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仮面ライダーガッチャード 第26話「悪意をハバム、漆黒の風(ウインド)」感想

金色(こんじき)に染まる野望に

レベルナンバー10の設定を教えてくれてありがとうドラゴンマルガム!

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  • 仲間のために立ち上がる、娘と父

 今回のガッチャードはグリオンとの決戦に向けた前哨戦、とも言うべき波乱の戦いが繰り広げられました。アイアンガッチャードの負荷でへとへとになっている宝太郎が映るだけでもしんどいものがあったのに、最後のレベルナンバー10争奪戦や風雅の助太刀、蚊と思いきやグリオンに刺されるなど怒涛の展開が押し寄せてきたので見ている側も結構てんやわんやになってしまいます。そしてラストでグリオンたちがいるウロボロス界に突入する……と終盤のような盛り上がりに否が応でもテンションが上がりましたね。

 その過程で描かれた宝太郎の扱いがちょっとした注目ポイント。錆丸たちが疲弊した宝太郎を戦いの場に連れて行くのを躊躇っていた中で、りんねだけが彼に状況を伝えてくれた時は驚きました。しかし「どんなに止めたって一ノ瀬は来る」と、彼女なりの宝太郎への信頼が感じられるのが良かったですね。(それでいて「一ノ瀬は最後の切り札だから」とギリギリまで変身させないようにしているのがまたグッド宝太郎の意志を汲み取りつつ無理はさせない、りんねの絶妙な理解度のバランスに感動させられました。

 

 そして何といっても彼女の父・風雅の活躍が印象的でした。グリオンが送り込んだ「ドラゴンマルガム」が中々の強敵で苦戦していた中、颯爽と現れて助けてくれるシチュエーションには惚れ惚れさせられます。令和ライダー特有の「子ども想いの父親ライダー」の文法に則っているだけでなく、若者の未来の手助けを果たす「立派な大人」として描かれていたのも好印象です。おかげでここまで感じていた風雅への不信感はある程度払拭されたと思います。

 それだけに風雅がグリオンの不意打ちを受けたシーンには度肝を抜かれました。変身解除の瞬間を狙っていたグリオンの小物さもさることながら、ここまで活躍した味方の呆気ない敗北に衝撃を受けずにはいられなかったです。また倒された風雅は錬金術で造られた義体、という真実が判明して最初こそホッとしましたが、わざわざ義体を送り込んでいた辺り本人は今姿を現わせない状況にいるのか……!?と新たな不穏要素が湧いてきたのも見逃せません。ハラハラさせられる状況と、全てを託す父親と受け取る娘の構図、それぞれに興奮させられる回でしたね

 

 

  • 吹きゆく力で次代を導く、覇竜と重力の風錬成

 

アルケミスドライバー!

 

アルケミスリンク!

 

   ギガバハム

GIGABAHAM!

 

クロアナ   

KUROANA!

 

One thing, all things.One thing, all things.

 

ガガガガッチャンコ!

 

ダークインフィニティ!

ブラックバハムート!!

 

 九堂風雅がアルケミスドライバーとハイアルケミストリングを同調(リンク)させ、「ギガバハム」と「クロアナ」のライドケミーカードを錬成(ガッチャンコ)させた姿「仮面ライダーウインド ブラックバハムート」。ここにきてまさかの登場を果たした味方ライダーです。アルケミスドライバーが元々風雅父さんのものだったことから、多くの人たちが来ることを予感していたとは思いますが、この登場タイミングはかなり意外で興奮しましたね。

 ビジュアルは黒と金色を基調としたボディと全身に纏わせたローブ、そして頭部の三叉槍のようなアンテナが印象的。パッと見敵ライダーとしても通用しそうなデザインですが、複眼の形状などマジェードと酷似しているのもあってどこか穏やかな表情を感じさせてくる点も絶妙ですね。何より変身前と合わせて威風堂々とした雰囲気と威圧感は、仲間としてこれ以上なく頼もしく映っているのが素晴らしいです。

