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ウルトラマンX 第19話 「共に生きる」 感想

苦悩の果てに
その思いを胸にこめて前に進め






















・SD実体化実験
 今回は冒頭からSDを実体化させるという実験の準備が行われていました。その危険性から色々渋ってい副隊長に「危険を伴わない進化はない」と言う博士が何だか素敵です。実験の対象は大地の古くからの親友であるゴモラのSDで、ダークサンダーエナジーを100発くらっても平気なエナジーシールドで周囲を防護するという徹底ぶり。フラグにしか聞こえない
 実験の結果見事完全な実体化に成功したゴモラ。大地の言うことをちゃんと聞いてお座りするゴモラが可愛い~。結構緊迫した状況なんですがファンシーなBGMと相まって心が和みます。大地に対して非常に懐いており、頭を寄せてくるゴモラはリドリアスを彷彿とさせてくれます。
 しかしそんな癒し空間は長くは続かず、いつも以上に連続で降り注いでくるダークサンダーエナジーによってエナジーシールドが破られ、それを浴びたゴモラがEXゴモラになって狂暴化してしまいます。前回のEXレッドキングもそうだったんですが、『大怪獣バトル』では純粋なパワーアップ形態だったEXを狂暴化みたいに扱われるのは複雑な気持ちです。別物と割り切って考えるしかないか……。それは置いといて、暴れ出すゴモラを止めるためエックスにユナイトし、再びSDに戻そうとしますが……。


・共存の闇
 突然小さなフラスコの中に閉じ込められたエックスと大地。2人を閉じ込めたのはあの『ウルトラQ』に登場した人工生命体・M1号でした。しかもその口ぶりや『ウルトラQ』の本編映像の挿入からしてあの「地底超特急西へ」のM1号本人の可能性が高いです。彼は人間に「捨てられた」とシリアスに語りますが、正直あのエピソード半分くらいお前の自業自得なんだが…………。ともあれあの時は赤ん坊くらいの知能しかなかった彼がここまで渋い声と高い知能を手に入れていたのには驚きですね。ラストに一緒に宇宙にふっとばされたイタチ少年とはどうなったのかも気になります。
 ゴモラが狂暴化した原因としてM1号を疑う大地ですが、M1号の方は「人間は都合の悪いことは全て誰かが悪意を持ってやっていると思う。自分たちがいつもそうしているからだと」中々耳に痛いことを言ってくれます。さらにXioがゴモラを駆除する判断を下した時の発言もシビアです。

 M1号「これが人間だ。共存などと言いながら、都合が悪くなれば平気で排除する。思い知れ!人間は他者と共存などできぬ!共存できぬ者は滅びゆくだけだ」



アスナの声、ゴモラの選択
 隊長の命令を受けながらも苦々しい顔でゴモラを攻撃するワタルたち。しかしアスナゴモラの前に駆け寄って必死に説得を始めます。

 アスナ「お願い……あなたを、殺したくない。あなただって私と同じ気持ちのはず!だって、私を助けてくれたじゃない!あなたは私と繋がって、一緒に戦ってくれた。そうでしょう?それなのに、わけのわからない黒い稲妻のせいでこんな風になるなんて嫌だ!こんなの絶対に間違ってる!!」

 アスナ「私は…………いいえ、私たちは信じてる、あなたと共に生きる未来を!」

 「ゴモラと繋がった」アスナの訴え。大地以上にサイバーゴモラと共に戦ったことのアスナだからこそ言える台詞だと思います。大地よりもアスナがサイバーゴモラを使う機会が多いのにどこか不満を持っていましたが、今回のことでそれにもちゃんと意味があったとわかりました。
 しかし止まらないゴモラアスナへの攻撃に悲痛な叫びをあげる大地。絶体絶命のその時にM1号がフラスコを破壊してくれたおかげでテレポートで助けに来られたエックスはエクシードエックスラッシュで早くもゴモラを元に戻します。正気に戻ったゴモラは全てを受け入れるかのように手を広げ、大地も涙ながらにザナディウム光線を撃とうとしますが、その瞬間ゴモラが光となってSDに戻るという驚くべき現象が起こりました。あまりにも理解の追いつかない光景に呆然とする大地にM1号は人間の行く末を監視するという旨を伝え、そのまま宇宙の流れに身を任せ始めました。

 M1号「私はカモメ。空高く飛翔し、思考し続ける。私はカモメ……私は…………」

 かつて「地底超特急西へ」のラストで口にした「私はカモメ」(元ネタは女性宇宙飛行士テレシコワの言葉)をこのように広げるのには驚きと同時に感心しました。そして再びケースに閉じ込められたゴモラのSDに「いつかまた会おう」と確かな決意を胸する大地の姿で幕を下ろす最後ももの悲しさと同時に希望を感じさせてくれるいいラストです。


 今回は以前から触れられていた「怪獣との共存」をキッチリと描き、その難しさと大地とアスナの諦めない思いを丁寧に描いたエピソードでした。特にアスナゴモラの関係はこれまでの一緒に戦う描写があってこその積み重ねの重要性を感じさせてくれるものでした。
 そして驚きなのが半世紀ぶりにウルトラシリーズに姿を見せたM1号。(『ウルトラゾーン』とかにも出てたけど)かつての無邪気な姿はどこへ行ったのか、人間への不信感を募らせその傲慢さを思い知らせるシリアスなキャラに変貌していたのには本当に驚きました。(でもその割には人間のやることにケチを付けたいだけに見えたけど……)今回の件でこいつが登場した「地底超特急西へ」はシリアスなエピソードだと勘違いした人が多いかもしれませんが、実は全然そんなことはなく、むしろ愉快なドタバタ展開が満載でホラー要素も薄いためまだ『ウルトラQ』を見たことがない人にもお勧めできるエピソードです(ステマ


 そして次回はついに!待望のネクサス回!!スペースビーストが登場するほかベムラーザ・ワンの元ネタ)まで登場するという豪華さとネクサス本編と同じ方式のサブタイトルというこだわりっぷり。そして以前から気になっていたネクサスに変身するのは誰かという問題ですが、次回予告を見る限りもしや副隊長が…………?いずれにせよ楽しみで仕方がない!


 ではまた、次の機会に。