新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

機動戦士ガンダム 水星の魔女 第2話「呪いのモビルスーツ」感想

歪んだ王朝をぶっ壊せ

ダブスタクソ親父」の語呂の良さよ

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

  • 若くも鮮烈な王女の反逆

 前回の華麗なる勝利から一転、スレッタが“魔女”として囚われる展開が待っていた今回の水星の魔女。前半は委縮したまま大人たちに問い詰められるスレッタが何とも可哀想でした。恐らく彼女はエアリアルガンダムであることを理解していないので、当人からすればわけもわからぬまま理不尽に晒されている気分だったでしょう。上級生の「エラン・ケネス」と対面した時の涙は、そんな状況下でわずかに得られた人の温もりだったを感じていたのかも……と考えてしまいますね。それはそれとしてケネスの「君を知りたい」発言に赤面するスレッタの絵面がブコメっぽい。

 そして今回の主役とばかりに物語に関わっていたミオリネが印象的。前回の時点で行動力の塊みたいなところがありましたが、2話にして早くも父親との対面を果たしたことには驚きました。しかも多くの人たちの前で「ダブスタクソ親父」という暴言を吐いてみせる胆力たるや、不満や鬱憤を抱えた若者の底力を見た気分です。同時にスレッタのことも内心では放って置けない人の良さが感じられましたし、「進めば2つ手に入る」という言葉を受け止め実行し、決闘の約束を取り付ける様子にも感銘を受けました。

 加えて異端審問とは名ばかりの一方的な決めつけをしてくるデリングの傍若無人ぶりもあって、真っ向から立ち向かうミオリネが輝いていましたね。「王様」であることを即座に肯定するデリングの開き直りっぷりに呆然とした身としては、全く引かない彼女にはどこか憧れすら覚えます。大人たちの課す理不尽に物怖じせず異を唱える点は一見して子どもの浅はかさとも取れますが、だからこそ凝り固まったこの王様に一泡吹かせてくれるのではないかという期待させてくれる活躍ぶりでした。

 

 

  • 宇宙で暮らす者たちの“歪み”

 スレッタたちへの仕打ちやデリングの暴君ぶりなど、上述の時点でかなり歪んだ世界観を見せつけれられた2話。それ以外にも宇宙環境とヒエラルキーの“歪み”がチラホラ確認出来たました。

 まず目についたのが「スペーシア」と「アーシアン」ですね。ネーミングからして前者が宇宙移民、後者が地球に残った人たちのことを指しているのがわかります。*1この内アーシアンの生徒たちが明らかに冷遇されている描写は何とも興味深かったです。過去のガンダムシリーズでも宇宙と地球どちらの出身かで差別が起きていましたが、多くは地球側の人々が優位に立っていました。対して本作では宇宙出身者の方が地球出身者たちを下に見ているという現状。これにはかなり驚きましたね。

 この辺りは劇中の描写通り、宇宙開発が進んだことによる弊害であることがわかります。宇宙での産業がメインになったことによる経済格差、そこから学園での生徒たちの扱いにも大きな影響を与えている状況は急速な発展の闇のようなものが感じられます。何より前回スレッタを助けてあげた「ニカ・ナナウラ」とその仲間たちの扱いなどには嫌な生々しさを覚えました。こういったシーンが今後も描かれると思うと辟易してしまいそうになります。

 また水星の過酷な環境も語られており、異端審問の場に訪れた「プロスペラ」の言葉からもそれが読み取れます。エアリアルを新型ドローン技術と言い張り支援を求めるシーン、そして彼女の義手とマスクから少しでも水星の開発を進めようとする切実さが目に焼き付きました。(まぁプロスペラ……もといスレッタのお母さんにはまた別の目的があるのがわかりきっているのですが)ひとまとめに宇宙と言っても、暮らす星やフロントによってはこうも扱いが異なることがよくわかる内容でしたね。

 

 

  • 連れ出してくれるOP&ED

 今回もう1つ語りたいのがOPとEDの映像ですね。OPを担当するYOASOBIさんの「祝福」は前回とは異なる本編バージョンというべき映像に差し変わっており、対するED担当のシユイさんの「君よ 気⾼くあれ」は今回初公開。どちらも聞き応えのある曲である一方で、それぞれの映像が目につきました。

 前者はニカたち他生徒たちと交流を交わすスレッタと1人のままでいるミオリネの対比、後者は彼女ら2人がそれぞれ結晶のようなものに閉じ込められている絵面が何とも意味深。程度の違いはあれど、どちらもミオリネが窮屈そうに見えましたね。さながら本編と同じように籠の鳥と化しているミオリネの心情を表現しているかのようです。

 それ故サビに突入する前後、そんなミオリネをスレッタがエアリアルと共に連れ出してくれるかのような様子が印象に残ります。まるでこの先の物語を暗示してくれるかのような晴れやかさで、両曲の「前へ進むことを応援してくれている」かのような歌詞も相まってテンションが上がります。現状どこか仄暗いところがある本編を、わずかながら照らしてくれるかのようなOPとEDでした。(ただEDのスレッタとミオリネが同じ結晶にいるラストシーンが気になるんですよね。果たしてこれが何を意味するのか……)

 

 

 さて次回のサブタイは「グエルのプライド」。前回敗れたグエルとまた戦うのか!?とちょっとびっくりしてしまいました。さすがに再戦の可能性は無さそうですが、グエル側が何かをしてくるのは明らかですね。今回親父にぶたれたシーンで出番があったグエルですが、彼なりの苦労や心情が語られそうな予感がします。

 そしてCパートで姿を見せた赤いツノ付きのMSも気になるところ。この機体が決闘の相手なのか、誰が搭乗するのか……その辺りが実に楽しみです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:公式HP「WORDS」のページでも「宇宙移住者」「地球移住者」と解説されている。https://g-witch.net/words/