 如何にも強そうなその見た目に違わず、戦闘でも圧倒的な実力を発揮。ドラゴンマルガムをねじ伏せるだけの徒手空拳と、相手を翻弄するほどの飛行能力だけでも強力でした。そこにクロアナの能力を使って発生させたマイクロブラックホールで相手の攻撃を吸収し無効化する技まで持っており攻防一体、さらには風雅自身の錬金術でその力をパワーアップさせる芸当まで披露してきた時は驚きましたね。ケミーの力を使いこなし、かつ頼りすぎることなく自分の力と合わせて共に戦う……宝太郎にとっての理想を体現したかのような本作最強格のライダーと言っても差し支えないでしょう。

 

 

  • 違えていく三姉妹の道

 宝太郎たちが大変な一方、ミナト先生と冥黒の三姉妹の方も色々と波乱の展開が。中でも先生の処刑を命じられたラケシスが、一緒に逃げることを提案してきた時は面食らいました。グリオンに切り捨てられるかもしれない恐怖を抱いているのはこれまでのエピソードからも感じれていましたが、「仮面ライダーに私を守ってくださるよう頼んで」と先生に懇願する程とは思ってもみなかったです。過去の諍いを棚に上げて生き残ろうとする、ラケシスの面の皮の厚さは中々のものですね。ここまで生存意欲に正直だと一周回って尊敬してしまいそうです。

 それを目撃したアトロポスとクロトーによって逆に処刑されかかる様子も見応えがありました。グリオン側についたままの2人も、躊躇うクロトーと容赦のないアトロポスで見事に真っ二つになっていたのが印象深いです。自分が生き残るためなら周りを振り切る三女(ラケシス)と命令には忠実なものの姉妹への情が厚い次女(クロトー)、そしてグリオンへの妄信に囚われているアトロポスと、三姉妹それぞれのスタンスが読み取れる見事なシーンとなっていました。途中スパナの介入があって有耶無耶になってしまったものの、完全に修復不可能になってしまった3人とそれに巻き込まれたミナト先生の苦難はこれからも続きそうな予感がします。

 

 

 今回は他にもドラゴンマルガムによってケミーカードについての興味深い話が聞けたのも大きな見どころ。仮面ライダーWEBなどで開示されていそうな設定を、劇中で懇切丁寧に説明するのは珍しいですね。内容もケミーの誕生秘話と「レベルナンバー」に関するもので、ケミーカードの概念について触れていたので面白かったです。

 それこそ今回のストーリーのカギとなった2枚のレベルナンバー10・ドラゴナロスとガイアード。この2枚が最初に生まれた始祖のケミーだという話には驚きました。(さらに2枚は同時に生まれた兄弟のような存在であり、だからこそドラゴンマルガムはガイアードの居場所を探し当てることが出来たのだとか)そして2枚の強大さから後のケミーも含めたレベルナンバーの概念が創造され、ドラゴナロスたちと同等の力を持つケミー=他のレベルナンバー10には2枚の体に刻まれている“X(10)”の名前が付けられたとのこと。この話でドラゴナロスとガイアードがユーフォーエックスたちのように名前にXが入っていないのはそういうことなのか!!と大きく納得させられましたね。恐らくファンタスティックケミーとコズミックケミーが他よりも強力な理由もこの2枚に由来するものの可能性もありますし、ケミー関連の考察が捗る良い情報だったと思います。

 

 

 そして次回はいよいよグリオンとの最終決戦。全てのレベルナンバー10を揃え暗黒の扉を開こうとするグリオンを止めるため、ウロボロス界に突入した宝太郎たちの奮闘が始まるようです。しかしあちら側の罠やドレッドの新形態などによって次第に追い詰められ、鍵となるガッチャードライバーも奪われてしまうとのこと。この絶望的な状況の中で、宝太郎たちは如何にしてホッパー1たちを助けるのか非常に気になってきます。1話を彷彿とさせるサブタイから前半のクライマックスを感じさせてきますし、これは次回が待ちきれません!

 

 

 ではまた、次の機会に。