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仮面ライダーガッチャード 第37話「ホッパー1とたからもの」感想

キミ笑ってほした……

虹をかけるにはまず雨を降らさないとね!加減しろ莫迦!!

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  • 壊された友情の最期

 うわああああぁぁぁぁぁ!!!!

 ホッパー1がああああぁぁぁぁ!!!!

 という感じで阿鼻叫喚を味わうこととなった今回のガッチャード。前半スケボーズの件で落ち込む宝太郎を笑顔にするべく、おとぎ話に出てくる「黄金の花」を探しに出たホッパー1には大いに癒されました。犬に舐められたりと災難に遭いながらも諦めない彼の健気な姿に胸を打たれた分、そんなホッパー1がマルガムにされる展開は予想はしていても受け止めきれなかったです。ギギストによって誕生してしまった「ホッパー1マルガム」を宝太郎が手にかけてしまう、というのもあまりにも無慈悲でした。

 ホッパー1を倒してしまうまでの流れも残酷ながら息を飲みましたね。宝太郎がホッパー1のためなら自分を犠牲に出来る性格だったからこそ、突然居合わせた親子を守るために倒さなければならなかった時は言葉を失いました。大切な友人と罪のない人々を天秤にかけられ、どちらかを選ばなければならなかった……加えてホッパー1のためにも彼自身を止めるべきだったという、ヒーローとしてのジレンマをここまで容赦なく描き切るものなのかとかえって感嘆してしまいます。

 ともあれ、友人の笑顔を願って行動したホッパー1とそんな彼の気持ちに気付いた宝太郎、この両者の絆が強固であればあるほどショッキングな展開だったと言えます。前回のスケボーズショックを軽々と超えてきて、さらなる絶望を喪失感を味わわせてきた本作には舌を巻くほかありません。宝太郎の慟哭などは特に胸が痛みましたよえぇ。(直後の卵になるシーンは少々シュールでフフッときてしまいましたが

 

 

  • あなたを想う人たちがいることを……

 今回は宝太郎に笑ってもらおうとしたホッパー1然り、登場人物の多くが宝太郎のことを想って行動していたのが目に留まりました。自責の念に駆られる宝太郎を慰めたり、彼に重荷を背負わせないために「アントルーパーマルガム」と戦うりんねたちはまさにその筆頭でしたね。主人公の人望の熱さに感動しつつも、それ故今回の悲劇を前にした時のやるせなさがこちらにも伝わってきました。

 個人的に見逃せないのがミナト先生とスパナのスタンス。アントルーパーを倒せないでいる宝太郎たちに代わって、2人で倒した時は驚きつつも納得しました。ミナト先生は劇中で言っていたように「どんなものよりも生徒を優先する」姿勢の結果ですし、一方スパナはホッパー1の時も率先して倒そうとするぶっきらぼうな優しさを発揮していたのでどこか嬉しくなってきます。特にスパナは錆丸がドレッドにされた時もそうでしたが、「自分は泥をかぶる役」だと理解したうえで宝太郎たちが出来ないことを果たそうとしているので好感が持てます。

 あとはやはり珠美お母さんのシーンにもウルっときました。落ち込む宝太郎を見て変に質問したりせず、ホットケーキを作ってくれる愛情が身に染みます。そのうえで「宝太郎にはまだたくさんの宝物があるでしょ?」とさりげなく助言してくれるのがニクイです。実際上述のりんねたちのように宝太郎のことを想ってくれる存在はたくさんいることが証明されたので、彼には絶望の中でもそのことを忘れないでほしいですね。

 

 

  • 卵を狙う者、鋭き視線を受け

 前回に続いて宝太郎を追い詰めた憎きギギストですが、彼の口からその目的諸々が判明したのも今回の大きな見どころ。まず彼の狙いである宝太郎の中にある「謎の卵」ですが、ギギストの半身である以上に重要なものだとわかった時は驚きましたね。ガッチャードライバーがこの卵を素材に作られていること、宝太郎はこれまで卵の力でワイルド形態になってきたことなど、本作の錬金術に関する要素をまとめて内包した力を持っているのは意外や意外でした。(ズキュンパイアが人間の姿になったりと、これまでのケミーの成長もこの卵の力によるものかもしれませんね

 そんな卵を狙うギギストですが、何度も変身してきたことで宝太郎と深く結びついてしまっているのか取り出すことが出来なくなっている。だからこそ宝太郎を絶望させてマルガム化させようとしていることを語った時は膝を打ちました。なるほど宝太郎を絶望させるには彼自身の手でケミーを倒させるのが効果的でしょう。そして最後の仕上げとして親友のホッパー1を狙ったのも、憎たらしいくらい有効でした。伊達に人間の感情を「理解する」とのたまうだけのことはあります。

 しかし理解するだけで相手への共感は一切見せないし寄り添いもしない、上辺だけの理解者面なのがこのギギストへの憤りを加速させてきます。そんなギギストのスタンスがよく表れた場面として、グリオン復活を望むアトロポスへの態度が印象に残りました。父への感情を「所詮はまがい物」と断ずるギギストを前にした時の、アトロポスの睨むような視線は実に怖かったですね。この調子だと冥黒の三姉妹全員が離反しそうだなぁ、などと思いつつ、ギギストのろくでもなさを実感した次第です。

 

 

 というわけで37話の感想でしたが……上でも書いた通りホッパー1を失ったショックに言葉を失ってしまいましたねはい。予想していてそうはならないでくれ!と思っていた展開を、全力で魅せられてしまった気分です。他の誰かの活躍でこうはならなかったかもしれないという逃げ道さえ徹底して排除している辺りも無情すぎます。ホッパー1がこれまで宝太郎の大切な親友・相棒として描かれてきたからこそ、それを敢えて殺す内容を前にした時の喪失感は計り知れません。ポケモンで例えるならピカチュウを殺すようなものだよね(メタレド母談)。

 また仮面ライダーWEB*1にて語られた「ライダーが怪人を倒すことの“意味”」についての話も興味深かったです。敵を傷付けるという“暴力性”とライダーの根源にある“同族殺し”の要素と真剣に向き合い、この展開を用意したスタッフたちの本気具合には恐れ慄きました。マルガムを倒すことでケミーを助ける本作が隠してきたこれらの本質を描くことで、宝太郎自身の暴力性と向き合わせる内容は見事の一言。ガッチャード制作陣のヒーロー番組に対する真摯な姿勢には感服するばかりです。

 そんな感じで作品のテーマ性に感心しつつ、ここからの反撃に期待が持てます。ガッチャードではこれまでも絶望的な状況からスカッとする逆転を何度もやってきたので、この件でもそんな爽快なストーリーが見られるだろうという信頼が湧いてきますね。明るく!楽しく!をモットーとしたガッチャードらしい、希望に満ちたカタルシスが俄然楽しみになってきました。

 

 

 そして次回はいよいよ反撃の時!!巨大な卵に包まれ悲しみから殻にこもってしまった宝太郎。実際に卵の殻にこもっているという……しかしラストに話しかけてきた謎の卵との会話で、何を知るのか?如何なる再起を果たすのか?ここまでの絶望を吹き飛ばすほどの爽快な展開を、満を持して登場するガッチャードの最強フォームと共に見届けていく所存です。放送日が待ちきれねぇぜ!!

 

 

 ではまた、次の機会に。