未来のために何をすべきか
心臓マッサージをするウルトラマンが見られるのはウルトラマンオメガだけ!!(多分)
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- 倒すだけでない、救うための向き合い方
今回のオメガは工場に出現したある怪獣から始まった、怪獣と人間の付き合い方について一石を投じるようなストーリーが展開されました。その怪獣・クロノケロスがまだ子どもの迷い怪獣だとわかるや保護しようと奮闘する点は過去作と同様のテイスト。しかしその過程で描かれた凄惨な未来の光景は視聴中衝撃を受けるほどのものとなっていました。荒廃した未来でさほど危険ではない怪獣を攻撃する謎の艦隊など、よくわからないけど不安を覚えさせてくるほどのインパクトだったと感じています。ハッキリとした答えが出なかった分、不明瞭な怖さに満ちていましたね。
しかし今回の見どころであるクロノケロスを助けるシーンは対照的に、明確な熱さに満ちていました。群れとはぐれただけの幼い怪獣を助けようとするソラトたちの必死さには胸打たれましたし、衰弱した怪獣に心臓マッサージを試みるシーンは実に新鮮。前半が丸々クロノケロスの子どもを追いかけるややコミカルな内容だっただけに、怪獣も1つの命として助けようとする真剣さがキチンと伝わっていたと思います。(6話で怪獣と向き合う決意を固めたアユム主導なのがここすきポイント)
そこから転じてオメガが親のクロノケロスに心臓マッサージを施す様子が見られたのも面白かったですね。ウルトラマン特有の超常的な力ではない、人間的な手段で怪獣のために努力する光景はこれまた斬新かつ素敵なシーンとなっていました。何より冒頭で厄介なネズミを退治してしまうことに疑問を覚えていたソラトが、こうして救える命にも手を伸ばすことに必死になる姿にどこか心が暖かくなってきます。怪獣は倒すだけが全てではない、時には共存の形もあり得る……ウルトラマンシリーズでは長年提示されている課題ですが、今回は本作ならではのアットホーム&身近な要素で描いてくれていたと言えます。
- 時をかける怪獣親子の旅
神奈川県のとある工場に出現した「時空漂流獣 クロノケロス」は動物のサイ、あるいはトリケラトプスのような角竜に似たビジュアルの怪獣。濃い青色の体表や鱗に背ビレといった特徴も持っており、2足歩行の草食恐竜としての印象がかなり強いです。また劇中では子どもと親の2体の個体が登場しましたが、前者が人間大の大きさだったのに対し後者はウルトラマンと同じ40m級とサイズ差が激しいのも特徴的。(ウルトラ怪獣としてはよくあることですが)あとは鼻の辺りに生えているツノは親の場合はかなり鋭くなっているなどの違いも見受けられますね。
そんなクロノケロスの能力は時空間移動。文字通りのタイムスリップ・タイムリープで、はたから見ると瞬間移動したように見えるとんでもない力を備えています。これはソラトの説明を信じるに外敵から身を守る手段であり、安全な場所を求めて群れで跳ぶ渡り鳥に近い性質とのこと。それだけにクロノケロス自身は臆病かつ温厚な性格であり、子どもを見る限り攻撃性はほとんど確認出来ません。ゴツゴツとした見た目とは裏腹な大人しさ故に、時間を越えることで身を守っているのでしょう。
それだけにクロノケロス親子が攻撃を受けていた事実にショックを受けることとなりました。ここまでの描写から危害を加えるような怪獣ではないことは明白なのに、それでも狩られてしまう光景には痛々しいものを覚えます。警戒心さえ解けば人懐っこい一面を見せてきた点もより彼らを傷付ける行為への憤りも湧いてきたほど。詳しい事情は結局わからずじまいですが、ひとまずはクロノケロス親子が無事に群れに戻れたであろうことを喜びたいですね。
- 最悪の未来を前に“想像する”こと
