“友”として信じる形
記憶よりも確かなんだ 導いてShiny Eyes
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- 振り返りながら謎に迫る
今回のオメガは実質的な総集編。前回コウセイがレキネスを出す瞬間をアユムに観られたことから、どうやって彼女に説明するか悩む様子が繰り広げられました。上手く説明するために要点をまとめようと、ソラトとの出会いや出来事を思い出す形でこれまでのエピソードを振り返る、総集編のお手本のような流れに深く頷きましたね。そしてレキネスやトライガロンといったオメガカイジュウを手にした時といい、コウセイなりの表現のたどたどしさに微笑ましさを感じます。「なんか出来そうだったからやったら出来た」といった感想は、実にコウセイらしくてクスっときました。
またソラトもといオメガとメテオカイジュウとの関係についてなど、改めてそれらの謎について言及されたのも見逃せません。2人とも自然と受け入れていますが、何だかんだでまだまだ明かされてないことばかりなので気にしてくれるのは視聴者としてもありがたいところです。個人的には「他にもいるのかな?」といった、今後の展開の布石とも言える発言に何とも言えない高揚感を覚えます。誰もいなくなった倉庫でレキネスとトライガロンが怪しく光ったラストといい、メテオカイジュウの存在がどれだけ重要かを再確認することが出来ました。
またソラトに関してもちょっと興味深い情報がサラッと出ていましたね。第1話冒頭で裸になっていた彼が如何にして服を手に入れたのか気になっていたのですが、「親切な人がくれた」という発言に思わず二度聞きしてしまいましたよえぇ。全裸の屈強な男性を怪しむどころか助けてくれる、そんな意外な人物が今後出てくるかもしれないと思うとこれはこれで注目が止まりません。もしや前回コウセイを連れ回したあの女性研究員ではないか……?といった妄想を膨らませつつ、その親切な人の再登場にも期待したいところです。
- 積み上げてきた絆と信頼
そして今回の最大の注目ポイントとなったのがアユムとの会話。レキネスの件でどれだけ問い詰められるのか視聴者的にも気が気でなかった(とはいえ劇中のソラト同様バラしても大丈夫だろう、という安心感もありましたが)のですが、アユムが敢えて追求しないことにしたシーンに驚くこととなりました。ここまで重大な秘密を目の当たりにしてコウセイたちに説明を求めない、そんな選択肢があったのかと個人的には目から鱗でしたね。コウセイたちにはありがたい話ですが、アユムが選んだ道のりに衝撃を受けずにはいられません。
しかし彼女の「2人の友人として隣にいたい」という言葉で大いに共感を覚えました。ピグモンに優しく接するソラトとコウセイを見て、これまでの彼らを信じたいと思えるようになったのでしょう。(怪獣への穏当な態度は6話を彷彿とさせます)だからこそ2人が秘密を隠している事情も察して、迷惑をかけないために聞かずにいることを決めたのかもしれません。ソラトの正体にも薄々気付いていそうな中で、普段と変わらない関係を保とうとするアユムの考えには感服するばかりです。
他にも前回のエルドギメラ討伐をきっかけにNDF内でもオメガを支持する声が上がっている話にグッときました。ここまで人々のために戦ってきたソラトとコウセイの頑張りが、ようやく報われたとわかる瞬間でもありどこか喜ばしく思えますね。それもこれもただのソラトとコウセイとしてアユムと交流を重ねてきたからこそ、3人が積み上げてきた信頼の成果とも取れるのがまた見事。本格的な戦闘がない総集編ながら、メインキャラの関係をキチンと描いて物語に深みをもたらしてくれる内容としてしっかり楽しめた次第です。
- 海の向こうよりやってきた小さな友達
太陽倉庫にいつの間にか潜んでいた1mほどの小型怪獣「友好珍獣 ピグモン」。ご存じの人も多いかと思われますが『ウルトラマン』にて初登場して以来、人間に友好的な怪獣の代表格として有名です。ユーモラスなビジュアルと人間に対し人懐っこい愛らしい仕草が特徴的で、昔からマスコット怪獣としての地位を築いてきた実績があります。一方初代ウルトラマンに出てきた個体は、人間を守って命を落とす最期を2度遂げた点も見逃せません。自分の命を犠牲にしてでも他者を助ける、そんな献身的故に儚いイメージも強いですね。(ちなみよく言われているガラモンに似ている点は、言うなれば他人の空似です*1)
以降も様々な作品で登場してきましたが、本作のピグモンは完全に野性怪獣のようなテイストとなっていました。冒頭から存在を匂わせていたものの、いざソラトたちの後ろに姿を見せた時は面食らいましたね。ソラト曰く無人島に暮らしているようですが、如何なる経緯かは不明ですがここまでたどり着いてしまった模様。お腹を空かせてお菓子を食べ漁るところは迷惑染みていましたが、人間に怯えたり怪我をしていたことからピグモンも大変な思いをしてきたことを感じ取ることが出来ます。警察に捕まりそうになっていたものの、何事もなくソラトが元居た場所に送り届けてくれてホッとしました。
(余談ですがコウセイがピグモンにバルーンで作ったリボンを付けてあげるシーンは、再生ピグモンが風船を持っていた描写のオマージュとも取れるのでファンなら見逃せないニヤリとくる場面となっていましたね)
さて次回は謎の宇宙人が出現!黒いオメガメテオを首からぶら下げた男が、ソラトを狙って襲撃してくるようです。さらには新しいメテオカイジュウまで引っ提げてくるなど、レキネスたちの出自にも繋がりそうで注目が止まりません。オメガとこの宇宙人の関係は?そもそも彼らは何者なのか?いずれにせよ物語がいよいよ動き出す、重要な回になるのは間違いないでしょう。後半戦として実に楽しみになってきました。
(あと予告映像を見る限り生身アクションもたくさんやってくれそうなので期待出来ますね)
ではまた、次の機会に。
*1:補足しておくと『ウルトラQ』のガラモンの着ぐるみに少しだけ手を加えてウルトラマンに出したのが初代ピグモン。本作の着ぐるみも『ウルトラマンブレーザー』に出てきたガラモンと同一である。