重ね合えば 願いは
もっと Growing Up
若者たちよ、自分の信じるガッチャへと突き進め!!
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- 諦めず進み続ける錬金術師
いやぁ最高だった……!!となったガッチャード最終回。グリオンによる世界の黄金化計画を止めるため、宝太郎たちの最後の戦いを凄まじいスピードで描き切ってみせた内容には大いに満足しました。全体的に駆け足なものの3大最強ライダー同時変身から始まり、それぞれの奮闘を細かく見せてくれたので描写不足といった印象は受けなかったです。それでいて熱い場面はキッチリやってくれるので、視聴中は何度も興奮させられました。
個人的にはやはりガッチャード(宝太郎)VSエルド(グリオン)のパートが最も魅力的。最初から全力で挑むものの一旦敗北してしまう展開にハラハラしながら、宝太郎が奇跡を起こして逆転する流れはわかっていてもテンションが上がります。グリオンの黄金化を打ち破るだけでなく、新しい地球を錬成するスケールの大きさには笑いつつも膝を打ちました。ここまで常識外れのことをやってきた宝太郎だからこそ、型に嵌めようとするグリオンや視聴者の想像を超えていったことが伝わってきます。そうした仰天映像もあって、101体のケミー勢揃いの絵面に感動しつつ、ケミー全員との協力でエルドを撃破するシーンのカタルシスが半端なかったです。(最初の挿入歌である「Rising Fighter」を流すタイミングも完璧の一言)
何より宝太郎とグリオンの「錬金術」の捉え方の違いも印象に残りました。前回の時点で前に進む宝太郎VS永遠を求めるグリオンという対比が描かれていましたが、今回もその異なる姿勢が克明に出ていたと感じています。一度敗北してもめげずに立ち向かい、新しい挑戦を続けることこそ宝太郎の「錬金術」だったのでしょう。黄金という名の金メッキで満足しているグリオンに対し、いい意味で貪欲であり続けた結果と言えるかもしれません。そしてこの前に進む姿勢、「様々なことに挑み、失敗を恐れず乗り越えていってほしい」という想いこそ、本作の最も重要なメッセージなのだと理解した次第です。
- まだ見ぬ理想をガッチャする、跳躍と蒸気の錬成
ガッチャードライバー!
ホッパー1
HOPPER1!
アルティマ!
スチームライナー
STEAMLINER!
アルティマ!
ガッチャンコ!
スチームホッパー!!
アルティマ!!!
グリオンの黄金化すら乗り越えた宝太郎が破壊されたガッチャードライバーを「ガッチャードライバー(宝太郎Ver.)」(色合いがデイブレイクのモノと同じなのが興味深いところ)に錬成し、アルティマケミーと化したホッパー1とスチームライナーを装填・錬成(ガッチャンコ)した姿「アルティマスチームホッパー」。令和ライダーでは定番になりつつある「基本フォームと酷似した最終回限定フォーム」です。見た目こそベルトを除けば通常のスチームホッパーと変わりませんが、ここまでの積み重ねもあって成長した宝太郎の風格を感じさせるものがありますね。
またホッパー1とスチームライナー以外にも、101体のケミー全ての力をドライバーに宿した実質「101重錬成を実現させた形態」でもあるのがポイント。これによりケミーの力を存分に発揮し、仮面ライダーエルドの力にも負けない爆発力を発揮していました。またカタログスペックではパンチ力・キック力共に101.1t、ジャンプ力は101.1mで走力は100mを0.1秒と驚異の“101”尽くしになっているのが面白いです。こういったお遊びでケミーの力を表わすのは宝太郎、ひいてはガッチャードという作品らしいと言えます。
戦闘力以外で目につくのはやはり新たな地球の錬成。グリオンの黄金とドレットルーパーを素材に星を丸ごと生み出すという、規格外の錬金術には最初度肝を抜かれました。一見荒唐無稽ですが、ある意味でらしい……こうした力を行使出来たのも、宝太郎が錬金術師としての完成を果たしたと言えるのかもしれません。理想の実現のために七転び八起きを繰り返す、宝太郎とケミーの集大成として十分な存在感を放つ最終フォームになったのではないかと思います。
- それぞれの奮闘と帰る場所
宝太郎以外の仲間の活躍も印象的なものが多く、上述の通りそのどれもに目が離せなかったのも今回のポイント。まず量産型冥黒王を撃破したサブライダーたちの活躍の中でも、マジェード&ウインドの親子揃い踏みには思わず声をあげてしまいましたね。他にも錆丸&蓮華、そして加治木までもが戦っていたのも嬉しかったです。(まさか42話で出てきた「ウゴケナクナール溶液」が武器になるとは……)序盤から一貫している仲間たちそれぞれの活躍を、最後までしっかり描いてくれたことに好感が持てました。
