ウルトラマンオメガ　第12話「俺のやりたいこと」感想 - 新・メタレドの楽しんだもん勝ち！

守りたい想いは嘘じゃない

久々のワンダバ＆まさかの挿入歌、こういうのをいきなりぶち込んでくるの大好き！！

[バンダイ(BANDAI)] ウルトラマンオメガウルトラ怪獣アドバンスエルドギメラ

BANDAI

「優しい」初心を思い出す時

エルドギメラの出現により、かつてない危機的状況を迎えた今回のオメガ。前回ラストのコウセイの焦りに胸を痛めつつ、その後の彼の様子にさらにハラハラさせられることとなりました。自分のせいでソラトが傷付いてしまった……といった自責の念や、無力感を抱えているのが冒頭から伝わってきて中々に辛かったです。極めつけはソラトの「ここを出ていく」発言で、コウセイ視点だと見限られたように見えるのが何とも心にきました。（無論ソラトの「コウセイに迷惑をかけたくない」は本心なのでしょうが、構図が構図なのでそう見えてしまっても仕方がないですね）

そんなコウセイに変化の兆しをもたらしたのが謎の女性研究員。いきなり調査に付き合わせる豪胆さを見せてきてギョッとしましたが、悩める今のコウセイにはこれくらい強引な方がちょうど良かったのでしょう。そして彼女がコウセイを諭すシーンは印象的で、何てことのないように背中を押してくれたのでホッとしましたね。何と言っても「失敗を挽回するかそのまま逃げるか、決めるのは自分自身」「君は何故それをやりたいと思ったの？」といった言葉が、個人的にもかなり突き刺さりましたね。特に失敗することを否定しない姿勢は、視聴側としても見習いたい精神だと感じられます。

ここからコウセイが現場に走り出すくだりからは盛り上がりも最高潮。戦う力を得て増長していたけど、助けたい気持ちは決して嘘ではないことを口にする彼の姿に思わずときめいてしまいました。何と言いますか、前回は見られなかったコウセイの「優しい」部分を取り戻せたことに感動を覚えますね。挫折した過去から何者になりたいと思っていた若者が、迷走をしながらも乗り越えていく絵面は良いものだとつくづく感じます。前回の不安を見事に拭ってくれて、コウセイ好きとして満足のいく回となりましたね。

（ところで結局あの研究員が誰だったのかはわからずじまいでしたが、その内再登場して何者か明かしてくれるのでしょうか。個人的には以前アユムの話に出てきた彼女を怪獣調査に送り出してくれた「恩師」なのではないか？と睨んでいます）

合成獣を制する、人間たちの底力

そして今回のもう1つの見せ場となったのがアユムとNDF対エルドギメラ作戦。研究の結果「ギメラ細胞」なるものを突き止めて、その弱点から強制的な細胞促進で弱体化を狙う作戦を発案した時は大いに感心しました。これは細胞の特性を見抜くまでの苦難もキッチリ描かれていたからこその感動も大きく、八方塞がりになりかけても諦めずに手掛かりを探し続けたアユムの姿が何とも眩しかったです。（前回のタイラ隊長の言葉を思い出して自分を鼓舞しているのもここすきポイント）

そうして始まった作戦を、オメガとレキネスの協力を得て成功させる展開も最高でした。作戦がちゃんと効果的であることに加え、それをオメガたちが全力でサポートしている絵面が新鮮に感じてテンションを上げずにはいられません。人間たちの力もしっかり役に立ち、ウルトラマンだけに頼りきりにならない描写はシリーズファンほどグッとくるものがあるかと思われます。タイラ隊長がオメガたちの行動を察して作戦を継続してくれたシーンもあって、NDFへの好感度が爆上がりしましたよえぇ。

ドグリドまで吸収してパワーアップしたエルドギメラ相手を弱体化させ、レキネスアーマーでのトドメも大いに盛り上がったの一言。この流れからウルトラマン（ソラト）と怪獣（コウセイ）そして人間（アユム）、どれかが欠けていては成し遂げられなかった勝利として深く印象付けられた次第です。異なる3つの存在が力を合わせることで困難を突破していく……ウルトラマンオメガという作品のテーマはここにあるのだと、ちょっとした答えを得られた前半のクライマックスでしたね。

また今回は劇伴関連も注目すべきポイントが多かったです。まずNDFの作戦開始時に流れた「NDFのテーマ」なのですが、これが「ワンダバ」だったので最初聞いた時驚きましたね。

ワンダバと言えばウルトラマンシリーズにおいて防衛隊の描写でよく流れる、ワンダバダバダバ……とコーラスが流れることからこの通称が親しまれているBGM。それをオメガで聞くことになるとは思ってもみなかったです。このワンダバが流れたことでNDFが本作の防衛隊であることを、強く意識させてくれる点でも重要なポイントでしたね。（ちなみに本作のワンダバを歌っているのは日本のミュージシャンであるタカハシヒョウリさん。『TSUBURAYA IMAGINATION』などでコラムを寄稿しているなど以前から円谷プロとの関わりが深く、それが今回の起用に繋がったのだと思われます。*1）

さらにもう1つ、今回流れた挿入歌「アンブレイカブル」も見逃せません。コウセイとレキネスが加勢に加わってから流れ、劇中のクライマックスを強調させてくれました。何と言ってもASH feat.MindaRynさんという、本作のOPとEDを担当する両者が揃って歌っているのが素敵ですね。本作を視聴していると自然と聞きなれてくる歌声で、非常に曲が流れてきたとテンション爆上げしたものです。歌詞はちゃんと聞き取れなかったものの、曲調だけで気持ちを高ぶらせてくれる名挿入歌であったことはしっかりと伝わってきました。

さて次回は総集編を兼ねた箸休めエピソード。今回のコウセイの戦いを目撃したアユムに「後で話聞かせてもらうから」と言われ、どう説明するか悩むコウセイたちが見られるようです。その過程でこれまでの出来事を振り返るようですが、この状況だとかえって悠長に見えてきますね。（ぶっちゃけソラトたちでは上手い言い訳は思いつかないでしょうし……）2人のドタバタ劇を眺めつつ、アユムがどうやって真実を受け止めてくれるのかに注目していきたいと思います。

ではまた、次の機会に。