者の「イチドウ・アユム」と仲を深めていく様子が大きな見どころとなっていました。アユムは真面目な性格といった印象で、そんな彼女に訝し気な視線を向けられながらも信頼を勝ち取っていく展開に爽快感を覚えた次第です。生物的な知見でドグリドの次のターゲットを推測するなど、他の2人にはない頼もしさがあるのも見ていて気持ちいですね。今回はコウセイの側が「アユ姉」と呼ぶなどグイグイきていましたが、いずれはアユムの方から近づいてくれそうな予感もしてきます。
あとは全体を通して「行動で示して信頼を勝ち取る」エピソードに仕上がっていたのが興味深いポイント。巨人に懐疑的だったアユム然り、彼女の忠告を無視するダム職員然り、信じてもらうには一歩及ばずだった様子がドグリド襲来によって一変する流れが素敵でしたね。前者はダムを守ってくれたオメガを信用し、後者はアユムに謝罪しつつ感謝するなど守ってみせた甲斐があるオチだったおかげで安心して見ることが出来ました。巨大生物や巨人などが存在しない世界だからこその描写もあって、信じられない存在を信じることの難しさとそれを果たせた時のカタルシスを同時に得られた気分です。
- 溶かし腐らせまき散らす、大口の蝦蟇魔獣
群馬県伊林市に出現した今回の怪獣「水棲毒獣 ドグリド」。カエルといった両生類を思わせるビジュアルをしており、さらに丸い風船の如く巨大な頭部が目を引きます。大きな上半身に対して下半身は小さくずんぐりむっくりとした体型は、前作『ウルトラマンアーク』に登場したリヴィジラを彷彿とさせます。*1個人的には小さい前足がちょこんと出ているのがチャームポイントだと思っていますね。
そしてヤドクガエルのように毒々しいカラーリングから察せられるように、体内に毒を持っているのが最大の特徴。少量でも植物を腐らせ、生態系にダメージを与える危険性を孕んでいます。(ただ人間やウルトラマンの人体には今のところそこまで影響はない模様)背中の噴射口から霧状にして出してくるほか、攻撃を喰らうだけでも飛び出る辺り相当な量の毒を生成していることも伺えます。面白いのが毒を勢いよく噴射させることで高速移動出来る点で、劇中ではこの移動を活かしたタックルで攻撃していました。
また元は水辺に生息していたことから、水を浴びることで動きが活発になっていることが予想されていました。そのため鈍重そうな見た目に反して、優れた敏捷性でオメガを苦しめた強敵としての印象を深めていたと言えます。下手に攻撃すると毒を周囲にまき散らしてしまうし、倒し方にも一工夫が必要なので結構厄介な怪獣でしたね。(最後に毒が散乱しなかったのは、恐らくレティクリュート光線の高熱で丸ごと煮沸消毒したからなのでしょう)
- ワンコな宇宙人の愛嬌と謎
上述の通りコウセイの手を焼くソラトでしたが、他にも色々な特徴を見せていたのが印象に残りました。まずは何と言っても大食いな性格で、オメガに変身するだけでなく超人的な身体能力を発揮するだけでお腹が空く燃費の悪さにどこかフフッとさせられます。(ただ『オーブ』のガイさんや『ジード』のリクなども似たような描写があったので、ウルトラマンは総じてエネルギーの消費が激しいと見るべきでしょう)そのくせ焼きそばやカレーといった味の濃いモノばかりが好きになっており、アユムの野菜スティックに文句を言ったりと既に好き嫌いが激しい片鱗を見せているのが心配になってきたり。
他にも前回同様怪獣を匂いで察知したりと、さながら犬のような特徴を兼ね備えているソラト。ここまでの描写や性格も相まって、コウセイを振り回すワンコなイメージが完全に定着しつつあるのを感じましたね。それでいてアユムの頑張りを無駄にしないために戦おうとするなど、好感の持てる姿勢も変わらないので個人的にも彼のことがドンドン気に入ってきました。今後も色々問題を起こしそうですが、その度に多くを学んでいくであろうソラトの成長に期待がかかります。
それはそれとして、オメガと本作の怪獣の関係性にはさらなる謎が残ったのも見逃せません。というのもアユムの説明によると前回登場したグライムは研究の結果、地球由来の怪獣だったことが判明した話は意外でしたね。前回の時点では宇宙怪獣の可能性も考えていたのでこの情報はかなり衝撃的。今回のドグリドも、元は地球の水域で暮らしていたのでしょう。それだけに何故怪獣たちは今になって一斉に目覚めたのか?何故ソラト(オメガ)はこの地球の怪獣に詳しいのか?さらなる疑問が生じてきました。それだけにこの秘密の解明がますます楽しみになってくる限りです。
そして次回は冷気を操る怪獣が襲来。猛暑が続く夏に大寒波を発生させる強敵らしく、ドグリドに続いて環境の被害で心配になりそうです。暑い日だからこそ涼しさを求めてしまいますが、怪獣から発生した冷気ですからそれだけでは済みそうにないのは確実ですし……
またソラトのルーツを探るため、彼が目を醒ました山奥を捜索するエピソードにもなるとのこと。そこでコウセイが見つけた謎の石が新たな力となるようで、敵とは別の怪獣の出現に既にワクワクが止まりません。
ではまた、次の機会に。
*1:余談だがその似たシルエットから「ドグリドのスーツはリヴィジラを改造したものではないか?」という説がファンの間でまことしやかに囁かれている。