個人的に最も気になっていたクロトーの末路ですが、グリオンに戦いを挑むものの敗北して消滅……というオチには少なからずショックを受けましたね。ただ宝太郎に看取られながら、本人なりの感謝と激励の言葉を残してくれたことにウルっときました。何よりアトロポスとラケシスの2人と同じ場所に逝くことが出来たのは、言うまでもなくクロトーにとっては救いだったと思います。悪役ながら人間臭い部分のおかげでこちらの情緒を大いに揺さぶってきた、冥黒の三姉妹の終わりとしては見事だったのではないでしょうか。
そしてOP明け早々に宝太郎の背中を押してくれた珠美母さんも見逃せません。「普通の母親だったら止める」とワンクッション置いたうえで、宝太郎のやろうとすることを全力で応援してくれる母親の愛には胸が暖かくなってきます。最後までキッチンいちのせでのみの登場となったお母さんだからこそ、「帰るべき日常の象徴」として存在感を放っていたと言えます。あと宝太郎の父親については最後まで明かされませんでしたが、正直そこまで気にならずに済みました。(宝太郎父が最後まで出なかった理由としては「大人のポジションを務めるキャラが足りていたから」と考えています)
- 挑戦してみるのがHOMEWORK
グリオンとの最終決戦も割と速攻で終わり、残り数分でエピローグを描いてくれたのも良かったですね。短いもののその後の主人公たちを知ることで、物語が終わることを受け入れやすくなる土壌が整えられたと思います。展開としてもケミーや錬金術の存在が都市伝説扱いされ、ケミーたちは宝太郎が作った新しい地球に住むことになるというものだったのでちょっと笑ってしまいました。特に前者は都市伝説で済ませるのは無理がないか?と思う一方で、「案外大人っていい加減」という宝太郎評もあってまぁそういうものなのだろうと納得は出来ましたね。
結局人間とケミーの共存という問題は本編中では解決されませんでしたが、これに関しては予想通り。物語の構成としてもそこまでやることはないことは想像がついていましたし、何より上述でも触れた「失敗しても挑戦し続ける」若者の物語としてはこの終わり方だからこそいいと感じています。安易に答えを用意せず挑戦はまだまだこれから!とすることで、理想を叶えるために前に進む物語として貫き通したことを大いに評価したいです。劇中の宝太郎動揺、錬金術を失敗を重ねてその都度立ち上がるものとして捉えた制作陣だからこその結末だと感じましたね。そのおかげで宝太郎たちとケミーの、清涼感抜群の光景が見られたと言えます。
あとは余談ですが、数か月後のキッチンいちのせに見覚えのある客たちが大量に出てきた時は面食らいましたね。主題歌を歌ったBACK-ONとFLOWのみなさんに作曲担当の高木洋氏、そしてホッパー1の声優さんである福圓美里さんという豪華な面々で変な笑いが出てきます。そんな方々がケミーの噂を口にしたり、宝太郎をカッコいい!とべた褒めする場面も実に微笑ましかったです。おかげでこのエピローグを笑顔で見届けられたと思っています。
というわけでガッチャード最終回の感想でした。いやぁ期待していた熱い要素を全部回収し、最高に盛り上がった最終回になった!!と大興奮しましたねハイ。最後まで諦めず戦う宝太郎を筆頭に、傷つきながらも成長を続ける若者たちのストーリーとして一貫していたのもあって実に見やすかったです。ヒーロー番組としてのスカッとする場面をしっかり押さえつつ、彼らにとっての錬金術とは?ケミーとは?といったものにも納得のいく答えを出してくれたのも好印象。最後まで、明るく楽しく!という作品のコンセプトを魅せてくれたと言えます。
そしてそんなガッチャードが完結してしまったことに一抹の寂しさを覚えます。そうなったのも、ここ数年見てきた仮面ライダーの中でも屈指の楽しい作品だったのが大きいです。愛と正義と友情といった要素をストレートに描いた点、毎週何かしらの驚きとサプライズを用意していた点など、リアルタイムでの視聴に毎週ワクワクしっぱなしでした。また制作陣のライダー好きが感じられる場面も多々あり、ライダーオタクの「こういうものが見たかった」という想いを刺激してくるのも絶妙だったと思います。プロデューサーの湊陽祐氏が文章を執筆した「仮面ライダーWEB」も合わせて読むことで唸らされることも多かったです。*1
改めまして、ガッチャードという作品に対して「ガッチャ!!楽しい作品だったぜ!!」某超融合したTCGアニメの主人公とは関係ないぜ!!という感想と共に制作陣に感謝を。最高の作品を本当にありがとうございました!!
そして総評に関しては後日投稿する予定。そこで評価点や不満点などをまとめ、作品への自分なりの想いを綴っていくつもりなので、そちらの方も読んでいただければ幸いです。
ではまた、次の機会に。
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…………そして来週からは
お菓子も悪も、
俺が食べ尽くす!!