大きく、なれそうな気がする
ソラから落ちてきた宇宙人は人と出会い、多くを学び、そして戦いの中で目覚めていく────
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毎年ウルトラマンの新作が始まる7月頭、今年も最新作であるて『ウルトラマンオメガ』の放送がついにスタート。情報解禁されてからその真っ赤なビジュアルですぐさま話題になり、そのほかの要素と合わせてニュージェネレーションウルトラマンの集大成とも言えるテイストに僕自身以前から期待していました。そうして今回の放送でも「記憶を失った宇宙人」の不可思議ながら牧歌的なストーリーにすぐさま魅了された次第です。というわけで今回からそんなオメガの感想を書いていきたいと思います。
- 異星人交流と「優しい」想い
そうして本日放送された第1話ですが、何と言っても主人公「オオキダ・ソラト」*1と「ホシミ・コウセイ」の交流が印象に残りました。倉庫で住み込みのバイトをしているコウセイが、いきなり自分の前に現れたソラトに振り回される光景が早くも微笑ましく映りましたね。ソラトが記憶喪失の青年故に、何でもかんでも興味を示してはその場を散らかしていくのでコウセイに同情しつつフフッとさせられます。そのうえソラトの人間離れした身体能力も相まって、コウセイの視点で彼が何者なのか?という不思議な感覚を体験出来たのも大きかったです。
そして怪獣・グライムの出現による被害の中で、2人の人となりがそれとなく読み取れる内容が素晴らしく見入ることに。まずコウセイに関しては、困っている人を放っておけない人の良さがわかりやすく映えていました。迷子の女の子のために周りの大人に物申したり、「知らないからな!」と言いながらソラトのことを見捨てない様子に早くも好感を抱きましたね。助ける理由として何てことのないような口ぶりを見せる、照れ隠しがこれまた彼への印象をうなぎ上りにしてくれます。まさしく他人のために動けるコウセイは、劇中のソラトが言っていたように「優しい」なのだと直感で理解出来た気分です。
そんなコウセイの善性に触発されて、ソラトが人々のためにグライムと戦う展開も見事。最初こそ常識がなく得体の知れない存在感を放っていましたが、女の子への対応やコウセイへの感謝など根は思いやりのある人物であることも伝わってきます。そのためコウセイのように誰かを助けようとする姿勢に繋がる過程も、自然と描かれていて受け入れることが出来ました。総じて「ウルトラマンは何故怪獣と戦うのか?何故人間と守ってくれるのか?」という、放送前から示されていた本作のテーマを実感出来る登場人物紹介になっていたと思います。2人の個性とやり取りがコミカルかつ癒されるので、今後もこの奇妙なバディに目が離せません。
- 果てなきソラを見据え、刃を振るう真紅の闘士
オオキダ・ソラトが頭部より出現させた「オメガスラッガー」に、首から下げたネックレス「オメガメテオ」をセット。天に向かって突き上げることで変身した姿「ウルトラマンオメガ」。彼の本来の姿でもある本作の主役ウルトラマンです。上述の通り記憶を失ったソラト自身、多くを思い出せていないまま戦っているので序盤からかなり謎に満ちた宇宙人としても仕上がっています。
ビジュアルについては何と言っても顔まで真っ赤に染まっているのが特徴的。赤い覆面レスラーのような顔立ちは近年のウルトラマンではかなり珍しく、『ウルトラマンゼアス』のゼアスを彷彿とさせる人も多いかと思われます。胸部のプロテクターも中々に豪華で、さながら鎧を纏ったプロレスラーにも見えてきますね。またこのように真っ赤なため、他ウルトラマンよりも少なめな銀色や角ばった目&五角形のカラータイマーの青色がかえって際立つ神秘性も感じられました。
