信じてその手を取って
アトロポスちゃん、お父さん(グリオン)のダメなところ真似しちゃだめよ
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- 後悔と自責の過去
あっという間にアイアンガッチャードがプテラノドンマルガムを撃破したものの、倒れる宝太郎やミナト先生など問題はまだまだ山積みな今回のガッチャード。サラッと助けに来てくれた九堂風雅(前回の謎の人物は普通にこの人だったのが個人的にちょっと恥ずかしい……)とりんねの親子の再会など気になる要素がある中で、気になっていたミナト先生の過去がようやく明かされる流れに見入ることになりました。
さてその先生の過去ですが、10年前のグリオンの襲撃によって後輩の「錫屋大輝(すずや・だいき)」をはじめとした仲間が命を落とす、予想していたものの結構ショッキングなものとなっていました。錫屋は「大物錬金術師になって一般人も錬金術を使えるようにする」という夢を語る明るい少年で、どこか宝太郎を彷彿とさせるものがありましたね。それ故ミナト先生が宝太郎の夢を応援していた理由が読み取れますし、彼を失った傷を背負って生徒を巻き込まないようにしているという動機も理解出来ます。
ミナト先生の後輩たちを亡くした過去は普通に悲しい反面、先生がそのことで自分を責めているのは少々疑問ではあります。というのも手をかけたグリオンが100%悪いうえ、若かった彼は当時自分に出来る精一杯をやったと思うからですね。ただミナトという人物が自責の念に駆られていることは以前から読み取れてましたし、回想シーンでのグリオンの嫌らしい言動の数々から何も出来なかった無力な自分に後悔し続けるようになってしまったのかもしれません。
あと余談ですが、今回グリオンがミナト先生に「これが君の選択の結果だ」と彼が自分のせいだと追い詰めるこのやり口、以前アトロポスがりんねに行ったものと似ていることに気付いて愕然としました。理屈は通っていない中で相手に「君のせいだ」と呟いて精神攻撃をする様子があまりにもそっくりすぎて、アトロポスがグリオンの真似をしている可能性を考えてしまいましたね。もしそうならアトロポスが親のダメなところばかりを見て育ってしまった子どものように見えて仕方なくなってしまいます。
- 未来を信じて共に戦いたい
さてそんなミナト先生の過去を知ったうえでグリオンと戦い、ケミーを取り戻す決意を固める宝太郎たちの心の強さも今回の見どころとなっていました。特に宝太郎はアイアンガッチャードの負荷で一度は倒れてしまうものの、周りに止められても立ち上がる姿を見せたので心配しつつも興奮させられます。何だかんだやっぱり主人公はこうでなくっちゃ!というお約束も相まってテンションが上がりますね。
何より立ちはだかるミナト先生に真っ向から向き合い、自分たちが弱くないことを主張するシーンが素敵でした。生徒たちの未来が失われるかもしれない恐怖をようやく吐露した先生に対し、「自分は死なない」と言ってのける様子には本当に惚れ惚れさせられます。また宝太郎に限らず他の生徒や後輩たちも、先生に向けて「信じて」という言葉を送る過程がグッときます。(個人的には精一杯の文句を言う錆丸と「逃げるな!」と叱咤するスパナがここすきポイント)ミナト先生がグリオン側についてからもケミー回収などを自発的に行い、自分たちの意志で戦ってきた彼らだからこその説得力も感じられましたね。
過去の過ちに縛られ自分を犠牲にしようとする大人に、寄り添えるほどに成長して一緒に戦うことを望む子どもの構図。先生と生徒の信頼の形に中々に感動的なやり取りに魅せられつつドレッド(ミナト)に勝利した宝太郎に胸が高鳴る回となっていました。結局ミナト先生は戻らなかったものの、グリオンの元からも離れたので結果オーライといったところでしょうか。取り返せていないケミーはまだまだあるしグリオンの企みも最終段階に移行するようで安心は出来ないものの、ある程度の希望が持てるラストになっていたと思います。
- 堅牢なる力で困難を突破する、蒸鉄の鋼鉄錬成
テンライナー
TENLINER!
ライナーオン!
「ライナァァァァ!!」
ガッチャンコ!
ガッチャンコ!
出発進行!
アイアンガッチャード!!
シュポポポーン!
宝太郎がスチームライナーを「テンライナー」へと再錬成しガッチャードライバーと合体(ライナーオン)させ、自らの体と錬成(ガッチャンコ)した姿「仮面ライダーアイアンガッチャード」。ケミーカード1枚のみでの変身という変則的なフォームで、古の錬金術によって人間とケミーを融合させる「混合錬成」のシステムを利用しているとのこと。それドライバーを介しているだけで実質マルガムと同じでは……?加えてスチームライナーが一時的にレベルナンバー10相当のパワーアップを果たしたためかこの時期定番の強力な負荷がかかる変身となっており、変身後に宝太郎が疲弊していたのが印象に残ります。
その見た目はこれまでのガッチャードと大きく異なり、黒い鉄仮面と鎧を全身に纏ったものはさながら黒騎士といった装い。そして最も目を引くのが両腕に装着された「ヘビーエクスプレッシャー」で、列車の形を模した巨大なガントレットからは強烈なプレッシャーを感じます。(この腕のせいで視聴者に「ガッチャ出来ない」とか言われたり……)良くも悪くも重厚感に溢れており、従来の宝太郎の爽やかさがあまり感じられなくなっているので不穏ですね。
戦闘に関してはまず驚異的な防御性能を発揮。劇中にて宝太郎が「テンライナーの硬さはケミー1だ!」と言っていましたが、プテラノドンマルガムの攻撃にビクともしない様子から納得するほかありません。攻撃の性能もその防御力とパワーを存分に活かしており、ヘビーエクスプレッシャーをロケットのように発射させる必殺技で一撃粉砕するほどの活躍を見せていました。さらにヘビーエクスプレッシャーに他のケミーカードをライドオンさせることで、そのケミーの能力を上乗せした必殺技を放つことも可能。宝太郎の体に大きな負担をかけるデメリットはあるものの、それを補うほどの力を持っているのが伝わってきましたね。
今回は他にも突然舞い戻ってきた風雅の存在が何とも気になる内容でもありました。りんねと抱き合う様子は素直に良かった一方で、何故生きていたのか?とか今まで何をしていたのか?とかそういうこと疑問が頭に湧いてきてしまいます。ここまでくるとそもそも本物の九堂風雅なのか?信用していいのか?とさえ思ってしまいますね。とはいえ次回は何やら宝太郎たちのために戦ってくれるようですし、その辺りで彼の信用度を計りたいところです。
というわけで次回はグリオンの計画がいよいよ最終段階に移行。闇の扉を開くために、最強のレベルナンバー10から作り出した最強のマルガムをけしかけるようです。その強敵との戦いに風雅が変身して立ち向かうとのことですが、サプライズで変身する彼のライダーとしての姿や強さに注目したいですね。
あとはミナト先生の元に冥黒の三姉妹が現れる模様。(アトロポスも変身しそう……?)グリオンの命で彼を排除しに来たのでしょうが、ここまでの描写からして彼女らが素直に命令を聞くとは思えません。むしろここぞとばかりに結託する予感すらしますが、果たして先生の運命や如何に。
ではまた、次の機会に。