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機動戦士ガンダム 水星の魔女 第21話「今、できることを」感想

たとえ手に入らなくとも

ラウダくんの怒りの矛先が実にガンダムしてる!って感じだ

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  • 少年少女たちは進み始める

 アスティカシア学園2度目の襲撃によって完全に崩壊してしまった学園生活。避難キャンプのような生活を強いられている生徒たちから始まった今回の水星の魔女は、そんな彼らを少しでも支えようとするスレッタの健気さに胸打たれることになりました。前回のラストでもそうでしたが、少しでも多くの人を助けようとする姿は見ていて大いに元気づけられます。中でもミオリネの温室で育てたトマトを生徒たちに配るシーンが印象的で、1話でスレッタが味わったトマトの味が今は多くの人たちを癒していると思うと中々に素敵な話です。(「ミオリネさんならこうする」と、スレッタと地球寮メンバーがミオリネを信頼していることがわかるシーンもここすきポイント

 そんな中でベルメリアさんたちがついにクワイエット・ゼロについてをスレッタたちに話し、彼女たちが物語の裏を知っていく流れにはかなり見入りました。スレッタも自分の出生の秘密などを告白し、地球寮の仲間たちもようやく話の本筋に関わることが出来たとも言えます。一方で議会連合が押収したガンダムキャリバーン」の存在や、プロスペラを止めるためにスレッタにキャリバーンを操縦してさせようとする議会連合の考えなどもあって、劇中の人物も視聴者も大いに困惑させられるシーンでした。

 そうした状況ですが、スレッタが口にした「今できることを精一杯すればいい」という言葉が大きく響きましたね。これまで母に教えられた「進めば2つ」に翻弄されてきたスレッタでしたが、これまでの出来事から「手に入るものがなくても進むことの大切さ」を理解したのだとこの時感じました。何よりスレッタが自分自身で考え、行動する意思を見せてくれるだけで目頭が熱くなってきます。そんなスレッタに応えるようにチュチュたち地球寮一同はもちろんのこと、何とエラン5号まで同行してくれるというのですから興奮が止まりません。様々な出会いや出来事を経て、困難に進もうとする若者たちの様子が実に眩しい回だったと思います。

 

 

  • 失意と告発と逆恨み

 スレッタたちの成長に喜ぶ一方で、どうしても暗い雰囲気を感じずにはいられなかったのがミオリネたち。何と言っても失意の中にいるミオリネの姿が見ていて辛かったです。自分のせいで大勢が死んだと自責の念に駆られて震え、人の死に対して過敏になっているようにも感じました。劇中でサリウスにも言われていましたが、父・デリングから政治をするうえで必要な図太い立ち回りを学んでおいた方が良かったのかもしれません。そしてなし崩し的に総裁になってしまった以上、この責任がどこまでも彼女を苦しめることになるかと思うと気が気でありません。

 そんなミオリネをよそに話がどんどん大きくなっていくのも今回のポイント。特にペイル社がベネリットグループの秘密を宇宙議会連合に告発したことに仰天してしまいました。ジェターク社とグラスレー社がそれぞれ失墜した中で、グループを裏切って上手く美味しいポジションに付いたことには舌を巻くばかりです。何と言いますか、こういった立ち回りの良さで生き残っている様子は上述のミオリネとは対照的に思えますね。この辺りが割り切っている大人と不器用な子どもの差なのでしょうか。

 あとは闇堕ちフラグを散々立ててきたラウダのラストシーンも印象に残りましたね。まさか逆恨みの矛先がミオリネに向かうとは思ってもみませんでした。(おかげでネット上で「ところ天の助パロディ」が大量生産されることに……)ただ地球での虐殺の主犯がミオリネだと報じられているので、ラウダ視点でミオリネを恨むのもまぁ無理はないのかもしれません。彼の場合は水星女(スレッタ)への逆恨みが解き放たれたと思ったら、今度はミオリネというのが問題な気がしますから……ある意味でガンダムシリーズらしい若者の恨みの暴走の仕方でニヤリとくるものの、追い詰められたミオリネにラウダの怒りが向かうとどうなってしまうのか心配で仕方ありません。

 

 

  • パーメットの檻から外敵を消し去る番人

 18話で名前と設計中の様子が描かれ、今回ついに本格的な登場を果たした「ガンドノート」。エアリアルのデータ拡大のサポート及び護衛を担う人型ガンビットです。要するにガンヴォルヴァと同じGUNDで操作する無人機なわけですが、普通のMS(モビルスーツ)とほとんど変わらない形状をしていたあちらに対してこちらは特異な見た目をしています。腰に展開された巨大な翼のような背部ユニットがまず目を引くほか、細く簡略化された手足、中でも腕がクリップのような形状になっている辺りがかなり異質です。さながらプロスペラの目的に必要な機能、それ以外を全て省いたかのような簡略ぶりだと感じました。

 そんな一見弱そうな印象も受けるシルエットですが、操縦するのがエアリアル(エリクト)ということもあってとんでもなく強かったです。宇宙議会連合の艦隊や「カラゴール」相手に決して怯むことなく破壊していく様子は圧倒的でした。恐らくはエアリアルのビットに込められたエリクトのリプリチャイルドそれぞれが操っているため、無人機と高機動を維持ししつつ有人機と変わらない精度を誇るのでしょう。

 この時点で十分驚異的なのですが、クワイエット・ゼロによる空間制御時のシーンはそれ以上の衝撃でした。空間内のありとあらゆる兵器をオーバーライドし、相手が動けなくなったところを一方的に蹂躙していく光景には戦慄するほかありません。プロスペラが行うとしている計画がどれだけ恐ろしいモノなのかが、この戦いを経て実感を得たといったところですね。加えてエアリアルが操るガンドノートの恐ろしさも、嫌というほど思い知りました。

 

 

 というわけで21話の感想でした。プロスペラがクワイエット・ゼロを起動させる要塞に移り計画が実行されようとすることで、いよいよ物語が終盤に突入したことを実感させてくる回でもありました。ア・バオア・クーほどではないものの特徴的でわかりやすい「敵の本拠地」が登場したので、あとはここに向かって決着をつけるだけなのだと直感で理解出来るのがいいですね。クワイエット・ゼロを止めようとするスレッタをはじめとして、多くの登場人物たちがこの要塞に集って最後の戦いを始めるのでしょう。そう思うとワクワクが止まりません。

 

 そして次回のサブタイは「紡がれる道」。予告を読み上げたのがエランだったことから、次回は彼にスポットが当たるのでしょうか。今回「行きたいところが出来た」と言っていましたし、それと関係があるのかが気になります。恐らく彼の行きたいところというのは「ノレアの絵に描かれた場所」のことなのでしょうが、エランがここにたどり着くまでに生き残れるのか少々不安になってきますね。ノレアのためにもエランには最後まで生き残ってほしいところです。

 

 

 ではまた、次の機会に。