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仮面ライダーガヴ 第28話「絆のチョコフラッペ!」感想

弱さと甘さ

それが強さ

眩しくて戻れない瞬間 もう誰にも奪わせない

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  • 後悔と自責を乗り越え、今戦う時

 長いこと曇りに曇らされてきた絆斗の再起を描いた今回のガヴ。まず序盤からフラフラとした足取りで、自傷行為に走るほど荒れる絆斗の様子に胸が痛みましたね。師匠・塩谷さんの死の真相を知り、「俺のせいだ」と自責の念に駆られているので見ていて本当に辛かったです。元々絆斗はすぐ察して反省する一面がありましたが、それが追い詰められるとここまで自分を否定してしまうという事実に切ないものを覚えました。(ショウマへの仕打ちをずっと引きずっているのもあって、この作品のライダーみんな自己肯定感低いな……と妙に寂しくなってきます)

 それだけにチョコフラッペを食しながらのショウマの励まし方に感動しました。「絆斗のせいじゃない」とハッキリ言いつつ、彼の自責の念を理解する姿勢はなるほどショウマならではのスタイルです。この励まし方に関しては以前まで同じように自分のせいと心で責め続けていたショウマだからこそ、同じ状態に陥っている絆斗に寄り添えたと言えるでしょう。何よりかつてショウマの心を救ってくれた絆斗が、今度はショウマによって救われる構図の素晴らしさに震えますね。

 そうしてショウマと改めてわかり合い、酢賀の誘いを粉砕してみせた絆斗の反撃には大いに興奮しました。非人道的な手段で強さを求める酢賀に対して、「弱い人間のまま強くなってやる!!」と啖呵を切るシーンは爽快感が抜群でしたね。同時に絆斗がショウマと同じように、悲しいことや許せないことを抱えながらこれ以上何も失わないために戦うことを決意したことがよくわかる瞬間でもありました。過去の罪を背負って戦う姿はまさに仮面ライダー……!といった感動も生まれてきますねぇ。

 といった感じの胸熱ストーリーに加え、最初に主題歌なし(ラストに流れる)といった特殊な構成にも納得のいくカタルシスで最後まで存分に楽しめた次第です。いやぁここまで溜めに溜めたフラストレーションを、見事なまでに解消してくれましたね。特に河川敷でショウマと絆斗が仲良くしている光景(好きだわ発言にニヤニヤが止まらない)が素敵で、ようやくここまでこれたか……という感慨に浸ることが出来て本当に良かったです。

 

 

  • 凍拳と弾丸!甘く芳醇な一撃で悪を砕く

 

\ぎょうさん混ぜると強なんで~!/

\頑張って~!頑張って~!/

 

フラッペ!オン!

 

フラッペカスタム

シャシャリ!

 

 絆斗がショウマがフワフワのクリームと甘いチョコのフラッペを食べたことで生まれた「フラッぺいずゴチゾウ」をデンテが複製したヴラスタムギアにセット、中身を抽出することで変身した姿「フラッペカスタム」。これまでの呪縛を断ち切って生まれたヴァレンの新フォームです。従来のヴァレンとは異なり、酢賀の技術ではない別の変身アイテムを使用している特異なフォームでもあります。(変身アイテムを丸ごと変えてのフォームチェンジは『リバイス』のライブ&エビルマーベラス以来でしょうか)この変化は酢賀に利用されてきた絆斗の、これ以上彼に惑わされないという決意の表れのようにも思えるので非常にエモいですね。

 ビジュアルもこれまでのヴァレンから一転、金色ベースのアンダースーツの上にチョコフラッペを模した意匠を纏ったものに変化しています。チョコクリームの装甲にはツノが立っており、その鋭さはさながら稲妻といったところ。流線デザインながらトゲトゲしく、ヴァレンのチョコレート型のマスクと合わせてかなり鋭角的なものとなりました。それでいて左肩の辺りにストローが刺してあり、フラッペらしいアクセントになっているのが本作のライダーらしくて可愛らしいです。

 戦闘においては氷を駆使した戦法を披露。冷気属性という点はガヴ ブリザードソルベフォームと同じですが、こちらは自分の手足や地面を瞬間的に凍らせて打撃やかく乱に使っているのが特徴的です。氷が無くなるエフェクトも溶けるのではなく砕ける、と一見脆そうな印象を受けますが、氷を纏ったパンチでベイクを軽く吹っ飛ばせる辺り破壊力は相当なものと思われます。それら瞬間冷凍によるパワーに絆斗らしい泥臭いプロレススタイルが合わさることで、近接戦闘においては無類の強さを見せつけていました