戦闘においてはまず手のひらを向けて、握るような動作で観察する「オメガスコープ」で敵怪獣を見据えるスタイルを披露。相手をじっくり見ながら攻撃を避けつつ、隙が出来たら即座に攻撃に移る落ち着いた戦いぶりを披露していました。それでいて側転からの回転蹴りや大きく飛びあがって空中キックを喰らわせるなど、ダイナミックの蹴り技を何度も使っていたのも見逃せません。肉弾戦以外にも冒頭で披露した「レティクリュート光線」のように、数々の技を兼ね備えているとのことです。(恐らく現時点ではそのほとんどを忘れているので、徐々に思い出しながら使っていくのでしょう)
そして変身アイテムであるオメガスラッガーを頭部にマウントし、戦闘時に取り外して使用するのが最大の特徴。飛ばして念力で操作するほか、逆手持ちしてナイフのように敵に斬りつける万能の宇宙ブーメランとなっています。その威力たるやグライムの熱線を弾き、頭部のツノを切り落とすほど。一撃で斬りつけて倒す手練れのような出で立ちに惚れ惚れしつつ、本作のウルトラマンの方向性というものが良く伝わってくる戦闘シーンでした。以降オメガがこのスラッガーを中心にどんな戦いを魅せてくれるのか、今からの楽しみになってきます。
- 掘り起こし溶解する、灼熱の地底獣
第1話にて登場した「熱線怪獣 グライム」は本作の地球で初めて存在が確認された怪獣(巨大生物)。鼻先から生えた細長いツノをはじめとして、全身にドリル状の鋭い突起を生やしているのが特徴となっています。ソラトの説明曰く「固い爪と熱線で地面を掘り進む」とのことなので、普段は地下奥深くに生息している地底怪獣なのでしょう。スタンダードなゴジラ体型のシルエットにドリルなどを付けたすことで、唯一無二のユニークなビジュアルに仕上がっていることに感心させられますね。
そして地底を掘り進むための能力の数々は、外敵との戦闘では武器として発揮されています。まず前足に折りたたまれた爪を展開することで、相手を切り裂いたり突き刺す攻撃が可能。そしてツノから放たれる熱線は固い岩盤を溶かすほどで、劇中では地上の車などを吹き飛ばす破壊力を見せていました。他にも先がトゲ付き鉄球のような尻尾をスイングしてぶつける技も持っており、全体的にトゲトゲしているが故の全身武器としての印象を与えていたと感じています。
そんなグライムに関しては、怪獣がいない世界に突如現れた点で謎を残しているのが注目すべきポイント。モグラのように土の中から地上に出現していましたが、一体いつからあの地球の地底にいたのか気になりますね。いきなり街中に出てきて攻撃を始めたのも不可解ですし、オメガとは別に「どこから現れたのか?」という疑問を生じさせています。(ソラトがやたらグライムに詳しかったですし、もしやソラト(オメガ)の存在を警戒して出現した?などが考えられますね)グライムを筆頭に、本作の怪獣にも大きな秘密が隠されていそうな予感がしてきました。
- “怪獣”を知らぬ人々の戸惑いと混乱
そして本作でもう1つ印象に残ったのが怪獣被害に遭った人々の様子。地震や陥没事故だと思われていたものが怪獣の仕業だと判明し、大勢が事態を把握出来ずパニックに陥っていく過程に妙な生々しさを覚えました。避難所(学校の校庭?)にて大人たちが救護班を問いただす剣幕は、わけのわからない事態に巻き込まれたが故の余裕のなさで視聴者に緊張感を与えてきます。迷子の子どもそっちのけになってしまうのはいただけなかった反面、自分のことに手いっぱいで他人のことまで気にかけてやれない心境というのはまぁ理解出来なくもありません。
これは上でも書きましたが、本作の舞台である地球ではこれまで怪獣が確認されていないのも混乱を引き起こした一因と言えるでしょう。劇中ではソラト以外怪獣のことを「巨大生物」と呼称し、いるかいないかで揉める辺りからも本来存在しえない“非日常”の恐ろしさといったものが感じられます。避難所などの描写がリアルなのもあって、余計に怪獣の異物感との融合っぷりに舌を巻くばかりです。そのため我々が生きている現実世界にて、もし怪獣が現れた場合同じような光景を目にするのではないか……?といった想像すら生まれてくるほどでした。(あとグライムの死体が丸々残っているので、アレの処理にも苦労しそうだなぁ~、とか思ったり)