とまぁクロノケロス親子が助かって良かったと感じる一方で、彼らを襲った存在と未来についての不安は拭えなかったのも事実。上でも触れましたが、未来では廃墟だらけの街並みが広がっていることに驚きを隠せませんでした。子どもの個体に神経伝達を阻害する装置を打ち込んだり、容赦なくミサイルの雨を降らせてくるなど怪獣への尋常ではない敵対心も伝わってきた次第です。それだけに一体未来では何が起こったのか?怪獣を攻撃してきた連中は何者なのか?それらの疑問符が頭に浮かんできて仕方ありません。
ラストのアユムとサユキさんの会話を聞く限り、あのミサイルを撃ち込んできた艦隊は地球人の勢力と見ていいのでしょうか。宇宙船のようにも見えましたが、終始無機質だっただけに判断は難しいところ。(コウセイたちがいても構わず攻撃していたことから人の思考を介さない無人機だったのでは?と密かに妄想しています)少なくとも人間と怪獣の戦いの末、あのような未来に繋がってしまったのは確実なようですね。現代ではタイラ隊長など怪獣災害を対処するために頑張っていただけに、その結果がこれだと思うと切なくなってきます。
ただサユキさんの「ただ1つの未来とは限らない」というセリフもあって、あくまで可能性の1つとして考えられるのが救いですね。怪獣討伐の姿勢が行きすぎたせいであの未来に繋がるかもしれませんし、ここからまた別の未来に分岐する可能性も十分にあり得ます。そのため今回はそんな未来を目の当たりにして何が出来るのか?を問いかけるエピソードであることも読み取れました。わからない問題に対して安易な答えに縋らず、自分と相手双方の立場になって考える……前作『ウルトラマンアーク』を手掛けた辻本貴則氏らしい、視聴者の“想像力”に願いを託すテイストは個人的にも大いに頷かされます。
今回は終盤になってソラトがオメガに変身して怪獣を倒さず救おうとするなど、従来のエピソードと比べてもアクションが少ない異質な内容となっていました。しかし謎の艦隊からクロノケロスを守るため、レキネスアーマーを身に纏ったオメガの活躍は最高でしたね。レキネスソードで艦隊をバッタバッタと斬り倒し、あっという間に一掃する様子はここまでの鬱憤を晴らしてくれるほどのカタルシスに満ちていたと感じています。(オメガの顔に影が入っていて、若干ソラトの怒りからくる容赦のなさのようなものが伝わってくるのがまた良きかな)
そして剣戟シーンがカッコいいことカッコいいこと。オメガが船を斬り伏せる瞬間を止め絵で連続で映し、迫力のある構図でキメてくれるので実に鮮烈なシーンとなっていました。特に最後の上から見上げたカットは、ニュージェネウルトラマンで度々見られてきた剣を振り下ろした勇者パースと同じもので惚れ惚れさせられます。辻本監督はこうした剣を使ったカットに定評がありますが、今回その手腕を見事に発揮していましたね。時間にして1分にも満たない戦闘シーンでしたが、これまでの戦いにも負けない印象を残してくれたとして個人的にも大満足ですよえぇ。
そして次回は謎の男・雷音寺が襲来!怪特隊本部から出向してきた監督官とのことですが、自称ウタ・サユキのライバルという肩書きの時点で一気に胡散臭さがマシマシになってきました。サユキさんが不在なのをいいことに、ソラトたちウタ班の自分の思い通りに動かそうとしているのが予告の時点で伝わってきます。本作特有のクセの強いゲストキャラとして、この雷音寺はどんな人物になるのでしょうか。
他には次回の登場怪獣がガボラなのが注目ポイント。古参ウルトラ怪獣の一角として久々にテレビで見られるのは嬉しいですね。劇中では「タケノコ怪獣」とか言われているようですが、あの頭部を見ればそう思われるのも当然……と少しだけ吹き出してしまいます。とにかく懐かし怪獣の再登場はやはり胸躍るものです。
ではまた、次の機会に。
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