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2021年映画簡易感想 その2

 

 

 ずっと放置してしまっていた映画感想。特に今回感想を書く作品はほぼ全てが公開終了してしまったものであり、それを今になって書くのは如何なものか、と少々悩みました。

 とはいえそれぞれの作品に対する想いを胸に秘めたまましまってしまうのはあまりにももったいない、と思い、今回筆を取りました。今更な感想ばかりですが、読んでいただけたら幸いです。

 

※ここから先は映画の内容に触れているのでネタバレ注意!!

 

 

 というわけで以下、今回の映画感想です。

 

 

 

 

 

 

 

ブラック・ウィドウ

 ついに始動したMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)」の“フェーズ4”最初の作品。延期に次ぐ延期で最初の公開日から1年以上待たされただけに、やっと公開されただけで本当に嬉しかったです。しかも『エンドゲーム』で死亡したブラック・ウィドウこと「ナターシャ・ロマノフ」が主役ということもあってかなり気になっていた作品でもありました。

 そうした本作は時系列的には『シビル・ウォー』の直後を描いたエピソード。ナターシャがかつて共に過ごした家族と再会することで自分の過去に決着をつけていく内容でしたが、案の定かなりエグい描写が多く、視聴中何度もギョッとしました。冒頭のオープニングクレジットで流れる「レッドルーム」に連れていかれた少女たちの扱いを見ているだけで胸が痛くなりましたね。

 しかし物語の中盤、ナターシャが少女時代共に家族を演じてきた面々と合流してからは少しずつ雰囲気が明るくなったのが意外でした。妹役だった「エレーナ・ベロワ」との再会の時点でその片鱗がありましたが、父親役だったレッド・ガーディアンもとい「アレクセイ・ショスタコ」が登場してからは決定的でしたね。アレクセイのズレているけどもどこか憎めないキャラクターのおかげでコミカルなやり取りが一気に増えてきた印象です。

 そして母親役の「メリーナ・ヴォストコフ」も出てきてからは彼女らとの確執を乗り越えるのがメインだったと言えます。ナターシャにとって偽りだと思っていた家族との日々を彼女自身が肯定することで、本当の家族のようになっていく様子は見ていて心が温かくなりました。メンバーの誰が死亡するのか、と最後までドキドキしていたのもあって、全員生存してから抱き合うシーンでウルッときてしまいましたね。ナターシャがかつての家族との絆を確かめ合ったことで、アベンジャーズというもう1つの家族を取り戻すために動き出すラストも見ていて前向きになれました。まぁ『エンドゲーム』での彼女の顛末とエンドロール後の「アレ」のせいで素直に喜べないところもありますが。

 

 アクションに関してはMCUの中でもトップクラスの内容でした。スパイアクションということもあって各シーンの人間の動きの限界に挑んだようなアクションが多めで見ていて楽しかったです。(『ウィンター・ソルジャー』などにも言えますが、映像的に派手な特殊能力がほとんど登場しない作品ほどこの傾向が強い気がします)中でもレッドルーム本部が崩壊する中、上空で散らばる残骸に捕まったりしながら繰り広げられたナターシャVSタスクマスターは予告映像を見て抱いた期待を裏切らない見事なものでした。

 あとは個人的な視点として本作のヴィランである「タスクマスター」について。原作のコミックやアニメ作品では「完全記憶能力持ちの雇われ殺し屋」であるタスクマスターですが、本作ではナターシャが殺してしまった少女のなれの果て、という衝撃の正体でした。過去との決着をつけるために戦うナターシャに立ちはだかるラスボスとしてこれ以上のものはないでしょう。僕としても今までにないタスクマスター像に非常に感心したのですが、一方で『アルティメット・スパイダーマン』で初めてタスクマスターを知った身としては、あちらのイメージとは大きく異なるMCUタスクマスターにどこか複雑な気持ちを抱いてしまいます。しかしキャラクターとして非常に好みなので、何らかの形で再登場してほしいですね。

 

 

Fate/Grand Order -終局特異点 冠位時間神殿ソロモン-

 FGOのテレビアニメ『絶対魔獣戦線バビロニア』のスタッフによって製作された1部最終章のアニメ化。元々の内容が短かったのもあり、アニメ映画としては手堅くまとまっていた印象でした。バビロニアと同じくこの内容に至るまでの経緯がほとんど語られないので原作ゲームをプレイしていない人には非常にわかりにくくなっていましたが、その分ファン向けに仕上がっていたと思います。

 本作の特徴としては原作にもあった「英霊たちが集結するシチュエーション」をきちんとやってくれたのがまずあげられます。印象的なジャンヌの号令から始まり、次から次へとサーヴァントが召喚して戦ってくれる絵面はやはり迫力がありました。登場するサーヴァントに対して喋ってくれるサーヴァントがメイン以外でほとんどいなかったのは残念でしたが、出せるサーヴァントを出せる限りスクリーンに映してみせよう、という気概が感じられましたね。