前作『ウルトラマンアーク』と比べても怪獣災害の対応が遅れているのがわかる(SKIPのメンバーの避難誘導は見事だったなぁ)だけに、本作における今後の人々の被害が今から心配になってきますね。怪獣を迎え撃つ防衛隊も存在しない世界は過去作で何度か描かれていたものの、上述の要素もあってそれら以上に危機感を抱かせてきました。果たして怪獣出現の度にオメガに助けるだけで終わるのか、それとも人間なりに何らかの対処法を編み出すのか。本作における地球人の行動も、注目すべきポイントかもしれませんね。
他にも数多くの見どころが発見出来た今回。まずオメガVSグライムの戦闘ではオメガが地面に半身を埋められるも、上空の鳥を見て空を飛び脱出する演出が目に留まりました。戦いの中で自分の能力を思い出しながら突破口としていく、オメガの戦いの流れというものが1話から掴めましたね。またその戦いを報道するアナウンサー&カメラマンたち視点の映像も、巨人と巨大生物の大きさを実感出来るわかりやすい映像表現だったと言えます。
一方冒頭で繰り広げられたオメガの戦いは一転してフルCGで描かれていて驚きました。画面が暗いのもありましたが、CGの滑らかさを実感しつつも実写と遜色ないレベルの映像だったのでいきなり興奮せずにはいられなかったです。そんなハイクオリティCGですが、何とあのスタジオ白組が制作しているということもありこれには納得の一言。*2『シン・ウルトラマン』以来となる白組の参加で、本作のCGバトルにも大いに期待が持てますね。
というわけでオメガ第1話の感想でした。ソラトとコウセイの交流が魅力的なうえ、ウルトラマンが戦い理由についてを丁寧にアプローチした内容に早くもハマりましたね。怪獣に混乱する人々の描写もかえって新鮮に映っており、目新しさと共に堅実さが伺えるので掴みとしてもバッチリです。個人的には最後にソラトの「俺の名は、オメガ!!」という名乗りに合わせて、タイトルコール&ASHさんが歌うOP「BRIGHT EYES」が流れる演出には完全に魅了されましたよえぇ。
そのうえソラトもといオメガが何者なのか?といった謎が序盤から多く仕込まれているのも見逃せないポイント。そもそも冒頭のシーン、謎の宇宙要塞らしき場所で大量の「ヴァグセクト」なる怪獣たちと戦っていた理由も現状不明です。オメガを墜落させた光線を放った存在といい、彼は何かの巨大な勢力と戦っていることが予想されますが……そんなミステリアスな雰囲気を漂わせながら、ソラトの記憶と共に徐々に秘密が明かされていくであろう今後にワクワクしてきました。毎年新作ウルトラマンが放送されることを改めて嬉しく思いつつ、オメガも例年と同じように楽しんで視聴していく所存です。
そして次回はとある川付近に出現した怪獣を調べに行く様子が描かれる模様。ソラトとコウセイはそこで生物学者の女性と出会い、3人で行動していくとのことです。ただでさえソラトの奔放さに手を焼いているコウセイが、他人の前で彼をコントロール出来るのか?という疑問が湧いてきますね。恐らくですが今回のように、コウセイの苦労はまだ続きそうな予感がします。
(余談ですが本作の次回予告兼劇中ラジオのパーソナリティを務める「マサっさん」と「レミちゃん」*3の掛け合いも愉快なので、今後当人たちが出てくる展開にも期待したいところ)
ではまた、次の機会に。
*1:第1話時点のキャストクレジットでは「謎の青年」と表記されている。
*2:リンク先のインタビュー記事(https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1751591595&p=2)を参照。
*3:前者は『ウルトラマントリガー』でダーゴンの声を担当した真木駿一さん、後者は『ウルトラマンジード』でペガの声を担当した潘めぐみさんが演じている。
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