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仮面ライダーガッチャード 第32話「現る大王!人形たちのジレンマ」感想

人形の望みはどこにある?

平成が、平成が押し寄せてくる……!!

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  • わかり合いたい一途な想い

 宝太郎たちがいきなりマルガムと戦っていたり唐突にレジェンドの世界が映ったり、初っ端から多くの要素をぶち込んできた今回のガッチャード。そのうえ荒れ気味なクロトーが攻めてきたかと思ったらハンドレッドの連中まで乱入、そしたらみんな謎の空間に跳ばされたりと急展開の連続で実に目まぐるしかったです。個人的には謎空間については宝太郎もクロトーもハンドレッドも、誰1人として何が起きているのか把握しきれていないのが非常にシュールで笑ってしまいましたね。

 そんなガッチャードらしいワチャワチャ感を味わいつつ、宝太郎とクロトーの「やりたいこと」に関する絡みが見られたのが見どころとなっていました。まず宝太郎がクロトーの身を案じ、争いを止めることを提案する優しさを発揮してきたのが良かったです。彼が度々口にしている「人間とケミーが仲良くなれる世界」という夢に、クロトーたち冥黒の三姉妹もしっかり入っているているのが読み取れて少々心が暖かくなりました。そしてクロトー自身のガッチャ(やりたいこと)を聞き出す流れも自然で、グリオンという支配者が居なくなった今彼女らの戦う理由を解いてくれるのは視聴者としてもありがたかったです。

 残念ながらクロトーの答えについては後述の件で有耶無耶になってしまったものの、一時的な共闘という形でわかり合う余地が出てきたので不満はそこまでなかったです。というよりクロトーに関しては姉妹想いな一面が以前から描かれているので、姉妹についての問題を解決すれば仲間になれそうな予感を覚えましたね。この手の「かつては敵同士だった相手と和解していく展開」はライダーシリーズに限らず多くの作品に見られますし、本作でも何かしらの救いが用意されているという期待が持てるだけで十分だと言えます。

 

 

  • 操り手に踏みにじられる想い

 上述のクロトーをはじめとして、冥黒の三姉妹の正体についての掘り下げがされたのも見逃せないポイント。「人形」と呼ばれている彼女らがホムンクルスだと本格的に明かされた時は、以前から察していただけに頷かされましたね。まさにグリオンによる体のいい人形ということが判明し、三姉妹が空っぽの存在であることがハッキリ描かれたことにも納得しました。中でも印象的なクロトーが宝太郎の問いかけに答えられなかったシーンからは、彼女が姉妹への愛情以外を持ち合わせていないことの表れになっていたと思います。

 さらに戦闘後にはラケシスが言及していた“冥黒の王”こと「冥黒王ギギスト」が登場。ギギストによってクロトーが「クロトー・レビス」なるぶっちゃけダサい新形態に変わってしまうシーンは結構ショッキングでした。ようやくクロトー個人の願いや自由が得られそうな場面で、グリオンに代わる新たな主人が出てきたのは気の毒になってきますね。与えられた力こそ彼女の「願い」だと語られている描写も、ここまでのクロトーを見てきた身としては正直見当違いだと思わざるを得ません。自分でも願いがわからないままそれを歪められたクロトーが不憫でならなかったです。

 一方でラケシスが人間になれるかもしれない可能性が出てきたのはちょっとした朗報でした。提案した鏡花さんが久々にマッドサイエンティスト気質を発揮してきたので不安になるところもありますが、押されるラケシスの愛嬌もあってちょっとした癒し要素になっていたと言えます。操り人形として作られた存在が己の意思を以て個人になろうとしている……この状況には応援したくなってきますね。特に上のクロトーが支配から脱して救われてほしいと思うばかりです。

 

 

  • 平行世界の侵略者現る

 そして忘れてはいけないのが突如として襲ってきた「ハンドレッド」の存在。平行世界を移動してはその世界を侵略してくる謎の組織として仮面ライダーレジェンドと敵対してきた連中がついにガッチャードの世界に乱入してきましたが、その理由がカグヤとバトラーが開発していた「超兵器」を追ってきただけだとわかった時は思わず吹き出してしまいました。宝太郎とは何ら関係のない話なのに向こうから関わってくるところに、シュールな笑いを感じずにはいられません。(それでいてギギストの謎空間に終始困惑していたのがまたおかしかったです)

 今回登場したのはカッシーン率いる先遣部隊の大隊長「アルファ」。さらにラストには「サイゲツ」「ミメイ」「タソガレ」なる幹部まで出てきて本格的に別作品が殴り込んできたような気分を味わいました。(次回は全員ダークライダーに変身するようですし)本筋にはあまり関係のない、蚊帳の外の敵故のワクワク感もありますね。『ディケイド』や『ジオウ』を見ていた時と同じ、様々な要素が雑多に混ざり合っているかのような“平成”の雰囲気を彷彿としながらつい高揚してしまいます。クロスオーバー好きとして、この先の展開を否が応でも期待してしまいます。

 また宝太郎がハンドレッドのことをおぼろげにしか覚えていなかったのは意外でした。(あとで『ガッチャードVSレジェンド』を見返してみたら、ラストで宝太郎がカグヤたちとの出来事を忘れている描写が確認出来ました)あの時の出来事をほとんど思い出せないというのは地味にショックですが、本編との整合性のためなのだと思えば納得と言えます。むしろ次回でカグヤと再会した時、どんな反応を示すのか楽しみにもなってきましたね。

 

 

 今回は他にも坂本浩一氏が監督ということもあってアクションが豊富だったのが大きな見どころでした。マルガムになっていた悪人(役名がそのまんま「犯罪者」で笑ってしまいました)やハンドレッドとの生身アクションから始まり、変身後もゴルドメカニッカーやユーフォーエックススーパーといった懐かしのフォームをお披露目するなど非常に豪華。坂本監督らしい魅せるファンサービスに溢れていましたね。

 中でもクロトーのアクションは他の人たちと比べても気合が入っているのが目に留まりました。演じている宮原華音さんが空手やキックボクシングの経験者ということもあって、足技の華麗さが印象に残ります。(変身後に関してはドレッド弐式はクロトーのイメージに合っているなぁ……とか思ったり)元々生身での戦闘シーンが多かったクロトーですが、今回その魅力を再確認することが出来た次第です。

 

 

 そして次回はついに鳳桜・カグヤ・クォーツ/仮面ライダーレジェンドが参戦!!超兵器を探すついでに人々を襲うハンドレッドに宝太郎たちが打ちのめされる中、果たしてカグヤは如何にして助太刀に入るのでしょうか。傲岸不遜ながらヒーローとしての矜持と先輩ライダーへの敬意を持ち合わせたカグヤの再登場が今から楽しみでなりません。予告の時点で番組を乗っ取る勢いのカグヤ様の活躍を刮目せよ!!といった風にテンションが上がってしまいますね。

 

 

 ではまた、次の機会に。