 他には主人公の藤丸に与えられたアニメオリジナルの魔術礼装について。自身の神経を酷使してサーヴァントを瞬間的に召喚するシステムはかなり興味深かったです。サーヴァントを必殺技のように使う方式は実にアニメ映えしていましたし、宝具を使うくらいしか出来ずとも印象的な活躍をしてくれた面々も多くて興奮しました。(レフに一度トドメを刺したサンソンなどが個人的に好き)その上ゲーティアとの決戦や殴り合いにも使用されたのも良き。自分の身を削って戦う藤丸は非常に型月主人公していました。

 

 シナリオに関しては原作のソロモンをプレイして久しい中、改めて見れたのが良かったですね。マスターを見事に守り切ってみせたマシュや、最後に道を切り開いてくれたロマニのシーンはアニメになった分破壊力がより増していました。特にロマニの最期は劇場でボロボロ泣いてしまいましたよえぇ。

 そして死を絶望と断じて永遠を求めるゲーティアに対し、「限りある命の尊さ」を描いたストーリーは何だかんだで感動します。原作者の奈須きのこ氏の「人間賛歌」の一面が強く出ており、別れと選択の中で手に入れたものの素晴らしさを見事に表現していました。(個人的なイメージなのですが、「人間はとても素晴らしいんだ!頑張れば世界の危機だって乗り越えられるんだ!だからどうしようもないほどの世界の危機を用意してあげるね!!」という奈須きのこの考えが反映されたのがFGOだと思っています。)ともあれFGOのアニメとして他の作品とは別の形で楽しめましたね。

 

 

映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園

 いやぁ最高でした。一昨年から毎年クレしん映画を観に行っていますが、本作はここ数年の中でも特に素晴らしい作品だったと胸を張って言えます。映画で中心になることが多い野原家ではなく、カスカベ防衛隊の物語であるのも個人的に好みで評価が高いです。しんのすけと風間くんの友情にスポットを当て、その他大勢のキャラそれぞれの「青春」を見事に描き切ったと言えます。

 本作で特に素晴らしかったのがしんのすけたちの「将来」について触れた点。幼稚園でいつも一緒のメンバーもいつか離ればなれになるそう遠くない未来の問題を、幼い子どもたちにに突きつける中々挑戦的な内容でした。その問題に対し風間くんは「みんなと一緒にいたい」という考えを終始持っており、それが原因でAIの「オツムン」に振り回される・・・・・・といったことになっています。しかしながらみんなとの“未来”を手に入れたい風間くんの想いが強く伝わってくるのでどこか切ない気持ちにさせられます。

 一方でしんのすけ「未来なんてわからない」「今しかわからない」とばっさり言い切っているのがグッド。彼にとってみんなと一緒にいる“今”こそが最重要であり、“未来”のためとはいえ“今”をないがしろにしようとする風間くんを止めるのは至極当然と言えます。実にしんちゃんらしい考え方であり、“未来”ばかりを見据える在り方に対してちょっと待ったをかけてくれる素敵な在り方だと思います。

 

 この“今”と“未来”の考えが他のキャラクターにも当てはまるのも本作の特徴です。まず物語の舞台が学園ということもあり、登場人物のほとんどが未成年の若者で構成されています。大人と子供の間で揺れ動く不安定な学生たちを筆頭に、自分たちの“今”と“未来”に悩みを持った面々が如何にして乗り越えていくのかが見どころになっています。中でも学園のトップエリートである「豆沢サスガ(まめざわ・サスガ)」は恋心から始まった暴走ぶりが凄まじく、彼の“未来”にかける想いにはどこか同情を寄せてしまいました。

 書き上げた点以外にも面白い要素が満載なのも魅力です。学園ミステリーを銘打っているだけあって謎解きのシーンも興味深いですし、カスカベ防衛隊の意外な一面を打ち出したのも興味深いです。(まさかボーちゃんの恋愛ストーリーが見れるとは・・・・・・)最終決戦のマラソンを見て理解が追いつかない中、それでもしんのすけを送り出してくれるひろしとみさえなど、個人的なここすきポイントも多かったです。クレしん映画屈指の名作としておすすめしたい1作です。

 

 

 というわけで映画の感想でした。何とか書き上げられてホッとしています。他にも観た映画がたくさんあってその作品の感想を書きたいと思っていますが、中々書き上げられないのが現状。(今現在、最近観に行った『プリンセス・プリンシパル』と『ルパンの娘』の感想をどうするか悩んでいます)放っておけば楽なのですがそれでも、時間をかけてでも書いておきたいとも思っています。今回みたいに今更な映画ばかりになってしまうかと思われますが、その時はよろしくお願いします。

 

 

 ではまた、次の機会に。