 同時に遠距離戦でも高い実力を発揮。以前から使用しているヴァレンバスターと、ヴラスタムギアの機能で生成したチョコドンガンによる二丁拳銃を遺憾なく使いこなしていました。さらにフラッぺいずゴチゾウの上の部分(上部分の名称は「フラッペ一郎」らしい*1)をヴァレンバスターにセットすることで、強力な必殺技を放っていたのも見逃せません。これまでのヴァレンのスペックの低さを考えると、その強さにどこか感動を覚えますね。傷を乗り越えた絆斗の姿と相まって、かなり印象に残るフォームになったかと思います。

 

 

  • 歪な強さを求めた者の裏と末路

 さて絆斗を元に「最強の生命体」を作り出そうとしていた酢賀について、少々その背景が明かされたのも今回の大きな見どころ。地下で何人ものダークショウマを培養しているシーンにはゾッとしましたが、ラキアがそれを破壊した直後に映った靴下と写真に目が留まりました。特に写真に写っていた赤ん坊を抱く酢賀の姿は、これまでの彼の印象と謎が一気にひっくり返るほどの衝撃だったと感じています。ここにきて彼が何故「死なない生物」を作ろうとしているのか、大体察しがつきましたね*2

 この描写に関しては詳細な説明はせず、最低限の要素だけを伝えているのが絶妙でした。酢賀の非道な研究の裏に何があったのかを、視聴者の想像に委ねているおかげで同情させ過ぎない塩梅に落ち着いていたと思います。個人的にも子守歌のBGMやダークショウマに父さんと呼ばせなかった理由など、多くのことが腑に落ちてスッキリしましたね。他にもこの赤ん坊があのまま成長していたら絆斗くらいになっていたのかな……?といった彼が絆斗に固執する理由の答えとしての、妄想の余地を残してくれているのがグッド。

 そして劇中ではこの事実を知っているのはラキアのみ、ショウマと絆斗はそのことを知らないまま酢賀が退場するという末路にも唸らされました。誰1人としてその真意を知られることなく、ニエルブ以外に惜しまれることなく彼が息絶えるラストはこれまた絶妙な哀愁を漂わせていましたね。(唯一子ども部屋を見たラキアもグラニュート故ピンときていなかったのが構成として上手い)また絆斗を実験台として扱っている一方で、攻撃を躊躇うくらいには情を抱いていたのも印象的。間違いなく外道であったものの、その裏にはほんの少しだけ人間臭い一面を残していた……最後の最後に酢賀研造という人間の「弱さ」を嫌った人間性を理解出来た気分です

 

 

 今回はショウマ&絆斗と酢賀がメインでしたが、幸果やラキア、デンテおじさんの存在も物語を盛り上げてくれました。特にデンテおじさんは絆斗用にヴラスタムギアを複製したり、ゴチゾウまではコピー出来なくて嘆いたりと頼もしくもコミカルな様子が何ともおかしかったです。本筋がひたすら暗い分、おじさんの異常なまでの明るさがかえって箸休めの癒しポイントになっていたと思います。(あと幸果の模様替えによって、おじさんの部屋が何ということでしょう!テレ~レ~♪とビフォーアフターしたのもここすきポイント)

 あとはやはりラキアが酢賀の研究所をビターガヴごとぶっ壊してみせた展開には度肝を抜かれましたね。ここまでの流れからしてベイクに変身した酢賀に返り討ちに合うとばかり思っていたので、酢賀が早々に逃げ出して残った方を叩き伏せる頼もしさはあまりにも意外でした。「潰してくる」と言って本当にやってみせた、ラキアの有言実行ぶりには舌を巻くばかりです。そしてこれでダークショウマ(ビターガヴ)は完全に一掃出来たとは思いますが、引き継いだニエルブの存在もあってまだまだ不穏ですね……というかビターガヴには本編未登場のフォームが2つも残っていますし、メタ的にもまだ出番はあるでしょう。

 

 

 さて酢賀との戦いを乗り越えたところで次回はまさかのバスケ回。バスケの試合に助っ人として参加しつつ、行方不明になった出場者を探すことになるとのことです。ここにきてまたもや普通のバイトグラニュートとの戦いに戻るようですが、ショウマとラキアのバスケ初体験のシーンなど日常パートも多くなりそうですね。ここ最近が暗かった分、思いっきりのどかで笑えるコミカルさを期待したいです。

 しかしそれ以上に気になるのはストマック家の大騒動。長いこと消息不明だったジープが、グラニュート界の大統領令嬢を連れて戻ってきたことに予告の時点で仰天しました。年明け以降忘れ去っていた彼が、ここにきてとんでもないコネを作ってきたことに驚きを隠せません。ジープがその令嬢と結婚することでストマック家にどんな激震が走るのか、今から気になって楽しみになってきますね

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:ちなみにフラッぺいずゴチゾウの下部分は「フラッペ二郎」という名前とのこと。

*2:余談だが仮面ライダーWEB(https://www.kamen-rider-official.com/gavv/29/)によると酢賀役の浅沼さんは、脚本の香村純子氏から渡された「酢賀に関する設定メモ」を元に演技をしているとのこと。